メルセデス・ベンツ S500L
掲載日 : 2007年05月03日
第18回:メルセデスの歳高級車も、Uカーなら十分に手が届く!
メルセデスの頂点に君臨し続ける最高級サルーン
Sクラスの系譜をさかのぼっていくと、1951年に発表された220(1951~)にたどり着く。1956年のマイナーチェンジを機に220Sと名称が改められ、以降「S」の名はメルセデスのフラッグシップを意味する呼称として定着することに。ただし、“S-CLASS”という車名が定められたのは、1972年に登場したW116(1972~)から。以降、W126(1979~)、W140(1991)とボディの拡大と排気量の増大、安全性能の向上を図りながら進化を遂げていった。
98年登場のW220で大幅に路線転換
重厚長大型モデルチェンジを繰り返していたSクラスだが、1998年に登場したW220ではコンセプトを一新。ボディサイズをひと回り小型化し、大幅な軽量化がなされた。Sクラスのルーツである"220"を型式名にしたことからも、開発陣の新世代Sクラスへの期待と決意が分かる。
後に登場するマイバッハとの差別化もあり、流麗なスタイリング、軽快感を重視したハンドリングなど、パーソナルユーザーを強く意識したモデルチェンジとなった。また、エンジンもそれまでの4バルブDOHCから3バルブ+ツインプラグのSOHCへと改められ、燃費・環境性能の向上が図られた。
エンジンはV6からV12までワイドなラインナップ
1998年11月の登場時は、S320、S430、S500およびロングボディのS500Lの計4グレードでスタート。数字はいずれも排気量を示しており、S320は3.2LのV6、S430は4.3LのV8、S500/S500Lは5リッターのV8エンジンをそれぞれ搭載する。
AIRマチックサスペンションをはじめとしてESP(横滑り防止装置)、メモリー付パワーシート、ナビゲーションシステムは全グレードに標準搭載されているので、S320といえども装備はきわめて充実している。S430以上のグレードではさらにシートヒーター付(前席)本革シートやBOSEサウンドシステムなどが付く。また、ロングボディのS500Lでは、後席乗員用のアメニティ機能が多数搭載される。各グレードで外観上の差はほとんどなく、リアのエンブレムやアルミホイールの違いでかろうじて分かる程度。
登場から1年半後の2000年5月には、5.8LのV12気筒エンジンを搭載したトップグレード、S600Lが登場。
'02年秋にマイナーチェンジ、4WDモデルも追加
2002年11月にはマイナーチェンジがおこなわれ、内外装のリフレッシュと安全装備の充実、新グレードの追加など、比較的大規模な改良となった。ヘッドライトはバイキセノンランプを埋め込んだクリアタイプレンズが全車標準となり、ナビゲーションシステムは大画面のDVD方式にアップデートした。さらに安全面では「プレセーフ」と呼ばれる新しいセーフティシステムを導入。これはESPやブレーキアシストの作動状況から衝突の危険を感知した際に、各安全デバイスの効果を最大限に発揮できるようにする、一種のプリクラッシュセーフティ技術。具体的には、乗員の拘束性を高めるため電動シートベルトプリテンショナーを作動させ、沈み込みを防ぐために助手席側のシート角度を自動で起こし、サンルーフを自動で閉じる、といったものだ。
マイナーチェンジと同時に、グレードの見直しもおこなわれた。S320は消滅して3.7LのV6エンジンを搭載するS350と4WDのS430 4マチックが新たに追加。トップグレードのS600Lはエンジンがツインターボの5.5L・V12エンジンに換装されて、133PSアップの500PSという凄まじいパワーを発揮する。
2003年の11月には5L・V8エンジン搭載車に世界初となる電子制御7速オートマティック、「7Gトロニック」を搭載した。これと前後して、ロングボディの呼称をS500 Long / S600 Longへと改めている。

流麗なフォルムに生まれ変わったW220
前モデルのスクエアなフォルムから一転して、流麗なスタイルが特徴のW220。スポイラー等の付加装備なしで0.27(!)というCD値を達成した空力ボディだ。サンプルカーはロングボディのS500Lだ。
ボディサイズは標準ボディが全長5045mm x 全幅1855mm x 全高1445mm、ロングボディは標準よりも全長とホイールベースが120mm長い5165mm。小さくなったとはいえ5mを超える大型ボディだが、見た目の印象はそれほど大きく感じない。ウエストラインが比較的高く、キャビンが小さく見える。
控えめなフロントグリル、いまではすっかりおなじみとなったサイドミラーのウインカーランプ、LEDのテールライトなどは威圧感よりもインテリジェンスを感じさせる演出。30代のエグゼクティブが乗っていても違和感がないスタイリングといえる。
質感やタッチは絶品
センターコンソールは上部がサスペンション/安全デバイス関係、真ん中にナビ/オーディオ関係、下部にエアコンと、明快な配置で操作性も良好。
ただ、前期モデルのナビ画面は小さい上に、メディアもCD-ROMと時代遅れとなってしまっているのが残念だ。それ以外の部分、たとえばしっとりとした風合いの本革ステアリングやシフトノブのタッチ、5年落ちでもヤレを全く感じさせない本革シートなどは「さすがはメルセデス」といえるレベルだけに、ナビまわりの古さが目立つ結果になってしまっている。
