掲載日 : 2007年10月20日
2000 フォルクスワーゲン ポロ GTI
ポロの高性能グレード
ゴルフの弟分である「ポロ」の高性能グレード、それがポロGTI(ジーティーアイ)だ。「GTI」は1970年代の初代ゴルフGTI以来、フォルクスワーゲンが主にゴルフの高性能グレードに与えてきた伝統のバッジである。
初代ポロは1975年に欧州で登場。2代目(81~95年)を経て、3代目(6N型)が欧州で94年、日本では96年に発売された。欧州では98年に、この3代目・前期型をベースとしたポロ史上初の「GTI」が3000台限定で販売されたが、日本には正規導入されなかった。
3代目・後期型ポロがベース
今回採り上げるポロGTIは、3代目・後期型(日本導入2000~02年)に設定されたもので、いわゆるカタログモデルとしては最初のポロGTIだ。
日本仕様は4ドアハッチバックの右ハンドル、5MTのみで、1.6リッターDOHCエンジン(125ps)を搭載する。当時の新車価格は220万円(消費税抜き)で、通常の4ドア車(195万円)より25万円高かった。5MT車で販売期間は2年と短かく、国内での販売台数は「2,000台以上」(VWJ調べ)という。
なお2002年5月にポロが4代目(9N型)にフルモデルチェンジするとGTIはいったん消えたが、05年の4代目・後期型で再び登場。ゴルフ譲りの1.8リッターターボ(150ps、22.4kgm)を搭載している。(2007.10)

BBSホイール、赤キャリ、赤バッジが目印
ボディサイズ自体はノーマルのポロと同じ。外観の識別点は、15インチのBBS製アルミホイール&195/45R15偏平タイヤ、プロジェクター式キセノンヘッドライト、赤く塗装されたブレーキキャリパー、専用メッシュグリル、前後の「GTI」バッジだ。
専用シートとマニュアルシフトノブ
内装は基本的にノーマルのポロと同じ。VW車の見た目品質が急激に高まった頃のモデルだが、がっしりとしたシート、重厚なドアの閉まり音、ところどころ露出したボディ鉄板など、VWらしい質実剛健な作りだ。3本スポークのステアリングはノーマルと共通だが、シートやシフトノブはGTI専用となる。
7年落ちながら剛性感をキープ
サンプルカーは00年式(7年落ち)で走行1万7000km。走行距離が極端に少ないが、内装の状態や試乗した印象では、妥当な感じ。外装には一通り仕上げが入っており、右ドア周辺の補修跡もきれいだ。ご存知の通り、ユーズドカーではボディ剛性に直接関係しない部分の補修は「修復歴」とは呼ばない。価格は整備渡しで100万円ポッキリ。ホットハッチ系で手頃な物件を探している人には、ちょっと気になる物件だろう。
乗ってみると当然、新車のようなシャッキリ感こそないが、特に気になるようなヤレはない。これはもともとのボディ剛性が高いからだろう。低速トルクが若干弱めで発進にコツが要るが、これくらいは軽く乗りこなしたいところ。
実は初代ゴルフGTIより速い?
1.6リッターDOHCユニットは、中回転域が最もパワフル。アクセルを煽ればブオンと応えるレスポンスが気持ちいい。頭打ちが思ったより早いが、馬力荷重は1090kg/125ps=8.72kg/psだから、こんなところだろう。ちなみに初代ゴルフGTIは馬力こそ110psだが、車重は800kg台と抜群に軽かったから、ポロGTIの場合は「買ったらもう少し軽量化して」などと考えてしまいそうだ(個人的には)。
メーカー発表値は、最高速度が205km/h、0-100km/h加速は8.7秒。初代ゴルフGTIはそれぞれ182km/h、9.8秒だったから、実はポロGTIの方が数字上は速い。ただし体感上の速さは別である、とここでは初代GTIの名誉のために付け加えておく。
乗り心地、操縦性、直進安定性などシャシー性能もバランスのよく取れたもの。残念ながら新車時のポロGTIに乗る機会はなかったのだが、現状でも同クラス国産車に比べて遜色はない。
車名:Volkswagen Polo GTI (2000年モデル)
形式:GF-6NARC
寸法:全長3750mm×全幅1660mm×全高1425mm
ホイールベース:2410mm
車重:1090kg
駆動方式:前輪駆動(FF)
エンジン:1.6リッター直列4気筒DOHC
最高出力:125ps(92kW) / 6500rpm
最大トルク:15.5kgm (152Nm)/ 3000rpm
トランスミッション:5速MT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L
10・15モード燃費:15.0km/L
タイヤ:195/45R15
最小回転半径:4.9m
発売時期:2000年5月
当時の新車価格:220万円(消費税含まず)
試乗車スペック
初年度登録:2000年
販売価格:100万円(消費税込み 保証なし整備渡し)
走行距離:1万7000km
ボディカラー:サテンシルバーメタリック
備考:社外CDチェンジャー装備
試乗日:2007年9月
駆動系をチェック。後は「貯え」で対処
一般にマイナートラブルが多いと言われた3代目・前期型ポロでも、対策品に替えてしまえば、後は経年劣化の範疇。後期型ではネガティブな話をほとんど聞かない。整備・維持コストは国産車並みと思っていいが、すでにこのGTIでも5~7年落ちなので、エアコンや前席パワーウインドウの調子は要チェック。保証期間が短いものは、多少の「貯え」(10万円くらい)を用意しておいた方がいい。 なお、パワーウインドウが壊れたら、いっそ手回しに式に変えてしまう手もある。その方がGTIらしい。
それからGTIはMT車ということで、駆動系はチェック必須項目。MT車のギアボックスやクラッチは運転の上手い人が乗れば10万kmでも20万kmでもほとんど痛まないが、そうじゃない人が乗ると早い時期にガタが出ることもある。10万~15万km超で、エンジンマウントを含めてリフレッシュを考えるのが普通だ。中にはイジッたクルマで安価な車両もあると思うが、ビギナーにはお勧めしない。思わぬトラブルの原因になったり、現状復帰したくなったりするからだ。その点ではノーマル状態のクルマを選んだ方がお得といえる。
初代ゴルフGTIに最も近い存在
VW乗りなら一度は憧れるGTI。メーカーであるVWも「GTI」の名は別格の扱いで、ポロにも20年以上「G40」(スーパーチャージャー仕様)や「GT」しかなかったくらいだ。
GTIの元祖はもちろん初代ゴルフGTIだが、ボディサイズといい、1.6リッターという排気量といい、今回の6N型ポロGTIこそ初代GTIの再来。ゴルフIはもちろん、IIやIIIのGTIは今やヴィンテージカーだし、IVやVのGTIや現行ポロGTIはまだまだ高価。手頃に買って、手軽に乗れるGTIは、この代のポロGTIしかない。
特に免許をとったばかりの若い人にはぜひお勧めしたい。これで運転を覚えて、マニュアル車の扱い方、ドイツ車の良さを知ってもらいたい。そういうことの出来るクルマが最近は本当に少なくなってきた。
文・写真:Kei Niwa, DAYS



