第49回:VWらしさを全長3.5メートルに凝縮!
フォルクスワーゲンの最小モデル(当時)
ポロよりもコンパクトで、当時フォルクスワーゲンの最小モデルだったルポ。ボディサイズこそ軽自動車並みだが、VWらしい質実剛健な造りが特徴だ。駆動方式は前輪駆動(FF)、ボディ形状は3ドアのみとなる。
1998年に欧州でデビューした当初は、1.2リッターディーゼルターボの「ルポTDI」が3リッターカー(3リッターの燃料で100km走る=33.3km/L)として話題になったが、日本市場には2001年から1.4リッターガソリン+4AT車が正規導入された。
グレードは標準仕様(149万9000円 ※消費税含まず、以下同)と、パワーウィンドウ、集中ドアロック、オーディオ、スピーカーを備えた「コンフォートパッケージ」(159万9000円)の2つで、もちろん後者が販売の主力。なお外観やスペックは同じだが、1.4リッターモデルには2002年秋を境に環境仕様等が異なる、前期型(GF-6XAUA)と後期型(GH-6XBBY)がある。
モデル末期には人気の「GTI」が登場
2003年5月には1.6リッターDOHCユニット(125ps、15.5kgm)と6MTの高性能グレード「GTI」(216万円)が登場。ハニカム(蜂の巣状の)グリル、専用前後バンパー、センター2本出しマフラー、ディスチャージド・ヘッドライトといった装備や、アルミ製ドア/フェンダー/ボンネットといった見えない部分までこだわった人気モデルだ。GTIの流通量は少なく、輸入Uカー市場では最も値落ちの少ないクルマの一つとなっている。
ルポの生産は2004年に終了。日本での販売も05年前後に終了した。欧州では新型フォックス(Fox)がその跡を継いだが、日本への導入予定はない。(2007.04)

ポロをチョロQにしたらルポになった!?
全長3525mm×全幅1640mm×全高1475mmと、今の軽自動車より100mmほど長いだけの超コンパクトボディ。リアオーバーハングを限界まで切り詰めるなど、チョロQ的な寸詰まり感が楽しい。ポロとの差別化を図ったためか、ボディは3ドアのみだ。
この小ささでフォルクスワーゲンらしい重厚感があるのは立派。街中で見かけても堂々とした存在感がある。ボディカラーには当初ソリッドの赤(フラッシュレッド)、青(ソフトブルー)、黄緑(ファンタシアグリーン)を用意。翌年以降にシルバー、イエロー等が加わった。試乗車のブルーは後期型のジャズブルー(ゴルフと同じ色)だ。
同世代のポロやゴルフ4と同レベルの質感
ルポのデビュー当時はフォルクスワーゲン各車の内装質感が急激に向上した頃と重なる。ルポのインテリアもデザインこそシンプルだが、クオリティ感はクラスを感じさせないもの。面白いのは、ボディの鉄板をあえて露出させたドア内側やピラー部分だ。こうした処理は現代ではコストダウンどころか、むしろコストアップの原因となるはず。廉価なモデルに見えて、実は高コストだったと言われるルポの一端がかいま見える部分だ。擦りキズが付きやすいツヤ消し塗装処理を多用していない点も良心的だ。ドアも重厚で、閉める時の音も「ガチン」とゴルフみたい。国産車のようにバムッと高級感のある音ではないが、これぞVWだ。
小さいのに、力強くて重厚な走り
サンプルカーは2003年の「コンフォートパッケージ」(走行2万1000km)。エンジンは同時代のポロと同じオールアルミ製1.4リッター直4(75ps、12.8kgm)に、電子制御スロットルを追加したものだ。車重はちょうど1000kgと(ドイツ車としては)軽く、出足から力強く加速する。重厚な走りは同時代のポロや、当時で1世代前にあたる3代目ゴルフ(ゴルフ3)に近い印象だ。ホイールベースが短いのでゆったり感はないが、油圧パワステのねっとりした重さ、2000回転台で旨みのあるエンジン、ソツなく変速するJATCO製4ATなどは90年代VW車の典型だ。
ボディが全体に小さいせいか、剛性感というか、ボディの一体感はルポの方がむしろ優れている。スマートほどではないが、とにかく頑強な小さなハコ、という感じだ。背が高いためロールはするが、安定性は十分。スポーティとか、楽しいとかいった感じはないが、高速での直進安定性は素晴らしく、この時代の国産コンパクトカーとは比較にならない。
10・15モード燃費は14.0km/L
2001年のデビュー時に取材で乗った新車のルポより、乗り心地は多少マイルドな気がしたが、シャシーや足回り関係のヤレはほとんど感じられない。走行1万kmから2万kmあたりは、フォルクスワーゲンだと新車時のゴワゴワ感が取れて、ちょうどアタリの付く頃だ。
