掲載日 : 2007年05月21日
2004 ボルボ C70 カブリオレ
第51回:幌をあけても閉めても「魅せ上手」な4座オープンカー
ボルボきってのお遊びグルマ
ボルボの中核を担う70シリーズには、粋なスペシャルモデルが用意されている。それが流麗な2ドアボディを持つC70だ。1997年12月に日本導入が開始され、当初はクーペのラインナップだったが、2001年3月に全自動ソフトトップを採用したカブリオレが送り込まれた。このとき、クーペは導入休止となったたため、以来、現行型(2006年12月~)が登場するまで、C70といえば日本ではカブリオレだった。なお、現行型は昨今流行のリトラクタブル式ハードトップを採用しており、クーペとオープンの2態を一台で楽しめるようになっている。
「Classic」は価値ある最終型の証
ボルボのラインナップのなかで時折使われる「Classic」というグレード名は、価値ある最終モデルのみに与えられる称号だ。C70カブリオレでは2004年7月以降がそれにあたり、今回のデモカーもClassicを名乗る。パワーユニットは初期型の2.5リッター直列5気筒エンジン+ライトプレッシャーターボ(最高出力193ps、最大トルク27.5kgm )に対し、Classicは2.3リッター直列5気筒エンジンのハイプレッシャーターボを搭載し、最高出力240ps、最大トルク33.7kgmを発生した。ギアボックスおよび駆動方式は不変で、5速ATのFFとなる。乗車定員は4名。
メルセデスやBMWほど直球勝負ではなく、かといって艶っぽさを失わない絶妙のブランドポジション、北欧プロダクツを保守する内装、イメージを具体化する豊富なカラー。そのうえ競合車のBMW330CiカブリオレやメルセデスベンツCLKカブリオレより新車価格で100万円以上安いコストパーフォーマンスも嬉しいところだ

クラシカルな幌は「雨が似合うオープンカー」
ボディサイズは全長4715×全幅1815×全高1400mm。フロントまわりのデザインは先代ワゴンのV70と同様、直線を基調にしたアクのないものだが、サイドからリヤにかけてはスペシャリティモデルらしく流麗なラインを描く。オープンカーのデザインというのは大きく分けると、「ただ屋根を取っただけじゃんか」とツッコミを入れたくなるタイプと、「おっ、クールじゃん」とひと目惚するタイプがある。このC70カブリオレは、間違いなく後者。しかも、かなり大人の色気まで感じる。これならオープンにして走っていても、傍目に嫌味に思われないだろうし、無理して背伸びしている感じもない。これぞセレブカジュアル! クラシックな幌は「雨の似合うオープンカー」とも呼べそうだ。
万人に優しい運転環境
ボルボの魅力の1つといえば、シンプルかつモダンなスカンジナビアン・デザイン。C70カブリオレもその例に漏れず、本革と本木をふんだんに使ったインテリアは優雅な雰囲気ぷんぷん。それでいて「ユニバーサル性」という機能性もしっかり盛り込んでいるのがポイントだ。手袋していても使いやすい大きなスイッチ、握りやすいステアリングホイールなど、誰にでも使いやすく設計されている。
今回のテストカーは淡いベージュの内装で、当初、汚れが心配されたが、これが意外にもキレイで、目立ったシミもない。とても3年オチのUカーとは思えないほどで、前オーナーがよほど大切に乗ってマメな手入れをしていたか、あるいは販売店のスタッフが入念に掃除をしたのだろう。
ハイライトとなるオープン機構は「スイッチぽん」の全自動。リヤウインドウはガラスなので後方視認性も良く、幌の開閉は約30秒でこなす。信号待ちで素早く変身、というには少々時間がかかり過ぎの感が否めないものの、4人でワイワイ楽しめるのは、なんとも贅沢かつ爽快だ。しかもリヤシートの後部には、転倒時に効果を発揮する内蔵ロールバーまでちゃんと備わっている。なお、走りながらの開閉はできず、「停止+パーキング」が条件となる。さすが安全オタクのボルボ。
ハイエンドオーディオブランド「DYNAUDIO」
