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Uカー試乗記

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新世代ジャガーの第1弾

往年の名車をモチーフにした新世代ジャガー第1弾。フォードの「リンカーンLS」と土台を共用するが、2002年のビッグマイナーチェンジでジャガーらしさが戻った。「ジャガー史上最もスポーティー」と謳われた4.2リッターV8スーパーチャージャーエンジン搭載の「R」をはじめグレードは多彩。駆動方式はFR

ジャガーといえば、ロールスロイスやベントレーと並ぶ「英国生まれの高級ブランド」だが、近年は米国のフォード傘下として、量販が見込める比較的手ごろなモデルを投入するなど、新たな顧客の取り込みを図っている。その新世代ジャガーの第1弾として1999年にリリースされたのが、ミディアムサイズの4ドアサルーンであるSタイプだ。ジャガーがこのクラスに参入したのは、名車「マークⅡ」以来43年振りで、Sタイプという車名も、マークⅡの発展型「Sタイプ」に由来する。優美な内外装が目を引くが、実は走りの部分でも相当なこだわりを持っているスポーツサルーンだ。

2002年のマイナーチェンジで80%以上刷新

3リッターV6エンジン(243ps、31.0kgm)と4リッターV8エンジン(285ps、40.0kgm)の2本立てで発売開始。2002年には、それまで走りの部分で希薄と言われることもあった「ジャガーネス」(ジャガーらしさ)を強化するため、ビッグマイナーチェンジを実施。評判の良かった外観デザインはほぼそのままに、内装、足回りなど実に80%以上のパーツが刷新され、エンジンのラインナップも拡充。新たに2.5リッターV6エンジン(204ps、25.5kgm)が加わったほか、V8は4.2リッター(304ps、42.9kgm)に排気量アップされ、その4.2リッターV8にはスーパーチャージャー仕様(406ps、56.4kgm)も用意された。また、全車トランスミッションは5速ATから6速ATへと進化。さらに2004年のマイナーチェンジでは、ボンネットをアルミ製にして前後重量配分を良好にするなど走りの資質を高めた。こうしてジャガーらしさを強めながら、2007年に生産を終了している。

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美しき野獣

ボディサイズは全長4880mm×全幅1820mm×全高1445mm。国産車に例えればトヨタクラウンぐらいのサイズで、取り回しは良好だ

ジャガーSタイプの最大のセールスポイントと言えるのが、エクステリアのデザインだろう。この点においては「世界で最も“高級”を知っている国」の面目躍如であり、丸いグリルとヘッドライト、絞り込まれた尻下がりのフォルムは、名車マークIIのイメージとまさにドンピシャ。それでいてモダンさもしっかり兼ね備えており、最新のライバル車(メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズなど)と並んでも味わい深い個性が感じられる。時代を超えたモダン&クラシックとでもいおうか。その印象は、ニューMINIと共通するものがあり、好感度は高い。嫌みな威張りをきかせない雰囲気は、知的な高級車にふさわしいものだ。

 
丸をモチーフにしたレトロ調の顔。グリルは2002年のMCでデザインが微妙に変更されており、それまではポカンと子供が口を開いたような処理だったが、MCでは立体的な縁取りがなされ高級感アップ
時代の流れに影響されないモダン&クラシックなスタイリング。ボディカラーは14色も用意され、いずれも車格に合わせた渋めのメタリック塗装となっている
ラゲッジ容量は370リッターと平均的な数値だが、ジャガー初の6:4分割可倒機構リアシートを採用しているため使い勝手はいい
 

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英国ムードぷんぷんの居住空間

マイナーチェンジによって「らしさ」が復活。DVDナビ(タッチパネル)やヒーター内蔵ドアミラー、電動調整式ステアリング、コノリー製レザーシート、電動シートなど、高級車だけあって装備は充実。サイドエアバッグを標準装備するなど安全装備も充実。ちなみに灰皿はずいぶんコンパクト。タバコ2本も吸ったら一杯になってしまう健康仕様

ホイールベースは当時のXJより40mmも長い2910mmを確保しているだけあって、リヤシートの居住性は、当時のジャガー最大ともいえるほど広く快適。フロントシート下に爪先が入らない構造だが、入れるまでもなく、自然でゆったりとしたポジションがとれる。しかも、ルーフにすっぽり覆われるので、後頭部が直射日光にさらされることもない。横方向の余裕もあり、ときには後席に乗せてもらいたいたくなる。インパネは発売当初、いかにも「リンカーンLSの姉妹車」といった感じのデザインだったが、2002年のマイナーチェンジでデザインが一新され、XJと共通のイメージとなった。内装カラーは5種類あり、大別するとアイボリー系とグレー系になる。個人的には雰囲気という点でアイボリー系の方が、このクルマに似合っていると思う。しかし長年乗っていると、アイボリー系はどうしても手垢や黒ずみが目立ちやすく、いかにもUカー然としてしまい、満足感が低下してしまいがち。その点、グレー系なら問題なし。実際、テストカーは内装クリーニングを施していることもあり、爽やかな空間をキープしていた。本革ならではの「味」が出るのは、これからだ。

