中古車を調べる

Uカー試乗記

UcarMuseumは輸入中古車のお役立ち資料館。中古車試乗インプレッションと販売済み中古車を検索できます。

h1.jpg

history_1-h.gif

GTIのさらに上を行く、史上最強のゴルフ

2ドア・左ハンドル仕様に続いて導入された4ドア・右ハンドル仕様が、今回のサンプルカー

4代目ゴルフ、通称ゴルフIV(フォー)をベースに仕立てられた初代「ゴルフ R32」は、ゴルフ史上最強(当時)の3.2リッターV型6気筒エンジン(241ps、32.6kgm)を搭載したスペシャルモデル。駆動方式はVW車で「4MOTION(フォーモーション)」と呼ばれるフルタイム4WDで、内外装や足回り(特にリアのマルチリンク)も専用品が多い。言わばゴルフの皮をかぶった高性能GTカーだ。

なお巷では「アールサンニー」と呼ばれることが多いが、正確には「アールサーティトゥー」である。日産の8代目「R32型」スカイライン(1989年)も「アールサンニー」であるが、ゴルフのR32は言うまでもなくその排気量の3.2リッターを意味する。

日本では2003年に導入

欧州では2002年に登場。日本には2003年1月に、2ドア(3ドアハッチバック)の左ハンドル・6速MT仕様が300台導入された。ボディカラーは黒(ブラックマジックパールエフェクト)とシルバー(リフレックスシルバーメタリック)の2種類で、当時の新車価格は395万円(消費税別)だった。

続いて5月に200台導入されたのが、4ドア(5ドアハッチバック)の右ハンドル仕様。同じく6速MTだが、こちらは黒とシルバーに加えて、紺(ディープブルー パールエフェクト)の3色となり、新車価格は405万円(消費税別)だった。今回のサンプルカーはこの4ドアの方だ。

このゴルフIVベースの初代R32は、以上の計500台で販売を終了。後継車である2代目R32(ゴルフVベースで250ps)が3年後の2006年に導入されている。(2008.05)

 

graph.gif

outside.gif

迫力満点。一方でゴルフらしさも保つ

レムス社製2本出しマフラーが迫力だが、一見「普通のゴルフ」のようにも見える。能ある鷹は何とやら、というやつだ

ゴルフはゴルフだが、誰が見ても「なんだか普通と違うぞ」と分かるスタイリング。フロントの大型バンパー、スーパースポーツ並みに大口を開けたラジエイター開口部、18インチの大径アルミホイールと225/40R18という偏平タイヤ、20mmのローダウンサスペンション、2本出しマフラーなど、高性能を予感させるアイテムがフルコースで備わる。

 
18インチの「OZ」製アルミホイール、大径ブレーキディスクを標準装備。単なるドレスアップカーとは違うところだ

一方で、いかにも「チューニングカーでござい」ではなく、クルマに興味のない人には「ちょっとカッコいいゴルフ」くらいに見えるところも、R32の大きな価値。世の中に高性能なクルマはいくらでもあるが、R32は大人が「こっそり高性能を楽しむ」ための純正チューンドゴルフなのだ。

 

inside.gif

「ケーニッヒ」製スポーツレザーシートが肝

インパネ(インストルメントパネル)やダッシュボード等は、基本的に普通のゴルフと同じだが、フェラーリ等のド級チューニングカーで有名な独ケーニッヒ社製のサイドエアバッグ内蔵式スポーツレザーシートが、タダモノじゃない雰囲気。サイドサポートがかなり深いが、大柄な作りで、しかも着座位置が高めなので、乗降性や快適性は問題ない。街乗り用としてはホールド性も十分だ。インテリアにおいては、このシートがR32の魅力の大半を担う。

この初代R32は左ハンドルと右ハンドルの両方があるが、いずれも全車6速MT車のみ。AT免許でも乗れる6速DSGが用意されたゴルフVベースの2代目R32と異なり、ある程度ドライバーを選ぶクルマとなっている。