当然ながら後席の居住性は文句なし
120mmの延長分はそのままホイールベースの拡大に当てられており、後席乗員は足が組めるほどのスペース。シートヒーター、ベンチレーター(オプション)、電動シートバック、ウォールナットテーブルなど、おもてなしの装備は満載だ。後部座席から助手席シートを調整することもできる。
トランクルームも巨大。マルチリンクの張り出しが少々気になるが、リアオーバーハングが長めに取られており絶対的な容量があるためさほど問題ではない。ゴルフバッグ4個は余裕で飲み込めるはずだ。
取り回しはミドルクラスのセダン並み
まずステアリングを握って思ったのは、運転のしやすさ。全長5.2m近い巨大なボディながらタイヤの切れ角が大きく、駐車時も取り回しに苦労しない(その代わり内輪差が気になるが)。最小回転半径は5.6mと、ミドルクラスのセダン並みだ。
ゆとりと品格がそのまま走りにも
300PSオーバーのV8エンジンを積んだSクラスというと、ついつい猛烈な加速を想像するが、意に反して路上では徹頭徹尾ジェントルなふるまいを示す。アクセルペダルの踏み込み量に応じたリニアな加速、ゆったりとしたハンドリング、段差も軽くいなすAIRマチックサスペンション、ここぞというときにはしっかり止まるブレーキ。すべては後席に座るVIPをもてなすため。しかし、この人間の感覚に自然で穏やかな挙動はドライバーにとっても心地よく、ハンドルを握っていても決して退屈しないのが不思議だ。
車名:MERCEDES-BENZ S-CLASS S500L
型式:GF-220175
寸法:全長5165mm x 全幅1855mm x 全高1445mm
ホイールベース:3085mm
車重:1830kg
駆動方式:FR(後輪駆動)
エンジン:5.0リッターV型8気筒SOHC
最高出力:306PS/5600rpm
最大トルク:46.9kg-m/2700-4250rpm
トランスミッション:5AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/88L
10・15モード燃費:7.3km/L
タイヤ:前・後:225/60R16
発売時期:2001年3月
当時の新車価格:1140万円(消費税抜き)
試乗車スペック
初年度登録:2001年6月
販売価格:573.3万円
走行距離:28000km
ボディカラー:アラバスターホワイト
試乗日:2006年4月
信頼性は高いが3Aは要チェック
信頼性については評価の高い旧Sクラス。クルマの性格上、法人登録が多く、しっかりメンテされた車両ばかりだ。走行距離が多くても、ワンオーナー・記録簿付であれば安心して乗れるだろう。ただ、2000年以前に出た初期モデルはそろそろ経年劣化によるトラブルが出る可能性がある。
特に気を付けたいのはいわゆる3A、すなわちエアコンとAT、エアサスペンションだ。どれも修理には多額の費用がかかる部分だけに、念のため試乗で動作確認することが絶対必要。ただ、オートプラネットで扱っている車両は1年間走行距離無制限の保証が付く。
ナビについてはAPスタッフに一度相談を
また、購入したとしても純正ナビゲーションの処遇は悩むところだろう。マイチェン後モデルのDVDナビはまだ良いとして、前期モデルのCD-ROMナビは画面が小さく、地図は古い。しかし、ご安心を。オートプラネットにはカーナビ/カーオーディオの専任スタッフがいるので、カー用品店に駆け込む前に、APスタッフに相談するのも手だ。
ベーシックグレードでも不満はないが…
旧型Sクラス(W220)のUカー相場の中心価格帯は、300万後半~900万円超とかなりワイド。だが、前述のように安全や機能面ではどのグレードでも大きな差はなく、エンジンの排気量と年式が価格を決定づけているといえる。「とにかくパワーが欲しい!」という人以外は、S320やS350といったベーシックグレードを選んだとしても、何ら不満は覚えないだろう。
とはいうものの、世界に冠たるメルセデスの、それも最高級車を選ぶのだから、やはり上のグレードを狙いたいという気持ちも分かる。そういった意味で、今回取りあげたS500Lはひとつのねらい目グレードだ。300PSを優に超えるV8エンジンのパワーとロングボディという付加価値が備わったかなり贅沢な仕様。エクステリアもインテリアも、最高級車としての風格を備えるS500Lはオーナーの所有する喜びを満足させてくれるはずだ。
良質なUカーが多いロングボディが買い!
さらに特筆すべきは、法人用途が多いS500LはショートボディのS500よりもメンテの行き届いた良質なタマが比較的多く、それでいて価格相場がかなり魅力的であるという点だ。今回のサンプルカーの価格は573.3万円(税込み)。新車価格が1140万円(税抜き)だから、消費税分を差し引けば新車価格から半額以下まで落ちているのだ。Eクラスや5シリーズなど、ミドルクラスの新車よりも確実に安く、ステータスはそれらを確実に上回る。信頼性は高く、取り回しもしやすい旧Sクラス。輸入車選びのひとつの賢い選択といえるのではないだろうか。
文・写真:DAYS・Kitajima



