掲載日 : 2008年03月01日
2003 MINI ワン
New MINIのベースグレード「One」
英国生まれの大衆車として1959年に発売されたミニ(クラシックミニ、旧ミニ、ローバーミニなどと呼ばれる)を祖に持ち、BMW傘下の新ブランド「MINI」として生まれ変わったのがNew MINI(通称BMW MINI、ここではメーカーに準じて大文字アルファベットで表記する)だ。とはいえ、新生MINIも引き続き英国で生産されている、れっきとした英国車。2001年7月に本国でデビューし、日本では02年の「ミニの日」(3月2日)に発売された。
「One(ワン)」はそんなMINIのベースグレードで、上級グレードの「Cooper(クーパー)」、高性能グレードの「Cooper S」と共にラインナップを構成する。エンジンは全て1.6リッター直列4気筒で、Oneは90ps、Cooperは116ps、Cooper Sはスーパーチャージャー搭載で163ps。トランスミッションはOneとCooperが5MTとCVT(無段変速機)、Cooper Sが6MT、および05年春から追加されたアイシンAW製6ATとなる。
カラーは発売当初8色を用意。さらに多彩なオプションやアクセサリーにより「自分だけのMINI」にカスタマイズできる販売方法をとった。新車価格はOneの5MTで195万円(消費税抜き)、CVTで205万円(同)と輸入車としては手が届きやすく、そうした手頃さも先代ミニから受け継いだ特質の一つと言える。
モデル末期に「SE7EN」が登場
2004年9月からはCooperとCooper Sに「コンバーチブル」が登場したが、Oneには未設定。この時期に全モデルで内外装(ヘッドランプやバンパー形状など)の微妙なマイナーチェンジが行なわれている。
06年2月には事実上の最終モデルとして、カジュアルなデザインの特別仕様車「セブン(SE7EN)」をOneとクーパーに設定。同時に高級志向の「パークレーン(Park Lane)」(シックな内外装が特徴)、スポーティな「チェックメイト(Checkmate)」(フェンダーのチェッカーフラッグ等が目印)も登場したが、こちらはCooperとCooper Sのみだった。
こうして「初代」MINI(R50型、クーパーSはR53型)は06年に生産を終了(カブリオレを除く)。エンジンや内外装を刷新した2代目MINI(R56型)が07年2月に日本でデビューしている。(2008.01)

一目瞭然のミニスタイル
全長3625×全幅1690×全高1425mmと、旧ミニ(3075×1440×1330mm)に比べて大幅にサイズアップしたのは、衝突安全性をはじめとする時代のニーズに合わせた結果。しかし見た目は「ミニ」以外の何ものでもないと思わせるデザインはお見事。
一方で、ヘッドライトおよびフェンダーと一体型のボンネット、ブラックアウトされたピラー(屋根を支える柱の部分)など、斬新なチャレンジも盛りだくさん。単に懐古的なだけのデザインとは一線を画している。
室内全体がおもちゃ箱
室内のデザインは旧ミニのそれをモチーフとしているが、自動車としての必要最小限を形にしたという旧ミニの生真面目なコンセプトに対して、ニューMINIでは遊び心が主体。ミニを選ぶお洒落な若者やオールドファンのツボを突いた、小粋なデザインが散りばめられている。
中央の丸型スピードメーターや、その下のトグルスイッチは旧ミニの初期モデルを意識したもの。2スポーク・ステアリングホイールやその奥のタコメーターもMINIならではの個性だ。
心地よくタイトな空間
後席は決して広くなく、大人4人乗車ができるミニマムサイズといったところ。しかし、このタイトな空間が心地よいフィット感を生んでいるのも確かで、愛着が湧く要素でもある。ボディサイズを大きくしてまでMINIに広さを求める人などいないのではないだろうか。古くからのミニ好きとしては、もっと小さくなってほしい!とすら願うものかも。
Oneでもパワー十分。乗り心地もOK
