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Uカー試乗記

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欧州ベストセラーの3列シート・7人乗りミニバン

サンプルカー(2006年式)はマイナーチェンジ前のモデルで、モールは非ボディ同色となっている

5人乗りミニバン「セニック」のホイールベースを延長し、3列シート・7人乗りミニバンとしたのが「グラン セニック(Grand Scenic)」だ。プラットフォームは2代目メガーヌ(2003年~)がベース。1日に1000km以上走っても疲れ知らず、というのが売りで、もちろん広々した室内や自由自在にアレンジ出来るシートなど、ミニバンとしての機能も高い。日本では超マイナーな存在だが、欧州ではポピュラーなモデルだ。

日本では2005年9月に発売。当初は2リッター直4+4ATの標準車「2.0」、およびその電動パノラミックグラスルーフ装着車「2.0グラスルーフ」の2グレードを用意。当時の新車価格はそれぞれ279万8250円と309万150円だった。

なお、2007年5月には設定グレードを「2.0グラスルーフ」に1本化すると同時に、内外装のデザイン・装備をマイナーチェンジ。変更内容は、外観では主にボディ同色モール、LEDリアランプ/ブレーキランプ、フロントソナー(バックソナーは従来も装備)の採用など。内装ではシート生地の変更、電動パノラミックグラスルーフの赤外線遮断率の向上(78%→92%)、3列目へのサイドブラインド追加などとなっている。(2008.04)

 

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7人乗りで甦ったアヴァンタイム!?

アヴァンタイムやメガーヌのように折れ曲がったリアゲートがユニーク。

スタイリングは前から見ると「大きなルーテシア?」という感じだが、横や後ろからはかなり奇抜。要するにこのデザインは、2ドアのミニバン・スペシャリティというブッ飛んだコンセプトで登場した(そして残念ながらあえなく販売を終えた)ルノー・アヴァンタイムの実用7人乗り風、と考えると分かりやすい。

 
標準タイヤは205/60R16だが、試乗車は純正オプションのOZ製17インチアルミと205/55R17(ブリヂストンのPlayz)の組み合わせ

ボディサイズは全長4495mm×全幅1810mm×全高1635mm。日本が誇るベストセラーミニバン、現行(3代目)トヨタ・エスティマ(全長4795mm×全幅1800mm)より全長は30センチも短い。「縦列駐車の天下」である欧州では全長の短いクルマが好まれるが、それは「コインパーキングの国」である日本でも同じはず。幅が広いのに慣れてしまえば、取り回しで困ることはまずないはずだ。

 

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ミニバンなのに、ハイテクで未来的

フランス車らしい心の休まる雰囲気と宇宙船のような未来感が融合したインテリア

室内の「アヴァンタイム濃度」も高い。デジタル式センターメーターや樹脂パーツの独特の造形など、レトロフューチャー的なデザインが盛り込まれている。新車で消費税込み525万円もしたアヴァンタイムほど装飾的でも豪華でもないが、全体に大人っぽいセンスだ。

 
平均燃費等を表示するオンボードコンピュータを標準装備

操作系の電子制御化も、この価格帯(新車で300万円前後)のファミリーカーとしては驚くほど進んでいる。電子パーキングブレーキ(基本的に全自動)は輸入高級車ではもう当たり前だが、国産では2008年4月現在、採用例すらないもの。BMW・7シリーズほどではないが、とにかく「新しい乗り物」という感じがする。

キーはカード型(ただしインテリジェントキーにあらず)

ルノーお得意のカードキー。セニック用は半スケルトン素材

ルノー上級車でおなじみのカード型キーは、2001年デビュー(日本では2003年導入)のラグナですでに採用されているもの。電波法の関係で、日本仕様ではインテリジェントキーとしての機能が省かれており、スロットに入れて初めてエンジン始動が可能になる。そのほか、スロットからカードキーを抜いてもエンジンは止まらないが、エンジンを止めるにはカードキーを再び入れる必要がある・・・・・・といった独特の操作ロジックを持つ。カードを入れるところがセンターコンソール側なので、助手席の人にはちょっと自慢?しやすい。

 
純正AM/FMラジオとMP3対応CDプレーヤーは、フランス車で定番のサテライトスイッチ(写真下側)で操作する
運転しながらリアシートの様子が分かる室内用ミラー。大きくて見やすい
電子制御式パーキングブレーキはエンジンオフで自動オン、走り出せば自動解除する
 
後席にはサイド&カーテンエアバッグ、収納式サイドブラインドを標準装備
2列目にはシートバックテーブルを装備
電動パノラミックグラスルーフ装着車もある(前側が電動スライド、後ろは固定)
(photo:ルノー・ジャポン)
 
サンプルカーは3列目を使用した形跡なし。この状態で荷室容量はおおよそ550L
2列目シートは前方跳ね上げ&着脱可。最大1920Lの大容量となる
SUVのようにガラスハッチだけの開閉も可能
 

