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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2005年10月22日

2001 ジャガー Xタイプ 3.0 V6 SE

第7回:スモールジャガーで英国プレミアムサルーンの世界を手に入れる

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高級車ジャガーに初めて登場したコンパクトセダンのXタイプ。フォード傘下に入った1990年以降、メカニズム面では独自性が薄まった同ブランドだが、その英国車らしさは今でも不変だ。

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フォード車と車台を共有するスモールジャガー

Xタイプの最上級モデルとして2003年7月に追加された「3.0ソブリン(Sovereign)」(写真:ジャガー&ランドローバージャパン)

1990年に米国フォード傘下に入ったジャガーは生産体制や品質を近代化するため、従来のXJシリーズ(XJ40系)に代えて、94年に新しいXJ(X300系)を投入。98年にはフォードグループの高級車リンカーンLSとシャシーを共有するジャガーSタイプを登場させた。

これに続くのが2001年2月のジュネーブショーで登場した今回のXタイプだ。日本では同年9月に発売された。シャシーはフォード・モンデオと共有するが、生産はイギリス・リバプール近郊のヘイルウッド工場で、部品共有率は20%に過ぎないという。当初、日本には4WDの2.5および3リッターが上陸。翌年5月にはFFの2.1リッターの「2.0 V6」が追加され、ジャガー初の300万円台モデル(税別365万円)となった。ちなみにXタイプはジャガーにとって初の4WD車でもある。

2003年末のマイナーチェンジではグレードを再編したほか、外装(クローム類やアルミホイールのデザイン)や内装(ウッド素材の変更や装備の充実、静粛性の向上など)を見直した。また、このほかにも装備を充実させた様々な限定モデルが登場している。

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エステートモデルも登場

2004年に仲間入りしたジャガー初のステーションワゴン「Xタイプ 2.5 V6 SE エステート」(写真:ジャガー&ランドローバージャパン)

2004年7月には同じくジャガー初となるステーションワゴン「Xタイプ・エステート」を発売。駆動系はサルーンと共通だが、Bピラーより後ろが専用ボディで、ルーフレールをはじめ570点以上の新設計パーツが与えられた。ガラスハッチやパーティションネットの装備など使い勝手に優れた荷室や4輪駆動システム(2.5リッター)を備えるなど、雰囲気だけでなく実用性に富むのが特長だ。

 

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XJをコンパクトに再現

今回のサンプルカーは初年度モデルの最上級グレード「3.0V6 SE」

ボディサイズは全長4685mm×全幅1790mm×全高1420mm。全幅は大きく5ナンバー枠をオーバーするが、実物はコンパクトに見える。写真だけでは一瞬判別がつかないほど、歴代XJシリーズにそっくり。限られた寸法でジャガー伝統的スタイルをうまく再現している。曲線の多いボディパネルにメッキを多用した英国調の演出はジャガーならでは。室内の広さやトランク容量を確保しつつ優美なスタイリングとするため、様々な工夫が施されている。

 
上面がアーチ状に膨らんだルーフとトランクリッド。後端が弧を描く窓枠は60年代の名車ジャガーマーク2やSタイプ等から受け継ぐ

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英国らしいインテリア

試乗車はバーズアイメープルウッドとレザー(ウォームチャコール色)との組み合わせ

インテリアもXJのモチーフをそっくり踏襲する。高級感といった点は価格相応だが、ふんだんに使われた本物のウッドパネル、グリーンの照明で照らされるメーター、伝統のJゲートから突き出すウッドシフトレバーなどジャガーらしく、英国車らしいモチーフをもれなく備える。なお、日本導入2年目以降のXタイプには基本的に全車DVDナビが装備されたが、初年度の2001年時点ではまだオプションだった。

 
X-TYPEはグレード名に豪華版を表す「SE」が付くと、電動8ウェイのレザーシートが標準で付く

絶対的な広さではなく雰囲気の後席

外寸の割に広くない後席だが、居心地は良い

ルーフが回り込むため、ややタイトなリアシート。足元のスペースもギリギリで、フロアトンネルの出っ張りも大きく、実質的に大人4人乗りでちょうどいい感じだ。雰囲気や乗り心地は良いのでパーソナルな使い方なら不足はない。もともとジャガーは広さを売りとせず、スポーティなスタイルと走りを重視してきたという伝統は知っておきたい。

 
トランク容量は当時のクラストップ、ジャガー史上最大の452リッター

トランクはジャガー史上最大の452リッターを確保。あのXJシリーズ(X300系以前)よりも大きい。ただし天地が浅く、深い奥行きで容量を稼ぐタイプで、トランクスルー機能もない。

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トルキーな3リッター。スタビリティも高い

3リッターモデルはトルクがあって変速もスムーズだ

試乗車の3リッターV6(234ps、29.0kg-m)はSタイプからの流用だが、縦置きから横置きに変更され、出力もS-TYPEより9psと1.6kg-m低い。5速ATはJATCO製、32ビットのエンジン制御システムはデンソー製と、日本製パーツが多く使われる。

Xタイプ全般に言えるのは、ボディの見切りが良く、運転しやすいこと。最小回転半径も5.3mと小さい。3リッターエンジンは排気量から想像されるほど強力ではないが、5ATとのマッチングはよく、ドライバーが意図した通りの加速を見せる。Xタイプには2.0、2.5、3.0、そしてエステートまで全て新車デビュー時に試乗しているが、2リッターはトルクがやや不足気味で、低速で急激にアクセルをオンオフすると変速ショックが出やすい。その点に限れば、今回のような3リッターモデルは問題ない。

