掲載日 : 2008年02月09日
2003 ルノー ルーテシア 1.2 クイックシフト5
名車サンクの血を引くフレンチコンパクト
欧州名「クリオ(Clio)」、日本名ルーテシアは、メガーヌとトゥインゴに挟まれるサブコンパクトカー。初代クリオは、名車ルノー 5(サンク)の後継として1990年にフランスでデビュー。本国名「クリオ」はホンダが販売店の系列名として商標登録していたため、日本では「ルーテシア」と称して91年に上陸した。ちなみにルーテシアとは今のパリに当たる土地の、古代ローマ時代の名称に由来するようだ。
今回採り上げる「クリオII」こと、2代目ルーテシアは98年に登場。日本では99年1月に発売された。当初は1.6リッター・SOHCの「RXE」(90ps・4AT)で始まり、遅れてそのレザー仕様の「エクスプレッション(Expression)」と1.6リッターDOHCの「16V」(110ps・5MT)を追加。2000年12月には、2リッター「F4」ユニットを搭載した「ルノー・スポール2.0」(172ps・5MT)を投入。一方で01年4月には、ベーシックグレードとして1.4リッターDOHCの「RXT」(98ps・4AT)を追加した。
01年11月には、3リッターV6をミッドシップ搭載した「ルノー・スポールV6」(226ps・6MT)を発売。これは1980年代の「ルノー5ターボ」の再来を思わせるモデルで、中身は元々のクリオ/ルーテシアとは別物と考えるべきだ。
「フェイズ2」へ進化。「1.2 クイックシフト5」を追加
欧州では2001年のマイナーチェンジで、フロントを当時の「ルノー顔」に変更。この「フェイズ2」と呼ばれる改良後モデルは、02年春から日本に導入された。
そして03年1月に、今回試乗した「1.2 クイックシフト5」(75ps)を追加。これは1.2リッターエンジンと5速セミAT「クイックシフト5」を組み合わせたもので、3ドアと5ドアを用意。ルーテシアでは最も安いモデルとなった(税抜きで3ドアが165万円、5ドアが175万円)。
その後、3代目クリオが2005年に欧州で、3代目ルーテシアが06年3月に日本で登場したことを受けて、販売を終了している。(2008.02)

フェイズ1か2かは、お好みで。後姿はほぼ同じ
サンプルカーは02年春に導入された「フェイズ2」。当時のルノー車に共通する、精悍な顔が特徴だ。なお、「フェイズ1」こと前期型は癒し系の憎めない顔で、「1」か「2」かはまあ、好みだろう。
丸みを帯びたリアウインドウとトランクリッドが可愛らしい後姿は、フェイズ1でも2でも大差ない。高速走行時の空気抵抗を下げるため、多少後席が狭くなってもルーフを後ろ下がりにしているのが欧州車らしい。
お洒落なフランスの日用品
高級感を出そうなどと、露ほども思っていないインテリアだが、樹脂パーツの造形、質感、ファブリックの色や使い方など、フランス製雑貨や文具などに共通する独特のセンスで統一されている。ま、ここでデザインの比較文化を論じても仕方ないが、日本的なものに囲まれて生活するのが普通のこの日本において、少なくともこれが異質なのは確か。気取ったデザインに違和感を感じる人には心地よいはず。
「クイックシフト5」で1.4リッター並み
試乗した1.2クイックシフト5は、ルーテシアの最小排気量モデル。75ps、10.7kgmと絶対的にはアンダーパワーだが、基本的には5速マニュアルがベースの「クイックシフト5」。いわゆるセミオートマなので、パワーがダイレクトに前輪に伝わり、予想以上にキビキビ走る。エンジンもトルキーだ。正直言って、同時に試乗した1.4リッターの4代目(前期型)VWポロ(同じく75ps)と加速性能は同じくらい、と思ったほど。もっと正直に言うと、試乗中はこのルーテシアも1.4リッターだと思い込んでいたくらいだ。名前も「クイックシフト5」と速そうだし。
