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Uカー試乗記

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世界で大ヒットした傑作コンパクト

初代フォーカスは史上初めて、欧州と北米のカー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞した

フォーカス(Focus)は、欧州フォードが開発したコンパクトカー。今回とり上げる初代フォーカス(1998年~2004年)は日本での知名度こそ低いが、北米を含めて世界中で400万台以上という大ヒット車となった。

VWゴルフをライバルとする実用コンパクトカーだが、当時フォードが熱心だった「ニューエッジ」デザインをとり入れたことで、先代「エスコート」(日本では、マツダ・ファミリアの兄弟車種にあたるフォード・レーザー)の地味なイメージを払拭。さらに優れた走行性能やパッケージングにより、欧州カー・オブ・ザ・イヤー(1999年)と北米カー・オブ・ザ・イヤー(2000年)を連続受賞するなど高く評価された。

日本仕様は1.6リッターと2リッター

日本では2000年3月に、5ドアハッチバックの「フォーカス」とステーションワゴンの「フォーカスワゴン」が導入された。いずれも上級グレードの「ギア(Ghia)」のみで、エンジンは1.6リッター直4・DOHC(100ps、14.8kgm)1種類で始まったが、同年10月には、2リッター直4・DOHC(131ps、18.2kgm)が追加された。変速機はいずれも4ATのみ。

2002年2月にはマイナーチェンジを実施。主に外装(ヘッドライト、バンパーなどフロントまわり)の小変更で、装備も若干充実した。

2003年1月には1.6リッターのハッチバックモデルに、エントリーグレードの「GLX」を追加。同時に限定車だったスポーティ仕様「2.0トレンド」をカタログモデルに昇格させている。スポーツサスペンション、16インチタイヤ&アルミホイール、HIDヘッドランプ、電動ガラスサンルーフ、ESP等を標準装備したものだ。

03年には173ps、6MTの「ST170」が登場

2003年5月には、高性能モデル「ST170」を追加。日本市場初の3ドアボディに、2リッターエンジン「デュラテックST」(173ps、19.9kgm)、ゲトラク製6MT、専用サスペンション、専用ブレーキ、215/45ZR17タイヤ、レカロ製シート等をおごった1台で、車両価格は300万円(消費税含まず)だった。なお、海外にあった高性能2リッターターボの「RS」(最低215psを保証)は並行輸入で少数が上陸したようだ。

また、2004年1月には50台限定と少量ではあるが、2リッター車を本革シート仕様とした「2.0 Ghia レザーパッケージ」がリリースされた。

その後、2代目フォーカスが2004年9月に欧州で発表され、翌2005年1月に発売された。日本でも同年8月に発売されている。

 

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「ニューエッジ」デザインで大胆に

モチーフである三角形のリアコンビネーションランプは、思い切り傾斜させたリアウインドウ左右の頂点に配置される

外観上の特徴は、「ニューエッジ」と呼ばれる独特のデザインに尽きる。これは直線や多角形(特に三角形)のモチーフを徹底的にとり入れたもので、例えばヘッドランプ、フォグランプ、ウインカー、リアコンビネーションランプなど、ライト類はすべて三角形となっている。こうした奇抜なデザインを採用したのは、一見しただけで直感的に「今までのフォード車とは違う」と分かるものにしたかったからだろう。

 

「ギア」と言えば……

知る人ぞ知る、由緒正しき「Ghia」の紋章

なおグレード名の「ギア(Ghia)」は、歯車のギアでもリチャード・ギアでもなく、第二次大戦前から始まるイタリアの老舗工房「カロッツェリア・ギア」のこと。有名なのはVWビートルをベースに、ギアがデザインし、ドイツのカルマン社が製作した「フォルクスワーゲン・カルマン・ギア」(1955年)だが、現在はフォード傘下でカーデザインやコンセプトカーの製作を行っている。一方、市販車の世界では、フォード車の上級グレードに冠せられるブランドネームのような形で残っている。

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斬新なデザイン、開発陣の良心

やっぱり三角形が反復される「ニューエッジ」なインパネ

インテリアも「ニューエッジ」デザインで徹底されるが、小物入れが多数あるなど実用性も高い。グレーのウッド調パネルもいい感じだし、平板だが作りのいいシートが開発陣の良心を感じさせる。特に運転席に関しては、ステアリングのチルト(上下)・テレスコ(前後)の調整が出来るほか、座面の高さ調節を膝下のスイッチで電動調整できるのが珍しい。スイッチの存在を忘れてしまうと宝の持ちぐされだが、うまく使いこなせば便利だ。