 
レザーシート、レザーステアリング、シフトノブ、ペダルなど体に触れる部分はスペシャルメイドだ
速度計は300km/hまで。6250回転で最高出力241psを発揮し、レッドは6500回転から
リバース(後退)に入れるには、真下に押してから左奥へシフト
 
アルミ製ABCペダルとフットレストにはVW「R Line」のロゴが刻まれている
座面サイドには「Koenig」のロゴが刺繍される
レザー張りリアシートには立派なヘッドレストが付き、居住性は上々。もちろんカーテンエアバッグも装備
 
後席の足元には収納式のドリンクホルダーが備わる
背もたれは6:4分割式シングルフォールディングで折り畳み可
荷室は一見、普通のゴルフ(容量330L)と同じに見えるが、実は床下にデフを収めるため上げ底になっており容量は245L
 
最大拡大時。このあたりの使い勝手は普通のゴルフ並み。スポーツ自転車で前輪を外せば立てたまま積める
デフとマフラーを収めるべくスペアタイヤレスとし、床下にはパンク修理キットとジャッキが備わる
荷室左側面に純正CDチェンジャーを収納
 

imp.gif

極めて鋭いレスポンス、最高速は247km/h。

エンジンは極めてレスポンシブだが、発進自体はイージーだ

サンプルカーは右ハンドルの5ドア車。2003年式の5年落ちで、走行距離3万4000kmだ。エンジンは自然吸気の狭角3.2リッターV6(241ps、32.6kgm)で、変速機は6速マニュアル、駆動系はハルデックス社の電子制御クラッチによるフルタイム4WDとなる。車重は2ドア仕様より50kg増えて1510kgとなり、動力性能はメーカー発表値で0-100km/h加速:6.6秒、最高速247km/hという俊足だ。筆者は最新モデルも含めてGTIには一通り乗っているが、R32は今回が初だ。

エンジン音はチューンドカーのように不敵なもので、アクセルを踏み込んだ瞬間、ズワンと敏感に吹け上がる。エンジン形式は違えど、ポルシェの水平対向6発のような、あるいはBMW「M」の直6ような、レスポンス、迫力、ハイチューンっぽさをビンビン感じさせるユニットだが、一番印象が近いのは、意外と思われるかもしれないが、アルファのGTAシリーズ(147や156)に積まれた3.2リッターV6かなと思う。かなり過激なエンジンだ。

 
パワーはあり余るほどだが、フルタイム4WDによって持て余す感は全くない

発進自体はイージーで、まったく気を使うことはない。レスポンスが非常に鋭く、同時に半クラッチが使いやすいので、逆にクラッチを傷めないような運転をしたいところ。走り出した後もアクセル操作にミリ単位で反応するので、スムーズに走らせるには丁寧な操作が求められる。

フルタイム4WDということもあり、普通に走る分にはトルクステアもなく、GTIのようなホイールスピンも生じない。サスペンションはフロントがベース車と基本的に同じマクファーソンストラットだが、リアはR32専用のマルチリンクだ。乗り心地は多少ゴツゴツするが、静粛性も含めて快適性に大きな不満はない。このパワーであるが、ヘタリ感が極めて少ないのはさすがだ。

 

spec.gif


車名 : Volkswagen Golf R32(2003年モデル)
形式 : GH-1JBFHFF
寸法 : 全長4165mm×全幅1735mm×全高1435mm
ホイールベース : 2520mm
車重 : 1510kg
駆動方式 : フルタイム4WD
エンジン : 3.2リッターV型6気筒SOHC・4バルブ
最高出力 : 241ps(177kW) /6250rpm
最大トルク : 32.6kgm (320Nm)/ 2800-3200rpm


