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Uカー試乗記

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主なマーケットはSUV大国・アメリカ

メルセデスのオフロード車といえば、質実剛健を地でゆくGクラスがまず挙げられるが、1990年代後半から始まった高級SUV人気の波に乗る形でメルセデスが新たに開発したのが、このMクラスである。Gクラス譲りの本格オフロード走破性能を踏まえつつ、メルセデスらしいラグジュアリーな内外装を与えられた初代Mクラス「W163」は、1998年に発表された。強力な差動制限装置などは装備していないものの、フレームはモノコック式ではなく、本格四駆の定番であるセパレート式を採っている。基本的には普通乗用車の延長線上ではなく、本格四輪駆動車の血を受け継いでいるモデルであることが分かる。Mクラスの主要なマーケットは北米で、SUVへの根強い人気を背景に、生産もアメリカ国内で行われている。ちょっぴりアメリカンSUVライクな、いい意味でのユルさを感じるのも、こうした背景が関係していると思われる。

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メルセデスの新ジャンル、Mクラス

1998年に北米市場でデビューしたMクラスは、高級車専門メーカーから総合自動車メーカーへと脱却しようとしていた当時のダイムラー・クライスラー社が放った戦略的一手である。同年8月には日本への導入も開始され、3.2リッターV6モデルからはじまり、翌年5月には4.3リッターV8をラインナップに追加。さらに2000年5月には2.7リッターコモンレール式直噴ディーゼルターボモデルも追加されている。2001年4月には、5.5リッターエンジンを搭載したMクラスのスポーティバージョン「ML55 AMG」も登場。2003年3月には、3.2リッターモデルが3.7リッターモデルへとバージョンアップ。その後も様々な限定車などを登場させつつ、2005年10月、二代目となるモノコックボディの「W164」へとバトンタッチしている。

 

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メルセデスらしい上品で無難なデザイン

街乗りを重視するシティ派SUVらしく、エレガントでやさしい印象のボディデザインをまとったW163型Mクラス。プロジェクター式ヘッドライトが高級感を醸し出しているほかは、これといった華も特にない。良くも悪くも街に自然に溶け込む無難なデザインで、このあたりは賛否両論といったところ。ボディサイズはトヨタ・ハリアーと同程度ながら最小回転半径は約6メートル、車重は2トンを超えるというなかなかの大物ぶりだ。派手さを控えた無難なデザインだけに、誰でも気軽に乗りこなせる気安さを感じさせてくれるクルマではある。

 
ML320は17インチアルミホイールを装着。ちなみに、同時期にリリースされていた「スポーツライン」は18インチホイールとなる
プロジェクター式ヘッドライトが採用されたおかげで、地味な外観にワンポイント・アクセントが付き、引き締まった印象に
メルセデスが最初に登場させ、当初は目新しかったドアミラー内蔵型ウィンカーレンズ。視認性が高まり、しかもスタイリッシュ
 

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高級乗用車づくりのノウハウを四駆に活かす

レザー仕様モデルはステアリングも本革巻きとなる。インパネはじめ、全体的に地味で無難なデザイン・色使いになっている

インテリアの造りや質感はメルセデスらしさを巧みに醸し出しており、たとえばアメリカンSUVなどと比べれば質感は高いといえるが、現代のメルセデスを見慣れた目で見てしまうと、それほどでもないな、と感じてしまうかもれない。メルセデスの文法に沿ったシンプルかつオーソドックスな配置のおかげで、運転席に座るとラダーフレームのSUV車であることを忘れてしまいそうになる。試乗車は本革シート仕様となり、座り心地は良好だ。また、ホイールベースが2820mmもあるため後席の居住性は足元空間、頭上空間ともに十分な大きさを確保している。リアシートを倒し、段差を埋めるボードを使えば、ほぼフラットなラゲッジスペースが出現する。SUVなので床面は多少高いが、おおむね使い勝手は良好といえる。


 

本革で覆われたシートはメルセデス独特の座り心地
センターコンソールに張り込まれたウッドパネルが、室内全体の高級感を高めている印象だ
身長180センチ近い大人がゆったり二人座れるスペースを確保したML320の後部座席
 
