掲載日 : 2007年05月11日
2002 プジョー 206SW
第50回:洒落っ気と使い勝手を両立させたスモールワゴン
実用域での使いやすさを追求したコンパクト・フレンチ
プジョー206のワゴン・バージョンとして開発されたコンパクトな実用ワゴン、それが206SWだ。すでに登場していた「307SW」は、7人乗りの3列シートに加え、パノラミックルーフと呼ばれるガラス張りの天井を採用していたが、206SWはオーソドックスな5座シート。天井にはルーフレールが備わるなど、いたって堅実・実直な作りになっている。ワゴンらしく開口部の大きなラゲッジスペースの使い勝手も良好。エンジンは1.6リッターDOHCを搭載する「XS(4AT、5MT)」のほか、数は少ないが2.0リッターDOHCエンジン搭載の「S16(5MT)」もラインナップされ、マニアの人気を博していたモデルである。
1999年5月に日本デビューするや否や、大ブレイクしたプジョー206。SWは、その206をベースにリアオーバーハングを延長した派生モデルだ。日本に登場したのは2002年。独特のつり目フェイスのスタイリッシュなフォルムはそのままに、リアのラゲッジスペースを大きく確保し、さらに開口部を大きくするなど使い勝手を考慮した設計となっている。2003年のマイナーチェンジでバンパー&モールがボディ同色となるなど、高級感をさらに高めた改装が行われている。206SWは2007年にラインナップから姿を消しており、現時点での在庫が売り切れた時点で終了となる公算が高い。

206らしいスタイリッシュなフォルムを踏襲
プジョー、特にコンパクト・プジョーのデザインといえば、そのセンスの良さやカッコよさにおいて、他のライバルを圧倒している。206SWは、ハッチバックの206に比べて全長(ラゲッジ部分)を195mm延長させている。ちなみにホイールベースはハッチバックと同じだ。ボディの延長に伴って大きくなった後部ドアのドアノブは、ピラー部分に溶け込むようにデザインされている。これは、使い勝手を高めつつも、所帯じみた野暮ったさを極力避けようと配慮していることがうかがわれる。リアコンビネーションランプの造形も個性的で、遠くからでも一目で206SWだと分かるデザイン・アイディンティティを備えている。
インテリアはシンプル
運転席、助手席、後部座席とも、空間サイズや基本デザインはハッチバック206と同様。リアのラゲッジスペースは、カタログスペックで313リッターの容量を確保している。Bセグメント車をベースとするワゴン車としては必要十分な容量といえるだろう。リアシートのバックレストは6:4分割可倒式で、ヘッドレストを外さずに倒すことができるようになっている。リアのラゲッジドアは、リアバンパー部分まで大きく切り込まれており、フラットフロアをしっかり実現している点も好印象。さらには、リアドアはガラス部分のみを開閉することもできるから、ちょっとした荷物の出し入れにも便利だ。実用域での使い勝手をしっかり高めた実直な姿勢が206SWの特徴といっていい。
4つのタイヤが路面をしっかり捕えて走る
プジョー独特の粘りのあるサスペンションは“猫足”と呼ばれている。特にリアのトレーリングアーム式サスペンションは、決して高価なサスペンションシステムではないはずだが、その動きの妙はもはやプジョーのお家芸である。適度なロールを発生させつつも、ぴたりと安定したコーナリングを楽しむことができる。1.6リッターDOHCエンジンも元気よく、4ATとの組み合わせにより全回転域をしっかり使いきって走らせる、といった印象だ。よりパワフルな2.0リッターエンジン+5MT搭載モデル、という選択肢もあるが、個人的には1.6リッターの適度なトルクで十分と感じる。ノーズの軽さから来る回頭性の良さも1.6リッターモデルならではだ。
初心者でもすぐに馴染める素直なフィーリング
荷物を満載にした状態を想定し、ハッチバックに比べてサスペンションが強化されていることもあり、空荷の状態よりも荷物を多少載せたほうが接地感が高まる、という傾向があるようだ。とはいえ、全体的にはクセのない素直なハンドリングで、マイルドかつコシのある走行フィーリングを楽しめる。車幅感覚も掴みやすいので車庫入れも容易だが、低速時のステアリングが妙に重い点はウィークポイントのひとつ。それと、あえて挙げておきたいのがフロントワイパーの向きの問題。206の場合、ワイパーが“右から左”へと起き上がってくる(つまり左ハンドル仕様車のまま)。運転席は右側だから、ドライバーにしてみれば雨の日は少々うっとうしく感じられるのではないだろうか。こうした些細な部分でコストダウンを図った結果、206のリーズナブルな価格が実現できているわけなので、多少はおおめに見てあげたいところではある。
車名:Peugeot 206SW XS(2002年モデル)
型式:GH-2EKNFU
寸法:全長4030mm x 全幅1675mm x 全高1475mm
ホイールベース:2440mm
車重:1150kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直列4気筒DOHC
最高出力:108ps(80kW)/5800rpm
最大トルク:15.0kg・m(147N・m)/4000rpm
トランスミッション:4速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L
10・15モード燃費:-km/リットル
タイヤ:195/55R15
発売時期:2002年10月
当時の新車価格:209万円(消費税別)
試乗車スペック
初年度登録:2002年
販売価格:121.8万円 (消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:32,000km
ボディカラー:チャイナブルー
試乗日:2007年4月
オイル交換さえ怠らなければ基本はメンテフリー
ディーラー推奨のオイル(と、オイルフィルターは2回に1回の割合)をきちんと定期的に交換しておけば、そうそう大きなトラブルに見舞われることはない。ちなみに206シリーズはモデルによってはリコール対象になっているから、過去のメンテナンス履歴を参照できるディーラー系ショップでの購入は、いまや基本中の基本と思っておいたほうがいいだろう。気になる車両を見つけたら、できるだけ試乗するのが望ましい。エンジンからの異音の有無のほか、AT車であればNレンジからDレンジに入れた際のシフトショックにも注意。ショックがあまりにも大きい車両は避けたほうが無難だ。ライトのバルブ切れ程度の故障は些細なトラブルと割り切って、おおらかに笑って許す広い心も必要かもしれない。ちなみにバルブ交換はディーラーでパーツを買って自分でDIY、という方法も十分いける。
グッドコンディション車両の在庫は比較的豊富
プジョー206SWというクルマに、ドイツ車のような高級感のある質感を期待するのは間違いだ。鼻歌を歌いながら元気よくエンジンを回し、メリハリの効いた走りを楽しむことこそ、フランス製小型車の真骨頂である。現在中古車市場に出回っている206SWの場合、走行距離も少なく、比較的コンディションが良好な車両が多いようだ。これは女性をはじめ、割と大人しめのユーザーが多いことと関係しているのかもしれない。登録から3年未満の車両(前オーナーが最初の車検を通さず売りに出した車両)を狙えば、206SWのおいしい部分を存分に味わえるはずだ。ちなみに中古車両を購入時には、年式に関わらずバッテリーを新品に交換しておきたい。些細なことだが、かなり良好な結果が得られるはずなので、一度お試しあれ。
文・写真:DAYS・Yasuhara


