第17回:アウディA4で「実」と「華」のプレミアムを味わう!
80シリーズの後継として1994年に初代が登場
初代A4(1994~2000年)はアウディのミディアムセダンとして4代続いた「80シリーズ」(1972年~)の後継車。エンジン縦置きの前輪駆動や、フルタイム4WDシステム「クワトロ」を従来通り受け継ぐ、いかにも同社らしい技術主導型のセダンだ。性能や品質だけでなく、販売面でもベンツCクラスやBMW・3シリーズと互角に渡り合い、世界全体で100万台以上を販売。アウディ躍進の原動力となった。
初代80シリーズから数えて6代目
日本には2001年に上陸した2代目A4は、初代80から数えて6世代目のモデル。初代A4より、さらに優れた衝突安全性や室内の広さを確保。同クラス車より頭一つ抜き出た内外装の巧みな仕上げも手伝って、初代以上の成功を納めた。
グレードは多種多様だが、日本向けA4のエンジンは基本的に以下の5種類(出力の順)の
- 「2.0」:2.0L・直4 130ps CVT
- 「2.4」:2.4L・V6 170ps CVT
- 「1.8T クワトロ」:1.8L・直4ターボ 170ps 5AT
- 「3.0 クワトロ」:3.0L・V6 220ps 5AT
- 「S4」:4.2L・V8 344ps 6AT ※A4ベースの高性能モデル
2002年5月には、ステーションワゴンの「アバント」も2代目に移行。同年9月には、4シーターオープンの「カブリオレ」(2.4リッターV6+CVT)が上陸。その後、2005年2月に3代目へバトンタッチした。

一分の隙もない
メッキモールで縁取られたラジエイターグリルが上下に二つあるのが、2代目A4の特徴。全長4555mm x 全幅1765mm x 全高1430mmの外寸は初代A4と大差なく、コンパクトだ。端正なたたずまいや。ウインドウからヘッドライトの枠まで施されたメッキモールなど、デザインには一分の隙もない。
ゼロ・ハリバートンみたい(ブラック内装の場合)
試乗車はブラック基調の樹脂パーツに、渋いアルミパネルを合わせたもの。カチッとした樹脂や細かいレタリングなど「アウディ・クオリティ」がよく分かる。ゼロ・ハリバートンのアタッシェケースみたいに高品質だが、逆に言うとカジュアルな雰囲気は一切ない。しかし、同じA4でもウッドパネルやベージュ内装は全く印象が違う。このあたりは好み次第だ。
このクラスのドイツ車のシートはどれも秀逸だが、A4のシートは本当にこれだけで持ち帰りたいほど、座り心地、ホールド性、ともに素晴らしい。アウディだけの特徴ではないが、座面の長さも調整できる。
余裕もないが、狭くもない
格別に広くはないが、一般的なファミリーユースであれば不足ないと思われる後席。一般的には室内空間を確保しやすいはずの前輪駆動ベースだが、エンジン縦置き・クワトロにこだわるアウディ車の室内は、後輪駆動のベンツやBMWのセダンに比べて特に広いわけではない。
ライバル車より明らかに広い荷室
試乗車は「クワトロ」なので床下奥にデフがあるが、リアストラット部の張り出しが小さい分、荷室スペースは3シリーズやCクラスより明らかに広い。複数のゴルフバッグや段ボール箱など大きな荷物を日常的に運ぶ人には、プラス材料だ。さらに、後席バックレストを分割で倒し、トランクスルーも出来る。床下にはフルサイズのノーマルアルミホイール付きスペアタイヤを収納。
ちょうどいい高性能
サンプルカーの「1.8T」はこの頃のVWアウディでおなじみの直列4気筒5バルブの1.8リッターターボ(170ps、22.9kgm)。ゴルフやアウディA3と違って搭載位置は縦置きで、パワーも若干上乗せされている。最大トルクを1950回転で発揮するパワーバンドの広さも特長だ。
このエンジンはターボラグ、つまりアクセルを踏み込んでからターボが効くまでのレスポンス遅れがほとんどない。そのスペックから想像される通り、2.5リッターV6エンジン車に匹敵するパワーや滑らかさ、静粛性も備える。5速ATの変速制御も十分に素速くて滑らかだ。
それじゃあ普通っぽくてつまらんじゃないか、と思うかもしれないが、ちゃんとターボらしいスポーティさも味わえる。特に、高速道路でスピードが乗ったところからの加速は、なかなかのもの。日本の路上では「ちょうどいい高性能」だ。
「安定感」と「安心感」
