丸目が目印の4代目・前期型
ポロはフォルクスワーゲンのサブコンパクトカー。ゴルフの弟分として1975年にデビューしているが、今回とり上げるのは、2001年に欧州で、02年6月に日本で発売された通称「9N」と呼ばれる4代目ポロの前期型。弟分ルポと同様の丸目4灯ライトが目印となる。レーザー溶接を多用した高剛性ボディ、高い品質感、快適性、安全性などを備えた人気モデルだ。
様々な特別仕様車が登場
日本仕様の4代目・前期型ポロは、全車1.4リッター直列4気筒DOHCエンジン・4ATで、2ドアと4ドアの2種類というシンプルなラインナップ。加えて、それらをベースとした特別仕様車がいくつか設定された。登場順に、DVDナビやアルミホイール標準の「アベニーダ」(2004年1月)、左ハンドル仕様の「EU」(2004年4月)、アベニーダと同等装備の「ヴィアッジョ」(2005年1月)、そしてレザーステアリングやアルミホイールを備える「SE」(2005年6月)となる。ちなみに高性能版の「GTI」はこの前期型では設定されなかった。
「SE」はレザーをまとった上級グレード
今回のサンプルカーである「SE」は、前期モデル末期の2005年6月に発売された1500台限定車。SEとは「Summer Edition」の頭文字からとったものだが、仕様自体は夏とは何の関係もなく、ステアリングなどにレザーを用い、ダークテールレンズ、アルミホイールを追加装備したもの。ボディカラーは黒(ブラックマジックパールエフェクト)と銀(リフレックスシルバーメタリック)、赤(フラッシュレッド)の3色で、新車価格は4ドアのベースグレードより3万円ほど高いだけというお得感のある一台だった。(2008.02)

現代版「4名乗車のミニマムサイズ」
モデルチェンジを重ねるごとにサイズを増し、この4代目ポロは全長3890mm×全幅1665mm×全高1480mmと、かつてのゴルフと同程度となっている。「4名乗車のミニマムサイズ」をコンセプトに登場した初代ゴルフだが、現在ではポロがその役を担っている。フロントマスクはいわゆるファニーフェイス。愛嬌のある丸目4灯が特徴だ。
リアはガラスエリアからルーフにかけて微妙に絞り込みながら、基本的には低重心でどっしりとした「安産型」のルックス。試乗した「SE」はダークテールレンズ、つまりスモークの入ったテールレンズによって重厚で引き締まった印象を与えている。アルミホイールも「SE」では標準装備だ。
シンプルかつ高性能なインテリア
インパネは無駄なものを省いた機能的なもの。両席のダッシュボード下部にある収納スペースは大きめで、とても便利だ。ダッシュセンターの助手席側からガチャっと飛び出すドリンクホルダーの仕掛けも面白い。
セミオートエアコンは好みの温度と風量を調節すれば、それに合わせて冷暖房を効かせるもの。特筆すべきは室内照明で、夜間乗車時に点灯する残照照明付ルームランプをはじめ、後席にはリーディングランプ、フロントドアにはカーテシランプを装備。左右メイクアップミラーも照明付き、とちょっと頑張りすぎなのでは?と思ってしまうくらい充実している。
コンパクトカーとは思えぬ居住性
前2席のダイヤル式シートバック調整は仮眠をとる場合などに少々時間がかかるが、ラチェット式のシート高調整や上下・前後可動のステアリングと併せることで、ベストポジションを決めやすい。
大人4人でも窮屈さのない広さとすること、これはコンパクトカーとして一つのステータスだろう。従来型より後席の足元スペースを拡大した4代目・前期型ポロは、その条件を悠々クリアしている。それゆえカップルはもちろん、ファミリーカーとしてのニーズにも十分応えてくれるはず。
とびきり速くはないが、必要十分なパワー
サンプルカーは限定車「SE」だが、メカニカルな部分は全車共通。パワートレインは1.4リッター直4・DOHC(75ps、12.8kgm)と4ATで、車重はこのクラスでは重めの1160kg。02年のデビュー時に試乗している9N型ポロだが、当時は少々力不足を感じたというのが正直なところ。燃費重視の電子制御スロットルと変速プログラムのせいもあるが、そもそもパワーウエイトレシオ(馬力あたりの車重)自体も15.5kg/psに過ぎなかった。
