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Uカー試乗記

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そもそも「Jeep(ジープ)とは?」

プレミアムSUVの先駆となった初代ZG型グランドチェロキー

Jeep(ジープ)とは元々第2次大戦中に米軍用に開発された小型4輪駆動車のこと。戦後、ウイリス社から市販された民生版はレジャービークルとして人気を得た。日本では「三菱Jeep」としてラインセンス生産された時期もある。60年代には乗用4ドアワゴン的なJeep ワゴニア(Wagoneer、1962-91年)とワゴニアの2ドア版であるチェロキー(Cherokee、1974-83年)が誕生。元祖Jeepの末裔である「CJシリーズ」(後にラングラーへ発展)と共に、「Jeep」ブランドを確立した。

 
2代目WJ型はフロントガラスの傾斜が強まり、丸みのある洗練されたデザインになった

Jeepは60年代にウイリス社からカイザー社に、70年代にはAMC社に、80年代にルノーの資本介入を受けた後、87年にクライスラー社の傘下となって今に至っている。これほど買収が繰り返されたのは、まさにJeepが「売れる商品」だったからに他ならない。特に2代目チェロキー(XJ型、1984-2001年)は、典型的なベスト&ロングセラー車になった。

「グランドチェロキー」とは?

3代目WH型グランドチェロキー(2005年~)(写真:ダイムラー・クライスラー日本)
■初代(ZG型)1992~99年
グランドチェロキーはJeepブランドの最高級SUV。初代(ZG型)は、ワゴニア/グランドワゴニア の後継車として92年に登場した。
■2代目(WJ型)1999~2005年
今回紹介する2代目(WJ型)は99年に登場。ラダーフレームを廃してモノコックとなったボディには、新開発の4.7リッターV8・OHCと従来からの発展版である4リッター直6・OHVの2種類を設定。4WDシステムには「クォドラ・トラックII(Quadra-Track II)」(直6モデル)、もしくは電子制御化が進んだ「クォドラ・ドライブ(Quadra-Drive)」(V8モデル)を採用した。グレードはベーシックグレードの「ラレード」と豪華版の「リミテッド」の2種類で、その両方に直6とV8モデルが存在する。またV8のみ、途中で4ATから5ATへ格上げされている。
■3代目(WH型)2005年~
2005年7月に3代目(WH型)にフルモデルチェンジ。直6は廃止され、従来からの4.7リッターV8(231ps)、クライスラーが誇る5.7リッターV8「HEMI(ヘミ)」、さらに強力な6.1リッターV8・HEMI(426ps)が搭載されている。(2007.06)

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「Jeep」を名乗るからには

プレミアムSUVの模範の一つとなったグランドチェロキー。サンプルカーの00年リミテッドは17インチアルミが標準

全長4615mm×全幅1860mm×全高1710mmは20年前ならいざ知らず、今の感覚からすると(高級SUVとしては)コンパクトな印象だ。実際に乗っても、国産の大型ミニバンやSUVと同等かそれ以上に扱いやすい。ボディが変に大型化しなかったのは、極悪路の走行を想定しているのと、この頃のJeepにはミニバン的に多人数を乗せるという発想がなかったからだろう。

 
縦に7本スリットがJeepのアイデンティティ

スタイリッシュな外観が逆に「性能も都会的か?」とあらぬ誤解を生みそうなグランドチェロキーだが、「Jeep」を名乗る以上、その悪路走破性は決してダテではない。ボディの下半分を覆う樹脂パネルもカッコではなく(それも多少はあるが)、岩や路面からボディを守るもの。短いオーバーハングによって、いわゆるSUVに必須の走破アングルもしっかり確保されている。このクルマも市販前のJeep全モデルが試練を受けるオフロードテストコース「ルビコン・トレイル」(カリフォルニア州)を走破する。

