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Uカー試乗記

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第9回:装備、走り、信頼性、そしてブランドが高次元でバランスされたミドルサルーンの世界基準 メルセデス・ベンツ Eクラス

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メルセデス・ベンツの旧型Eクラス(W210)に試乗。スタイルとメカニズムの両面でさまざまな新機軸を取り入れたミディアムセダンの実力を探る。

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50年の伝統を持つメルセデスの実用セダン

「20世紀を代表する傑作車」との呼び声も高いW124初代Eクラス

Eクラスは、1985年に登場したW124(旧々モデル)に端を発するミドルクラスのセダン/ステーションワゴン。メルセデスには1950年代の180から連綿と続く実用セダンの長い歴史があり、Eクラスはこの流れを引き継いだ伝統あるモデルといえる。

端正な3ボックスのエクステリア、重厚な乗り味、時代を先取りした安全性の追求、徹底的に吟味されたインテリアの質感など、初代Eクラスはメルセデスの(良い意味での)オーバークオリティを象徴したモデルとなった。

大胆な変貌を遂げたW210 Eクラス

現行型のW211 Eクラス

W124は約10年生産され、1995年には新型に切り替わる。それが今回取り上げるW210だ。デビュー当初は賛否を呼んだ4灯丸目ヘッドライト、ボディサイズ拡大により高められた居住性、直4からV8までのワイドなエンジンラインナップ、モデル途中でのエンジン変更など、さまざまな新機軸を貪欲に取り入れている。モデル全体の細かな仕様は次の項目に譲るが、W210は7年間で140万台以上を売り上げる大ヒット作となり、その方向性が決して間違いではなかったことが証明された。W210は2002年に現行モデルのW211にバトンタッチする。

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1999年のフェイスリフトで前期/後期に分かれる

W210では7年に及ぶモデルライフの中で毎年改良が加えられたが、なかでも大きな改良が1997年のエンジン変更と、99年に行われたフェイスリフト。一般には99年のフェイスリフトを境に前期/後期に分けられる。直6エンジン(97年まで)や直線基調のバンパーデザインなどW124時代の味を残す前期モデル、よりスポーティでモダーンに洗練された後期モデル、ということができる。

中核モデルゆえにラインナップは豊富

95年のデビュー時は直4のE230、直6を搭載するE320、およびその豪華仕様E320アバンギャルドという3モデルでスタート。徐々にラインナップが拡充されていった。翌96年にはトップグレードのE400(後にE430)、97年には直4・直6エンジンはカタログから落ちて新開発のV6エンジンに切り替わる。これと同時に4WDモデルのE320 4マチックを追加。モデル末期の2001年にはアバンギャルド仕様をベースにAMGエアロパーツやアルミなどスポーティな装備を追加した「スポーツライン」がラインナップに加わった。なお余談だが、ドイツ本国ではディーゼルエンジン搭載車が全体の販売比率の40%余りを占めている。

 

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ライバルと比べても際だつホイールベースの長さ

サンプルカーのE320 アバンギャルドの外形寸法は全長x全幅x全高=4820 x 1800 x 1415mmで、ライバルのBMW5シリーズ(E39:4775x1800x1435mm)やアウディA6(4AA:4795x1785x1435mm)などとほぼ同じサイズだ。ホイールベースは3車の中でもいちばん長い2835mmと、居住性重視のパッケージングが見て取れる。

現行モデルにも引き継がれた丸目4灯ヘッドライト

デザインにおけるW210・Eクラスの特徴は、やはり丸目4灯の迫力あるフロントマスク。全体を見ると、W124以来の端正な3ボックススタイルを踏襲しているが、エッジはそぎ落とされて丸みを帯びたフォルムだ。W124から大きくかけ離れたデザインに、デビュー当初は賛否両論があったデザインだが、今ではEクラスの顔として馴染んだ感がある。

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アバンギャルドならデザイン・質感ともに申し分なし

アバンギャルドではインパネやシフトノブの素材がバーズアイ・メープル・ウッドパネルになり、よりラクシャリーな雰囲気を演出する

何かにつけてW124と比較され「コストダウンが図られた」「質感が低下した」というネガティブな評価も受けるW210のインテリアだが、作りは決して悪くはない。なお99年のマイナーチェンジでインテリアの質感がさらに高められた。サンプルカーは上級モデルのE320アバンギャルド(01年式)ということで、デザイン・素材・立て付けともに申し分なしのクオリティだ。なおアバンギャルドには、専用サスペンション、アルミホイール、キセノンヘッドランプ、バーズアイ・メープル・ウッドパネル、ガラス・スライディングルーフなどが追加装備される。

ロングホイールベースの恩恵で居住性は良好

身長180cmクラスの人が4人乗っても狭苦しさは全くない

ドイツ本国ではタクシーとしてもよく使われているEクラスだけに、2835mmのロングホイールベースの恩恵で室内空間は余裕たっぷり。全高は1415mmとやや低めなので、頭上空間の余裕はそれほどないが、ルーフはCピラー直前まで真っ直ぐ伸びているため圧迫感はない。トランクルームはクラス最大級の480リットルのスペースを確保。深さ、奥行きともに十分以上。開口部は低く、リッドも荷物に干渉しないように工夫されている。

