掲載日 : 2007年12月27日
2005 フォルクスワーゲン トゥアレグ V6
カイエン、Q7とシャシーを共有する大型SUV
トゥアレグはフォルクスワーゲン社が初めて手がけた大型高級SUV。2003年に欧州・北米で発売、日本では同年7月に発表、9月に発売された。車名Touaregは、サハラ砂漠の遊牧民(トゥアレグ族)に因む。
セールスポイントはオンロード性能、オフロード性能、高級車並みの快適性の3つで、VWはこれを 「3 cars in 1」 と呼んだ。プラットフォームはポルシェ カイエン(03年発売)およびアウディQ7(06年発売)と共有。パワートレインにも共通する部分は多く、例えば副変速機(ハイ・ロー2段)付の電子制御・多板クラッチ式フルタイム4WDを備える点はカイエンと同じだ。
一方で異なる部分も多く、例えばQ7のフルタイム4WD「クワトロ」は、センターデフにトルセンLSDを用いた舗装路重視のものであるし、トゥアレグとカイエンは5人乗り、全長とホイールベースの長いQ7は6人ないし7人乗りとなる。当然、エンジン性能やシャシーの設定も三者三様だ。
主力は3.2リッターV6と4.2リッターV8
03年導入当初は3.2リッターV6(220ps)と4.2リッターV8(310ps)の2種類。価格はそれぞれ495万円と645万円(いずれも消費税抜き)だった。V6は04年8月以降、241psにパワーアップしている。
05年7月には6リッターW12(450ps)を積んだ「W12 スポーツ」、翌年にはその豪華版「W12 エクスクルーシブ」が限定的に導入された。06年には「V6シュトルツ」「V8シュトルツ」と名称変更(「Stolz」はドイツ語で「誇り」を意味する)。07年5月のマイナーチェンジでは、エンジンを新世代の3.6リッターV6(280ps)、および4.2リッターV8(349ps)に換装。同時にフェイスリフトや左サイドアンダーミラー追加などの外観変更が行なわれた。これを機にグレード名は再び「V6」「V8」に戻っている。(2007.12)

外寸はカイエンとほぼ同じ。Q7よりかなり短い
全長は4.8メートル弱と国産アッパーミドルセダン&ミニバン並みだが、全幅が1.9メートル余り、全高1.7メートル余りとなると、やはり迫力がある。車重はこのV6モデルで2270kg。取材時に屋内展示場から車両を出す時は、いつもエンジンを掛けずに3、4人のスタッフで押して出すのだが、なかなかこたえる重さだった。まあ、この時の重さ(抵抗)は車重のみならず、タイヤの転がり抵抗(足回りのアライメント等による影響大)もあるのだが。
とはいえ、無闇に大きいわけでない。最小回転半径はたった5.4メートルで、現行パサート(5.3メートル)と大差なし。これはトゥアレグの方がタイヤ切れ角が大きいからだ。また、全長が短いため(Q7より30センチほど短い)、最近多いコインパーキングなどは利用しやすい。
機能的かつ質感の高いインテリア
華美ではないが、質感の高いインテリア。高級感に惹かれるのは人情だが、往々にして控えめな方が好感は持たれる、という典型か。本格オフロード車らしく、センターコンソールには4WDのモード切換ダイアルが備わり、いったん停止してからニュートラルで操作する。4つのモードのうち最も悪路に強いのが一番右の「ローギア&センターデフロック」だ。歩くような遅さで進むことが可能で、前後直結となる。
どこでも走れる、まさにオールラウンダー
サンプルカーは05年式の3.2リッターV6モデル。2年落ち、走行1万1000km、新車保証も残り10ヶ月のグッドコンディション車だ。カタログスペックだけ見ると、「2.3トンのボディに3.2リッター(241ps)で大丈夫か?」と思ってしまうが、アイシンAW製の6ATがきっちりパワーを引き出してくれるため、予想外に軽快に走ってくれる。アクセルベタ踏み時の加速感こそ排気量相応だが、パワーはとりあえず十分だろう。前年までの220psモデルでも最高速は197km/h(発表値)だったので、この241psモデルなら200km/h超の実力がありそうだ。