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一見、アメリカンだが、実は・・・

控えめに木目調パネルをあしらったインパネ。Jeepの文字と副変速機レバーが無ければ欧州製のセダンと見まちがえそう

アメリカン・イメージ濃厚なグランドチェロキーだが、日本仕様は全て右ハンドル。Jeepのフラッグシップモデルだけあって高級感は十分。ピシッとしたチリ合わせとは無縁だが、ウッド調パネルを張ったインパネにはいわゆるアメリカン・ファニチャー(家具)に通じる心地良さがある。こういうものは加工精度とかで良否を言っても仕方ない。

好きか嫌いか、という点でもっと分かりやすいのがシートだ。大型ヘッドレスト付きの革シートは今時の欧州車や国産車基準で考えると、まさにフカフカ。ただしスプリングの効きはしっかりしており、サポート性は意外にある。同年代の国産高級車のシートより「こっちのほうが具合がいい」という人もいるだろう。実は日本仕様のグランドチェロキー、欧州オーストリアのクライスラー・ユーロスター工場で生産される欧州製なのだ。当たりの柔らかさはアメリカンだが、底の方にはドイツ(ゲルマン)車っぽい真面目さが感じられるのはそのせいか?

 
左から燃料計、電圧計、回転計(5300回転からレッド)、速度計(210km/hまで)、油圧計、水温計
ルーフに各種インフォメーションディスプレイを配置。英語、独語、仏語などから使用言語が選べる
センターコンソール左のレバーに注目。副変速機(極悪路用のローギアレンジ)を備えるのがJeepの特徴だ

ステーションワゴン的な使い勝手

フカフカながら意外にコシのある「リミテッド」のレザーシート

後席のヘッドレストは2つしかなく、座面のかたちも2人掛けを意識したもの。意外に中央のクッションは座り心地がいいので、短時間なら5人乗車も可能だ(安全上お勧めできないが)。左右席は足もとスペースも乗車姿勢も不満はない。

5人乗車時のトランク容量は驚きの1110リッター(大型セダンの約2倍)。それでも足りない時は、ダブルフォールディング(座面を跳ね上げてから、背もたれを倒す)で後席を畳み、写真の状態(2059リッター)まで拡大する。リアゲートにはガラスハッチも備わるから、ステーションワゴンとしても便利だ。ゲート、ハッチ共に直接ボタンで開けることができる。

 
ちょっとした小物の出し入れに便利なガラスハッチ付き
カーペットの下には、フルサイズのアルミホイール&スペアタイヤを装備
荷室は通常時で1110L、写真の状態で2059Lの大容量。「アメ車」らしく後席は簡単に折り畳める

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直6モデルでもパワーと高級感あり

今回試乗した直6でも、パワーや快適性に不足はない

サンプルカーは00年の4リッター直6モデル「リミテッド」。第一印象は乗りやすいの一言。アメリカ車らしく(オーストリア製だが・・・)、誰でもすぐに馴染めそうな「とっつきやすさ」が印象的だ。具体的にはまず直6エンジン(190ps、30.1 kgm)が往年のチェロキーの同型に比べるとかなり洗練されていて、例えば停止中にアクセルをブオンとあおってもボディがほとんど揺れないし、エンジン音自体も滑らか。この系統の直6とV8に乗った経験があっても、五感だけでエンジン形式を断定するのは難しそうだ。ただし高回転まで回しても、パワーは盛り上がらない。低回転のトルクを生かしてゆったり走るのが、らしい乗り方だ。

乗用車的な走行感覚。ユサユサ感なし

姿かたちは違えど、いずれも欧州オーストリア生産の本格SUV

モノコックボディに、前4リンク式リジッド、後3リンク式リジッド(前後ともにバネはコイル式)の足まわりを組み合わせたシャシーは、いわゆる本格四駆のようなユサユサ感がなく、いまどきのSUVもしくは目線の高いセダン的な感覚で普通に運転できる。乗り心地も静粛性も特に不満はない。