トランスミッション : 6速MT
使用燃料/容量 : プレミアムガソリン / 63L
10・15モード燃費 : 9.0km/L
タイヤ : 225/40R18
最小回転半径 : 5.3m
発売時期 : 2003年5月(4ドア)
当時の新車価格 : 405万円(4ドア仕様、消費税別)

 

試乗車スペック

初年度登録 : 2003年
販売価格 : 279万円(消費税込み)
走行距離 : 34000km
ボディカラー : ブラックマジックパールエフェクト
備考 : CDチェンジャー、ETC付、ワンオーナー
試乗日 : 2008年5月

check.gif

下回り、タイヤ等の消耗品、クラッチの状態

バンク角15度の狭角V6はVWでおなじみのユニット。エンジンオイルの定期交換など常識的な整備がしてあれば耐久性に問題はない

事実上、国内は2003年モデルのみの初代R32だが、趣味性が高いモデルなので、大切に乗られたクルマが多いはずだ。とはいえ車高がノーマルより20mm低く、フロントバンパー下のクリアランスも少ないので、下まわりはいちおうチェックを。多少は当たっていても仕方ないと考えるべきで、要は「確認しておく」ということだ。あと、車重やパワーの関係でタイヤ性能への依存性は高いはずだから、残り溝やタイヤの状態も軽くチェック。18インチの40偏平だから、交換時にはそこそこの出費が必要だ。

 
フォルクスワーゲン車に関しても豊富な在庫を誇るオートプラネット。GTIも多数ある

エンジン自体は特殊でも極端なハイチューンでもないので、信頼性は高いと思っていいだろう。むしろ注意したいのは、これだけのパワーを受け止める駆動系の方だ。走行距離が多い場合は、前オーナーの乗り方次第ではクラッチ等が傷んでいる可能性がある。2速、3速でフルパワーを掛けた時に滑らないか、ジャダー(クラッチをつなぐ時などの振動)は出ないか、などをチェックしたい。今回のサンプルカーは走行3万4000kmでもジャダー、駆動系のガタ感、振動のたぐいは一切無かったから、それが出るとすればヘタっている証拠。何らかの処置が必要だ。

 

advice.gif

「M」や「AMG」に道を譲らずに済む「究極のゴルフ」

キセノンヘッドランプは標準装備

筆者自身の手元にも(まだ)1996年式ゴルフIIIがあるため、今回のR32と言わず、GTIのような「実用性はそのままに、乗って面白くて速いゴルフ」はかなり魅力的だ。例えば今のゴルフVのGTIなら、200psの2リッター直噴ターボで、6MTのほか6速DSGも選べる。まさに理想かつ万能の一台と言おうか。

今回のR32はそんなGTIを段違いで上回る、常識外れの速さを求めたスーパーゴルフである。ゴルフでもって、某ドイツ製高級セダンに高速道路で一泡吹かせる。あるいは某国産メーカーの高性能GTスポーツを軽くチギッちゃう。そんな意外性が楽しめる究極のゴルフである。

 
「R32」の動力性能はかなり過激なもの。そういう意味でも「R32」(大人向け)だ

そんなわけで新車時は400万円前後と価格も「超ゴルフ」だったが、それが今回のサンプルカーでは車両本体279万円と、現行GTIの新車(300万円台前半)より手が届きやすい。そもそも当時のGTI最高グレードより50万かそこら高いだけで、専用レザーシート、ブレーキ、足回り、フルタイム4WD、そしてレーシングカーのようなレスポンスのV6エンジンなど、コスト割れしそうなほどお金の掛かっていたのがこのR32だ。「ゴルフ好きのクルマ好き」なら、これを買わずして何を買う、というものだろう。いずれにしろ国内には500台のみ、4ドアなら200台の希少モデルなので、手に入れるならコンディションの良い個体がある今のうちだろう。

 

Text:Kei Niwa, DAYS
photo:DAYS


ucaravenue-b.gif

 

ページの先頭へ戻る