プレミアムサウンド・オーディオシステムが標準装備されていることも忘れてならない。デンマークの高級AVブランド「DYNAUDIO」とのコラボレートによるもので、音響ファンなら、そのブランド名を聞くだけでも食指が動くはず。システムとしてはまず前後左右にスピーカーが10基、リアシートに脇にウーハーが2基、そしてダッシュボードの中央にセンタースピーカー1基で構成される。その音響の良さときたらハンパではなく、音にうとい筆者も「ここはコンサートホールか!?」と感動してしまったほどで、まさに「音が目の前に浮かぶ」ような感覚。オープン状態であっても、その臨場感はしっかりと再現されている。ぜひ、視聴を。
搭載エンジンは2.3リッター直列5気筒のハイプレッシャーターボ。ハイプレッシャーといっても、いわゆる「ドッカン」タイプではなく、ジワリジワリと効くナチュラルテイストの扱いやすいものだ。それでいてアクセルを奥まで踏めば、力強いダッシュを披露。踏めば踏んだ分だけドライバーの感覚に沿って加速してゆく、そんなスポーティな一面を備えている。
乗り心地もこれといって問題はないが、ワールドデビューが1998年という基本設計の古さもあってか、ハンドリングは、なんとな~く曖昧。でも、それがボルボの持ち味であり、優雅さでもある。汗ばんで攻めてナンボのクルマでもないのだから、こうしたユルめの(とはいっても並の国産車よりはずっと重厚で、足回りからのインフォメーションもつかみやすい)走りはむしろ好感が持てる。
幌を開けた状態で舗装の荒れたところを突破しても、オープンボディにありがちな嫌なワナワナ感はほどんど感じられない。しかもウインドスクリーンの角度と高さも実に的確で、必要以上に頭の上を被っていないから、駆け抜けていく梢(こずえ)を常に視覚の一部に捉えることができる。最近のオープンカーの多くはここが欠けているだけに、C70カブリオレの存在は貴重だ。
車名:VOLVO C70 Cabriolet T-5 CLASSIC(2004モデル)
型式:TA-8B5234K
寸法:全長4715mm x 全幅1815mm x 全高1400mm
ホイールベース:2665mm
車重:1660kg
駆動方式:FF
エンジン:2.3リッター直列5気筒DOHCターボ
最高出力:245ps/5400rpm
最大トルク:33.7kg-m/2400rpm
トランスミッション:5AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/68L
10・15モード燃費:8.5 km/L
タイヤ:225/45R17
発売時期:2001年3月(C70 カブリオレ)
当時の新車価格:590万円(消費税別)
試乗車スペック
初年度登録:2004年11月
販売価格:380.1万円 (消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:11,000km
ボディカラー:ライトブルー
試乗日:2007年4月
07年5月20日現在、C70カブリオレの流通量を某Uカー情報サイトで探すと全国でたった(!?)28台。ボディ色は赤、黒、シルバーが多く、今回のテストカーと同じ「ライトブルー」はゼロ。個人的にはパキッとした原色が好きだが、このパステル調ライトブルーは個性的でありながら派手ではないので、乗っているオーナーはなかなかセンスがいい、と思ってしまう。ちなみに新車のオーダーから納車までの期間は約半年もかかっていた。購入するには金銭的プラス心の余裕も必要だった!?
華も実もある「走る露天風呂」
ボルボという中庸的ブランドの、しかもワゴンではなく、カブリオレ。ほかのオープンカーみたいに、あからさまにミーハーな記号性は持っていないが、それこそが奥ゆかしい「知的な大人の色気」たるところ。流通量は決して多くはないが、クルマのキャラクター上、丁寧に乗られたものばかりで、ものの相場は割安なのだから嬉しい。
オープンカーの季節は春か秋!と思ってしまうのは早計だ。実はそれ以外の季節でも活躍する。例えば冬、暖房をガンガンに効かせてやれば足温頭寒的になり、露天風呂につかっているような気持ちよさが味わえる。しかも4人で! もうサイコーです!
文・写真:DAYS・Kondo


