第6回:インポート・エスコートのスタンダード、ボルボV70 をUカーで味わいつくす!
850の後継として登場したミドルクラスワゴン
1997年に登場した初代V70は、従来の850エステート(ステーションワゴン)のビッグマイナーチェンジ版。90年代半ばに始まった新世代ボルボのネーミング手法にならい、車名もV70と変更された。V70の"V"は英語の"Versatility"、すなわちワゴンならではの「多目的性」を意味する。全長4.7m前後のボディにFFシャーシを組み合わせ、良好な居住性と優れた運動性を両立。折からのステーションワゴンブームも手伝って一躍人気モデルに成長した。
今回取り上げる2代目V70は2000年4月より日本に導入された。トップレンジのS80譲りのプラットフォームに、2.3、2.4、2.5リッター直列5気筒のNA(自然吸気)もしくはターボエンジンを搭載する。前輪駆動が基本だが、AWD(全輪駆動)や車高を上げたXC70という派生モデルも生まれた。
搭載エンジンによってグレードが決まる
V70では基本的に、ひとつのグレードにつき、ひとつのエンジンが割り当てられる(高出力エンジン搭載=上位グレード)。以下、出力の低い順に、ベーシックグレードの「V70」が2.4リッターNA(140PS)、「V70 2.4」が2.4リッターNAハイチューン版(170PS)。「V70 2.4T」が2.4リッターターボ(200PS)、「V70 AWD」とマイナーチェンジ後に登場した「V70 2.5T」が2.5リッターライトプレッシャーターボ(209PS)。そしてマイナーチェンジ前の「V70 T-5 SPORT」が2.3リッターハイプレッシャーターボ(250PS)、マイナーチェンジ後の「V70 T-5 SPORT」が2.4リッターハイプレッシャーターボ(260PS)、スポーツモデル「V70 R」がハイプレッシャーターボ(300PS)となる。
また、特別仕様車として導入されたモデルが後になってカタログモデルに昇格するケースがしばしば見られる。さらにボルボはイヤーモデル制を採用しているので、年ごとに細かく仕様やボディカラーが変更されている。
例えば、2000年春のデビュー時のカタログモデルは2.4リッターのライトプレッシャーターボを搭載する「2.4T」のみ。併せて500台の限定車として250PSの2.3リッターハイプレッシャーターボを搭載した「T-5」もリリースされた(その後「T-5 SPORT」として正式ラインナップに追加)。その後、自然吸気エンジン搭載のベースグレード(140PS)、「2.4」(170PS)が登場。2.4Tのメーカーオプションとして「AWDパッケージ」が設定された(こちらも後に「AWD」としてカタログモデルに昇格)。
2004年秋に大がかりな改良を実施
2004年秋のマイナーチェンジでは、合計3500カ所に及ぶ改良を施し、高級感と質感を大幅に向上させた。同年11月には300psを絞り出すハイパワーエンジン搭載のスポーツモデル「R」を700台限定で投入。Rは翌年、正式にラインナップに加わった。

伝統と新機軸を盛り込んだスタイル
今回のサンプルカーは2000年式のボルボV70 2.4。サイズは、全長4710mm x 全幅1815mm x 全高1470mmとBMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスよりも大きく、5シリーズやEクラスに迫る堂々たるサイズだ。しかし前方に行くにしたがって絞り込まれるデザインの効果で、前から見るとそれほど大きくは見えない。またサイドウインドウも、Aピラー付近では寝気味だがB・C・Dピラーと行くにしたがい垂直に立ちあがる。フロントはスポーティ、リアは安定感を意図したスタイルと言えるだろう。
850~旧V70の直線的デザインから現行V70の曲線フォルムへの変化がしばしば指摘されるが、全体のフォルムは240時代から連なるボルボのデザイン・アイデンティティを引き継いでいる。Aピラーからリアエンドまで真っ直ぐ伸ばされたルーフライン、スパッと切り落とされたテールゲートはいかにもボルボのエステートらしいサイドビューと言える。
スウェディッシュ・デザイン息づくインテリア
試乗車のV70 2.4の室内を見ると、インテリアに惚れ込んでボルボを選ぶという人の気持ちが理解できる。ドイツ車やラテン車とはまたひと味異なるデザインセンスに彩られた、北欧家具の薫り漂うクリーンでモダンな室内。高級ソファのように、優しく身体を包み込むシート。機能的で一見してわかりやすいインパネのスイッチ類。決して高級だったり豪華だったりするわけではないが、居心地の良さは抜群だ。
最大1641リッターの荷室容量
荷室の使い勝手は、"Versatility"(多目的性)を標榜するエステートならでは。比較的長いオーバーハングを持つので、1~2泊程度の小旅行なら4人分の荷物を十分飲み込む。7:3の分割可倒式リアシートをダブルフォールディングで収納すれば、1641リッターのラゲッジスペースができあがる。なお、アクセサリー(メーカーオプション)扱いで3列目のエクストラシートが全グレードに設定されている。