毎回不満に思うのは、インパネにシフトポジションが表示されない点。Jゲート左側のマニュアルセレクター(奥から2-3-4と直線上に並ぶ)に節度感がないのも不便だ。ただし、これは慣れればブラインド操作が可能で、シフトレバーを一番下にすればD、左に動かせば4速、そこから真っ直ぐ奥に押せば2速、引き寄せれば4速、その中間が3速となる。

4WDでスタビリティを確保

4WDシステム「トラクション4」で、乗り心地とスタビリティを両立

デビュー当時の試乗では、前ストラット、後マルチリンクの足回りが固めに感じられたが、4万2000km走行の今回の車両ではフリクションが取れたせいか、あるいはほどよく?ダンパーが抜けたせいか、乗り心地はソフトだった。一方で、コーナーや急なレーンチェンジなどではロールが大きく、接地感も若干低下していた。シャキッとした走りが欲しい人はダンパーやタイヤをリフレッシュしたくなるかもしれない。しかし、ビスカス・カップリングで前後40:60にトルク配分する4WDが幸いして、実用上のスタビリティは十分。トルクステアもほとんど出ない。コーナーでも軽快で、4WDらしいオンザレール感が楽しめる。

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車名: JAGUAR X-TYPE 3.0 V6 SE
型式: GH-J51WA
寸法: 全長4685mm x 全幅1790mm x 全高1420mm
ホイールベース: 2710mm
車重: 1620kg
駆動方式: フルタイム4WD
エンジン: 3.0リッターV型6気筒DOHC
最高出力: 234ps/6800rpm
最大トルク: 29.0kg-m/3000rpm


トランスミッション: 5AT
使用燃料/容量: プレミアムガソリン/61L
10・15モード燃費: 7.4km/L
タイヤ: 205/55R16
発売時期: 2001年9月
当時の新車価格: 525万円(消費税抜き)

試乗車スペック


初年度登録: 2001年
販売価格: 254.1万円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間 距離無制限)
走行距離: 42000km
ボディカラー: プラチナ(シルバー)
試乗日: 2005年10月


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電気系のマイナートラブルはあり

チェーン駆動のV6ユニットはデンソー製制御システムとJATCO製ATと組み合わされる

機関については特別な心配は不要だろう。基本的にはタフなクルマであり、新車から3年間はメーカーの無償サービスでそれなりにメンテナンスされてきたはずだから、コンディションはおおむね悪くないはず。ジャガー史上、最も信頼性に富むモデルと言っていい。言うまでもなく80年代までのジャガーとは開発、部品調達、生産などまったく別物であり、いい意味で他の欧州車(特に欧州フォード車)と特別に違う部分はない。

ただし日本車並みといかないのは確かで、特に電気系のマイナートラブルは発生しやすいようだ。また、内装パーツの軋み音やチリの合い方など「多少のことは気にしない」という心構えはあった方がいいだろう。

一番古いモデルでも現時点(2005年11月)では4年落ちに過ぎないが、今回の試乗車のように4万km以上走行した車両では消耗品のリフレッシュを一通り行いたい。チェーン駆動のエンジンはオイル、冷却水、プラグ、ベルト類の点検と交換くらいで良いが、足回りのダンパーなどは思い切って交換してもいいだろう。

リコール関係では、方向指示器の制御ユニットプログラムの不具合によって、方向指示器が点滅しなくなるおそれがあるという届け出が2003年6月にされている。市場のほとんどの車両は対策済みと思うが、念のためいわゆるサービスキャンペーン(リコール対象ではないが、メーカーが無償修理するもの)の類も含めて、チェックしておきたい。<ジャガージャパン>方向指示器の制御ユニットプログラムのリコールについて

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200万~300万円あたりが旬

今回試乗した最上級グレードの3.0 V6 SE

2001年9月以降のモデルなので、Uカーでも200万円以下のクルマはほとんどない。年式で言えば2003年頃まで、相場なら230万円中盤から300万円前後がUカーとしての旬だ。

走行距離によっては廉価な2.0より最上級車の3.0SEが安くなることもあり、これはUカーならではのメリットだ。少なくとも初期モデルでは2.0より3.0の方が走りはスムーズだし、装備も当然3.0の方が充実している。一方で燃費は前輪駆動の2.0が優れるし、変速ショックもアクセルの踏み方次第で軽減できるから2.0で十分、という声も多い。その間を取って2.5というチョイスもある。また、内装の雰囲気はXタイプの重要な要素。内装色や木目パネルの色は数多く種類があるから、実車を見ながらこだわってみたい。


スタイルと性能がジャガーの魅力

こちらはグリルやモールがボディカラー同色となり、スポーツシート、スポーツサスペンション、17インチホイール&225/45R17タイヤを標準装備する2.5 V6 SPORT

最後に、ジャガー=高級車というのは間違いではないが、戦後創業したばかりのジャガーが人気を得たのはアストンマーチンの半値で同等の性能とスタイルを備えていたから、という経緯もウンチクの一つとして覚えておきたい。

その半世紀後、フォード流の合理化やマーケティングから生まれたXタイプだが、サイズといい価格といい、英国のサルーンに魅力を感じる人にとっては、今や最も現実的な選択肢だ。クラシカルなデザインは、あくまでもジャガーの伝統に則ったものだし、英国のライフスタイルやファッションブランド、カルチャーが好きな人にとっても、MINIなどと共に心引かれる一台だろう。そういった意味では、信頼性の上がったジャガーは多くの人にとって待ちに待った理想のジャガー。エンスージャスト(熱狂的なクルマ好き)はともかく、そうではない多くの人にはXタイプに乗って英国を少しでも身近に感じてもらえれば良いと思う。


文・写真:DAYS・K.Niwa

 
 

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