クラッチペダルレスながら、普通のH型パターン・5MTだったトゥインゴの「イージー」と異なり、「クイックシフト5」(トゥインゴにもモデル末期に追加された)は、シフトレバーを前後に動かして変速するシーケンシャル式の5速セミAT。シフトノブ裏のスイッチ(運転手からだと死角で見えない)を押せば、ATモードでも走れるし、もちろんAT限定免許でも運転できる。普通のトルコンATと異なるのは、クリープがないことと、1速→2速のシフトアップ時の失速感を消すため、コツが要ることくらい。だが、毎回書いているようにこれを習得するのはそう難しくはない。
乗り心地は、この時代のルノー車共通のしっとり系。ドイツ車(ポロとか)のようなビシッ、カチッは期待すべきではない。かといって、ちょっと頑張って走らせてもシャシーはしっかりついてくる。基本的にはフランスの高速道路で「アクセル全開140km/hでフラットアウト」を想定して作っているから、これくらいは朝飯前といったところ。
車名:Renault Lutecia 1.2 QuickShift 5(2003年モデル)
形式:GH-BD4F
寸法:全長3810mm×全幅1640mm×全高1420mm
ホイールベース:2475mm
車重:990kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直列4気筒DOHC
最高出力:75ps(55kW) / 5500rpm
最大トルク:10.7kgm (105Nm)/ 3500rpm
トランスミッション:5速セミAT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L
10・15モード燃費:- km/L
タイヤ:175/65R14
最小回転半径:- m
発売時期:2003年1月
当時の新車価格:175万円(消費税含まず)
試乗車スペック
初年度登録:2003年
販売価格:97万円(消費税込み)
走行距離:1万7000km
ボディカラー:ボレアルシルバーメタリック
備考:-
試乗日:2008年1月
「クイックシフト5」あれこれ
「1.2 クイックシフト5」は03年からのモデルで、08年2月現在では最大で5年落ちと、2代目ルーテシアの中では比較的、新しいモデル。セミオートマという機構上、試乗で変速マナーをチェックしたい。・・・と書くのは簡単だが、実際にはちょっと試乗したくらいでは判断に困るのが普通だろう。ただ、不具合があっても変速制御ユニットの再プログラムで直ってしまうことがあるのは覚えておきたい。いちおう消耗品であるクラッチも、世間で言われているほど磨耗は早くはなく(これはMT車でも同様)、10万kmくらいもってしまうケースもある。
とにかく、この手のラテン車を購入する場合は、信頼できる経験豊富なお店で買うこと。そして過走行・低年式の安物買いはしないこと(結果的にお金が掛かる。「仕上げる」のを楽しむなら別だが)。最後に、そのクルマに惚れて買う、のが原則だ。
「クイックシフト5」か4AT車か
とにもかくにもフランスの小型車なので、マイナートラブルにも寛容に対処できる人にお勧めしたいが、実際にはルーテシアやトゥインゴのユーザーで、ほとんどノートラブル、という人も少なくない。トラブルをトラブルとも思わない、という大らかな心持ちの方も多いと思う。
さて、2代目ルーテシアの場合、日本仕様は1999年式から実質2005年式くらいまで。中でも「クイックシフト5」は03年以降と比較的新しい。実際にルノーのコンパクトカーで、オートマチックの4ドア車を購入する場合、この1.2リッターの「クイックシフト5」か、4AT車(1.4リッターの「RXT」、1.6リッターの「RXE」と「エクスプレッション」)となる。
普通のAT車に近い感覚で運転できるのは、もちろん4AT車で(ルノーの4ATも独特の変速マナーで有名ではあるが)、一方の「クイックシフト5」はやはりドライバーにそれなりのコツを要求する。つまりイージー・ドライブか、ファン・トゥ・ドライブか、という差があるが、両者とも信頼性はほぼ同等、加速性能も同等(体感的にはクイックシフト5の方が活発)と考えていいだろう。
文・写真: DAYS


