掲載日 : 2007年02月20日
2000 ランドローバー レンジローバー 4.6 HSE
第45回:見た目はライトでも中身は本格派!ランドローバー レンジローバー
英国貴族御用達の高性能と高級感
言わずと知れた世界を代表する4WD専門メーカー、ランドローバー。その中でもレンジローバーはフラッグシップモデルとして長年揺るぎない地位を築いてきた高級SUVだ。もともとイギリスの貴族が狩猟に出掛ける時のために作られたとも言われるだけあって、オフロード4WDでありながら高級車の装備を併せ持つ、かつてないジャンルを切り開いたクルマである。今でこそBMW X5などのように、オフロードとラグジュアリーとを両立した高級SUVは多数存在するが、レンジローバーはその中でも他の追随を許すことなく、高級SUVの原点であると同時に頂点に君臨し続けている。
24年目でついに2代目へ
初代レンジローバーは1970年に登場。1994年に2代目が発売された後も生産は継続され、その期間は実に1996年までの26年間に及んだ。決して安価ではないにも関わらず、初代モデルの総生産台数は31万7615台にも及び、今も世界中に熱烈なファンが存在する。
今回取りあげる2代目レンジローバーは1994年に登場。4.6リッター(225ps)の「4.6HSE」と4.0リッター(190ps)の「4.0SE」の2グレードでスタート。V8・OHVエンジン、フルタイム4WD+4ATの駆動系、前後リジッド+エアサスペンション等の基本設計は踏襲しつつ、サイズアップしたボディ自体は新設計。舗装路での走行性能や快適性の向上など近代化は進んだが、「世界第一級の悪路走破性をもつ4WDステーションワゴン」という初代からのコンセプトは一貫している。
3代目は2002年に登場。その開発当初ランドローバーがBMW社の傘下にあったため、X5と同じ4.4L V8エンジンなど、BMWの最新技術が盛り込まれている。近年はフォードグループ傘下で、オンロード重視の「レンジローバースポーツ」の追加といった新たな展開を見せている。

重厚・堅牢なラージサイズ・クロカン
クロカン四駆の王道スタイル。全幅1.89メートル、全高1.81メートルを誇る堂々としたボディだ。直線で構成されたシンプルなデザインは、機能を重視したレンジローバーならでは。急斜面への進入を考慮し、アプローチアングル/デパーチャーアングルともに大きく確保。モデルチェンジを繰り返すことで、より洗練されたフォルムを備えるようになったレンジローバーだが、機能美をとことん追求する基本コンセプトは初代から変わっていない。
英国製高級車のベンチマーク的存在
レンジローバーは元々、悪路における快適性を徹底的に追求し、目の肥えた英国貴族を満足させるべく作られたトップレンジ・オフローダーである。シート表皮は英国・コノリー社製の高級レザー、パネル部分には英国の伝統工芸のひとつであるウォールナット(クルミ木材)を使うなど、そのインテリアは英国を代表する高級車にふさわしい品格を備えている。現在ではコノリーレザーは使われなくなったものの、上質さが匂い立つようなモダンで心地よいインテリアは、他の一般大衆車とはまさに別格。これぞ貴族御用達のクルマにふさわしい内装だ。
紳士がたしなむ正統派オフロード・ビークル
ステアリングを握っただけで、自然と背筋がピンと伸び、無意識に英国紳士然としたフォーマルな運転を心がけるようになってしまうのは何故だろう。レンジローバーは、紳士の紳士による紳士のためのクルマ(オフローダー)である。
サンプルカーに搭載された4.6リッターエンジンは218ps、トルクは40.8kg・mをたたき出す。悪路走破性を徹底的に高めようと思ったら、当然このくらいのトルクは欲しい。サスペンションは前後リジッド式のエアスプリング方式となり、電子制御による車高コントロール機能が備わっている。これにより高速走行時は車高が自動的に下がり、ぴたりと安定したオンロード高速巡航も可能だ。2000年式の現車はロックアップ機構付きの4速ATを搭載。さすがに今となっては少々クラシカルな加速フィールだが、まるで“レンジローバーはこうあるべき”と主張しているようで、その独特の世界観に、逆に納得されられてしまう。ボディはさすがに大柄で、日本ならではの狭い路地などをせせこましく走るのは不得手。その気になればユーラシア大陸を悠々と走破できるポテンシャルを持つクルマだが、日本の道路事情と合致しない面もあるのは事実だ。
残念ながらオフロードは試乗していないが、はっきり言おう。日本国内でレンジローバーのオフロード走破性能を100%発揮できるフィールドはほとんどない。たとえあったとしても、そこはオフローダー専用コースか、もしくは車両進入禁止区域である。“いざとなれば走破できる”というゆとりを感じつつ、オンロードを礼儀正しく走るのがレンジローバー・オーナー最大の喜びなのだ。
車名:Land Rover Range Rover 4.6HSE
型式:GF-LP60D
寸法:全長4715mm x 全幅1890mm x 全高1810mm
ホイールベース:2740mm
車重:2160kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:4.6リッター水冷V型8気筒OHV
最高出力:218PS/4750rpm
最大トルク:40.8kg-m/2600rpm
トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/100L
10・15モード燃費:5.0km/リットル
タイヤ:255/55R18
発売時期:2000年4月
当時の新車価格:750万円(消費税抜き)
試乗車スペック
初年度登録:2000年
販売価格:300.3万円 (消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:35000km
ボディカラー:ホワイト・ゴールド
試乗日:2007年2月
オフロードにおける走破性能・耐久性能を愚直に考えられたクルマだけに、ボディやシャシー、ミッションやデフ等の駆動系は驚くほど頑丈に作られている。OHVエンジンの信頼性も高い。日本国内で流通している車両に限れば、道なき道をがんがん走った経験のある車両は皆無に等しい。可能であれば試乗してみて、ボディ各部の異音やエンジン音、乗り心地などを確認できればベターだ。電装系統は90年代から日本のデンソー製が使われており、信頼性は高まっているが、ライトの球切れやパワーウィンドウ不調などのマイナートラブルはゼロとは言い切れないのが現状。信頼できる正規ディーラーで購入すべきだ。
新車で購入後、比較的長期間所有する富裕層オーナーが多いため、走行距離が多いわりには良好な車両コンディションを保った物件を見つけやすいモデルと言える。マイナーチェンジごとに快適装備が少しずつ追加されている点に注意しつつ、可能な限り正規ディーラーで購入するようにすれば特に問題はないだろう。巨大なボディ&巨大エンジンということで、ご想像通り燃費は悪い。エアサスペンションのメンテナンス等、購入後の維持費の高さはある程度覚悟しておく必要がある。いずれにせよレンジローバーを購入する方は、ドライバーの品格が問われる正真正銘の高級車であることを自覚しておきたい。
文:DAYS・Yasuhara 写真:DAYS・Washio