で、久しぶりに試乗したわけだが、サンプルカーが前期モデル末期の05年式だったせいか(カタログ諸元は変わらず)、あるいはルーテシアの1.2リッターと同時に試乗したせいか、今回はほとんど非力感なく乗れてしまった。ひょっとすると出力特性や変速プログラムの改良がこの年式までにあったのかもしれないが、これならほとんどの人が「動力性能は十分」と思うはずだ。
このクラスでも当然ながらVW・アウディ系の走り
この時代のVW車に共通するクラス破りのシッカリ感は、3万2000kmを経たサンプルカーでも健在。新車時のシャキッとした感じは薄れたが、乗り心地も適度に丸くなり、これくらいがちょうど「旬」かも、と思える。国産の最新コンパクトカーのスポーティグレードと比べても遜色はない。
今回は試していないが、パワーがない割に高速走行が得意なのもポロの特長だ。加速自体はかなりじれったいが、その気になれば160km/h巡航も緊張感がない。静粛性もまずまずで、ブレーキはとてもよく効く。
車名:Volkswagen Polo SE(2005年モデル)
形式:GH-9NBKY
寸法:全長3890mm×全幅1665mm×全高1480mm
ホイールベース:2470mm
車重:1160kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:1.4リッター直列4気筒DOHC
最高出力:75ps(55kW) / 5000rpm
最大トルク:12.8kgm (126Nm)/ 3800rpm
トランスミッション:4速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/45L
10・15モード燃費:14.2km/L
タイヤ:185/60R14
最小回転半径:4.9m
発売時期:2005年6月
当時の新車価格:202万6500円(消費税込み、05年6月モデル)
試乗車スペック
初年度登録:2005年
販売価格:136万円(消費税込み)
走行距離:3万2000km
ボディカラー:ブラックマジックパールエフェクト
備考:MD、ワンオーナー
試乗日:2008年1月
タイミングベルトの交換時期に注意
2008年現在、最大で6年落ちとなり、VWゆえタイミングベルトまわり、エアコン関係(コンプレッサーなど)、パワーウインドウ故障など、必ず起きるわけではないが、ないとも言えない定番トラブルはある。部品の供給体制はしっかりしており、また台数が多いため整備情報は得やすい。
購入時も購入後も気を付けたいのは、タイミングベルトの交換時期。一概には言えないが、メーカー指定より早めの5年、5万km程度を目安にテンショナーやウォーターポンプとのセット交換を考えたい。交換履歴が無ければ、購入時に交換しておくのがお勧めだ。
正常なエアコンは真夏でも問題なく効くので、冷えが悪いと感じるなら冷媒漏れか、コンプレッサーが機能していないか、あるいはセンサー不良、単純にフィルター目詰まりなど原因があるはず。コンプレッサーなどは日本製のリペア部品も出回っているし、作業も比較的容易だ。バッテリーなどまともに買うと高いものもあるが、維持費に関しては国産上級車と大差ないと考えていいだろう。
かつての「ThinkPad」のように
昔から質実剛健な作りで定評のあるVWだが、この4代目(9N型)ポロは、見た目品質ともども、従来の3代目(6N型)ポロどころか、3代目ゴルフすらも凌ぐもの。フランス車のような繊細なお洒落感こそないが、ことボディの作り込みは妥協のないものと思う。かつてのIBM製ノートブックPC「ThinkPad」を思わせる、質実でハイエンド感のあるスモールカーだ。
一般ユーザーに安心して勧められる輸入車の一つでもあり、言葉を換えれば無難とも言えるが、実際にお金を払って買う身になれば、この手堅さは魅力。男性が乗ってもよいが、特に女性ドライバーには、適度なパワー、適度なサイズ、適度な広さ、そして抜群の安心感といった点で、賛同の得られやすいクルマだろう。
文・写真: DAYS


