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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2007年03月11日

1999 BMW Z3 クーペ

第46回:得体の知れないBMW、Z3クーペはオトナを引き立てる!

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Z3ロードスターのクーペ版で、直6を搭載

Z3クーペ2.8。Mクーペとは前後バンパーやフロントフェンダーのサイドグリル等が異なる

1995年に登場したZ3ロードスター。そのクーペ版(正確には3ドアハッチバック)が、今回採り上げるZ3クーペだ。Z3ロードスターを基に、6気筒エンジンを載せた一連の上級モデルの1つであり、1998年に以下の4モデルと共に導入された(価格は全て消費税含まず)。

  • Z3 クーペ 2.8 2.8リッター直6(193ps)左ハンドル・4AT、490万円★今回のモデル
  • Z3 ロードスター 2.8 2.8リッター直6(193ps)右ハンドル※・4AT、490万円 ※後期型は左・右
  • M クーペ 3.2リッター直6(321ps)左ハンドル・5MT、730万円
  • M ロードスター 3.2リッター直6(321ps)左ハンドル・5MT、730万円

Mクーペ/Mロードスターが、M3と同じ「M」社製の直6(S50型)を積む「高性能」モデルなのに対し、Z3クーペ2.8/Z3ロードスター2.8は、標準的な直6(M52型)にオートマチックを組み合わせた「高級」モデル、という位置付けだ。中でもZ3クーペは、そのユニークなクーペスタイルが特徴となる。

前期型の2.8、後期型3.0iがある

こちらはMクーペ。全体のシルエットや前後フェンダーの張り出し方はZ3クーペと大差ない

2000年8月のマイナーチェンジに伴い、Z3クーペはパワートレインを新開発3リッター(M54型、231ps)+5ATに変更。名称も「Z3クーペ 3.0i」となった。その後、Z3シリーズは2001年モデルを最後に生産を終了。実質的な後継モデルとなるZ4シリーズが跡を継いでいる。(2007.03)

 

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アンバラスの美学

ロングノーズとオーバーフェンダー。異様だが、男らしさに溢れたスタイル

その名の通りZ3ロードスターをクーペに改変したものだが、あえてファストバック(リアウインドウの傾斜がなだらかなタイプ)とせず、「2ドアスポーツワゴン」的な奇妙なスタイルとしたのが、Z3クーペの面白いところ。横から見ると靴みたい・・・だが、それはもちろん計算ずく。言わばアンバラスの美学だ。

 

余談ですが・・・2ドアスポーツワゴンの話

Z3クーペのナンバープレートはバンパー配置。Mクーペ(マフラー4本出し)ではトランクリッドに固定される

英国には昔から2ドアスポーツワゴンとでも呼ぶべきジャンルのクルマがある。比較的ポピュラーなところで、MGB GT(1965年)、2代目ロータス・エリート(1974年)、あるいは横開きリアゲートのジャガーEタイプ(1961年)などがそうだ。また、アストンマーチンなどの高級スポーツカーをベースに、コーチビルダー(オーダーメイドによるボディビルダー)が製作したハンティング用(をイメージした)スポーツワゴンは別名「シューティング・ブレーク」と呼ばれる。Z3クーペのデザインは、明らかにそうしたジャンルを意識したものだ。

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「M」ほど派手ではないが、普通のZ3より高級

Mのような派手な演出(クロームメッキの縁取り付き3連メーター、ボディ同色の内装カラー等)はないが、十分にスペシャル感のあるインテリア

基本的にZ3と共通のインパネだが、シートは革製バケットシートとなり、センターにはウォールナット・ウッドパネルが張られる。Z3シリーズ共通の特徴として、コックピットはスポーツカーの中でもかなりタイト感の強い部類だ。ユーノス/マツダ・ロードスター以上と言ってもいい。ただしシートの出来が良いので、居住性の点で同乗者から不満が出ることはないはずだ。全車サイドエアバッグを標準装備。サンルーフはオプションで、サンプルカーは未装備だ。

 
シート背後には強固なブレースバーとバルクヘッド状の隔壁があるため、背もたれはあまり寝かせられない。しかしシートの形状が良いため、座り心地は良い
速度計はMの280km/hに対して250km/h(いずれも250km/hでリミッター作動)、回転計はMの8000回転スケール(レッドは7400回転から)に対して7000回転スケール(同6500回転)
サンプルカーは4ATの前期型。セレクターはD-3-2-1と直線上に並んだもので、横にモード切換スイッチが付く。センターコンソール右側にあるのがASCオフスイッチ。後期型の5ATはマニュアルモード付だ
 

キャンプにも行ける?2シータースポーツ

最大容量の395Lという数値は、ルーフ一杯まで使った時の容量だろう(オプションでパーティションネットも用意された)。このクラスで、ラージサイズのスーツケースが入る2シータースポーツは貴重

荷室容量は205~395L。プレス資料は「フルサイズのゴルフバッグが2セット容易に積める」と謳っている。決して広いとは言えないが、ホイールを外せばスポーツ自転車も余裕で1台積める。リアゲートを開けるのに、室内のオープナーやキーレスのリモコン操作が必要なタイプもあるが、Z3クーペのリアゲートにはボタン式オープナーがあり、これを押せばOKだ。

 

