掲載日 : 2007年08月21日
2005 プジョー 407SW
傑作シリーズ“406”の正常進化ワゴン
約8年6ヶ月という長きに渡って生産されてきたプジョーのDセグメント車「406」の後継車として、2004年のジュネーブショーで初お披露目となった407。セダン、ワゴン(グレード名はSWと呼ばれる)、クーペの3種類のボディタイプがラインアップされているのも、かつての406と同様だ。ボディサイズは406よりも一回り大きく、ボディのチリもピシッと合うなど、フランス車らしからぬ精密感を漂わせたクルマだ。ホイールベースは2725mmとし、室内空間を大きく確保していることがうかがわれるが、なんと言っても407で特徴的なのがフロントオーバーハング部(フロントホイールよりも前方に突き出したボディ部分)の長さだ。独特の大型エアインテークグリルを備え、他の誰にも似ていないプジョーならではのアイデンティティを強調している。ワゴンボディの「SW」は、広大なラゲッジスペースに加え、後部座席上にまで広がる大型ガラスルーフ(プジョーはパノラミックルーフと呼んでいる)を採用。実用ワゴンとしての機能を果たしつつ、プジョーらしい開放的なドライビングを楽しめるように配慮されているのも、このクルマの特徴だ。
本国フランスでは、2004年4月にセダン、9月にSWがそれぞれデビューしている。日本に導入されているモデルに限ると、搭載エンジンは2種類あり、2.2リッター直4と3.0リッターV6となる。トランスミッションは2.2リッターエンジンにはZF社製4速ATが、3.0リッターエンジンにはアイシン社製6速ATがそれぞれ組み合わされる。ちなみに日本未導入モデルとして1.6リッターディーゼル、2.0リッターディーゼルが本国ではラインナップされている。407SWについて、日本に導入されたグレードは当初、本革シートが奢られた最初期モデルのほか、ファブリックシート仕様の“スポーツ”の2種類。その後“エグゼクティブ”や“レザーパッケージ”などが追加され、グレードの呼称が頻繁に変わっているが、グレードごとの差異は小さい。また、2007年日本向けモデルからは一部マイナーチェンジが施され、2.2リッターエンジンの馬力向上や各種快適装備の標準化などが実施されている。
ちなみにプジョーのモデルチェンジサイクルは比較的長い(約8年前後)ため、407においても、今後じっくり時間をかけて熟成が進んでいくものと思われる。

フロントオーバーハングが、ものすごく長い
猫科の動物を連想させる、大きく口を開けたようなフロントエアインテークが特徴的だが、これはプジョー全車に共通するCI(コーポレート・アイデンティティ)の一種。全長は4775mmとなっており、これは先代406ブレークよりも35mm長くなっている。フロントオーバーハングが長く、非常に個性的なフォルムだ。プジョー社曰く、前方衝突安全性能もたいへん優れているらしく、クラッシャブルゾーンの大きさを考えれば、さもありなん、といったところ。SWではCピラーの形状も特徴的で、リアウィンドウが左右両サイドに回りこんだデザインとなっている。リアコンビネーションランプも大きく、デザインのワンポイントとなっており、むろん後続車からの視認性も高い。さらに特筆すべきポイントとして、ルーフが巨大なガラスウィンドウで覆われている点が上げられる。プジョー307SWから採用された“パノラミックルーフ”である。とかく実用一辺倒になりがちなワゴンボディの車内を、できるだけ開放的な空間とすることで、気持ちよくドライブを楽しむことができる仕掛けだ。
オーソドックスで実用的なインテリア
ダークグレーのカラーリングでまとめられ、シルバーパネルでアクセントをつけたインテリアは、落ち着いた大人の雰囲気をかもし出している。プジョーの4シリーズは昔から華美な装飾を排し、実用的でオーソドックスなインテリアデザインを好しとしてきた経緯があり、最新の407シリーズもその文脈に倣った格好だ。2.2リッターモデルの現車はファブリックシートとなるが(一部に本革仕様も存在する)、座り心地、ホールド感ともに良好。ただし“ふわりと包み込まれるような…”といったフランス車らしい座り心地ではない。コシの強さで身体を支える感覚だ。シックな内装にコシの強いシートとくれば、ドイツ車風の雰囲気を連想するが、そこをガラリと変えているのが、前述したパノラミックルーフである。可視光線透過率は約20%となっており、室内はちょうどいい明るさに保たれている。もちろん電動ブラインドも装着されている。ラゲッジスペースも広く、大きく開くラゲッジドアとも相まって使い勝手は良好だ。先代406ブレークに比べるとラゲッジスペースは狭くなっているようだが、日常シーンにおいて不都合を感じるレベルではない。
しなやかに動くサスペンションの妙
