第26回:プジョー406ブレークで“Have a Break!”
405→ 406→ 407
仏プジョー社の中型セダンである406は、'80年代の405と21世紀に登場した407の中間に位置するモデル。そのステーションワゴン版が今回の406ブレークだ。Breakとはフランスでステーションワゴンを意味する。
本国デビューは1995年。スタイリングはピニンファリーナの関与が深い405のイメージを継承するが、ボディ寸法は405のコンパクトセダンサイズから、一気にミディアムクラスへ移行。デザインも大幅に洗練され、確実にワンランク上のクルマとなった。主力のセダンのほか、今回のブレーク、美しいピンファリーナ製ボディのクーペがある。
2000年にフェイスリフトを含むマイナーチェンジ
日本向けブレークのエンジンは2リッター直4と3リッターV6の2種類で、すべて4AT車。セダン導入の翌年となる1997年4月に2リッターの「ブレーク」が登場、11月に「ブレークV6」、「ブレークV6 レザーパッケージ」の2つが追加された。98年10月に2リッター車の4ATがそれまでのZF製「4HP20」から、PSAとルノー共同開発の「AL4」に変更されている。
2000年3月のマイナーチェンジでセダンとワゴンのフロントデザインを変更。同時に2リッターを新型エンジンに変更し、V6に可変吸気システムを追加した。この変更を境に406は前期型(D8型)と後期型(D9型)に分かれる。そして05年6月、407セダン/SWにバトンタッチした。(2006.08)

406シリーズ全体(セダン・ワゴン)販売台数
| 1996年 | '97年 | '98年 | '99年 | '00年 | '01年 | '02年 | '03年 | '04年 | '05年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国内販売台数 世界販売台数 |
不明 不明 |
1,388台 不明 |
1,471台 不明 |
824台 不明 |
901台 不明 |
898台 不明 |
572台 132,700台 |
357台 101,300台 |
305台 32,200台 |
5台 4,300台 |
レガシィ<406ブレーク≒ボルボV70
セダンより140mm延長されたブレークの全長は4740mmと完全に3ナンバーサイズ。現行スバルレガシィより少し大きく、ボルボV70とほぼ同じ。そしてメルセデスEクラスワゴンよりぐっと小さい。実際に運転した時のサイズ感はレガシィとそう大差ない。幅はワイドだが、それほど気にはならない。
| スバル レガシィ(2003-) | 全長4680×全幅1730×全高1470mm |
|---|---|
| プジョー 406ブレーク(1996-2005) | 全長4740×全幅1780×全高1500mm |
| ボルボ V70(2000-) | 全長4720×全幅1815×全高1490mm |
| メルセデス・ベンツ Eクラス(2003-) | 全長4850×全幅1820×全高1495mm |
「TAXi」でおなじみ
映画「TAXi」ですっかり知名度の上がった406シリーズ。前期型は405から続く地味カッコいいデザインが人気だったが、「TAXi 2」で主役を張ったこの後期型はフロントマスクを変更。ヘッドライトはマルチリフレクター(配光をレンズではなく反射板で行う)となり、冷却グリルはメッシュになっている。一方で、リアの方は目立った変更がない。なお「TAXi」の406は2作ともホワイト。このサンプルカーはプジョー車で人気の高いチャイナブルーだ。
カシミヤ・タッチのファブリック
サンプルカーは2002年1月に406セダンとブレークに設定して発売された特別仕様車“Voyage Package”(限定200台)の1台。“Voyage”(仏語でヴォワヤージュ=旅)に便利な大型ワイド液晶DVDナビが標準装備される。“Voyage Package”の2リッターモデルにはCDチェンジャーと木目調ATシフトパネルが付く。
インテリアの雰囲気はプジョーらしく、高級というよりは和み系。サンプルカーの内装は暖かいベージュ色で、リラックスした雰囲気が漂う。シート地の触感も柔らかく、カシミヤのようなタッチだ。汚れやスレには弱いが、「肌に触れるんだから風合いの方が大事でしょ?」というのがラテン車らしい。
フランス車らしい座り心地
天井が高く、窓が大きいおかげで後席は広々。座面が短めで足元の広さも平均的だが、それを補うのが座り心地のいいシートだ。旧いフランス車ファンは「普通になった・・・」と感じるようだが、担当者自身の印象は「思いっきりフレンチ」。しっとり感は物足りないが、ボリュームのあるクッションはやはり独特。3人分備わるヘッドレストも立派だ。
荷物が「本当に」積めるワゴン
通常時の容量も526リッターと大きい。走行9万kmのサンプルカーだが、汚れはほとんどない
