掲載日 : 2007年09月21日
2005 ボルボ XC90 2.5 オーシャン レース リミテッド
ボルボ初の大型7人乗りSUV
2002年に北米、03年5月に日本で発売されたXC90は、ボルボが初めて作った大型SUV。旗艦セダンである初代S80のプラットフォームを土台とした、7人乗り(5人乗りもある)のMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)でもある。電子制御のフルタイム4WDを採用しているが、基本的には悪路走破性ではなく、万能性や快適性を重視したモデル。SUVの弱点であるロールオーバー(横転)対策を他社に先がけて行なうなど、安全性への真摯な取り組みも大きな特徴だ。
2.5L直5ターボ、3.2L・直6ターボ、後に4.4リッターV8を追加
03年5月発売時は「XC90(標準車)」、「XC90 2.5T」、「XC90 T-6」の3グレードでスタート。価格はそれぞれ555万円、615万円、695万円(消費税含まず)で、前の2つは2.5リッター横置5気筒ターボ(209ps)+5AT。T-6は2.9リッター横置6気筒ターボ(272ps)+4ATだった。
2005年8月には大きな変化がある。まずヤマハ製4.4リッターV8(315ps)+6ATを搭載した「XC90 V8 TE」が登場。また電子制御4WDシステムが、発進時にあらかじめ80Nmのトルクを後輪に配分するプレチャージ式に進化している。
250台限定の「オーシャンレース」
この時、250台だけ発売されたのが、今回採り上げる限定車「XC90 オーシャンレースリミテッド」だ。これはボルボが主催する世界1周ヨットレース「ボルボ・オーシャンレース」を記念したモデルで、V70(800台限定)とXC70(400台限定)と同時に設定された。
内容的には2.5リッター直5ターボ車に、専用色「オーシャンブルーパール」、専用内外装パーツ、専用インテリア、電動サンルーフ、バイキセノンヘッドライト等を装備したもの。5人乗りと7人乗りの両方が用意された。バランスのよい2.5リッターターボの走り、豪華装備、鮮やかなブルーのボディカラーが目を引く人気モデルだ。
現行モデルは自然吸気の直6とV8のみ
2006年10月には、2.5リッター直5+6AT、および2.9リッター直6+4ATを廃止し、新開発の3.2リッター直6(自然吸気)+6ATの「3.2」(238ps)を新たに投入。ラインナップ全体も4.4リッターV8車と3.2リッター車の2つで再編している。(2007.09)

大きいことは大きいが・・・
レンジローバーしかり、VWトゥアレグしかり、小山のようにデカイのがこのクラスのSUVだが、XC90も確かに大きい。全長4800mm×全幅1900mm×全高1780mmの数値だけなら「ちょっと幅広で、背が高いXC70」という感じだが、車重は2.5Tの5人乗りで2060kg、今回試乗した7人乗りは2130kgにも達し、その質量は隠しようがない。とにかく、横に何が並ぼうと負けない存在感がある。
北欧デザインの魅力とは
一方でいいのは、そうした堂々とした体躯でありながら、いわゆる北欧デザインと呼ばれる虚飾を排したデザインであるところ。それでいて品質感は高く、薄っぺらな「プレミアムを訴えるだけの小手先のデザイン」となっていない。温和な人間性のようなものを感じさせる大型SUVはこのXC90だけだろう。
重厚感のあるインテリア
インテリアにも地に足のついた高級感がある。樹脂の高い質感、重厚感はボルボならでは。シボ付け加工などの生産技術や精度は日本車の得意とするところだが、「樹脂ならではの質感」を武器にした演出はデザイナーの仕事。ボルボはそこが一貫している。同じ樹脂なのになぜこれは骨太に見えて、あれは薄っぺらく見えるのか。そんなことを感じさせる内装だ。
純正のビルトイン式DVDナビはオプション装備で高価だったから装着車は少ない。サンプルカーのナビは固定式で、おそらく純正キットを使って販売店オプションか社外品を装着したものだ。ナビの進化は速いから、汎用性を考えるとこれはこれでOK。バックモニターが付いていて便利だった。
予想以上に軽快、取り回しも楽
「オーシャンレースリミテッド」は2.5リッター直5ターボ車をベースとするモデル。よって走行性能に関する部分は、2インチアップの235/60R18タイヤ(標準は225/70R16)を除き、ほぼ標準車もしくは「2.5T」と同じだ。
XC90に取材で試乗するのは、2003年の発売時を含めて3回目。今回のサンプルカーは走行2万km余りを経た車両だが、コンディションはとてもいい。209ps/5000rpm、32.6kgm/1500-4500rpmという低回転型の直5ターボはスペック以上の力持ちで、2130kgのボディを軽々と加速させる。1.8トンくらい?と思うほどで、感覚的な差なのか、03年に乗った2.5Tよりずいぶん軽快な感じがした。
大型SUVに乗る機会が増えたせいか、大きさもあまり気にならない。実際には幅が1900mm、最小回転半径は6.3メートル(タイヤの細い標準グレードは6メートル)だから小回りは決して効かないが、軽いパワーステアリング(デビュー時はもっと重かった気がする)のおかげもあって取り回しは悪くない感じがした。
