掲載日 : 2008年06月11日
2002 BMW 318i M-Sport
スポーツセダンのお手本。E46型は4代目
BMW・3シリーズは1975年に登場した初代「E21型」から始まるBMWの小型FRスポーツセダン。1983年に2代目「E30型」、1991年に3代目「E36型」、1998年に4代目「E46型」、そして2005年に5代目「E90型」へ進化している。今も昔もこのクラスの手本のような存在であり、スポーツセダンといえば筆頭に挙がるクルマだ。
今回とり上げる4代目「E46型」(1998~2005年)は、先代E36型の基本設計を受け継ぎながら、操縦安定性、衝突安全性、快適性、高級感をさらに高めたモデル。後継の5代目(E90型)が大型・高級化した今、軽快なイメージをとどめる最後の3シリーズとも言える。
直4ベーシックモデル「318i」は、前期と後期で「中身」がかなり違う
今回とり上げるセダンの「318i」は、直4エンジン搭載のベーシックグレード。モデルイヤーを通して7年間にわたって販売されたが、2001年10月のマイナーチェンジを境に、前期(1998~2001年)と後期(2001~2005年)に分かれる。
前期と後期で一見して分かる違いは、ヘッドライトやキドニーグリルの形状だが、より重要なのはエンジンとATの違い。前期は1895cc・SOHC直4(118ps)と4AT、後期はパワフルな1995cc・DOHC直4(143ps)および1段多い5ATとなっている。両方ともグレード名は「318i」なので、うっかり見逃しやすい点だ。なお、318iセダンには5MT車もあり、今回のサンプルカーはそれである。(2008.06)

今見ても旧さを感じない。サイズもちょうどいい
サンプルカーは2002年の318i M-Sport。すなわちヘッドライトの形状が変わり、直4エンジンの排気量が2リッターになった後期型である。先代のE36型より柔和になり、質感は高まり、ボリューム感が加わったデザインはE46型3シリーズの特徴だ。2008年の今見ても、旧さをまったく感じない。1980年代にはE30が、1990年代にはE36がカッコよく見えたように、今買うならやはりE46か、と思わせる。
全長4470mm×全幅1740mm×全高1400mmと幅こそ3ナンバーだが、全長はカローラセダン並み。最小回転半径は4.9mに過ぎない。街中で「足に使う」のなら、このくらいのサイズがちょうどいい。
「BMWのスタンダード」そのもの
限定車として左ハンドル車も少量導入されたようだが、E46型セダンの318iは基本的に右ハンドルとなる。サンプルカーは希少の5MTだが、欧州では今でもマニュアルが一般的なので、これが本来の仕様とも言える。
インテリアの雰囲気はこの時代のBMWに共通する、コックピット感を強調したもの。センターコンソールがドライバーの方を向いた、いわゆるドライバーオリエンテッドなデザインとなっている。広さではなく、あくまで一体感やスポーティさを重視したものだ。レバーやボタンも昔ながらのBMW流。戸惑うところは一切ない。
M-Sportのサンプルカーには、内装のあちこちに「M」仕様の専用装備が備わる。操舵感に優れた3本スポークステアリング、アルカンタラ張りのスポーツシート、カーボン調パネルなどで、M-Sportを選ぶ意味は外装もそうだが、むしろこの内装(特にシート)ではないかとも思われる。
後期型の2リッター直4はtiと同じ
サンプルカーは2002年式の318i M-Sport(5MT)。取材時点で6年落ちだが、走行距離は「いったい何やってたの?」と言いたくなる、たったの1万1000km。実際、内外装のコンディションも走った印象もたいへん良く、メカニカル面のヤレはほとんど感じられなかった。
いわゆる後期型なので、エンジンは2リッター直4・DOHC(143ps、20.4kgm)。これは以前、Uカー試乗記でとり上げた2ドアハッチバックの2003年式 318ti と全く同じパワートレインだ。車重もセダンの318iが1360kg、318tiが1350kgと、意外にもほとんど同じ。5MTは318iが右ハンドル、tiは左ハンドルとなる。
とはいえ元気の良かった318tiと異なり、心なしか318iは落ち着いた走りという印象。アクセルを踏み込んでも、高回転まで回した時の「ウォーーーン」というメカニカルノイズが高まる程度で、排気音は直接聞こえない。同時に取材したゴルフのR32やアウディS3が200psオーバーのハイパワー車だったせいか、318iの大人しさが目立った格好ではある。
