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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2006年07月09日

2002 プジョー 106

第24回:プジョー106は史上最後の「ドライバーズ」コンパクトカーだ!

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元気な小型ハッチバック車が消えて行く中、最後まで生き残ったプジョーの最小モデル「106」。絶版となった今もプレミアが付くほどの人気Uカーだが、それにはちゃんと理由があるのだ。

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90年代プジョーの最小モデル

photo_1-s.jpg 95年から正規輸入が始まった106。写真は前期型の「XSi」 (画像:プジョー・ジャポン)

106(イチマルロク)は1991年9月に欧州でデビュー。90年代の「6」系プジョー(他に206、306、406)の最小モデルにあたる。シャシーは80年代にデビューしたシトロエンAXを大幅にアップデートしたもので、サイズや構造の点から言えば、98年まで生産されたプジョー205(日本では95年まで販売)の実質的な後継車でもある。

欧州ではごくポピュラーなベーシックカーで、エンジンは1リッターから1.6リッターまで、ボディ形状は3ドアと5ドアがあった。また、シトロエン・サクソ(Saxo)とは構成パーツがほとんど同じ双子車の関係にある。

一方、日本に正規輸入された106は、1.6リッターの高性能グレードである前期型の「XSi」と後期型の「S16」だけで、スポーツモデルとして人気を得た。新車価格はおおよそ220万円以上と高価だったが、2003年の生産終了以後もその人気は衰えていない。

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日本仕様は3ドア・左ハンドル・5MT

96年のマイナーチェンジで登場した後期型の「S16」 (画像:プジョー・ジャポン)

日本へ正規輸入された106は、全て3ドアの左ハンドル・5MTのみ。まず1995年3月にSOHC・2バルブの1.6リッターエンジン(100ps)の「XSi」を導入(222万円、消費税含まず、以下同)。ボディカラーはルシファーレッド、マイアミブルー、ブラックの3色だった。

96年9月には、主に衝突安全対策で全長を125mm延長したフェイスリフトを実施。同時にDOHC・4バルブエンジン(118ps)を載せた後期型の「S16」(229万円)に移行した。ボディカラーはルシファーレッド、コバルトブルー、ブレイズゴールド、プラチナグレーの4色に。

98年5月には特別仕様車「セリースペシャル(Serie Speciale)」を250台限定で発売。フランス国旗を表すチェリーレッド、インディゴブルー、正規輸入車で初の白(ビアンカホワイト)を用意した。

98年10月からは本革・アルカンタラ(人工スエード)のコンビシートと後席ヘッドレストを採用。ボディカラーはコバルトブルーとブレイズゴールドを廃止し、チャイナブルーもしくはモーリシャスブルー(いずれも濃い紺色)、インディゴブルー、サンダンスイエロー、プラチナグレー等を用意。

02年9月にはMDプレーヤーとCDチェンジャーを標準装備とした最終モデル「S16リミテッド」を発売。ボディカラーはインディゴブルー、サンダンスイエロー、プラチナグレー、人気のビアンカホワイトを復活させて4色。この後に2003年の生産終了を迎えた。

並行輸入された「ラリー」

前期型106にあった通称「テンサンラリー」は快適装備のない硬派な1台

正規輸入はされなかったが、106を語るなら競技用ベース車両の「ラリー(Rally)」の話は避けて通れない。エアコンなど快適装備のない車重800kg台の軽量ボディに、弾けるような1.3リッターSOHCエンジン(100ps)を積んだ前期型の通称「テンサン・ラリー」は正規輸入前だったこともあり、200~400台もの車両が日本に上陸したと言われる。外観の特徴はRallyのステッカー、白塗装の軽量スチールホイール。ボディカラーは圧倒的にビアンカホワイトが多かった。1.6リッターエンジンを積んだ後期型の「テンロクラリー」もあるが、上陸数は少ない。(2006.07)

 

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  1995年 '96年 '97年 '98年 '99年 '00年 '01年 '02年 '03年 '04年
国内販売台数※
不明
不明
785台
751台
691台
430台
461台
357台
305台
5台

※正規輸入車のみ

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古典的ホットハッチの黄金率

サンプルカーのボディカラーは人気の稀少色「ビアンカホワイト」

超コンパクトなボディこそ、106が持つ最大の魅力。全長は前期型で3565mm、大きくなった後期型でさえ3690mmと、軽自動車よりちょっと大きいかな、という程度。全幅1620mmは初代ヴィッツより60mmも狭く、1370mmの全高はコンパクトカーでは今や絶対ありえない低さだ。とにかく短くて低いという、軽量スポーツカーにとっては掟とも言えるディメンション(ボディ寸法)を備えている。

小粋で安定感のあるスタイリング

トヨタヴィッツより小さなボディだが、安定感とスポーティさを備える

ルックスも106が成功した理由の一つだ。短いボディながらずんぐり見えず、かといってスポーティに過ぎず、小粋に仕上がっているのは、プジョー車のデザインを長年手掛けてきたピニンファリーナのおかげだろう。どの角度から見えも台形で、サイズを忘れさせる安定感がある。前期型はラジエイターグリルが桟(さん)になっていたが、サンプルカーのような後期型(96年~)では他のプジョー車に合わせてシンプルな形状になった。