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ゆったり重厚。2リッターでも悠々と

大柄なボディに対してこじんまりと収まった2リッターDOHCエンジンだが、見かけによらず力強い

サンプルカーは2006年式の標準車(=グラスルーフ非装着車)で、走行1万5000kmというコンディション良好なもの。パワートレインはメガーヌと基本的に同じ2リッター直4(133ps、19.5kgm)+4ATだ。

担当者はこれまでアヴァンタイム、ラグナ、メガーヌ、ルーテシア等のルノー車に一通り試乗してきているが、グランセニックはこれが初めて。乗るまでは「2リッターという排気量はこのボディに対してちょっと小さいか」と思っていたが、実際にはターボディーゼルのように低回転からトルクを発揮し、1560kgのボディを悠々と引っ張る。高速道路では話が違ってくるかもしれないが、ATが4速であることも含めて、一般道ではまったく不満を感じなかった。直進安定性やコーナリング性能も十分に確保されている。

乗り心地は、クラス離れした重厚感、ゆったり感のあるもので、あえて例えるなら重量級のミニバンかSUVのよう。この鷹揚(おうよう)な乗り味やリズム感こそ、実際のオーナーや専門家、他メーカーの開発エンジニアらを唸らせている部分だ。ルノー伝統の乗り味とメガーヌ系プラットフォームの素質の良さが、はっきり実感できるクルマだ。

 

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車名:Renault Grand Scenic 2.0(2006年モデル)
形式:GH-JMF4
寸法:全長4495mm×全幅1810mm×全高1635mm
ホイールベース:2735mm
車重:1560kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:2リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力:133ps(98kW) /5500rpm
最大トルク:19.5kgm (191Nm)/ 3750rpm


トランスミッション:4速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費:-km/L
タイヤ:205/55R17 ※オプション(標準:205/60R16)
最小回転半径:-m
発売時期:2005年9月
当時の新車価格:279万8250円(2005年9月、消費税含む)

 

試乗車スペック

初年度登録:2006年
販売価格:218万円(消費税込み)
走行距離:15000km
ボディカラー:シルバー
備考:17インチアルミホイール、DVDナビ、新車保証残あり(09年5月まで)
試乗日:2008年4月

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グラスルーフや新車保証残りの有無

オートプラネット内で。ルーテシアと2ショット

2008年5月現在、日本に正規輸入されたグランセニック(2005年9月発売)はまだ初年度登録から3年未満。つまり原則としては新車保証(3年間・6万km以内)が残っている車両ばかりだ。それだけ高年式ということで、特にここが要注意という点は今のところはない。もちろん、二昔前に比べれば比較にならないほど信頼性を増したフランス車とはいえ、やはり心構えとしては、マイナートラブルがあってもそれを楽しむ、くらいの気構えで購入したい。

高年式で走行距離が少ないに越したことはないが、Uカーとして割安感を狙うとやはり2006年式あたりが狙い目か。玉数は少ないので、ボディカラーやグラスルーフの有無で絞っていけば、おのずと購入対象が浮かんでくるだろう。ざっと調べた限り、現在の相場は2005年式が200万円台前半、2006年式が200万円台中盤、主にグラスルーフ仕様(新車では30万円ほど高い)の2007年式は200万円台後半だ。

 

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「モノこそ思い出」である

後ろ姿はよく見ると、上下を絞り込んだ6角形になっている

バカンスシーズンに1000km以上の移動が当たり前というフランス。そのライフスタイルにぴったり、というのがグランセニックの売りだ。確かにこれなら長距離移動は快適で、日本のお盆や年末年始の帰省にも頼れるだろう。

特に印象的なのが、やはりその独特のゆったりした「移動感覚」。これは国産車やドイツ車より技術的に優れている云々というより、長距離移動を楽に行うにはどういう方向性でクルマを作り、エンジンをどういう特性にし、車体剛性や足回りをどういうレベルでまとめれば良いか、といったあたりをルノーの開発陣が「実体験」として分かっているからだろう。というのも、要するに彼らは我々と違って、本当に年間5週間の法定有給休暇をフルに使い (使い切るのが当たり前だそうだ)、家族と一緒にバカンスへ行く人たちだからだ。

そうやって出来たクルマが、余暇の少ない国のクルマと根本的に違ってくるのは当然。昨今の日本製ミニバンの性能はもちろん素晴らしいし使い勝手も悪くないが、息苦しい日常から離れて家族との貴重な時間を過ごすことにかけては、やはりフレンチミニバンに一日の長がある。「モノより思い出」というのは某ミニバンの有名な宣伝文句だが、むしろ思い出とはモノとの結びつきで記憶されるもの。その意味では「モノこそ思い出」。モノ選びからすでに思い出作りは始まっているのだ。

 

Text&Photo:Kei Niwa, DAYS

 

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