噛めば噛むほど
こんな具合に基本的には「刺激」と対極にあるクルマで、「パワーがない」と選択肢から外す人がいても、それはそれで仕方ないが、この完成度の高さは現行の国内外新車も含めてかなり上位にくる。バランスの良さや快適性の高さはじっくり乗るとありがたさが分かるものだし、ちょっと頑張って走った時の操縦性はやはりFRならでは。後輪で路面を蹴る感覚もそこはかとなく味わえる。「噛めば噛むほど味が出る」タイプだ。
車名 : BMW 318i M-Sport(2002年モデル)
形式 : GH-AY20
寸法 : 全長4470mm×全幅1740mm×全高1400mm
ホイールベース : 2725mm
車重 : 1360kg
駆動方式 : 後輪駆動(FR)
エンジン : 2.0リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 : 143ps(105kW) /6000rpm
最大トルク : 20.4kgm (200Nm)/ 3750rpm
トランスミッション : 5速MT
使用燃料/容量 : プレミアムガソリン / 63L
10・15モード燃費 : 13.2km/L
タイヤ : 前 225/45R17、後 245/40R17
最小回転半径 : 4.9m
発売時期 : 2001年10月(後期型)
当時の新車価格 : 408万円(消費税別)
試乗車スペック
初年度登録 : 2002年
販売価格 : 236万円(消費税込み)
走行距離 : 11000km
ボディカラー : サファイアブラック
備考 : CDチェンジャー
試乗日 : 2008年5月
エンジンは心配不要。電気系や駆動系を念のためチェック
BMWのエンジンはおしなべて信頼性が高いため、特に高年式なら心配は要らない。エアコンの効き、パワーウインドウといった電気系の動作、バッテリーは交換済みかどうか、キセノンヘッドライト(オプション)の有無といった細かい点くらいか。
試乗が可能なら、エンジン音、変速機の動作をチェック。特にマニュアル車の場合は、走らせて初めて分かることも多いので、自分で運転するのがベスト。ただ運転技量に自信がなければお店の人に運転してもらうのもいいだろう。
外見ではなく中身を見よう
Uカーの場合、外装をきれいに仕上げても内装にはそれまでの痕跡が残るもの。年式が旧い車両は、運転席周辺の内装の状態を見てチェックしたい。これは中古車選びの基本の一つで、車検証に距離表示がされる今も基本は変わらない。318iの場合は、Mスポーツシートのサイドサポートの擦れ、クッションのヘタリ(助手席と比較)、ステアリングやシフトノブ、ペダル類の磨耗などを見ておきたい。
後期型がお勧め。ベースグレードかM-Sportかはお好みで
まず前期型か後期型かは、当然ながら2001年秋以降の後期型がお勧め。2008年現在、2001年モデルだってもう7年落ちなのだ。もちろん前期の1.9リッターSOHCから、後期の2リッターDOHCへの進化幅も大きい。ATも4速から5速に格上げされている。街乗りだけなら前期型で十分とも言えるが、購入後のメンテナンスにかかる出費と手間を考えれば、前期型をあえて選ぶ理由はない。
なお、ベースグレードかM-Sportかは、基本的には見た目の違いが主であるが、特に前者は標準装備が16インチスチールホイール+樹脂製キャップ、後者は17インチアルミ(タイヤサイズは前225/45R17、後245/40R17)となるのが大きい。ただし標準仕様でもオプションで16インチないし17インチのアルミホイールが付いている場合もある。また、それぞれのシートに関しては人によって評価がマチマチなので、座り比べをしてみるといいだろう。
クルマ好きの足に最適
今回の主役である5MT車は、BMWらしい操縦性と軽快な走りを楽しむのに最適の1台。320i以上の6気筒車も気になる存在だが、MTが選びにくいし(3リッター車など一部のみ)、4気筒でもBMWらしさは十分味わえると思うので、パワーとスペックを重視しなければ直4の318iで十分期待に応えてくれるはずだ。むしろ燃費もいいし、快適性も高いので、一般の方はもちろん、例えば長距離通勤のクルマ好きが足とするのに最適の1台だろう。個人的には経済性を含めて、このクラスのスポーツセダンでベストと言える選択だ。
Text:Kei Niwa, DAYS
photo:DAYS