アウディといえばやはりクワトロだが、特にA4のエンジン縦置き・トルセンセンターデフ式のクワトロは、80年代にWRCで無敵を誇ったアウディ・クワトロの精神を忠実に受け継ぐもの。今回の試乗は乾いた路面だったが、それでも4輪で駆動力を伝える独特のフィーリングはちゃんと味わえた。担当者は特にフルタイム4WD信奉者ではないが、この感覚に慣れてしまうと少なくとも雨の日にはこれ以外のクルマで遠出したくなくなりそうだ。実際の「安定性」云々に加えて、「安心感」が違うからだ。
「剛性感」と「上質感」
A4で何よりいいのは、ボディの剛性感がいかにも高いこと。さらに滑らかなパワーステアリングなど、運転中に伝わってくるすべての感覚が上質なことだ。シャシー良ければ全て良し、という言葉が身をもって体験できる。タイヤがノーマルの16インチ、足回りも標準設定ということで、スポーツパッケージが付いた現行A4やA3より、乗り心地も好ましい。
車名:AUDI A4 1.8T クワトロ(2003年モデル)
型式:GF-8EAMBF
寸法:全長4555mm x 全幅1765mm x 全高1430mm
ホイールベース:2645mm
車重:1620kg
駆動方式:フルタイム4WD(クワトロ)
エンジン:1.8リッター直列4気筒DOHC
最高出力:170ps/5900rpm
最大トルク:22.9kgm/1950rpm
トランスミッション:5AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/66L
10・15モード燃費:9.7km
タイヤ:205/55R16
発売時期:2001年11月(1.8T クワトロ)
当時の新車価格:425万円(消費税抜き ※2001年モデル)
試乗車スペック
初年度登録:2003年12月
販売価格:273万円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間 距離無制限)
走行距離:12,000km
ボディカラー: エボニーブラック・パールエフェクト
試乗日:2006年3月
今のところ特にない
2代目A4が日本で発売されたのは、2001年5月から2005年初頭までの実質4年間。この原稿を書いている2006年4月時点で最大5年落ちだが、乗ってみるととてもユーズドカー感が極めて薄い。そもそも、この2代目、当時からライバル車より数年先んじている、と言われたくらい完成度が高かったモデルだ。さらに言えば、現行の3代目A4はこの2代目のビッグマイナーチェンジ版とも言われる。それだけ2代目は進んでいたのだ。
今回のサンプルカーは2003年末モデルだったが、感覚的には登録後1年未満くらいに感じられた。ユーズドカーとして、最高にお勧めできるモデルだ。とにかくビルドクオリティが高く、いかにも良質なドイツ車らしい、ヤレ知らずのボディがいい。これだけ新しい年式だと、特にメカニカル面で注意するポイントはない。しかしクルマ個々や部品単位の問題で不具合が発生する可能性はあるから、オートプラネットにて保証付きで買うのに越したことはない。
少なくとも1.8Tクワトロは絶対お勧め
さて、2代目A4の購入にあたって重要なポイントは、おそらくグレードというか、搭載されるパワートレインの選択だ。2代目A4では、特に以下の3種類で迷うのではないだろうか。
- 「2.0」:2.0リッター直4+CVT(130ps)
- 「2.4」:2.4リッターV6+CVT(170ps)
- 「1.8Tクワトロ」:1.8リッター直4・ターボ+5AT(170ps)
この中では1.8Tのみがクワトロだ。この中で担当者がしっかり乗った経験があるのは、今回の1.8Tだけだが(逆に現行A6の「2.4」、世代の新しい直噴2.0、同ターボはある)。とりあえず今回はエンジンの静粛性、パワー感、扱いやすさ、操縦性、メカニズムのシンプルさと、いろんな点で印象の良かった「1.8T」をお勧めしたい。さらにクワトロである点が(個人的には必須ではないが)決め手だ。
試乗インプレッションでも書いたように、今回のA4の走りは現行で販売されている「いまどきの新車」にほとんど遜色がなかった。もちろん、同じアウディの現行A4(3代目)ほどのような剛性感や超シャープな操縦性はない。おそらく設計年次の違いと、走行1万2000kmと生産後2年以上経ていることが理由だろうが、いずれにしても十分に同クラスの国産新型車に差を付ける、シャキッとした走りだった。いかにアウディのセダンがユーズドカーになってもシャキッとしているか。それを実感した今回の取材だった。
文・写真:DAYS・Niwa


