オペル ヴィータ
掲載日 : 2007年05月01日
第16回:キュートなルックスと抜群のコストパフォーマンスが自慢のオペルのコンパクトモデル、ヴィータをたっぷり吟味
カデットに代わりオペルのボトムレンジを担った初代コルサ
欧州でのヴィータの名称は"CORSA"(コルサ)。初代コルサは1982年にデビュー。オペルのボトムレンジを長年支えてきたカデットから主要コンポーネンツを流用。初代VWゴルフをはじめ、フィアット・リトモやフォード・フィエスタなどを相手に健闘し、その後11年間にわたって生産されたが、日本導入は見送られている。
2代目は「可愛いヴィータ」で大ヒット
2代目コルサは'93年に登場。日本人の児玉英雄氏がチーフデザインを務めたスタイリングは、初代のスクエアなボディから一転、柔らかな曲線主体のスタイルへ変化した。
日本発売は'95年春。日本市場には同名の車種が存在していたため、導入に当たってVITAの名に改められた。 当時はVWポロやプジョー206などが登場する前で、実質的なライバルが不在だったこと、150万円台からのリーズナブルなプライスも手伝って大ブレイク。雑誌やテレビCMでは「可愛いヴィータ」のキャッチフレーズが話題となり、またTVドラマ「ビューティフル ライフ」(2000年)では、ヒロインを演じた常盤貴子の愛車として赤のヴィータが登場、隠れたブームとなった。こうして2001年末までに日本国内では約6万台、全世界では累計600万台!という大ベストセラーカーに。 その後、2000年秋のパリサロンでデビュー、翌01年春から日本で発売された3代目コルサ(2代目ヴィータ)にバトンタッチした。
グレード構成はシンプル
'01年3月のデビュー時は、1.4Lエンジンを搭載した「スウィング(3ドア)」「GLS(5ドア)」の2グレードでスタート。同年12月にはナビゲーションシステムを標準装備した「GLS-Navi」(1.4L)、トップグレードでスポーティ仕様の「GSi」(1.8L)、廉価グレードながらGSiに準じたエクステリアを持つ「スポーツ」(1.2L)を追加。また全グレードにオートエアコンの標準化など、装備の充実も図られている。
デビューから3年で販売終了
1年後の'02年11月にはGSi以外のグレードでオプション装備を一部追加するなどの小変更を受けた後、'03年の6月にはGSiの装備を変更、またGLSの特別仕様車「スポーツエディション」を発売した。だが'04年の3月、ヴィータをベースにしたミニバンタイプの「メリーバ」の登場をもってヴィータの正規輸入は終了した。なお、欧州市場では販売が続けられており、根強い人気を保っている。

クラストップレベルのホイールベース
ボディの寸法は全長3815 x 全幅1645 x 全高1440mmで、旧型よりひと回り拡大。ライバルのVW・ポロやフィアット・プント、プジョー・206とほぼ同サイズだが、2490mmのホイールベースはクラストップレベル。サイドから見たときの安定感や重厚感はこのロングホイールベースによるもの。もちろん居住性や走行性能にも好影響を与えている。
キュートなフォルムにシャープさをプラス
デザインは児玉英雄氏が旧モデルにつづいて指揮を執った。旧型のキュートなイメージを踏襲しながらも、曲線主体の面構成からシャープな造形に変化している。クリアレンズに覆われた4灯ヘッドライトやサイドの6ライトウインドウ、大きく変更されたリア回りのデザイン処理などが主な外観上の特徴点。全体的にはスッキリ、クリーンなたたずまいで、男性でも女性でも違和感なく乗れる雰囲気を身につけている。
オーソドックスなインテリア
シャープでクリーンな外観に比して、ヴィータのインテリアはややおとなしめ。スイッチ・レバー類のタッチや素材の質感はもうちょっとがんばって欲しかったというのが正直なところ。その後登場したベクトラやメリーバではエッジの利いた斬新なデザインが特徴だっただけに、やや物足りない部分かも知れない。
後席乗員に配慮したパッケージング
先代ポロ(2410mm)や206(2440mm)を凌ぐ、2490mmのホイールベースを与えられたヴィータ。ボディサイズが小さいだけに居住性に与える影響は大きい。206の後席空間はかなり窮屈だが、ヴィータでは十分に大人4人がくつろげる。また可動幅は小さいが後席リクライニング機構も備わるなど、後席乗員への配慮は相当なものだ。リアクオーターウインドウも後席の開放感に少なからず貢献している。オペルらしい合理的な発想がヴィータのそこかしこに活かされている。