なお、10・15モード燃費は14.0km/L。ゴルフはもちろん、ポロと比べても優秀で、実燃費は10km/L台に乗るはずだ(ただしハイオク指定)。オーナーの間で不評なのは燃料タンク容量が34リッターと小さいことで、おそらく一般道では航続距離が300kmに届く前に、燃料計が「E」(エンプティ)に入ってしまう。購入前にいちおう知っておいた方がいいだろう。
車名:Volkswagen Lupo Comfort Package(2003年モデル)
型式:GH-6XBBY
寸法:全長3525mm x 全幅1640mm x 全高1475mm
ホイールベース:2320mm
車重:1000kg
駆動方式:FF
エンジン:1.4リッター直列4気筒DOHC
最高出力:75ps(55kW)/5000rpm
最大トルク:12.8 kg-m (126Nm)/ 3800rpm
トランスミッション:4速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/34L
10・15モード燃費:14.0km/L
タイヤ:前・後:185/55R14
発売時期:2001年7月(※GF-6XAUA)
当時の新車価格:159万9000円(消費税抜き ※コンフォートパッケージ)
試乗車スペック
初年度登録:2003年
販売価格:98万7000円(消費税込み) ※AP保証付き(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:2万1000km
ボディカラー:ジャズブルー
備考:ワンオーナー
試乗日:2007年4月
シャキッとしたものを選びたい
基本的に信頼性の高いVWだが、初期モデルにマイナートラブルが多いのはよく知られるところ。ルポの場合は、欧州デビューが1998年、日本での発売は01年で、それなりに熟成されていそうだが、やはり02年式あたりまでは細かなトラブルがままあるようだ。よく聞かれるのがEPC警告灯の点灯、ECUやセンサー不良によるエンジン停止など。窓落ちもクルマによってはたまにあるようだ。ただゴルフ等と同じように、ほとんどトラブルフリーの個体も多く、信頼できるお店で買う場合は「そういうこともある」と知っておく程度でいいだろう。
購入時のポイントはとにかく一度試乗してみること。90年代のVW車に乗っていたことがあれば、何となく判断がつくはずだ。ビギナーならば、そうした(元)VWオーナーに同行してもらうのがいい。いいコンディションのルポなら、見ても乗っても必ずシャキッとした感じがある。逆にステアリングがツルツルになっていたり、アイドリング中にステアリングがブルブル震えたりする個体は、相当ヘタっていると思った方がいい。
余談ですが…私的ゴルフ3の話
参考にならないかもしれないが、VW車の一例として担当者個人の96年式ゴルフ3の話をしておく。新車から乗って現在11年目。最初の7年くらいはほぼノートラブルで、8年目でエンジンから異音(ヘッドのベアリング交換で完治、ベルト交換込みで4万円くらい)、9年目で初の「窓落ち」(修理して完治。3万円くらい)、10年目で運転席ドア側キーシリンダー脱落(たまにあるらしい…。交換して完治、2万円くらい)、10年目でエアコンコンプレッサー死亡(交換して完治、6万円くらい)という具合で、最近は年1回ペースで平均5万円分くらい?何かが壊れている。まあ、担当者自身は「まあこんなものかな」と思っているが…。ボディの頑健さと力強い走りは今も健在。普通の国産車なら、もうとっくに乗り換えているだろう。
せっかく買うなら後期型の高年式を
01年に日本上陸し、05年式あたりで絶版となったルポ。1.4リッター・ATモデルに限ると、おすすめは車両およびエンジン形式が「AUA」から「BBY」に変わった後の高年式モデルだ。スペックも見た目も大して差はないが、年々改良されるのがVWの通例。そもそもルポは車両価格そのものが低めなので、ここはひとつ値段よりもコンディションで選びたい。
一代限りでルポの生産が終了した理由は、生産コストが高く、ただでさえ利益率が低いVW車の中でも特に利益が薄かったからと言われている(最たるものがGTIや日本に正規輸入されなかったTDIだろう)。プレミアム路線を推し進めたVWが、ボトムレンジカーなのに勢いあまって作り込んでしまった、というやり過ぎ感がいかにもジャーマンな1台だ。(2007.04)
文・写真:DAYS・Niwa