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前席は外寸以上の広々感

デザインはごくシンプルだが、広々した前席。この最終モデルはホワイトメーターと4エアバッグを装備。

90年代プジョー特有の、当時よく使われた言葉で言えば「プラスチッキー」なダッシュボード。しかし、今見ると逆にその素材感がイイ感じ。1DINのオーディオスペースが最上段にあり、おかげでインダッシュナビが付けやすいのは嬉しい偶然だ。ただし、小物入れは少なく、ドリンクホルダーもない。助手席グラブボックスもエアコンのエバポレーターに場所を取られてただの小物入れに。

一方で、人間のための空間はしっかり確保されており、頭の上から足先まで、圧迫感は一切ない。横方向の余裕も全幅1620mmという幅の狭さを感じさせないものがある。シートのサイズも完全に1クラス上のもので、当時の国産車なら確実に2クラス上に匹敵するもの。さらにウインドウ面積の広さと細いAピラーのおかげで、見晴らしはとてもいい。

 
小さなボディに不釣合いなほど大きなシート。98年モデルからレザー/アルカンタラのコンビシートに

設計年次の旧い106だが、衝突安全性は96年時にかなり改良されている。日本導入モデルのほとんどは両側エアバッグを備え、02年式以降の最終モデルにはシート内蔵型サイドエアバッグやドア内側に衝撃吸収パッドを追加している。

+2以上、フル4シーター未満

立派なリアシートだが、長距離ドライブには不向き

前席と同じ大型ヘッドレストは98年からの装備。シート自体は立派だが、足元の空間がミニマムで、しかも座面高が低いので長時間の乗車は辛い。2+2以上だが、フル4シーター未満といったところか。リアクォーターウインドウの換気用ヒンジが懐かしい。 

工夫次第でけっこう積める

リアウインドウが寝ているので天地の余裕はないが、おかげで開口部は広い

いつもの「パワーマックG5」の箱(横60×奥行き60×高さ40cm)は、6:4の分割可倒式リアシートの片側を倒したら積めた。大容量ではないが、工夫次第でかなりのものが積めるラゲッジだ。スペアタイヤは吊下げ式。

かれこれ15年ほど前、106と似たようなボディ形状のシトロエンAX GTに、男3人とフォールディングカヌー1隻、テント3張り、そして3人分のキャンピング用品と2日分の食材を積んでキャンプに行ったことがある。ま、確かに余裕は寸分も無かったが、全部積めたのは確かだ。

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パワーウエイトレシオは約8.1kg

サンプルカーは2002年の最終モデル「S16リミテッド」で、走行距離は2万1000km、稀少色ビアンカホワイトという106ファンには垂涎の1台。DOHC・16バルブの1.6リッター(118ps、14.5kg-m)で、車重960kgなので、パワーウエイトレシオは約8.1kg/psとなる。とびきり速くはないが、活発に走らせるにはちょうどいい数値だ。

実際、当時のFF車としては良好なシフトフィールの5速ギアを駆使すれば、いつでも爽快な加速が味わえる。某誌のテストによれば0-400m加速は15秒台前半から16秒台前半、最高速は200km/hオーバーと、国産車ならユーノス・ロードスターの1.8リッター車に匹敵する性能で、実際の体感的「速さ」もたしかに同等だ。

飛ばさなくても楽しい

小粋な外見に似合わず、マイルドな走りが持ち味

しかし106のいいところは、アクセル全開じゃなくても気持ち良さが味わえること。ホンダのVTECのように高回転での爆発感はないが、106のロングストロークエンジンは低回転から高回転までギュイーンと淀みなく回り、「飛ばせ、踏め、回せ」と急かされる感じがない。普段は中回転を使ってエンジンの息吹を楽しみ、「たまには上まで回してみようかなぁ」くらいの、ふところの深いユニット。そもそもこのエンジン、307スタイル用エンジンのベースとなったものだ。

クロース気味のギアリングは前期型のXSiや106ラリーとまったく同じ。最終減速比だけはテンサンラリーが4.539!と超ローギアードで、次にXSiの4.062、そしてS16がそれよりほんの少し高めの3.939となる。それに加えてクルマ全体の性格がマイルドなせいか、レスポンスの鋭さはほどほど。ノンビリ流すにはいい設定だが、100km/h巡航で3200回転まで回ってしまうので、それ以上飛ばすとかなり騒々しい。

マイルドな操縦性(少なくともノーマルのS16は)

ハンドリングもトリッキーな動きを抑えたマイルドなもの。どんな操作に対しても反応はジワッと起こり、アクセルオフでタックインさせた後、ホイールスピンさせて立ち上がる・・・・までもなく、サンプルカーはクルッと向きを変えて曲がってしまう。心拍数が上がるような綱渡り的走りは、少なくともノーマル「S16」本来の姿ではない。乗り心地も、ボディサイズから想像が付かないほどマイルドだ。サスペンションを固めて「106ラリー」仕様にしたくなる気持ちは分かるが、この完成度の高さは貴重だ。