装備の充実度は上級車種に匹敵
装備面では必要十分なものが揃っている。エアコン、CDステレオ(サンプルカーはCDチェンジャ&MDプレーヤー)、キーレスエントリーなどはすべて標準。安全面でもABSやEBD(電子制御制動力配分システム)、サイドエアバッグ、イモビライザーなどが装備されている。
街乗りから高速までフラットライド
サンプルカーは1.4Lエンジン搭載のGLS(4AT)。ヴィータの電動パワステはやや曖昧なステアフィールで、シャープさとは無縁だが、クルマの性格を考えればこのくらいがベストバランスだろう。サスペンションは柔らかく、荒れた路面も軽くいなす。かといって高速でフワフワするかと言えば決してそんなことはなく、フラットな姿勢を維持してくれる。旧型を徹底的にブラッシュアップした足回りと強固なボディが効いているはずだ。コーナーではロールが大きく、フロントタイヤが鳴くのも早いが、挙動は穏やかで安心感は高い。
実直なパワーフィール、すぐれた静粛性
オペルおなじみの「エコテック」エンジンは1.4Lで90PSを発揮。車重が1110kgもあるため動力性能はそこそこだが、上まで回してもうるさくないのは大きな美点。かといって、回すほどに快音になるかというとそういうわけでもないのだが、あくまでも粛々とスムーズに回転を上げていく。これならロングドライブも苦ではないだろう。
車名:OPEL VITA GLS
型式:GF-XN140
寸法:全長3815mm x 全幅1645mm x 全高1440mm
ホイールベース:2490mm
車重:1110kg
駆動方式:FF
エンジン:1.4リッター直列4気筒DOHC
最高出力:90ps/6000rpm
最大トルク:12.8kg-m/4000rpm
トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:レギュラーガソリン/50L
10・15モード燃費:13.2km
タイヤ:前・後:175/65R14
発売時期:2001年3月
当時の新車価格:187万円(消費税抜き)
試乗車スペック
初年度登録:2001年6月
販売価格:90万3000円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間 距離無制限)
走行距離:9000km
ボディカラー: シティレッド
試乗日:2006年3月
電装系は要チェック
総じて2代目ヴィータの信頼性は高い。だが、パワーウインドウのレギュレーターやエアコンなどの電装関係パーツに不具合を抱える車両が散見される。試乗の際には忘れずに動作確認をして、正常に機能するかどうか確かめよう。またデビューから5年が経過する初期モデルは、そろそろ経年劣化によるトラブルも出てくる頃。整備点検記録簿にはかならず目を通しておくこと。
またサンプルカーには6連奏のインダッシュCDチェンジャーが装備されていた。走りの部分とは直接関係ないためカーステレオ関係のチェックは怠りがちだが、いざトラブルとなると修理はかなり面倒。自分のCDをかけてみて音飛びはないかチェックしたい。
抜群のコストパフォーマンス
今回のサンプルカーとなったのは01年式ヴィータGLSで、市場に流通する8割以上のヴィータは同タイプのGLSだ。Uカー市場では100万円を下回っており、サンプルカーは90.3万円のプライスタグを下げている。
デュアルエアバッグはもちろん、サイドエアバッグ、ABS/EBD等のセーフティ面、エアコン、CDチェンジャーなどのコンフォート面など装備は充実。ロングドライブも苦にしないパワートレーンやハンドリングの洗練度といい、あらゆる面でハイレベルにまとまったドイツ製のコンパクトカー(しかも走行距離はたったの9000km!)が90万円という国産コンパクトカー以下の値段で買えるのだから、掛け値なしに「お買い得車」と言い切れる。
さらにこれで納車点検整備、1年間走行距離無制限のAP保証が付くとなればますます買い得感は高まる。コンパクトなボディは取り回しにすぐれ、パッケージングの妙で居住性も十分。ファーストカーとしても十分通用する実力を持つ。初めて輸入車の購入を考えている若いカップルにも、娘さんにクルマを買い与えようと考えているオトーサンにも、ぜひともお勧めしたいヨーロピアンコンパクトだ。
文・写真:DAYS・Kitajima


