156がベースのイタリアンクーペ
アルファGTは大ヒットした156(1997~2005年)をベースとした2ドアクーペ。事実上2シーターのGTV(96年発売)に対して、大人4人が乗れる(法規上は5人乗り)後席とハッチバック式の荷室を備える。最大の魅力はイタリアの名門カロッツェリア「ベルトーネ」の手になるスタイリングだ。
2リッターセレスピードと3.2リッター6MTの2本立て
2004年6月に発売された日本仕様は、156の後期型から先行採用された2リッター直4・直噴「JTS」(166ps)、もしくは156や147の高性能バージョン「GTA」の3.2リッターV6のデチューン版(240ps)を搭載。変速機は2リッターが5速セミAT「セレスピード」、3.2リッターが6MTとされた。
当初のラインナップは以下の3つで、全車レザーシートを標準装備。同年の販売目標は1200台だった。
■「2.0 JTS セレスピード (438万9000円) 5速セミAT、右ハンドル
■「2.0 JTS セレスピード エクスクルーシブ」 (453万6000円) 5速セミAT、右ハンドル
※キセノンヘッドライト、前席シートヒーターを装備
■「3.2 V6 24V」 (543万9000円) 6MT、左ハンドル
2006年7月には、エントリーグレードとして内装にスエード調生地「Alfatex」を採用した「プログレッション 2.0 JTS セレスピード」(399万円)を追加している。
2リッターベースの特別仕様車を各種設定
その後は、2.0 JTSベースの特別仕様車を1年に1台のペースで発売してゆく。2006年4月に「スポルティーバ」(100台限定)、2007年5月に「コレッツィオーネ」(75台限定)、2008年3月に「スポルティーバ II」(限定車 ※受注生産)および「コレッツィオーネ II」(限定車 ※受注生産)という具合だ。どれも特別仕様の内外装が主な特徴となっている。
●2.0 JTS セレスピードをベースとした限定車
- 「Sportiva」 外装:ハラマブラック ※専用デザインホイール、スポーツシート装備
- 「Collezione」 外装:クリスタルライトブルー、オルトレマーレブルー、内装:ブルー/クリーム
- 「Sportiva II」 外装:アルファレッド、アトランティックブルー、内装:ブラック ※18インチホイール装備
- 「Collezione II」 外装:ブラウン、カーボンブラック、内装:クリーム
(2008.04)

ベルトーネの才気みなぎる
一世を風靡した156から、次世代の159、ブレラ、新型スパイダーへと世代交代する直前に生まれたアルファGT。そのスタイルは156の繊細さとベルトーネならではの奇抜さが合体したもので、一種異様なカッコ良さをプンプンと放っている。これを見て「おおっ!」と思わない人はいないだろう。古典的なピニンファリーナや理詰めのイタルデザイン(ジウジアーロ)に比べて、個性的なデザインで勝負するベルトーネらしい。
真面目な話をすれば、新世代のモデル群(159ベース)よりボディサイズが小ぶりなのも好ましい。全長は4.5メートル未満、全幅も1.7メートル台に収まっている。土台(プラットフォーム)は156がベースで、2595mmのホイールベースは共通だ。
イタ車ならではの豪奢な雰囲気
156というより147風のインパネだが、いかにもアルファらしい豪奢な感じは「GT」ならでは。こんな風に赤いレザーシートが似合うのはイタ車以外にないだろう。試乗車は2年落ち、走行2万8000kmで、運転席のサイドサポート部に擦れがあったが、それ以外の経年劣化はさほどなし。
おなじみセレスピード用のパドルシフトはステアリングと一緒に回転するタイプ。アルファGTでは、オートマチックモードの時でもパドル操作を受け付けてくれる。ステアリングにはチルト(上下)&テレスコ(前後)調整が付き、少なくとも右ハンドル車ならドライビングポジションは決めやすい
新車時に乗ったGTのこと
アルファGTに乗るのは、2004年デビュー時のインポーター主催による試乗会以来。その時は2リッター・セレスピードと3.2リッター・6MTの両方を箱根のワインディングで走らせた。2リッターではアクセル全開で気持ちよく乗れたこと、3.2リッター(240ps、29.4kgm)ではその大パワー(FFとしては)や超クイックなステアリング、さらにヒール&トゥがやりにくい、などの理由で少々持て余してしまった印象がある。ちなみにアルファはペダル配置が独特で「つま先左側&つま先右側」で操作するとうまくゆく (私は上手くできないが)。
今回乗った2.0 JTS セレスピードのこと
