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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2008年01月11日

2003 ルノー カングー

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ルノーは元々フランスの国営企業で(現在は民間企業)、国民生活に資するためのリーズナブルな実用大衆車を長く作ってきた自動車メーカーである。ルノー・カングーは、商用車「ルノー・エクスプレス」の後継車。商用車的な性格を色濃く持ちつつも、ファミリーユースとしての使い勝手をさらに高めたモデルだ。日本で言うところのトヨタ・プロボックスをベースにしたサクシード、あるいはホンダ・パートナーに対するエアウェイブのような位置づけ、と言っていいかも知れない。エンジンを元気良く回し、街をキビキビ走り回るシチュエーションで、このクルマは大活躍する。大きな荷物もどんどん積める天井の高いラゲッジスペースは、たとえば大きな花束などを縦に積む際などに便利。商店主など個人事業主から高い支持を得ているのは日本もフランスも同様。リーズナブルで飾り気のほとんどない実用主義が受け、全世界で230万台もの販売台数を記録している。

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1980年代に活躍したルノーの小型車「5(サンク)」をベースに、商用車として登場したのが「ルノー・エクスプレス」というクルマだ。ボディ後半部分に大きな四角い箱を載せたかのような無骨なフォルムと使い勝手の良さで、多くの人々(やはり主に個人事業主)に親しまれた。

ルノーカングーは、このエクスプレスの正式な後継モデルとして1997年、フランス本国で登場した。エクスプレス同様、商用としての使い勝手を高め、なおかつたくさんの荷物を搭載できるファミリーカーとしての性格も持ち合わせているのが特徴だ。日本では2002年に正規導入開始。03年8月にはマイナーチェンジが実施され、排気量が200ccアップして1.6になったほか、釣り目形状ヘッドライトが備わり現代的な顔つきに生まれ変わっている。ラゲッジドアはハッチバックタイプとダブルバック(観音開き)タイプの2種類があるが、06年頃から日本ではダブルバックタイプのみのラインナップとなっている。また、06年からカタログモデルとなった「オーセンティック」は装備を簡略化した廉価グレード。その他、ルーフ後部のガラス部分がポップアップして開く「ジラフォン」も限定的に導入されている。

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両側スライドドアを備えたトール1BOX

高さ1.8メートルを超える背の高いボディの両側にスライドドアを付けたことで、室内へのアクセスがたいへん良好なカングー。背の高さに加えてサイドウィンドウのサイズが非常に大きいのも特徴だ。後部のラゲッジドアは観音開きタイプ。左右非対称で開き、操作も軽い。ドアヒンジがむき出しになるなど、全体的に虚飾を排した実用主義に基づいてデザインされていることが伺える。街を走れば風景に溶け込む印象のあるカングーだが、そのさりげなさがこのクルマ最大のチャームポイントかも知れない。5ナンバーサイズ枠に収まっているのも好印象だ。

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大きな窓で視界も良好

ドア内側やAピラー部にはボディ同色パネルが配され、明るい印象

少々腰高感のあるフロントシートに座ると、アイポイントが高く、見晴らしが非常に良いことに気づくはず。窓が大きいため周囲を見渡しやすいのだ。込み入った市街地をあちこち動き回るのに最適なフォルムと言えるだろう。また室内は天井の高さを利用した収納スペースが設けられている。フロント上方とラゲッジスペース左右上方に備わる収納ポケットは、様々な用途に活用できるはずだ。オプション設定になるが、ムーンルーフとキャンバストップが組み合わされた「パノラミックサンルーフ」装備モデルもある。

内装の質感はそれほど高くはないが、シートの座り心地は良好で、疲れにくい大きめサイズなのもうれしい。商用車という素性を持っているだけに、装飾よりも実利を優先する姿勢が、そのままカングーの魅力になっている。

