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Uカー試乗記

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エグザンティアとXMを継いだハイドロシトロエン

和み系のスタイリングがある意味シトロエンらしい前期型C5。セダンに見えるが、実はハッチバック車

通称「ハイドロ」と呼ばれる窒素ガス&オイルのサスペンションで有名なシトロエン。その最高級車だった「XM(エックスエム)」とミディアムクラスの「エグザンティア(Xantia)」を事実上統合する形で登場したのが今回採り上げる「C5(シーファイブ)」だ。これによりC5は、2001年のデビューからC6登場までのおよそ5年間、シトロエンの旗艦であり、また唯一のハイドロ車であり続けた。

前期型(01~04年)と後期型(04年末~)

2004年末に導入された後期型C5は、C4やC6と共通のデザインモチーフを備える

ボディ形状はセダンのような4ドアハッチバックと「ブレーク」と呼ばれるステーションワゴンの2つ。その両方に2リッター直4(137ps、19.8kgm)と3リッターV6(210ps、30.0kgm)エンジンが設定され、計4モデルで構成された。いずれも変速機は学習機能付き4AT。デビュー当初の価格は316万~422万円(消費税抜き)だった。

前期型C5は大きな仕様変更を受けることなく2004年末まで販売された。変り種としては、2004年7月に「C5 by Carlsson」が20台限定で正規輸入されている。これはブレークV6をベースに、独のチューニングメーカーであるカールソン社がエアロパーツ、スポーツサスペンション、25psアップの235psエンジン等で武装を施したメーカー純正の「チューンドC5」だ。

2004年12月に、ビッグマイナーチェンジを受けた後期型が登場。内外装デザインが変更され、エンジンも小改良。V6モデルの変速機のみアイシンAW製6ATに換装された。この後期型C5は2007年現在もラインナップされている。(2007.07)

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一見4ドアセダンだが、実は4ドアハッチ

どこから見ても4ドアセダンだが、実はボディ後部に大きなテールゲートを備える4ドアハッチバック(5ドア)だ

前期型C5サルーンのボディサイズは全長4620mm×全幅1770mm×全高1480mm。ベルトーネ社がデザインに関わったXMやエグザンティアは折り紙細工みたいに平面主体のデザインだったが、C5のスタイリングは曲線主体。同時代のクサラ(Xsara)もそうだったように、当時のシトロエンはこうした柔和なデザインが主体で、割と常識的に見える。

しかしよく見るとそこはやはりシトロエンらしく独特。室内を広くするためボディは風船のように丸く膨らんだ形状だし、フロントのオーバーハングが長く、逆にリアのオーバーハングが極端に短いプロポーションはXMやエグザンティア譲り。しかも一見セダンに見えて実は5ドアというだまし絵的な工夫もある。

 

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シートの座り心地が最高、装備も充実

ウッド調パネルを張ったV6のインテリア。サンプルカーはベージュ内装だが、ボディカラーによってはグレーもある

インテリアの質感は特に高くないが、シートはさすがフランス車、さすがシトロエン。大柄で体を包み込むようなソフトな感触が素晴らしい。コシがしっかりしているので、長時間座っていても体が沈むようなことはない。このシートだけでも、C5は「買い」だ。試乗車はオプションのレザー張りだが、通常はフランス車らしいベロア生地となる。

高級車らしく装備も充実している。雨を感知して作動する雨滴感応式ワイパー、周囲の明るさにあわせて自動的に点灯・消灯するオートヘッドランプ、バック中に障害物が近づくと音で警告してくれるバックソナーなど、実用的な装備がそろっている。試乗車には社外のHDDナビモニターが付いていて見えないが、インパネ中央上部にはインフォメーションディスプレイが設置されている。


 

速度計は260km/hまで。メーカー発表の最高速はV6ブレークで226km/h
シフトレバー後方の車高調整スイッチ。アップは+13mm、ダウンは前輪で-15mm、後輪で-11mm。V6には「スポーツ」モードが付く
フランス車のシートは旧ければ旧いほどいい?C5のそれはソファのような座り心地
 

リムジン並みの後席、ワゴン以上の積載性

後席はセダンとしては抜群に広く、特に床がフラットであるため足元がとても広々としている。プロペラシャフトがあるFR車や4WD車では出来ないことで、世界に先駆けて前輪駆動を採用したシトロエンらしい部分だ。リアシートもまるでアンティークのソファのように座り心地が良く、ミニバンに慣れた家族でも満足してくれるはず。ちなみにシトロエンユーザー定番のグチは、ドライブの帰りに家族があまりの気持ちよさに寝てしまう、というものだ。

ガバッと開いたときの荷室スペースはとてもつもなく広い。荷室容量は456リッターとクラス平均だが、開口部の広さ、使いやすさは並みのステーションワゴン以上。後席の折り畳みはダブルフォールディング(座面を跳ね上げてから背もたれを倒す)だが、ヘッドレストを外す必要はなく、操作は簡単。 容量1315リッターまで拡大できる。この時の奥行きは170cm前後だ。ちなみに、ブレークのトランク容量が2割増で、リアゲートがガラスハッチ付きになる。

 
5ドアである証拠写真。荷室の開口部は非常に大きく、実用性はワゴン以上かも
手動収納式のリアウインドウ用ブラインドを備える
後席は下手な高級セダンより広く、足もとはミニバンのようにフラット