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車名:プジョー 106 S16 Limited(2002年モデル)
型式:GH-S2NFX
寸法:全長3690mm x 全幅1620mm x 全高1370mm
ホイールベース:2385mm
車重:960kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:1.6リッター直列4気筒DOHC
最高出力:118ps/6600rpm
最大トルク:14.5kg-m/5200rpm





トランスミッション:5MT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L
10・15モード燃費:-km/L(未公表)
タイヤ:185/55R14
発売時期:1991年(本国)、95年3月(日本導入)、96年9月(S16)
当時の新車価格:225万円(02年 S16リミテッド、消費税抜き)

 

試乗車スペック

初年度登録:2002年
販売価格:189万円(消費税込み) ※プジョージャポン認定中古車保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:21,000km
ボディカラー:ビアンカホワイト
備考:MDプレーヤー付、106 S16最終モデル
試乗日:2006年7月

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トラブルは単純なものがほとんど

シンプルなクルマなので、トラブルも単純で定番のものがほとんど。知識があれば解決も早く、修理代も高くつかない。走行距離の進んだ個体が多いはずだが、信頼できるお店でよく整備され、保証付きで購入するなら心配は不要だ。プジョー車ゆえ、カム駆動はもちろんタイミングベルト式。走行7万km以上の車両なら一式の交換記録があるかどうか要チェックだ。もしされていなければリフレッシュが必要だ。

エアコンは要チェックポイントだが、特にブロアモーター(空調ファン)の故障は割と多いようだ。また、ピッチングが止まらない、乗り心地がフワフワするという症状なら、純正ダンパーが寿命を迎えた可能性が高い。また2速のシンクロも弱いと言われているので、ここもチェック。購入後も丁寧な操作と定期的なギアオイル交換を心がけたい。

 

その他の不具合も、経年変化で劣化するようなパーツを新品に交換するだけで直ることが多い。よって一概には言えないものの、トラブルの原因や、トラブルシュートの邪魔になる改造が施されていない車両がやはりいい。もちろん、社外品の方が耐久性の点で優れているパーツもある。そんな「箱入り106」は刻一刻と無くなりつつあるが。

アプルーブドカーなら1年間新車並みの保証

プジョー認定中古車ショールーム「ブルーライオン名古屋 アプルーブドサイト東郷」はオートプラネット内にある

その点でお勧めできるのは、やはり品質保証付きのアプルーブドカー(認定中古車)だ。そもそも現実のクルマ探しでは、希望のボディカラー、予算、程度がうまく合致するかどうかが問題だが、それもオートプラネットの中にあるプジョー認定中古車ショールーム「ブルーライオン名古屋 アプルーブドサイト東郷」なら問題ない。今回の取材時にもコンディションのいい複数の106が揃っていた。ここは在庫車両からアフターまで愛知県下に10拠点を展開するブルーライオン名古屋のバックアップを受けている点でも安心だ。もちろんプジョー専用のコンピューター診断システムも備えている。

なお、アプルーブドカーは購入後1年間にわたって新車並みの保証が受けられる上、万一重大な不具合があっても納車後14日間・走行距離1000km以内なら車両交換もしてくれる。もちろんアフターサービスは日本全国の正規販売店でも受けられる。プジョー正規販売店のスタッフには実際に106に乗っていた人も少なくないから、そういう人を見つけて相談してみるのもいいだろう。

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高年式モデルか「イバラの道」か

106の購入で一番気になるのが、Uカー相場の高さだろう。新車が225万円(消費税抜き)もした106だが、絶版となった今も異例の高値安定。最終モデルの3年落ちで180万円台、ギリギリ認定中古車の7年落ちでも100万円前後だ。まあ、認定中古車にこだわらなければ、初期のXSiか、いっそ究極のテンサンラリーか? と思えてしまうのも106の魔力だが、それはマニアにだけお勧めできる「イバラの道」。家族を乗せたり、通勤に使ったりするなら、保証つきの高年式車両を買った方が結局は得だし、余計な苦労もないはずだ

ハッチバックの王道

'80年代製のKP61スターレットやワンダーシビックSiといった10年落ち大中古ホットハッチの思い出が多い担当者にとって、今回の「S16」は少々語弊はあるが、思っていたほどホット(刺激的)ではなかった。しかし、そもそも106がこれだけ人気を得た理由は「高い快適性」「楽しい操縦性」「コンパクトで洒落たボディ」、この3つがちゃーんと'90年代品質だったからではないだろうか。買い物から長距離ドライブまで、疲れず、楽しく、小粋な感じ。それが106には過不足なくある。

そういうわけで、マニアックなクルマと思われがちな106だが、実は(少なくともS16は)全然そうではなく、むしろハッチバックの王道というのが正しい。この乗りやすさから言って、おそらく左ハンドル初心者でも1時間で自分のクルマのように馴染めるんじゃないだろうか。マニュアル免許を取った全てのドライバーに乗ってみて欲しい「最後のハッチバック車」。そう言ってもいい。

文・写真:DAYS・Niwa

 


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