今回のサンプルカーは「2.0 JTS セレスピード(のエクスクルーシブ)」で、その名の通り、5速セレスピード(セミAT)仕様。当然ながらヒール&トゥといった、今の若い人から「はあ?」と言われそうな小技は必要なく、誰でもイージードライブが可能だ。例によってクリープがないことに慣れ、1速→2速シフトアップ時の失速感をアクセルを一瞬戻して消すコツさえ習得すれば、オートモードでもマニュアルモードでもスポーティで面白い。シフトダウン時には自動で「ファン!」と勇ましくブリッピングし、ばっちり回転合わせもやってくれる(2-3速のギア比が離れているのは惜しいが)。2リッターと言えど166psもあるので、その気になればかなり速い。こんな風にエンジンの存在感が強烈で、ボディが軽く感じられるクルマが最近はめっきり少なくなった。
2年落ち(2006年式)のサンプルカーは走行2万8000kmで、フロントタイヤは交換済みだったが、リアタイヤは工場装着のグッドイヤーF1のままだった。エンジンは絶好調だったが、シャシーや駆動系には新車時の印象からすると距離相応の疲れが感じられた。シャッキリ感や接地感の低下、変速時に出る駆動系からのかすかなショックなどはユーズドの156でもよく見られるもの。いずれにしても156同様、刺激的でクラシカルな運転感覚が魅力だ。
車名:Alfa Romeo Alfa GT 2.0 JTS Selespeed-Exclusive(2006年モデル)
形式:GH-93720L
寸法:全長4495mm×全幅1765mm×全高1375mm
ホイールベース:2595mm
車重:1360kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:2リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力:166ps(122kW) /6400 rpm
最大トルク:21.0kgm (206Nm)/ 3250rpm
トランスミッション:5速セミAT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン / 63L
10・15モード燃費:-km/L
タイヤ:215/45R17
最小回転半径:-m
発売時期:2004年6月
当時の新車価格:453万6000円(2004年、消費税含む)
試乗車スペック
初年度登録:2006年
販売価格:315万円(消費税込み)
走行距離:28000km
ボディカラー:ハラマブラック
備考:ワンオーナー、新車保証残りあり(09年1月まで)
試乗日:2008年3月
なるべく高年式で、内外装の程度がよいものを
日本仕様のアルファGTは、2.0JTSのセレスピードとV6の6MTのみだが、チェックポイントは同じ仕様の156(後期型)と大体同じと考えてよい。セレスピードの信頼性は初期の156や147に比べてかなり上がっており、ことさら心配する必要はないだろう。ただし走行距離が増えれば駆動系全体の問題としてヤレも進むので、やはり距離が少ないに越したことはない。またタイミングベルト周辺は定期的な点検や5万km程度の交換が望ましく、年式と走行距離によってはそうした整備費も含めて考慮しておくのがいいだろう。警告灯の誤作動や電気系などマイナートラブルが出るところは大体決まっており、対策や修理方法もおおむね確立されている。このあたりはおおらかな気持ちで対処したい。
内外装は「誰でも見れば分かる」部分だが、特にレザー内装の状態はチェックして納得して買いたい。内装の風合いや高級感はアルファの重要なファクターで、購入後の満足感にも大きく影響する。専門業者に頼めば修復可能なものもあるので、お店のスタッフにその点は相談してみるのもいいだろう。
2.0のエントリーも狙い目。3.2は希少
やはり一般的には、流通量が多く、軽快な走りが楽しめる2.0JTSが購入対象となるだろう。自動的にセレスピードとなる。2004年デビュー時から現行の2008年式まで、ほとんどカタログスペックに変化はない。もちろん高年式が良いが、基本的には内外装のカラーやコンディションで選んでいいだろう。もしレザーにこだわりが無ければ、2006年から加わったスエード調ファブリック内装のエントリーグレード「プログレッション」も検討する価値がある。風合いや通気性に加えて、ファブリックは経年劣化しにくいのも長所だ。
3.2 V6は流通量が圧倒的に少なく、おそらくはアルファGTの10台に1台程度。馬力荷重6kg/ps未満のハイパワー車であり、コンディション維持にはそれなりの気遣いが欲しいところ。セレスピードではなく、オーソドクスなマニュアルという点は好材料だが、シンクロやベアリングの消耗・損傷という点もあるからやはり距離が少ないのに越したことはない。
楽しくて価値のある選択
上でも触れたように、今の159やブレラが新世代アルファとすれば、156や今回のGTは旧きよきアルファの感触を残したモデル。おそらく往年のジュリア、あるいは80~90年代の75や155のように「あの頃のアルファは面白かった」と言われるクルマになるのではないだろうか。まだまだコンディションの良いものが多く、絶対数が少なく、趣味性の強いGTは、大切にしがいのある選択であると思う。
Text:DAYS, Kei Niwa
Photo:DAYS