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文句なしに滑らかなV6

C5には2リッター直4と3リッターV6があるが、今回のサンプルカーはV6。プジョー・シトロエン系でおなじみの3リッターDOHC(210ps、30.0kgm)は特別パワフルではないものの、回転フィーリングは超スムーズ。1540kgの車重は2リッターモデルの160kg増しだが、現代の欧州製高級車としては割と軽めで、とても軽快に走る。同じエンジンで1.8トン超のC6に比べれば、「ライトウエイトスポーツ」と言いたくなるほどだ。

 
ドイツ車のように路面を踏みしめるのではなく、路面を滑るように走る。パワフルなV6は追い越し車線を延々と走り続けるのに最適

この前期型(2001~2004年)のV6は4速ATだが、このエンジンをもってすれば特に不満はなく、シフトショックも変速プログラムの違和感もなし。2リッターでもいいかな、と思わないでもないが、V6にはV6ならではの高級感があり、このあたりは好み次第という感じだ。

 

ハイドロの乗り味を実感

金属スプリングの代わりに窒素ガスと油圧を使った「ハイドロニューマチック」あらため、最新型の「ハイドラクティブIII サスペンション」は、車高を3段階に変えられるほか、速度が110km/hになると自動的に車高を下げ、90km/h以下になると元に戻る。さらに70km/h以下のラフな路面では、車高が上がる。

2001年と2005年に新車を試乗した時は「意外にコツコツ来るし、あんまりハイドロっぽくないな」と思ったものだが、今回久々にC5に乗ってそのハイドロらしさにちょっと驚いた。自分の意志を持ったような油圧サスペンションの動きや、接地感のないまま路面を滑るように走る感覚は、まさにハイドロシトロエンの世界。「シトロエンは少し旧くなったくらいがちょうどいい」という言葉を、遅ればせながら実体験することとなった。静粛性も高く、とてもリラックスしたまま高速巡航できる。

ひとつだけ違和感を感じるとすれば、止まる寸前のブレーキの効き方。慣れるまではカックンブレーキ風になってしまう。しかしこれはシトロエンの伝統であり、新車時からあるものだから、特に心配する必要はない。

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車名:Citroen C5 V6 Exclusive(2004年モデル)
型式:GH-X4XFX
寸法:全長4620mm×全幅1770mm×全高1480mm
ホイールベース:2750mm
車重:1540kg
駆動方式:FF
エンジン:3.0リッターV型6気筒DOHC
最高出力:210 ps(152 kW) / 6000rpm
最大トルク:30.0 kg-m (285 Nm)/ 3750rpm





トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L
10・15モード燃費:- km/L
タイヤ:215/55R16
発売時期:2001年
当時の新車価格:435万7500円(04年モデル、消費税含む)

 

試乗車スペック

初年度登録:2005年
販売価格:264万1380円(消費税込み) ※シトロエン新車保証付き
走行距離:6,000km
ボディカラー:ルージュ・ルシフェール
備考:電動レザーシート(シートヒーター付)、社外HDDナビ・TV、ETC、CDチェンジャー
試乗日:2007年7月

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信頼性は飛躍的に増している

シトロエンの油圧サスはかつて定期的なメンテナンスが欠かせなかったが、現代の「ハイドラクティブIII」では、5年または20万kmまで「特別なメンテナンスを必要としない」と謳われている。また、2004年4月以降は、新車保証も3年間・走行距離無制限となっており、実は今回のサンプルカーにもまだ新車保証が1年残っていた。もちろん、長く乗れば一般的なバネサスより手は掛かると思われるが、今やシトロエンの理想に世の中全体の技術水準が十分に追いついた、と考えるのが妥当だろう。世間が言うほど案ずることはないと思う。

 
今回のサンプルであるC5は2004年モデルで、走行6000kmという極上車。V6でしかもレザー仕様だ。260万円台という価格は相場の上限だが、それも当然か

そうは言ってもそこはシトロエン。正規販売店の保証が受けられるアプルーブドカー(新車登録から5年未満、走行6万km以内)が安心なのは言うまでもなく、前期型C5はそこにドンピシャではまる。エンジンやオートマチックも完成度が高まっているが、もちろん最終的な決断の前に試乗はちゃんとしておきたい。できればハイドロシトロエン車のオーナーに付き合ってもらうのがいいだろう。

 

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前期型C5はこれからが旬

1968年生まれの私の場合、実際に運転したことのあるシトロエンはバブル期以降のモデル、例えばBX、XM、非ハイドロ車であるAX、ZX以降だが、特に印象に残ってるのは前期型XM。あんな風に豪快で、重量感のある高速巡航を、今まで他のクルマで味わった記憶はない。XMですら「以前に比べて普通になった」と言われていたが、クセの強さは一般の人を怖気づかせるのには十分で、そこがまたひそかな面白さでもあった。

さて今回のC5は、信頼性の面でも運転のしやすさでも、往年のXMの比ではない。ボディサイズから運転感覚まで、本当に普段の足として乗ることができる。それでいてあらためて乗ってみると、シトロエンらしさは妙に濃厚だった。正直言って、最近乗った後期型C5のV6(アイシンAW製6ATで普通になった)やC6より面白いと思ったほど。これくらい少しかたさがとれた時の方が、実はC5本来の姿かもしれない。ハイドロが一体どんなものか一度味わっておきたい人には、総合的にみて前期型C5が今まさに旬と言える。(2007.07)


文・写真:DAYS・Niwa


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