 
ホールド性良好のフロントシート。長時間でも疲れにくい
リアシートの座り心地も上々。頭上空間にもゆとりがある
リアウィンドウは5センチほど外側に開けることができる

室内へのアクセスがとっても便利

天井が高いため、かなり大きな荷物でも難なく搭載可能だ

ダブルバックタイプと呼ばれる観音開きタイプのラゲッジドアを開ければ、床面がフラットで広大なラゲッジスペースを自由に使うことができる。さらにリアシートを畳めば自転車なども簡単に積み込める。大きな荷物をどっさり積み込みたい、という業務用ニーズにもしっかり対応できるクルマだけに、レジャー用品を積み込む際などの使い勝手は非常に高い。この実用性の高さこそ、カングーが日本でも受けている最大の理由だ。ただし、たとえばアウトドアレジャーでカングーを使う場合、観音開きよりも跳ね上げ式ハッチバックのほうが何かと便利なのも事実。観音開きの利点は、狭いスペースでも開け閉めできる点と、あとはまあ、見た目にオシャレというか、ハイセンスなライフスタイルをなんとなく想像できる点だろうか。ちなみにリアシートは取り外しも可能。その際のラゲッジスペースの広さは驚異的だが、取り外したシートの保管場所をどう確保するか、という別の問題は残る。

 
ダブルバック(俗にいう観音開き)ドア。無骨でシンプルな形状だ
側面上部の左右に取り付けられた収納ボックス
ダブルバックドアは内側からも開閉できる構造になっている
 

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このクルマはテンロクで十分

日本導入最初期モデルは1.4リッターエンジン搭載だったが、2003年8月のマイナーチェンジにより、日本導入モデルはすべて1.6リッターエンジンが搭載されるようになった。これに4速ATが組み合わされ、オーソドックスながら無駄のない、キビキビした走りをもたらしている。絶対的なパワーは95馬力と大きくないが、このクルマにこれ以上のパワーを求めるのはナンセンス。むしろ重要なのは荷物をラゲッジにどっさり積み込んだ状態でのゼロ発進加速なのかも知れないが、変速比は特にローギアード寄りに振っているわけでもなく、カングーはごくごく普通の1.6リッター普通車である。今回試乗したサンプルカーでは残念ながら荷物満載状態での走りを試せなかったが、可もなく不可もない、いたって普通の走りっぷり。高めのアイポイントや大きな窓の恩恵もあり、周囲の交通状況の把握がしやすく、どんな場所でも比較的安全にクルマを取り回すことができると感じた。高速走行時はエンジンが少々騒がしいものの、そつなくこなす。ファミリーを乗せて遠出するといったシチュエーションに対しても、カングーは十分応えてくれるはずだ。

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車名:Renault Kangoo 1.6ダブルバックドア(2003年モデル)
型式:GH-KCK4M
寸法:全長4035mm x 全幅1675mm x 全高1810mm
ホイールベース:2600mm
車重:1210kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直列4気筒DOHC
最高出力:95ps(70kW)/5000rpm
最大トルク:15.1kg・m(148N・m)/3750rpm


トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L
10・15モード燃費: - km/L
タイヤ:175/65R14
発売時期:2003年8月(後期型1.6)
当時の新車価格:204.75万円(消費税別)

 

試乗車スペック

初年度登録:2003年
販売価格:166万円 (消費税込み)
走行距離:11,000km
ボディカラー:レモンイエロー
試乗日:2007年12月

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機関さえ良好なら、基本的にはOK

お世辞にも内外装の質感は高いとは言えず、良くも悪くもチープな印象があるカングーだが、エンジン&ミッションさえしっかりした車両を選べば、カングーとの生活は十分楽しめる。最低限、エンジンオイルを定期的に交換している素性のハッキリした車両を選ぶようにしたい。またエアコン等補器類を駆動させるゴム製ベルトは比較的劣化が早いようだ。ベルトを軽くねじってみるなどして、ヒビなどが入っていないかを確認しておきたい。試乗できればベストだが、チェックできる箇所はたかだか知れているので、アフターサービス体制のしっかりしたショップで購入するのが王道。特にエンジン周りから異音などがないか注意しておくといいだろう。

 

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トラブルに目くじらを立て過ぎないこと

あらかじめ認識しておきたいのは、細かなトラブルが発生するクルマである、という事実。室内の塗装が剥げる、ダッシュボードのビビリ音や補器類ベルトからの異音などは、神経質な人には耐えがたい“トラブル”として感じるかも知れない。逆に、カングーならではの実利的なそっけなさに愛着を感じる人なら、こうした欠点が次第にチャームポイントに見えてくるから不思議なもの。何にせよ、現代の国産車ではありえない素朴なトラブルは、おおいに笑って許してあげよう。ただしエンジン不動など深刻なトラブルもゼロとはいえないため、購入したショップのアフターサービス体制がたいへん重要になってくる。ちなみにAT車でも燃費は決して悪くはないが、より好燃費を期待する向きには5速マニュアル車を選ぶ手もある。

文・写真:DAYS・Yasuhara

 

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