リアシートは脇のレバーを操作することでスライド可能
ドアパネルのサイドエアバッグ収納部分にも本革をふんだんに張り込んで高級感を演出。パネル部はアルカンタラのような肌触りだ
後部座席を倒し、隙間を埋める板をかければ(いちおう)フラットなスペースが出現する
 


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躾のいい、静かで快適な乗り心地

搭載される3.2リッターV6SOHCエンジンは低速トルク重視型となっており、5速ATと組み合わされる。2トンオーバーのボディを引っ張り上げるパワーはなかなかのもので、日常的な使用シーンにおいてはこれで十分と思わされる。エンジンの振動や騒音も小さく、低速から100km/hまでの日常使用域は非常に快適だ。乗り心地も非常に良好。車重が重いことも一因だが、クロカン四駆特有のゴツゴツとした硬い印象は皆無で、あくまでもゆったりと滑らかな動きを見せる。直進安定性も高く、コーナーリング中のロールもしっかりと抑えられており、ラダーフレームとはいえSUVとしての完成度は高い。駆動方式はフルタイム4WDとなり、LSDなどは備わっていない代わりに、4ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)を搭載する。これは4輪のブレーキを個別に制御することで、滑りやすい路面や車輪が浮いた時に車輪の空転を抑え、グリップしているタイヤで駆動力を伝えるものだ。ラグジュアリーSUVとはいえ、このような最新デバイスを使ってオフロード走破性能をしっかり確保しているあたりが、メルセデスのプライドなのだろう。

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車名:Mercedes-Benz ML320(2003年モデル)
型式:GH-163154
寸法:全長4645mm x 全幅1835mm x 全高1820mm
ホイールベース:2820mm
車重:2080kg
駆動方式 :フルタイム4WD
エンジン:3.2リッターV型6気筒SOHC
最高出力:218ps(160kW)/5600rpm
最大トルク:31.6kg・m(310.1N・m)/2700~4800rpm


トランスミッション:5AT
使用燃料/容量 :プレミアムガソリン/83L
10・15モード燃費:7.3km/リットル
タイヤ :255/60R17
発売時期:2002年11月
当時の新車価格:520万円(消費税別)

 

試乗車スペック

初年度登録:2003年
販売価格:308.0万円 (消費税込み) ※AP保証付(12ヶ月間、距離無制限)
走行距離:38,000km
ボディカラー:ブリリアントシルバー
試乗日:2007年10月

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定期メンテを受けていた車両を選びたい

3.2リッターV6エンジンはSOHC方式で、吸気バルブ2本、排気バルブ1本という構造。特に低速トルクを重視したセッティングだ

先代(W163)Mクラスの場合、チェックの基準となるのは走行距離と、前オーナーの整備状況だ。できればオイル交換等の基本的なメンテナンスが施された、素性のはっきりしている車両を選びたい。エンジン、足回り等、基本となる部分は堅牢にできており、セパレートフレーム構造のボディ自体も頑強だ。室内の汚れもしっかりチェック。革シートのヤレ具合や運転席に座ったときの沈み込む感じなど、些細なことだがしっかり確認しておくといいだろう。タイヤの磨耗チェックは忘れずにやっておきたいところ。可能であればエンジンをかけ、エアコンの匂いチェック、ATのシフトショックの有無、走行時の異音・振動等を確認できればより安心だ。試乗を受け付けてくれる誠実なショップで購入すべし。


 


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先代(W163)Mクラスは今、リーズナブルだ

新車時の車両価格が500万円台と、メルセデス車にしてはリーズナブルなMクラスは、ユーズドでの割安感も強く、中古車在庫は活発に動いている状況にある。特に2005年に行われたW164へのフルモデルチェンジに伴い、先代W163モデルの相場価格はさらに割安感が強くなってきているのもポイント。グッドコンディション車両を200万円台後半で手に入れることも夢ではない状況で、同クラスのSUVであるボルボXC90やBMW X5などと比べても、先代ML320の割安感は圧倒的だ。ボディカラーはブリリアントシルバーが人気のようで、現在までのところ在庫量も豊富だから、よほど特殊なグレード・装備を望まない限り在庫は見つけやすいはずだ。

 
シンプルでそっけないデザインのリアコンピランプ
もちろんルーフレールも装備
ラゲッジドア内部には救急ボックスと三角表示板を装備する
 

文・写真:DAYS・Yasuhara


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