重厚かつマイルドな乗り心地
乗り心地は極めて重厚だが、レンジローバーよりはずっと軽快で乗用車的。トゥアレグよりは穏やかでマイルド、といったところか。これは、乗用車におけるVW車とボルボ車の違いにも近いかもしれない。エンジンはトゥアレグが自然吸気のV6とV8、今回のXC90は直5ターボで、そうしたパワーユニットの違いも、印象差の要因としては大きい。このあたりは、ターボ車が廃止され、自然吸気の直6とV8だけになった現行XC90だと、また印象が違うかもしれない。
なお、サンプルカーの18インチタイヤは前オーナーによってスタッドレスに換装されていたが、これが乗り心地にマイナスどころか、むしろいい方に働いていた可能性はある。
車名:Volvo XC90 Ocean Race Limited(2005年モデル)
形式:CBA-CB5254AW
寸法:全長4800mm×全幅1900mm×全高1780mm
ホイールベース:2855mm
車重:2130kg
駆動方式:電子制御フルタイム4WD
エンジン:2.5リッター直列5気筒DOHCターボ
最高出力:209ps(154kW) / 5000rpm
最大トルク:32.6kg-m (320Nm)/ 1500-4500rpm
トランスミッション:5速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/80L
10・15モード燃費:7.6km/L
タイヤ:235/60R18
最小回転半径:6.3m
発売時期:2005年8月
当時の新車価格:685万円(7人乗り、消費税含む)
試乗車スペック
初年度登録:2005年
販売価格:498万円(消費税込み)
走行距離:2万1400km
ボディカラー:オーシャンブルーパール
備考:7人乗り仕様、ナビゲーションシステム、社外18インチアルミホイール+スタッドレスタイヤ付
試乗日:2007年8月
軽く試乗して異音をチェック
XC90は03年の発売からまだ4年しか経っておらず、しかも総額600万円オーバーの高価格車ゆえ流通台数は少なめ。なので一概にはチェックポイントを挙げにくいが、やはりできれば試乗して全体の感じや異音はチェックした方がいいだろう。国産・輸入車を問わずオートマチックは要チェックポイント。アイシンAW製の5ATだから基本的にはスムーズに変速する。ボルボは毎年どんどん小改良が入るから、モデルイヤーによって印象が微妙に異なる可能性はある。
緊急性のないマイナートラブルは予想されるが、それはその都度対処すればよい。サスペンションも高級SUVに多いエアサスではなく、普通のコイルバネなので心配は不要だ。
XC90にようやく手が届きはじめた
XC90は前述のように、エントリーグレードでも約600万円、最新のV8モデル(V8 TE)は900万円超の高価格車。「ボルボが好きで、SUVが好き」という人はけっこう多いと思うが、この価格にひるんで購入を断念していた人も多いはずだ。
今回のサンプルカーは05モデルの限定車で498万円。依然安くはないが、諸費用込み価格で考えると、かなり手が出しやすい。正直このあたりの年式なら、限りなく販売店のデモカーレベルに近いしゃっきり感があるし、そもそもこのオーシャンレースリミテッドは新車ではもう手に入らない。その点で今回の物件はお勧めだが、この原稿がアップされる頃にはもうSoldとなっているかもしれない。「オーシャン」を狙っている人はけっこう多いのだ。
今のところ2.5ターボがお勧め
お勧めグレードは、性能的に言って06モデルまであった2.5直5ターボ車(標準車や2.5T、05年のオーシャンリミテッド、06年のブラックパールリミテッド)で十分。2.9直6ターボの「T-6」には残念ながら試乗経験がなくコメントできない。07モデル以降の「3.2」(3.2リッター直6+6AT)は良さそうだがまだ高いし、それだと新車もちらついてくる。
グレードも「標準車」で十分だが、その際はオプションのレザーシート、キセノンヘッドライト(バイキセノン)の有無をチェック。特にキセノンはあった方がいい。5人乗りか7人乗りかは用途次第だが、いずれにしろサードシートは実質プラス2。個人的にはこだわらない。
05年途中(06モデル)からプレチャージ式4WDに
前述のように、2005年夏以降のモデル(06モデル)の電子制御式4WDは、発進時にあらかじめ後輪にトルクを伝達する「プレチャージ式」に進化している。これは2トンを越える車重に対して、従来の4WDシステムでは主に悪路の登坂などで後輪駆動力の立ち上がりが不十分だったことから追加された機能。分かりやすく説明すると、前輪がトラクションを失うより先に、すばやく後ろから押してやる、というイメージだ。
なので、もしスキーに毎週行くとか、週末に林道を走って別荘に通うとかいう場合は、一種の保険として06モデル以降がベターかもしれない。悪路走破性は高いが、過信は禁物。これはすべてのSUVに言えることだ。
文・写真:Kei Niwa, DAYS