試乗したのは2003年式のOneのCVT車。新車価格が手頃で、Cooerと共に人気のあった仕様だ。今までこのBMW MINIには、2代目を含めてほぼ全仕様に取材で試乗してきているが、今回Oneに乗るのは2002年3月のメーカー試乗会以来。エンジンは基本的にはCooperと同じ1.6リッターSOHC「ペンタゴン」ユニットだが、主にコンピューターのセッティングが異なり、Cooperの116ps、15.2kgmに対して、90ps、14.3kgmとパワーは控えめだ。登り坂では、多少余裕のあるCooperに対して、Oneはアクセル全開という感じになるが、街中を流すには十分で、全開で走らせた時も安心感がある。
CVTには割としっかりしたクリープがあり、発進はスムーズ。加速時にやや力不足な感じはあるが、CVT独特のノイズや違和感は少ない。キビキビ走りたい時は、シフトレバーを右に倒して「スポーツモード」を選び、さらにシフトレバーを前後に動かしてマニュアルシフトする「ステップトロニック・モード(6速)」も選べる。ちなみにMINIも、BMWやマツダ車と同じ「引いてシフトアップ(+)、押してダウン(-)」だ。
電動油圧式パワーステアリング(小型モーターで油圧を作るタイプ。欧州車に多い)が発する「ウィーーーン」という音は、初代MINI独特のサウンドで、ステアリングを据え切りするなど負荷が掛かると、音が高まる。車外で聞くと最初はびっくりするが、特に異常ではないので心配は要らない。
Oneで何よりいいのが乗り心地で、足回りが固めのクーパーと比べると、自然なロール感があって好ましい。MINIの謳い文句である「ゴーカートフィーリング」はOneでも十分に味わえる。
車名:MINI One(2003年モデル)
形式:GH-RA16
寸法:全長3625mm×全幅1690mm×全高1425mm
ホイールベース:2465mm
車重:1130kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:1.6リッター直列4気筒SOHC16バルブ
最高出力:90ps(66kW) / 3000rpm
最大トルク:14.3kgm (140Nm)/ 3000rpm
トランスミッション:CVT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L
10・15モード燃費:-km/L
タイヤ:175/65R15
最小回転半径:5.1m
発売時期:2003年8月
当時の新車価格:205万円(消費税込み、03年8月モデル)
試乗車スペック
初年度登録:2003年
販売価格:147万円(消費税込み)
走行距離:2万5000km
ボディカラー:チリレッド
備考:CDプレーヤー、アルミホイール
試乗日:2008年2月
すでにノウハウも対策品も出ている
初代BMW MINIのOneは、02年の初年度モデルから、06年の「SE7EN」まで、販売期間は5年間。その間に、マイナーチェンジ(1回)や目に見えない改良が行なわれ、トラブル対策部品も多く出ている。販売台数も輸入車としては異例に多いため、すでに販売店側にもノウハウが一通りある。その意味では、やはり正規ディーラー系でメンテナンスされたもの、特にアプルーブドカー(認定中古車)を選ぶのが安心だ。その範囲では、見た目のコンディションや仕様で選んで構わないだろう。基本的に信頼性はドイツ車水準だから、「ここが弱点」と名指しできる部分はないが、あえて一つ例を出せば、エンジンの不調は制御コンピューターの再インストールやアップデートで直ることが多い。基本的にはMINI正規販売店やオートプラネットなど、とにかく正規のダイアグノシス(診断装置)を備えたところに持ち込むことになる。
どの仕様でも正解だが、Oneはお勧め
まだクラシックミニしかなかった頃、誰かが「ミニはクルマではなくペットのようなもの」と言っていたが、ニューMINもまさにそんな愛情の対象となるクルマ。そんなわけで、MINIに求めるものは人それぞれで構わないが、はっきり言えるのはベーシックグレードのOneでも、魅力や楽しさはCooperやCooper Sに比べて何ら減じることはない、ということ。Oneで十分どころか「Oneこそがいい」とも言える。個人的な好みを言えば、初代ニューMINIのベストバイは「Oneのマニュアル」。それくらいOneの5MT車は楽しく、走りのバランスがいい。「マニュアルでもいいな」などと密かに思ってる女性には、迷わず選んでいただきたい。
Text&Photo:DAYS