一言で言うと、非常によく出来たクルマである。ボディ剛性が高められたのと同時に、サスペンションのセッティングも絶妙。操安性能と乗り心地をとても高いレベルで両立させており、プジョーというメーカーのポテンシャルを見せつけられた思いがする。フロントオーバーハングが長いことで、挙動にも何らかの影響があるのでは、と思いきや、不自然な印象はまったく感じられなかった。特にコーナリング時の正確かつ自然な挙動は見事で、先代406のような、コーナリングでボディがしなるような不安定な印象はほとんど感じられない。高速走行時のオン・ザ・レール感覚を存分に楽しみつつ、中・低速時の路面のギャップは優しくいなすしなやかさも持ち合わせている。2.2リッターモデルに組み合わされるATは残念ながらいまだに4速だが、シフトアップ・ダウンの挙動はいたって自然で扱いやすい。不評だった406のAL4からZFへと変更されたこともあり、日本の道にもよく合っていて、概ね不満のない仕上がりになっている。
開放的なドライビングを楽しめる
しなやかなサスペンション、建て付けのしっかりしたボディ、絶妙な前後重量配分のバランスの良さ等々のおかげで、407SWの乗り心地は極めて良好だ。乗り手に違和感や緊張感を感じさせないナチュラルな乗り味を実現したその背後には、非常にハイレベルな技術とノウハウが介在している。407は現時点におけるプジョーの技術の集大成であり、もはや一世代前のモデルとなった607をも凌ぐポテンシャルを秘めたクルマ、と言うことができるだろう。難点を挙げるとすれば、ノーズが長くフロントの車軸がどこにあるかが最初はつかみにくいため、街なかでの取りまわしにやや苦労する、という点。また、2.2リッターモデルの場合、車重は約1.6トンあるため、燃費も良くて7~8km/lがせいぜい、といったところだろう(カタログ数値は9.0km/l)。とはいえ、SWならではのパノラミックルーフ越しの空を見ながらのドライブは実に開放的で、実用ワゴンに乗っていることを忘れてしまうほど楽しい。このあたりの演出の上手さは、さすがはフランス車である。
車名:Peugeot 407SW 2.2 (2005年モデル)
型式:GH-D2BR
寸法:全長4775mm x 全幅1840mm x 全高1510mm
ホイールベース:2725mm
車重:1620kg
駆動方式:FF
エンジン:2.2リッター直列4気筒DOHC
最高出力:158ps(116kW)/5650rpm
最大トルク:22.1kg・m(217N・m)/3900rpm
トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L
10・15モード燃費:9.0km/リットル
タイヤ:215/55R17
発売時期:2005年6月
当時の新車価格:380万円(消費税別)
試乗車スペック
初年度登録:2005年
販売価格:312.9万円 (消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:12,000km
ボディカラー:オプシディアンブラック
試乗日:2007年7月
深刻なトラブルは皆無だが、油脂類はチェックすべし
先代の406とは比較にならないほど高い精度で作り込まれた407。2005年に登場したばかりということもあり、設計上の弱点はこれといって見当たらず、深刻なトラブルは皆無といっていい。とはいってもパワーウィンドウが動かない等のマイナートラブルは、数は多くないもののゼロではないので念のため。購入時は車両ごとのコンディションをしっかり見極め、前オーナーがどれだけ整備していたかに関わらず、エンジンオイルは無条件で交換してしまったほうがいいだろう。フロントタイヤの磨耗が気になる車両であれば、4輪すべてを新品タイヤに交換するつもりで。室内の汚れは固体ごとに異なるが、特に運転席シートのやれ具合をチェックして、納得できる車両を選びたい。エンジンをかけ、エアコンの匂いも確認してみよう。喫煙車両は匂いが残っているから、匂いに妥協できるならプライスダウンも期待できるはずだ。
装備・走行距離と価格の比例パターンを把握せよ
407SWの場合、日本登場から2年しか経過していない(2007年8月現在)ため、中古車市場における流通量はあまり多くはないのが現状だ(セダンは比較的豊富に流通している)。407SWに限らず高年式車の場合、走行距離とグレードが綺麗に価格と比例する。たとえば407SW・2.2リッターモデルの場合、290万~320万円がボリュームゾーンとなっており、金額の違いは年式と走行距離の違いによるものだ。ボディカラーについても、極端に人気の色、あるいは極端に不人気の色のモデルは、407シリーズには存在しないようだ。また、現在の407の価格相場を「ちょっと高いな」と感じる方も多いはず。よりリーズナブルに探す方なら、登録から3年が経過する来年6月以降に出回るであろう初期モデルを狙う手もありそうだ。
文:DAYS・Yasuhara