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大トルクと4ATによる滑らかな走り

ダブルVANOS付きのオールアルミ製2.8リッター直6は、実用トルクを低回転から即座に発揮する

サンプルカーである99年式の「2.8」は、2793ccの直列6気筒エンジン(193ps、28.5kg-m)を搭載する。3.2リッター(321ps、35.7kgm)のMクーペに比べると、出力はおおよそ100ps以上低いが、トルク自体は十分。大きめのトルコンスリップもあって、力強く滑らかな加速となる。トルクフルな低回転主体で走るので、気になる変速ショックはほとんどない。乗り心地もよく、静粛性もまずまずと、デートカーとして十分な快適性を備える。もちろんアクセルを深く踏み込めば素早く滑らかにキックダウンし、十分な瞬発力を見せてくれる。中間加速はなかなか迫力がある。

 

FRらしい操縦性、当時として高いボディ剛性

「Mクーペか」と一瞬思わせるグラマラスな後姿。実際の路上で威力を発揮する中間加速はなかなかのもの

ASC(トラクションコントロール等)のスイッチをオフにし、出来ればATモードを「スポーツ」に切り換えて、という手続きは必要だが、そうすれば2速からアクセルを踏み込むだけで穏やかにパワースライドが始まり、コントロール性も悪くない。どうしても「M」と比べられがちなZ3クーペだが、同世代の「普通のBMW」と比べれば面白いのはやはりこっちだ。

Z3シリーズのシャシー設計は80年代のE30型3シリーズベースに近く、前ストラット/後セミトレーリングアームの足回りも、3シリーズコンパクトから受け継いだもの。決して新しい世代のものではない。しかしロードスターの時でも重厚感のあったシャシーは、クーペ化によって200%(2倍という意味だろう)も剛性アップしてるらしく、実際その剛性感は先回乗ったE36-M3と同等以上と言える。飛ばして云々、というクルマでは決してないが、気兼ねなく乗り回すなら、むしろこれくらい「すかして」いた方がいい。

 

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車名:BMW Z3 Coupe 2.8(1999年モデル)
型式:GF-CK28
寸法:全長4035mm x 全幅1740mm x 全高1305mm
ホイールベース:2445mm
車重:1340kg
駆動方式:FR(後輪駆動)
エンジン:2.8リッター直列6気筒DOHC・4バルブ
最高出力:193ps/5500rpm
最大トルク:28.5kg/3500rpm





トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/51L
10・15モード燃費:- km/L
タイヤ:245/40ZR17 ※標準:225/50R16
発売時期:1998年10月(Z3クーペ 2.8)
当時の新車価格:490万円(消費税別)

 

試乗車スペック

初年度登録:1999年
販売価格:198万0300円(消費税込み) ※保証なし 整備渡し
走行距離:40,000km
ボディカラー:シルバー
試乗日:2007年3月

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エンジン、シャシーの耐久性は基本的に心配不要

エンジンの耐久性はお墨付き。このエンジンは構造が割とまだシンプルだった頃のもの

BMWの直6は信頼性・耐久性ともに極めて高く、よほどメンテナンスがぞんざいでもない限り、極端に言えば走行距離は気にしなくていい。電気系のトラブルもライトの玉切れが目立つ程度だ(一度換えれば当分大丈夫)。振動の小さい6気筒の縦置きエンジンということで、マウントの劣化等も前輪駆動車に比べてはるかに小さい、もしくは気になりにくいと言える。M3やMクーペなどと異なり足回りもソフトなので、ボディに対する「攻撃性」も低い。上に書いたように元々のボディ剛性も同時代のクルマとしては高く、多走行によるボディのへたりに神経質になる必要も全くない。あえてチェックポイントを挙げれば、4速(前期)/5速(後期)ATのコンディションだ。多少のスリップ感は正常。一方で変速ショックが不快なほど大きければATFの交換などを考えてもいいが、これもあまり気にしない方がいい。


 

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後期型の5ATがお勧めであるが・・・

MクーペかZ3クーペかを悩む人はいそうでいないはず。剃刀のような切れ味を求めれば迷うことなくMクーペだし、オートマチックならZ3クーペしかない。むしろZ3クーペで迷うのは、1998~99年の2.8(4AT)の前期型か、2000年~の3.0i(5AT)の後期型かだ。ボディカラーや車両コンディションを除けば、この点に尽きるだろう。もちろん年式が新しく、エンジン設計が新しく、パワーは2割増し、ATも1速多い(しかもマニュアルモード付きの)後者の方が良さそうだが、相場もやっぱり高めになる。

ここでは乗り比べれば後期型がいいのは明白、と認めた上で、あえてクルマ自体の魅力に明確な差はないとしたい。例えば2.8でボディカラー、コンディション、価格が希望に合えば、それはそれで良いと思う。

今どき200万円でこんな面白いクルマがあるか?

サンプルカーはオプションの17インチ仕様

なにしろ今回のサンプルカーは1999年式で何と198万円。8年落ちで保証無しの整備渡しとはいえ、このルックス、この得体の知れなさ、このパフォーマンスにして、この値段はかなりの掘り出し物。例えば今どき200万円の新車で、こんなにいろんな意味で「面白い」クルマが買えるだろうか? 最新モデルと比べても旧さを感じさせないデザイン、コンパクトなサイズ、ハッチバックによる実用性の高さ、FRならではの上質な操縦性。そういうものをひそかに享受しつつ、無造作に普段乗りすると、実にカッコいいクルマだと思う。E36/E46世代の「普通のBMW」、もしくはアウディTTの6ATモデルなどを検討している人に、一種の変化球としてお勧めしたいクルマだ。(2007.03)


文・写真:DAYS・Niwa


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