仕事柄、最新のSUVに乗る機会が多いため、旧世代の本格四駆に乗ると設計の旧さがつい目についてしまうのだが、このグランドチェロキーにはそれがあまりない。今回、同時に試乗したメルセデス・ベンツのゲレンデヴァーゲン(Gクラス)が重厚極まりない作りで現代でも魅力的なら、グラチェロは現代的なSUV像の先取りで今に通じる、という感じだ。そう言えば、Gクラスも実はオーストリア製(シュタイアー・プフ社製)だ。

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車名:Jeep Grand Cherokee Limited(2000年モデル)
型式:GF-WJ40
寸法:全長4615mm×全幅1860mm×全高1710mm
ホイールベース:2690mm
車重:1860kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:4.0リッター直列6気筒OHV
最高出力:190 ps(140kW) / 5000rpm
最大トルク:30.1 kg-m (295Nm)/ 3050-4000rpm





トランスミッション:4速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/78L
10・15モード燃費:5.8 km/L
タイヤ:235/65R17
発売時期:1999年5月
当時の新車価格:467万2500円(00年11月モデル、消費税含む)

 

試乗車スペック

初年度登録:2000年
販売価格:214万2000円(消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:3万7000km
ボディカラー:シルバー
備考:電動レザーシート、シートヒーター付
試乗日:2007年6月

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エンジンは基本的に丈夫。駆動系は試乗してチェック

手に入れるなら今しかない!? 名機4リッター直6・OHVユニット

基本的には丈夫で長持ち、というのが良きアメリカ車、そしてJeepの特徴だ。今回の4リッター直6エンジン(OHVだ)なども、構造はシンプルそのもの。いざとなったら自宅のガレージでエンジンまで降ろす「DIY」なアメリカ人ゆえ、伝統的に自分の手におえない複雑なものは避ける心情がある。特にタイミングベルトも、チェーンも、カムシャフトもなく、プッシュロッドとロッカーアームだけでバルブを開閉するOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)への信頼は厚い。この4リッター直6も、パワフルな実用エンジンとしてはもっとも構造がシンプルなユニットだ。すでにこの直6は新車ではもう手に入らない「絶版エンジン」である。

そんなグラチェロだが、チェックするとすれば駆動系だろう。購入前に試乗して、オートマチックから過大なシフトショックが出ないかどうか、デフまわりから明らかに不快な異音が出ないかどうかを確認したい。ロードノイズ(走行中、多かれ少なかれどんなクルマでも出るゴーーという音)やエンジン音・排気音(アクセルを緩めれば静かになる)とは明確に違うので分かるはずだ。

 

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直6かV8か、それが問題だ

1999年から2005年まで6年間販売されたWJ型グランドチェロキーだが、物件探しにあたってのポイントは、4リッター直6か、4.7リッターV8かというエンジンの2択だろう。

馬力自体は直6が190ps、V8が220psと車重差も勘案すると大差なし。トルクは30.1kgm、40.1kgmと差があるが、この直6はおなじみXJ型チェロキーのものと同じで、低速トルクでは定評あるもの。1シリンダーあたりの排気量もV8の588ccに対して、直6は660ccもある。回転バランスに優れる直6ゆえ、振動もV8と遜色なし。10・15モード燃費は直6が5.8km/L、V8が5.3km/Lと若干ながら直6が良好で、自動車税も直6の方が少し安い。

V8で明らかにいいのは、01年式以降で5ATとなることだ。最終減速比は4ATも5ATも同じだが、5ATは1速がややローギアードで始まり、また4ATの「3速→4速」の領域を、「3速→4速→5速」と3つのギアで分担する。4ATも電子制御だが、5ATの方が設計年次が新しいことも考えると、V8を買うなら01年式以降の5ATが常道だろう。

さて、良い意味でクラシカルな直6か、高級感や近代的な設計が魅力のV8か。このあたりは「自分は直6が好きだ」とか「アメ車ならV8がいい」といった心情的な理由で選んでいいと思う。個人的にはマニアックに、シンプルさをとって直6とする。傑作SUVであるXJ型チェロキーの素性を受け継ぎながら、理想を追求したのが今回の直6グラチェロと思うからだ。(2007.06)


文・写真:DAYS・Niwa

 

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