掲載日 : 2007年11月01日
2003 フォード エクスプローラー
フォードのベストセラー中型SUV
初代フォード・エクスプローラーはブロンコII(ブロンコの小型版)の後継として1990年に登場。アメリカンSUVとして比較的コンパクトな5ドアボディ、ブロンコ風のスクエアなデザイン、快適性や走行性能が評価され、米国ではSUVの販売ナンバー1を誇る。95年には丸みを帯びたデザインの2代目に進化した。
3代目で4.6リッター車が登場
今回紹介するのは2000年に登場、01年に日本へ導入された3代目。ホイールベースを延長して2×3×2の3列シート・7人乗りを採用し、外観から快適性まで高級感を大幅にアップ。米国ではミドルクラスだが、日本では堂々たる大型SUVだ。エンジンは従来からの4リッターV6・OHC(213ps)に加えて、新しく4.6リッターV8・OHC(242ps)を上級の「エディバウアー」に搭載。変速機はいずれも5ATで、先代からの発展版であるフルタイム4WDシステム「コントロールトラックAWD」を備える。一部の例外を除いて全車右ハンドルだ。
05年末のビッグマイナーチェンジで外観を変更。V8の「エディーバウアー」のみ6速AT化された。2007年現在の現行モデルはすべて左ハンドルとなっている。
なお「エディバウアー(Eddie Bauer)」とはフォードSUVの上級グレードによく使われる名称で、元々は米国の老舗アウトドアメーカーのブランド名。高品質なダウンジャケットをいち早く世に送り出したことで有名だ。(2007.11)

端正な顔の3代目・前期型
旧くからアメ車を知る人は「エクスプローラーってこんなに大きかったっけ」と思うかもしれない。全長約4.8メートル、幅約1.9メートルはともかく、約2.9メートルのホイールベースはいかにもアメリカンサイズ。1.8メートルの全高もあいまって、小山か象のような存在感がある。ただし端正な顔のおかげで、威圧感は少ない。
先代(2代目)のデザインは当時フォードが積極的に展開していた楕円をモチーフにしたもので、好みが分かれるものだったが、この3代目(前期型)はその反動のようにコンサバ路線に回帰している。これが後期型(06モデル以降)になると、今度はレンジローバーを思わせる高級志向のデザインになる。私見だが、初代エクスプローラーにも通じる、素朴なアメリカンSUVらしさが感じられるのはこの前期型の方だろう。
目指しているのは「自分の家」
インテリアも典型的なアメリカンSUV、もしくはフォードSUVの世界。広々した空間、車内に入るとホッとする気取らない雰囲気がある。欧州製の高級SUVがホテルやレストランだとすれば、エクスプローラーはあくまで「自分の家」。厳しい自然やストレスフルな生活の中で、気を緩めることが出来る空間となっているわけだ。
心地よいパワー感、乗用車レベルの操縦性
試乗したのは4.6リッターV型8気筒OHCエンジン(242ps、39.0kgm)を積む「エディバウアー」。初代から2代目までずっと6気筒だったエクスプローラーに待望のV8エンジンを搭載したもので、この3代目が上級クラスに移行したことをよく表している。オンロードでの走行性能や快適性を重視して、サスペンションはフロントはもちろん、リアも独立式だ。
実際、SUVのユサユサ感は皆無で、誰でも安心して運転できる。車重2170kgはそれなりに重いが、39kgmのまろやかなトルクが軽々とその巨体を動かしてくれる。同じようなパワー感は国産や欧州製の大排気量SUVでも味わえるが、この心地いいV8プッシュロッド風の(実際にはOHCだが)力強さはアメ車ならでは。ステアリングを切った時の反応はかなりフツー、つまり乗用車的で、ブレーキも安心して踏める。全体として過去のアメリカンミニバンやSUVとは一線を画す出来だ。
取り回しも心配なし
しかも狭いところでの取り回しも予想外にいい。全長4.8メートルとは思えないほど小回りが効くので、交差点でのUターンもすんなりこなしてくれる。最小回転半径5.8メートルは国産のFF大型ミニバンと大差ないもので、しかも体感的にはそれよりノーズが内側に入ってくれる。そもそも絶対的な道路占有面積なら、今時の大型セダンとどっこいどっこいなのだ。右ハンドルなので、国産車しか乗ったことのない人も安心だし、女性でも普段から3ナンバー普通車に乗っている人ならすぐに乗りこなせるだろう。