2615mmと長めのホイールベースを利して、リアシートもこのクラスとしてはなかなかゆったり。シートのクッション感自体はVWゴルフあたりより上かもしれない。

 
センターコンソールにはグレーのウッド調パネルが張られる
シフトレバー基部にも「Ghia」の紋章
運転席の高さのみ、電動で調整可能
 
前席にフロント&サイドエアバッグと火薬式プリテンショナー&ロードリミッター付シートベルトを装備
アップライトな姿勢や肉厚なシートなど後席はVWゴルフというよりプジョー307風
通常時の荷室容量は350L。ダブルフォールディングで後席を畳む際、ヘッドレスト(3つある)を抜くのが少々面倒
 

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ステアリングを切れば一発で分かる

普段は安心穏やか、コーナーでは俊敏。2つの性格を兼ね備える

試乗したのは日本向け初代フォーカスで最もポピュラーだったと思われる「1600 Ghia」の導入初年度モデル(2000年式)。8年前のクルマだが、走行距離はわずか1万7000kmというグッドコンディションだ。

当時のフォード車には何度か長期間乗った経験があるが、初代フォーカスに乗るのは今回が初めて。それでも乗った瞬間から、贅沢なリア・マルチリンクサスペンションの効果が感じられる。かなり飛ばしても平然と走り、まったく古さを感じさせない。特にびっくりするのはステアリングの反応がやたら鋭いことで、まるで前輪と直結しているかのようにリニアに向きが変わる。タイヤを含めて足まわりの設定自体はおとなしいから、これはすべてシャシー側の性能によるものだ。リアの接地性が優れているからこそのセッティングだろう。

 

パワーは必要十分というレベル。安全マージンたっぷり

パワーはそこそこだが、高速走行時でもリラックして運転できる

車重1180kgに対して1600ccのDOHCエンジン(100ps)は、数値的にはやや非力に見えるが、回しても決してうるさくはないし、高速道路を法定速度プラスアルファで走る程度であれば不足はない。足まわりのレベルが高いので、血気盛んな人が乗っても自然と安全マージンのある走りになるだろう。

 

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車名:Ford Focus 1600 Ghia(2000年モデル)
形式:GF-WF0FYD
寸法:全長4155mm×全幅1710mm×全高1480mm
ホイールベース:2615mm
車重:1180kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:1.6リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力:100ps(74kW) /6000 rpm
最大トルク:14.8kgm (145Nm)/ 4000rpm


トランスミッション:4速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/55L
10・15モード燃費:11.2km/L
タイヤ:195/60R15
最小回転半径:5.4m
発売時期:2000年3月
当時の新車価格:197万円(2000年、1600Ghia、消費税含まず)

 

試乗車スペック

初年度登録:2000年
販売価格:98万円(消費税込み)
走行距離:1万7000km
ボディカラー:パンサーブラックメタリック
備考:-
試乗日:2008年3月

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迷わずコンディション重視で探そう

オートプラネットではフォーカスのほか、エクスプローラー等のフォード車を多数扱っている

日本で販売されたのは2000年から2005年上半期までだが、一般的な「1600 Ghia」と「2000 Ghia」はその前半に多い。とはいえ、シャシーや機関の耐久性はVWゴルフ等とまったく遜色ないレベルで、これといった弱点はない。むしろ日本でのフォーカスの相場は不当に安いので、わざわざ安物買いをするのはもったいないというもの。車両がいくら安くても、パーツ代や工賃は安くないからだ。コンディションのいいものを狙おう。

 

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「いいクルマ」についてのリーズナブルな教科書

意外性のある未来的なデザインがフォーカスの面白さ

2000年式ながら走行距離1万7000kmで98万円。この値段でこれだけのシャシー性能が買えてしまうということが、2008年現在、日本でフォーカスを買うことの醍醐味だろう。先鋭的な高性能車ではなく(「ST170」という高性能グレードもあるが)、もっと一般的な意味での「いいクルマ」「いいFF車の操縦性」をリーズナブルに体験でき、しかも経済的な足としてガンガン使える。そもそもフォードというブランドには「プレミアムでござい」といった尊大なところがないのもいい。「これ、どこのクルマ?」「フォード」。なんていう会話が知り合った人と幾度となく繰り返されるのも、また余興である。なお、高速道路をかなり頻繁に、長距離を走るのであればトルクのある2リッターモデルだろうが、街乗りメインならば軽快な1.6リッターで十分だろう。

 

Text&Photo:Kei Niwa, DAYS

 

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