 
シフトパターンは右ゲートにAT領域、左ゲートにMT領域を設けた、ジャガー独特の「Jゲート」を採用する
本革シートは基本的に標準装備だが、初期型の下位グレードはオプション。アームレスト兼センターコンソールボックスには2名分のカップホルダーが収納されている
XJよりも広々としたリヤシート。前オーナーの使用頻度は少なかったようで、「コシ」のある座り心地も含めて新車のよう
 

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「ジャガーはマイナーチェンジ後に限る」

BMWのようにカキッとスポーツカー的な走りを強調しているわけではないが、安心感を重視したメルセデスよりも操っている感覚は強い

テストカーは2003年式の「3.0 V6」。その名のとおり3リッターV6エンジンを搭載する。乗り味はジャガーの伝統に則ったもので、高級車らしく重厚なのに、ハンドリングは軽快。ヒタヒタと路面を舐めていくような滑らかな走りが特徴で、魅力的なルックスのスポーツサルーンに、必要にして十分の性能が与えられている。2002年のMC後に採用された6速ATの変速プログラムも巧みで、スムーズなのはもちろんのこと、パワースペック以上の力強さを感じさせる。足回りも形式こそMC前と同じダブルウィッシュボーンだが、アルミ軽合金を多用した新設計のものとなり、なおかつ二重防振処理が施された。これによって乗り心地や静粛性、そして操縦安定性もずいぶん良くなっている。

 
3リッターV6エンジンは最高出力243ps/6800rpm、最大トルク30.6kgm/4100rpmを発生。その走り味は2002年のMCを境に大きく異なる。

V6エンジンの音はクルマ好きの心を躍らせてくれる、というほどではないが、ジャガーを買おうとする人は、お洒落なライフスタイルとしてのこだわりの反映としてジャガーを選ぶというのが本音だろう。そうした用途には十分期待に応えるものだ。特に2002年以降のモデルなら完全なジャガーワールドが味わえる。「もっと刺激が欲しい!」という欲張りな人は、当時「ジャガー史上最もスポーティ」と謳われた「R」がオススメだ。高いけど。


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車名:Jaguar S-Type 3.0 V6(2003年式)
型式:GH-J01FC
寸法:全長4880mmx全幅1820mmx全高1445mm
ホイールベース:2910mm
車重:1720kg
駆動方式:FR
エンジン:3.0リッターV型6気筒DOHC
最高出力:243ps/6800rpm
最大トルク:30.6kgm/4100rpm





トランスミッション:6AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/69L
10・15モード燃費:7.7 km/L
タイヤ:235/50R17
発売時期:1999年5月
当時の新車価格:623万円(消費税別)

 

試乗車スペック

初年度登録:2003年12月
販売価格:339万円 (消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:21,000km
ボディカラー:ダークブルー
試乗日:2007年6月

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もうジャガーは壊れない

ジャガーオーナーはお金持ちが多いゆえ定期的な整備をケチらないようで、そのあたりの事情がこのテストカーにもよく表れている。程度は極めて良好。店頭価格は新車時の半額に当たる339万円。バリュー・フォー・マネーを感じさせるお買い得な一台

かつて「ジャガーは壊れる」とよく言われたものだが、今や昔の話。フォードの技術力が功を奏したようで、信頼性は驚くほど高くなっており、Uカー購入時の不安材料も特にない。ATのシフトショックが異常に強くないか、エンジンのフィーリングは悪くないか、それと本革シートのヤレを確認する程度で大丈夫だ。

 

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裏王道の選択肢。2002年モデル以降が「買い!」

お勧めは80%以上刷新された2002年以降のモデルだ。インパネをはじめとする内装ががらりと変わり、性能面も劇的に良くなっている。走り味もちゃんと「ネコ足」だ。何より嬉しいのは、お買い得感が存分に発揮されていること。ジャガーという抜群のブランド力を背景にしながらもSタイプはやや影が薄い存在。それゆUカー相場は同年式・同程度のメルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズと比較して、50万以上は割安と思っていいだろう。車格や性能面からみれば、現状の価格相場は明らかに安い、いや安すぎる。それでいて良家のイメージはUカーになっても失われておらず、「無理して買っちゃった」感がないどころか、逆に精神的・経済的な余裕すら感じさせる。「センスで差をつけるなら、やっぱりジャガーでしょ」と軽めのノリで付き合ってみるのも悪くない。

文・写真:DAYS・Kondo

 

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