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メルセデス・ベンツ A160L エレガンス

掲載日 : 2007年04月26日

第11回:若者よ、Aクラスで大志を抱け!

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Aクラスはメルセデス初のコンパクトカーというだけでなく、燃料電池時代を見据えたサンドイッチ・コンセプトを採用するなど、近年まれに見る冒険的なクルマだ。

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すべてが革新的だった

2001年11月のA160アバンギャルド・リミテッド(写真:ダイムラー・クライスラー日本)

メルセデス・ベンツ初のコンパクトカーとして1997年に欧州で登場。全長わずか3.6メートル、二重フロアのサンドイッチ・コンセプト、同社としては画期的な前輪駆動、200万円台の価格など、そのすべてが話題となった。デビュー直後はエルクテスト(鹿を避ける緊急回避テスト)で転倒するという一件でも有名になったが、すかさず全車にESP(横滑り防止装置)を備えるなど対策は素早かった。こうして初代Aクラス(W168型)は欧州を中心に110万台を販売した。

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1.9リッターやロングモデルを追加

数々の特別仕様車が存在するAクラス。こちらは2002-03年に限定発売されたA210Lエボリューション(写真:ダイムラー・クライスラー日本)

日本に正規輸入が始まった98年は1.6リッター直4のA160のみ。4エアバッグとESPを標準装備して価格は265万円(消費税抜き)だった。4枚の薄型パネルで構成される大型サンルーフ(ラメラルーフ)はオプションで15万円だった。

翌99年にはA190アバンギャルドを追加。2001年8月に内外装をマイナーチェンジすると同時に、225万円のエントリーモデル「A160」、豪華な「A160エレガンス」(250万円)、ロングホイールベース版の「A160Lエレガンス」(265万円)、そして「A190アバンギャルド」(295万円)の4グレードに再編された。

数々の特別仕様車が登場

Aクラスベースの燃料電池車「F-Cell」は、日本、ドイツ、アメリカ、シンガポールで計60台が実用実験に供された。写真は2004年にアメリカの宅配便会社「UPS」に納入されたF-Cell(写真:ダイムラー・クライスラー日本)

他に、年に1回ほどのペースで限定車を発売。ほとんどは内外装の特別仕様車だが、2002年5月にまず100台、さらに翌2003年5月に200台限定で発売された2.1リッターエンジン(140ps)搭載の「A210L エボリューション」は後席が完全独立式となり、乗車定員は4人となる。

番外編としては1998年当時マクラーレン・メルセデスのF1ドライバーだったミカ・ハッキネンとデイビッド・クルサードに社用車としてプレゼントされた「A190 Twin」がある。1.9リッターエンジン(125ps)を前後に積んで計250ps、最高速230km/hのモンスターAクラスだが、市販はされていない。また、世界中でAクラスベースの燃料電池車「F-Cell(エフ・セル)」の実用テストも行われた。日本でも首都圏を中心に2002年から3年間にわたって公道試験が行われた 。

また、別モデルではあるが、2001年(日本では2003年10月)に、Aクラスをベースに両側スライドドアのトールワゴンとしたバネオも登場。Aクラス自体は2004年(日本では2005年2月)にフルモデルチェンジして、2代目(W169型)に移行した。

 

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コンパクトでも二重フロアが乗員を守る

革新的なパッケージングとスタイル。「最善か無か」というキャッチフレーズはAクラスでも生きている

通常のAクラスは全長3615mm×全幅1720mm×全高1600mmほど。幅は3ナンバーサイズだが、長さは国産コンパクトカーより小さいほど。今回のサンプルカーのようなL(ロング)モデルはホイールベースが2595mm(+170mm)となり、全長も170mm伸びて3785mmとなるが依然コンパクトだ。

 
サンプルカーのロングモデルでも全長は3785mmで、トヨタヴィッツとほぼ同じ

しかし、Aクラスは単なるコンパクトカーではない。その二重フロアは、前面衝突時にエンジンを床下に潜り込ませ、衝撃を吸収してキャビンを守る。側面衝突や追突時にも有効だ。2代目Aクラスでこの二重フロアが控えめになった現在、いかにもAクラスらしいオリジナリティにあふれて見える。

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ロングモデルならリムジン並みの広さ

発売当初は質感の低さが指摘されたが、その後は材質・デザイン共に大きく改良されている

乗車感覚は、二重フロアのおかげで独特だ。着座位置そのものは今時のミニ・ミニバン並みの高さだが、床だけがさらに高い。乗る時は足を意識して上げねばならず、最初はちょっと面食らう。スポーツカー的に足を前に伸ばすポジションも独特だが、個人的には慣れてしまう範囲。後席も同様なので、子供など家族と一緒にチェックしてみた方がいいだろう。