徹底した安全対策はボルボならでは
そしてボルボといえば安全性能。アクティブ・セーフティとしてはABSやSTC(スタビリティ&トラクションコントロール)、パッシブ・セーフティにはサイド・エアバッグや頭部側面衝撃吸収エアバッグ、後部衝撃吸収リクライニング機構付フロントシートが標準装備。側面からの衝突に対応した側面衝撃吸収システム、"SIPS(Side Impact Protection System)"なども搭載される。これらの安全装備はグレードに関係なく標準で備わり、ボルボの安全に対する徹底した姿勢が見て取れる。
4気筒と6気筒のいいとこ取りをした5気筒エンジン
「6気筒エンジンの持つスムーズさと4気筒エンジンの持つ軽量・コンパクトさとを両立した」とボルボ自ら謳う、オールアルミ製直列5気筒エンジン。直5横置きという独特のレイアウトは、居住性と前面衝突時の安全性を考慮した結果だ。
実際に乗ってみると6気筒のような静粛性や振動のなさは望めないが、回転フィールはスムーズだ。どことなくのどかなエンジン音を発しながら、1560kgのボディを過不足なく走らせる。
安全のためのボディ補強は走りにも好影響
基本的に乗り心地重視の足回りだが、巡航時にショックを吸収しきれずピッチングを引きずることはない。単にサスペンションをソフトにしただけの柔らかさではなく、ボディ全体で受け止めているという印象だ。安全性向上のために旧型比で60%以上強化されたというボディ剛性は走りにも良い影響を与えている。潜在的にはV70のトップグレード「R」の300psを受け止めるシャシー性能を持っているわけで、少々のスポーティドライビングで音を上げることはない。
車名: VOLVO V70 2.4
型式: GH-SB5244W
寸法: 全長4710mm x 全幅1815mm x 全高1470mm
ホイールベース: 2755mm
車重: 1560kg
駆動方式: FF
エンジン: 2.4リッター直列5気筒DOHC
最高出力: 170ps/5900rpm
最大トルク: 23.5kg-m/4500rpm
トランスミッション: 5AT
使用燃料/容量: プレミアムガソリン/70L
10・15モード燃費: 9.6km/L
タイヤ: 195/65R15
発売時期: 2000年4月
当時の新車価格: 460万円(消費税抜き)
試乗車スペック
初年度登録: 2000年
販売価格: 312万9000円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間 距離無制限)
走行距離: 43000km
ボディカラー: ブラック
試乗日: 2005年9月
走行距離はあくまでも目安、市場を含めた吟味が必要
一般にステーションワゴンは多走行の傾向があるが、耐久性に定評のあるボルボに関して言えば、極端な過走行(年間2万km以上)でもないかぎり、それほど心配する必要はないだろう。オートプラネットに並ぶ車両は、エンジン・足回りや各種消耗品・スイッチ類に至る117項目の納車前点検整備を実施された高品質車ばかりだからなおさらだ。走行距離はあくまでもひとつの目安と考え、内装やシートののヤレ具合や足回りのしっかり感など、試乗した上で程度を総合的に判断するのがベストといえる。
もちろんUカー探しの基本である定期点検やオイルなど油脂類のメンテナンス履歴のチェックも怠りなく。ボルボ自慢のオーディオはCDのピックアップ部が不調のケースが見られるので、自分のCDを持ち込んで問題なく再生されるか確かめたい。
パッケージオプションも重要な要素
- 現行型V70のUカー相場(2005年現在)の目安は以下の通り。
- ベースグレード:240~350万円
- 2.4:260~370万円
- 2.4T:300~400万円
- T-5 SPORT:360~480万円
- AWD:320~460万円
- R:480~600万円
- 2.4:260~370万円
このうちもっともUカーのタマ数が多いのはベースグレードと2.4。とりわけ2.4は充実した装備のわりには価格がベースグレードとそれほど変わらないためコストパフォーマンスの高いモデルといえる。
V70ではパッケージオプションが豊富で、オプションの有無で装備内容が大きく変わる点も留意しておきたい。とくに本革シート、サンルーフ、アルミホイールが装着される「ベーシックパッケージ」は人気で装着車も多い。インテリア重視でV70を選ぶのであれば、モデル選びの際にセールススタッフに希望のパッケージをひとこと告げておくと商談もスムーズだ。
現行ボルボV70は、登場から5年余り経ち、流通量ではすでに旧型を凌ぎミディアム・エステートのUカー市場で主役となりつつある。価格も落ち着いてきた今がV70を手に入れる絶好のタイミングと言えるのではないだろうか。
文・写真:DAYS・Kitajima



