第3回:おしゃれで走りも熱い!フレンチハッチの決定版、プジョー206のUカーの実力はいかに?
初代モデルは76年前に登場!?
プジョー車のネーミングは3桁の数字が基本。百の位がセグメントを示し、一の位が世代を示している(1007や309など例外はある)。後に「Bセグメント」と呼ばれるコンパクトクラスは200番台の車名を持ち、その歴史は201(1929年~)から、202(1938年~)、203(1948年~)、204(1965年~)、205(1983年~)と続く。そして第6世代にあたるのが206だ。メカニズム的に206と直接的なつながりを持つのは1965年にデビューした204。プジョーで初めてフロントにエンジンを横置きした前輪駆動を採用、イタリアのカロッツェリア(デザイン工房)「ピニンファリーナ」による愛らしいスタイリングが人気を呼び、プジョー躍進のきっかけとなった。
206はプジョー会心の大ヒット作
206は1998年のパリサロンで初登場し、日本では翌年5月から販売が開始された。発売と同時に、キュートで斬新なスタイルと小気味よい走りで一躍人気モデルに成長。特に女性からの支持を集めたこともヒットの要因となった。年ごとに追加モデルや特別仕様車が登場し、販売開始から7年が経とうという現在でも人気は衰えを見せない。2005年6月には、ついに生産台数500万台を突破。205を越えるプジョー史上最大のヒット作となるのは間違いない。
多彩なモデル展開
ひとつの車種に多様なバリエーションを展開する戦略が数十年来のプジョーの伝統。206もこの類に漏れず、多彩なラインナップを形成している。
1999年5月に1.4/1.6リッターのエンジンと3/5ドアハッチバックの3グレード構成でデリバリーを開始。翌月にはスポーティモデルのS16を、2001年には折り畳み式ハードトップを持つオープンモデル「CC」(クーペ・カブリオレ)をリリースした。
2003年にはリアのオーバーハングを195mm延長したステーションワゴン「SW」が登場。同年にはXTに代わるベーシックモデル「スタイル」、206史上最強の177psのパワーを絞り出す本格スポーツモデル「RC」、高級感を演出した「ローランギャロス」といった追加モデルを矢継ぎ早に投入。2005年にはパノラミックガラスルーフを備える「シエロ」をラインナップに加えるなど、プジョーは206に新たな魅力を与え続けている。

扱いやすいサイズ、シンプルなデザイン
今回のサンプルカーは2台。2000年式のXT(チェリーレッド)と2002年式のXTプレミアム(チャイナブルー)。XTが1.4リッター、XTプレミアムは1.6リッターのエンジンを搭載している。トランスミッションはいずれもAL4と呼ばれる学習機能付4段ATだ。両車とも5ドアハッチバックで、走行距離もそれぞれ1.6万kmと1.7万kmと、ほぼ同等。年式とエンジンの違いによって印象がどう変わるかが比較のポイントとなりそうだ。
時代が206に追いついた
外寸は3835 x 1670 x 1440mm。最近の欧州車はBセグメントでも大型化する傾向にあるが、206のサイズは十分にコンパクトと呼べる。ピニンファリーナの手から離れたデザインは、社内のデザインチームによるもの。205のエッジを随所に使ったスタイルとは異なり、曲線をふんだんに用いたフォルムだ。サイドから見たとき、緩やかに弧を描きながら前傾するフォルムが、運動神経の良さを予感させる。
登場時に話題となったつり目ヘッドランプは、7年経った今ではすっかり見慣れたものになった。当時、異例に長いと言われた2440mmのホイールベースも同様だ。スタイルにおいてもパッケージング面についても、時代が206に追いついたという感じだ。
インテリアはシンプル
着座位置はやや高めでサイドウインドウのベルトラインも低く、見晴らしは良い。コンパクトなボディと合わせて、これなら免許を取って間もない女性でも取り回しに苦労しないはず。シートは形状・クッションともに良く吟味されていて、身体にフィットするので長時間のドライブも苦にならない。コンパクトカーでもシートには決して手を抜かないのが欧州車の良いところだ。
見慣れたとはいえ、依然としてかなり個性的と言えるエクステリアデザインに比べると、インテリアはシンプル。起毛素材を用いたドアやグローブボックスの肌触りが心地よい。プジョー車おなじみの4連メーターは視認性良好。
ベーシックグレードでも装備は十分
装備は充実している。ベーシックグレードのXTでもエアコン(マニュアル)、パワーウインドウ(前席)、キーレスエントリー、ステレオなどは標準だ。XTプレミアムになると後席の窓がパワーウインドウになり、オートエアコン装備になるなど快適性は増すが、実用上はXTの装備で十分。
後席の広さはサイズ相応といったところ。決して広くはないが、前席のシートをやや小ぶりにしたり、シート背部をえぐったり、後部座席の着座姿勢をアップライトにするなどして開放感を演出している。こういった細かな工夫は、206以前の欧州車ではあまり見られなかったことだ。
ABSや運転席/助手席エアバッグは全車に標準装備される(XTプレミアムはサイドエアバッグも標準)。また後部座席のヘッドレストは3席とも同じ物が装着され、サイズも大型。シートベルトも中央の席を含め全て3点式で、安心感は高い。
後席はダブルフォールディングで折りたたみ可能。ヘッドレストを外す面倒はあるが、全て倒すと全長3.8mのクルマとは思えないスペースができあがる。取り付け位置を工夫して張り出しを最小限に抑えたリアサスペンションによって、平らで広い荷室が実現、使い勝手は良好だ
プジョー=猫足って本当?