車名:Ford Explorer Eddie Bauer(2003年モデル)
形式:GH-1FMWU74
寸法:全長4825mm×全幅1880mm×全高1805mm
ホイールベース:2890mm
車重:2170kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:4.6リッターV型8気筒SOHC
最高出力:242ps(178kW) / 4750rpm
最大トルク:39.0kgm (382Nm)/ 4000rpm
トランスミッション:5速AT
使用燃料/容量:レギュラーガソリン/85L
10・15モード燃費:6.0km/L
タイヤ:245/65R17
最小回転半径:5.8m
発売時期:2003年3月
当時の新車価格:460万円(消費税含まず)
試乗車スペック
初年度登録:2003年
販売価格:288万円(消費税込み)
走行距離:3万2000km
ボディカラー:ホワイト
備考:アルミホイール、レザーシート、サンルーフ標準装備
試乗日:2007年10月
信頼性は高いし丈夫。気になるのは消耗品くらい
3代目・前期型(01年末~05年末)の場合、2007年現時点で最小2年落ち、最大でも6年落ち。このあたりの年式で内外装の状態が良いものなら、メカニカル面でもまず心配はない。80年代以前のアメ車ならいざ知らず、現代のフォード車の品質は日本で一般に思われている以上に高く、整備性、耐久性、整備コスト、部品の互換性などは国産車や欧州車よりむしろ優れている。アメリカには自宅のガレージでエンジンを下ろしてしまうような「DIY」な人が珍しくないが、彼らがフォード車を選ぶ理由もそんなところにある。
強いて言えば、多くの個体で消耗品が要交換となる時期なので、例えば245/65R17の大径タイヤに始まり(サンプルカーのものは少なくとも2輪はすでに要交換だった)、ブレーキパッド、各種オイル、プラグ、バッテリー、ベルト類などの状態は見ておこう。どの程度ばっちり整備してもらうかを購入時に相談しておくのもいい。「購入して半年やそこらで整備にもってゆくのは面倒」と考えるなら特にそうだ。
いまなら3代目・前期型がお勧め
この3代目エクスプローラー、いかにもブルーオーバル(フォード社のニックネーム)らしい、明るく健康的なデザインと手堅い作りを備えたバランスの良いクルマだ。決して最新ドイツ製プレミアムSUVのようにシャキッと走り、曲がり、止まるクルマではないが、日本の高速道路や一般道で走るには十分な性能だし、それ以上にアメ車らしい走りの「癒し感」が魅力だ。
さて、現時点でエクスプローラーをUカーで購入するとなれば、やはり今回の3代目・前期型がお勧め。2代目までさかのぼってしまうと年式も設計年次も古過ぎる感がある。後期型(現行モデル)はまだ高価だし、しかも左ハンドルしかない。シンプルなデザインが好みなら、もう迷うことはない。3代目・前期型を狙おう。
V6でもV8でも大差はないが
あとは、新車時に70万円ほど価格差があった4リッターV6の「XLT」か、4.6リッターV8の「エディバウアー」か。先に結論を言えば、そうこだわる必要はない。当然V8の方がパワフルで、高回転までシュワンとスムーズに回るが、実はV6でもアメ車らしいトルク感は十分に味わえる。依然としてアメ車ファンの間には「アメ車ならブイハチ」という意識が根強いが、燃費や維持費も似たようなものだし(その点でこのリンカーンLS譲りの新型V8は優秀)、どちらの変速機も5ATだし、実質的な差はよくもわるくも少ない。
グレードはむしろ、「XLT」の布シートか、「エディバウアー」の革シート(サンルーフも付く)のどちらが好みかで選びたい。ちなみに子供の頃、「ノースフェイス」や「シェラデザインズ」などのアメリカン・アウトドアブランドに感化されて育った自分としては、「エディバウアー」の名前に抗しがたいものを感じてしまう。当時のそれらはすべて正真正銘のUSA国内製で、とても高品質で理想主義的な、まさに旧き良きアメリカ製品だった。このエクスプローラーにもそんなアメリカの良心が受け継がれているように思える。
文・写真:Kei Niwa, DAYS