「ブレーク」なるクルマの荷室は昔からやたら大容量だ。元々5ドアの人気が高いフランスだが、ブレークを名乗る以上はそれを圧倒的に越えねば意味がない、というところか。406ブレークの荷室もたいへん広く、526~1741リッターの荷室容量はクラス最大級と言っていいだろう。
必要にして十分な動力性能
サンプルカーは後期型ブレークの2.0リッターモデル。エンジンは206 S16で初めて使われた新世代の直4で、同じDOHCだった旧エンジン(132ps、18.7kg-m)から、136psと19.8kg-mにパワーアップ。最高速は198km/hから203km/hへ、0-100km/h加速は14.1秒から12.5秒へ向上している。
というような予備知識はさておき、今回のように後期型を単独で試乗するだけなら、動力性能は必要にして十分という印象。出足から中間加速、高速巡航までソツなくパワーを生み出し、快適性も十分だ。もちろんV6のゆったりしたパワーやトルクは特に高速道路で魅力的だが、2.0で実際に困るようなことはないはずだ。
プジョー車そのもの、フランス車そのもの
サンプルカーは走行9万kmとオートプラネットの在庫としては多走行で、当然新車のようなフィーリングとはいかないはずだが、ボディ剛性や足回りのしっかり感など、特に気になる部分はなかった。当時のインプレッションを読むと「(剛性が高くて)ドイツ車っぽくなった」みたいな表現が多いが、サンプルカーの場合は全体に固さが取れたせいか、フランス車らしく適度に柔らか、緩やか。ドイツ車的に追越車線を一人だけバキューンと飛ばすというより、アクセル開度一定でゆるゆると目的地を目指したくなる。
車名:プジョー 406 Break 2.0“Voyage Package”(2002年モデル)
型式:GF-D9BRL4
寸法:全長4740mm x 全幅1780mm x 全高1500mm
ホイールベース:2700mm
車重:1400kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:2.0リッター直列4気筒DOHC
最高出力:136ps/6000rpm
最大トルク:19.8kg-m/4100rpm
トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L
10・15モード燃費:-km/L(未公表)
タイヤ:195/65R15
発売時期:2002年1月(“Voyage Package”200台限定車)
当時の新車価格: 325万5000円(2.0ブレーク“Voyage Package”、消費税抜き)
試乗車スペック
初年度登録:2002年
販売価格:129万円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:90,000km
ボディカラー:チャイナブルー
備考:インダッシュ式DVDナビゲーションシステム、CDチェンジャー、木目調ATシフトパネル(以上、すべて“Voyage Package”標準装備)
試乗日:2006年7月
マイナートラブルはあるが、大きなものはない
車名が「6番台」になってから、飛躍的に信頼性が高まったと言われるプジョー。実際、マイナートラブルはあるが、大きなものはまずないようだ。マイナートラブルの多くは電気系統で、例えば警告灯の誤作動(大抵は接触不良)やエアコン、オーディオの不具合など。これらはチェックするというより、その都度対処するしかない。手際のいい修理にはスタッフの経験や知識がものを言うので、信頼できるお店で、できれば1年くらいの保証付きを買うことが(プジョー車に限らないが)お勧めだ。
ATは98年以前のモデルがZF製、99年モデル(正確には98年10月導入)以降がAL4だ。フランス車で定番のAL4は、ZF製に比べて20kg軽量でコンパクトなこと、そして密閉式構造となってATフルードの交換が不要になったことが特長だ。一般的には、やはりAL4の方が信頼性が高いと言われており、9万kmを経たサンプルカーのAL4もほとんどやれた形跡が無かった。
入手困難となる前に
まず前期型か後期型かだが、前期型なら99年以降の「AL4」搭載モデルがお勧め。すなわち99年(と00年初期)モデルだ。後期型ならコンディションの良いものが多いはずで、どうせならワンオーナー車を探したい。色や程度にこだわると難しい場合もあるが、オートプラネット内の「ブルーライオン名古屋 アプルーブドサイト東郷」 に相談するか、ホワイトハウスタウンの「Uカーアベニュー」を利用するのが近道だろう。
スポーツカーなど趣味性の高いクルマと違って、実用セダンは乗り潰されてしまうことが多く、それは406のような端正なスタイリングを備えたクルマも例外ではない。名車405や505にようにコンディションのいいものが入手困難となる前に、プジョーファンならぜひ今のうちに手にいれておくことをお勧めする。
文・写真:DAYS・Niwa