 
スクエアな床、バンパーレベルから開くトランクゲート、奥行き・天地十分で使い勝手に優れたトランクルーム

安全性はメルセデスがもっとも力を入れている部分。後部座席の中央席ヘッドレスト、横滑りを防止するESP、サイドエアバッグなどは後期モデル全車に標準装備されている。

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軽快で運転しやすい身近なメルセデス

大柄なボディに似合わずとても小回りがきくW210。狭い駐車場や街中で取り回しに苦労することはないだろう

メルセデス、それもEクラスというと重厚な乗り味をついつい想像してしまうが、W210のドライブフィールは思いのほか軽快で、身体にすっと馴染むようなフレンドリーさがある。一言でいえば、全てのおいてバランスがとれているのだ。

ステアリングは軽いが路面のインフォメーションをしっかり伝えてくれるし、アクセルやブレーキのタッチも軽めにしつけられているが、同時に剛性感も備えている点がメルセデスらしい。おまけに最小回転半径は5.2mと小回りも利くため、路地に迷い込んでも4.8mのボディをもてあますことがない。

力強いV6エンジン、強固なボディ

心地よいエンジン音を響かせながら加速。V6エンジンはレスポンスに優れ、右足の動きにリニアに反応する

3.2リッターV6エンジンは、SOHC3バルブというシンプルなメカニズムながら街乗りから高速まで力不足を感じる場面はなく、アクセルを踏み込めばV6らしい有機的なサウンドを響かせながら加速する。前期型の直列6気筒エンジンよりも単体で50kgも軽いため、ハンドリング面でも軽快感の向上に一役買っているし、経済性・信頼性が高いこともこのエンジンのメリットだ。

さらに印象的だったのは、走行4万キロ余りを経た個体ながら、ボディ剛性はいささかも低下していなかったこと。段差を踏んでもミシリともいわないボディと、ショックをしなやかに受け止めるサスペンションとダンパーの性能の高さに、メルセデス・クオリティを実感した。

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車名: Mercedes-Benz E320 AVANTGARDE
型式: GF-210065
寸法: 全長4820mm x 全幅1800mm x 全高1415mm
ホイールベース: 2835mm
車重: 1590kg
駆動方式: FR
エンジン: 3.2リッターV型6気筒SOHC
最高出力: 224ps/5600rpm
最大トルク: 32.1kg-m/3000rpm
トランスミッション: 5AT
使用燃料/容量: プレミアムガソリン/80L
10・15モード燃費: 9.0km/L
タイヤ: 215/55R16
発売時期: 2001年1月
当時の新車価格: 700万円(消費税抜き)

試乗車スペック


初年度登録: 2001年
販売価格: 375万9000円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間 距離無制限)
走行距離: 43000km
ボディカラー: ファインホワイト
試乗日: 2005年11月


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前期モデルは経年劣化によるトラブルに注意

メルセデスらしくすっきりと整理されたエンジンルーム。V6エンジンの信頼性は高い

EクラスのUカーは丁寧に乗られてきたものが多い。メンテナンスも行き届いており、トラブルの報告例も少ない。それでもあえてトラブル例を挙げるならば、パワーウインドウのレギュレーターや、エアフローセンサーの故障くらい。また、前期モデルの場合は経年劣化によるトラブルもそろそろ出てくる頃だろう。エアコンの作動確認や、消耗品や定期交換部品のチェックは怠らずに。

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メルセデスのステータスが魅力的な価格で手に入れられる

オートプラネットに並ぶEクラス。他の車両と比べて変わった点がないかも注意したい

現行Eクラス(W211)の登場から3年半が経ち、旧型であるW210の流通量はピークを迎えつつあるとともに、価格的な魅力も増してきた。今回のサンプルカーにしても、新車時価格700万円(税抜き)のところAPでの車両価格375万円(税込み)と、約半額にまで降りてきた。いまなお新車に近い質感と、「メルセデスのミディアムクラス」というステータスがこの価格で手に入れられるのだから、これこそインポートユーズドカーの醍醐味だ。運転のしやすさ、トラブルの少なさなど、国産車からでも違和感なく乗り換えられる条件が揃っていることもW210の長所だ。

Eクラスに限らず、メルセデスのカタログを読んでいると「シャシーはエンジンよりも速く」という言葉がしばしば出てくる。平たくいえば、どんな状況下でもドライバーが車両の挙動を把握しコントロールできる操縦性や安全性をクルマに持たせるべし、という哲学だ。その哲学はW210にも貫徹されており、たとえユーズドカーでもその恩恵にあずかれるはず。一生のうちにせめて一度は、メルセデスの哲学を身をもって体験してみてはどうだろう。


文・写真:DAYS・Kitajima

 


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