まずは1.4リッターを搭載するXTを試乗。74psの最高出力からは想像できないほど活発なダッシュを見せてくれる。1tちょっとの軽いボディも軽快感を引き立てている。エンジン音は静かとは言えないものの、決してうるさくはない。
普通に運転する分だと206のハンドリングはドイツ車のような安定志向だ。だがちょっとしたワインディングに足を踏み入れると、その猫足たるゆえんが実感できる。ステアリングを切り込むと、穏やかにロールしながらフロントサスが沈み込み、そして安定した姿勢を保ちながら意外な速さでコーナーを抜けていくのだ。ダンパーを自社開発するプジョーならではの絶妙なセッティングといえる。
パワーは1.4リッターでも十分
次に1.6リッターエンジンを積むXTプレミアムに試乗した。登場時1.6リッターエンジンはSOHCだったが、2001年2月以降のモデルからDOHCに切り換えられ、88psから108psへとパワーアップしている。試乗車は2002年式なので、DOHCエンジンを搭載したモデルだ。先ほど乗ったXTに比べると、34ps/3.9kg-mもパワーアップしている。
ところが、1.6リッターDOHCに乗ると、意外にも1.4リッターSOHCの侮れない実力を再発見した。1.6は特に中高回転で1.4を上回る実力を発揮するが、街乗りでは1.4も何ら遜色ない走りを見せる。高速走行や長距離ドライブが多いのであれば、パワーに余裕のある1.6を、街乗りメインであれば1.4をお勧めする。あとは予算次第。どちらのモデルもキビキビした走りと軽快なハンドリングが十分に堪能できることがわかった。
ただ、ATには独特のクセがあることは覚えておいてもらいたい。シフトアップは回転をかなり引っぱってから行い、アクセルを緩めたときはシフトダウンを行ってエンジンブレーキを積極的に使うという、フランス車に良く見られるタイプ。つまりヨーロッパでは大部分を占めるMTを意識した制御になっている。もっとも5分も運転すればすぐに慣れるレベルなので心配する必要はまったくない。
'00 206 XT 5ドア & '02 206 XT Premium 5ドア
| 車名 | 206 XT 5ドア | 206 XT Premium 5ドア |
|---|---|---|
| 形式 | GF-T14 | GT-T16 |
| 寸法 | 全長3835mm x 全幅1670mm x 全高1440mm | ← |
| ホイールベース | 2440mm | ← |
| 車重 | 1050kg | 1100kg |
| 駆動方式 | FF | ← |
| エンジン | 1.4リッター直列4気筒SOHC | 1.6リッター直列4気筒DOHC |
| 最高出力 | 74ps/5500rpm | 108ps/5800rpm |
| 最大トルク | 11.1kgm/2600rpm | 15.0kgm/4000rpm |
| トランスミッション | 電子制御4AT(AL4) | 電子制御4AT(AL4) |
| 使用燃料/容量 | プレミアムガソリン/50L | ← |
| 10・15モード燃費 | 12.0km/L | 11.0km/L |
| タイヤ | Front:175/65R14 Rear:175/65R14 | Front:195/55R16 Rear:195/55R16 |
| 最小回転半径 | 4.9m | ← |
| 発売時期 | 1999年 6月 | 2001年 2月 |
| 当時の新車価格 | 179万円(消費税抜き) | 199.5万円(消費税抜き) |
試乗車スペック
| 販売価格 | 113.4万円消費税込み) | 151.2万円(消費税込み) |
|---|---|---|
| 走行距離 | 16000km | 17000km |
| ボディカラー | チェリーレッド | チャイナブルー |
| 試乗日 | 2005年8月 | ← |
消耗品の交換履歴は要確認
日本での発売から6年が経つ206だが、ブレーキ系統などのリコールがいくつか報告されている。オートプラネットで販売されているクルマであれば、間違いなく対策済みのはずなのでまず心配はないだろう。また目立ったトラブル報告はなくても、年式相応のヘタリやヤレは出てくるので、オイルやパワステフルードなどの消耗品の交換履歴はきちっと確認しておきたい。また初期モデルはエアコンの調子がそろそろ気になる時期。こちらも要チェック。
初期モデルは100万円から
206はバリエーションが豊富なので、モデル選びには気を遣う。インプレッションの項目でも述べたが、206の活発な走りはどのグレードでもおおむね共通。グレードによる外観の違いも小さいので、ベーシックグレードでも十分満足できるはずだ。相場を見ると初期モデルのXTが100~120万円と、Uカーとしてはおいしい価格帯に入りつつある。おしゃれなフレンチコンパクトが、この価格帯で手に入れられる。これぞUカーの醍醐味だろう。
筆者の個人的な好みで言えば、フォグランプの付かないXTのスリークなフロントマスクがいい。無塗装の樹脂バンパーもいかにも欧州車らしく、「素」の魅力に溢れている。これをできればMTで走らせてみたいところだ。幸い206はMTのタマ数が豊富。特に1.6リッターモデルは発売後2年近くMTだけの設定だった。そのかわりに2002年以降モデルになるとMTはかなり少ないので、Uカーの価格もやや高めになる。MTを狙うのであれば2001年までのモデルが良いだろう。
Uカーリクエストを活用しよう
ハッチバック以外のモデル、SWやCCはまだ出て間もないこともあり、Uカー市場でのタマ数は多くない。だが、オートプラネットではかなりの物件をそろえている。名古屋のプジョー正規ディーラー「ブルーライオン名古屋」のネットワークを持つホワイトハウスグループならではの強みだ。万が一、オートプラネットに希望のクルマがなくてもwebや電話で「Uカーリクエスト」を受け付けているので、希望のクルマがあれば問い合わせてみよう。
文・写真:DAYS・Kitajima