 
二重フロアのおかげで乗降性は良くないが、これこそがSクラス並みの安全性を求めたAクラスのアイデンティティ

ロングモデルの後席は、110mmのスライド位置を後端にすれば足を組めるほど広い。リムジン並みと言ってもいいが、シートの座面高が低いので、疲労の少ないちゃんとした姿勢はとりにくい。乗り心地も含めて、後席の快適性はこのクラスの平均といったところ。

シートの数まで自由にアレンジ

運転席以外のシートを外して「バン」にするのも可能だが‥‥、写真のように6:4分割の「4」の方なら割と簡単に取り外せる

リアシートは助手席も含めて脱着可能。使い勝手に応じて車内スペースを自在にアレンジ可能で、ショートモデルでも350Lから最大1700Lの容量を誇る。ただし後席、特に6対4分割の「6」の方は重く、一人で外すのは大変。女性一人では無理だろう。しかし、ほとんどの荷物は、後席を畳むだけで対処できるはずだ。

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二重フロアの存在感が強い独特の乗り味

そうとう極端な場合を除いて、ドライバーがコントロールを失うことなどありそうにないAクラス

今回のサンプルカーは、Aクラス導入から3年後の2001年に発売されたA160L(2002年式)。エンジンは1.6リッター(102ps、15.3kg-m)で、変速機は日本仕様に共通する5速ATだ。今の水準からすると大きめのアイドリング振動だが、同時代・同クラスのその他ドイツ車と大きな差はない。

動き出しはゆっくりだが、5速ATが小刻みに回転をつないでくれるので実用上の性能は十分。Dレンジのセレクトレバーを左右に動かしてマニュアルシフトできる「ティップシフト」は、慣れると上下に動かすタイプより使いやすい。エンジン音などの騒音はサンドイッチ構造にさえぎられて耳まで直接届かず、乗り心地も初期モデルに比べてかなり良くなっている。分厚い二重フロアの存在を感じさせる乗り味は、Aクラス独特だ。

徹底的に安定志向

操縦性は徹底的に安定志向に振られている。ステアリングのギア比もかなりスロー。以前にAクラスやバネオで試した経験から言えば、コーナリングでは標準装備のESPが出力制御やブレーキ制御で車速をしっかり落とす設定で、そもそもESPが介入するような走りをする気にさせない。上級車種に比べてアンダーパワーであることも理由の一つだ。

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車名:Mercedes-Benz A160L Elegance
型式:GH-168133
寸法:全長3785mm x 全幅1720mm x 全高1590mm
ホイールベース:2595mm
車重:1160kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直列4気筒SOHC
最高出力:102ps/5250rpm
最大トルク:15.3kg-m/4000rpm



トランスミッション:5AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/54L
10・15モード燃費:12.2km/L
タイヤ:195/50R15
発売時期:2001年8月(A160L エレガンス)
当時の新車価格:265万円(消費税抜き)


 

試乗車スペック

初年度登録:2002年
販売価格:165.9万円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間 距離無制限)
走行距離:13000km
ボディカラー:ポーラーシルバー
試乗日:2005年12月


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お勧めはマイナーチェンジ後

初期モデルのATで評価を下げたが、エンジンその他のトラブルは少ない。特に改良後の完成度は高い

初期モデルでは5速ATのトラブルが知られる。修理としてはバルブボディ(制御ユニット)の交換が主となる。オートプラネットでは、消耗品はもちろん、駆動系からスイッチ類まで117カ所にわたる納車整備を行い、さらに1年間・走行距離無制限の保証を付けている。Aクラスに限らないが、アフター体制がしっかりしているショップでの購入をお勧めしたい。

AT不良に次いでバック時のブレーキ鳴きも多いようだ。個人的には今回のサンプルカーや他の試乗車でも経験したことはないが、いったん症状が出てしまうと音を消すのは難しいようだ。いずれにしてもAクラスを購入するなら、内外装の質感が改良された点も含めて2001年以降のモデルがいい。新車登録から3年以内なら新車保証のメルセデスケアも有効だ。

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若い人には万能のコンパクト

取材時のAクラス在庫車は計5台。これだけあると希望のクルマが見つけやすい。エンジンやグレードによって乗り味に大差はないので、あまり気にしなくてよい

このクラスの輸入コンパクトの中で、Aクラスは抜群にユニークな存在だ。メルセデス・ベンツにして、このポップなデザイン。パッケージングも極めて革新的だ。これほどユニークなクルマは、この先しばらくは現れないだろう。何はともあれメルセデスだが、コンパクトなボディ、友人や遊び道具を満載できる室内、血気盛んな年頃でも比較的セーフに走れる安定志向の操縦性、そして万が一の際も大型車並みの安全性を発揮するボディ‥‥。これだけを兼ね備えたクルマはそうはない。「別にベンツじゃなくてもいい」。そんな自由な心もちの若い人に、特にお勧めしたい。

文・写真:DAYS・K.Niwa

 


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