海は生垣の上に光ります
海は貝殻のように光ります
沖へ出て釣をたれたら楽しかろ
空の色さえ陽気です
時は楽しい五月です。
生垣の上に光って見える
海はやさしい やわらかい
まるであかごの手のようだ
撫でたら気持がさぞよかろ
空の色さえ陽気です
時は楽しい五月です。
微風が素早い手でもって
海と生垣を縫いつける
針を動かす、光らせる
空の色さえ陽気です
時は楽しい五月です。
生垣のみどりの上に青海が
蝶々のようにひるがえる
小舟のむれが動き出す
空の色さえ陽気です
時は楽しい五月です。
生垣の高さは海の深さです
金色の天道虫がはいまわる
さても鯨のすがたのわるさ
空の色さえ陽気です
時は楽しい五月です。
ほっぺたを涙がやさしく流れるように
海は流れる涙です
生垣の上を港へと
しかし今、誰あって
泣こうなどとは思わない。
「子供が港へおっこちた!」
「海へはまって死んだとは、さて美しい死にざまだ。」
しかし今、誰あって
泣こうなどとは思わない
空の色さえ陽気です
時は楽しい五月です。
* * *
原詩 ロバート・バーンズ
訳詩 堀口 大学