上で触れたように、小回りが効くし、ステアリングも軽いため、運転はイージー。コンパクトカーしか乗ったことがない女性でも、まあ、いきなりの縦列駐車はともかく、運転を任せられそう、と思える。サンプルカーを運転した印象はおおむね新車時と大差なく、磨耗が進行しているタイヤをちょっと奢(おご)ったタイヤに交換すればほとんどデモカーレベルまで復帰しそうだ。
車名:Volkswagen Touareg V6(2005年モデル)
形式:GH-7LBMVS
寸法:全長4755mm×全幅1930mm×全高1730mm
ホイールベース:2855mm
車重:2270kg
駆動方式:電子制御フルタイム4WD
エンジン:3.2リッターV型6気筒DOHC
最高出力:241ps(177kW) / 6200rpm
最大トルク:31.6kgm (310Nm)/ 3200rpm
トランスミッション:6速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/100L
10・15モード燃費:7.5km/L
タイヤ:前:255/55R18/後:255/55R18
最小回転半径:5.4m
登場時期:2003年9月(前期モデル)
当時の新車価格:523万9500円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録:2005年
販売価格:456万9000円(消費税込み)
走行距離:1万1000km
ボディカラー:ブラックマジックパールエフェクト
備考:DVDナビ・TV、サンルーフ、新車保証残あり
試乗日:2007年12月
内装をチェック。消耗品込みで検討を
2007年12月現時点では、最大でも4年落ちに過ぎないので、マイナートラブルはあってもメカ部分で特にここが要チェックという部分はない。チェックするとすれば、内装のつや消し表面処理のキズやはがれ。この時代のVW車にままあるもので、完全な修復は難しい、というか部品交換では高く付き過ぎる。キズがないのに越したことはないが、ある程度は目をつむる、というのも現実的には一つの手だろう。
基本的には年式や走行距離はあまりアテにせず、信頼できるお店で買うのが絶対条件。また実際にオフロード走行した車両もあるはずなので、前後の下回り、サイドシル裏など、ダメージの有無は確認しておきたい。ただし自分もオフロードをガンガン走る予定なら、神経質になる必要はないと思うが。なお、今回試乗したサンプルカーは、前輪ショルダーの磨耗がすでにけっこう激しかった。タイヤ、ブレーキパッドなどの消耗品は、購入時にリフレッシュしてしまった方がいいだろう。
一般的にはV6がお勧め
輸入SUVにおける定番中の定番がこのトゥアレグだろう。あえてメカ的に近いカイエンのV6、V8、アウディQ7と比べると、カイエンは確かに趣味性が高くて、走りもいいが、家族のことを考えると格段にハードな乗り心地(特に後席)がちょっとツラい。Q7は快適至極だが、新車価格や年式からいってまだ高価であるし、流通量も少なく、またキャラクターもかなり都会的になる。これら三車は明確に乗った印象が異なるので、自分の好みと用途をよく考えてから選ぶべきだろう。ファミリーカー的な資質に限れば、むしろボルボXC90あたりがトゥアレグに近いかもしれない。ただし、悪路走破性は比べるべくもなく、副変速機とデフロックを備え、非エアサス仕様でさえ水深500mmを走破しようというトゥアレグが断然優る。
トゥアレグのV6とV8では、やはり維持費(ガソリン代など)や車両価格の点で、V6がお勧めしやすい。もちろん高速道路や登り坂で頼もしいのは言うまでなくV8だが。なお、トゥアレグでもエアサスがオプションで選べたが(初期V6を除く)、流通量はわずか。極悪路走破用にどうしても車高を上げたい、といった特別な理由がない限り、コイルバネで十分だろう。
文・写真:Kei Niwa, DAYS


