掲載日 : 2008年07月01日
2007 MINI クーパー S
クーパー「S」の名にふさわしいMINI最強モデル
2002年3月に日本で発売された初代ニューMINIのラインナップ中で、最もホットなモデルとして同年5月に追加されたのが、R53型「クーパーS」だ。スーパーチャージャーの搭載により最高出力163ps(後に170ps)を発揮するなど、クーパー以上の高性能を意味する「S」の名にふさわしいホットモデルに仕上げられた。
2007年には通常のMINIと合わせてフルモデルチェンジ、クーパーSも2代目「R56型」に進化し、同年2月に日本で発売された。今回のサンプルカーは、この2代目クーパーS(2007年~)だ。
初代と2代目、どこが違うの?
2代目MINIの全グレードに共通して言えることは、先代との違いが一見しただけでは分かりにくいこと。しかし実は内外装からエンジンに至るまで大幅に手が加えられているのがポイントだ。
まず一番の変更点はエンジンで、1.6リッターSOHCの通称「ペンタゴン」ユニットを廃止、新たにBMWとプジョーが共同開発した1.6リッターDOHCエンジンが採用されている。クーパーSに関しては、過給方式が先代のスーパーチャージャーではなく、ツインスクロール式シングルターボに変更され、最高出力は175psに向上。変速機には6MTと先代クーパーSと同じアイシンAW製のトルコン式6ATを採用している。
さらに外観はイメージを踏襲しながらもルーフ部分以外のほぼ全てを変更。識別点として一般的なのは、メッキグリルの形状(初代:2段構え、2代目:シングル)、フロントのウインカー(初代:バンパーに独立配置、2代目:ヘッドライトにビルトイン)等である。

クーパーS専用外装が高性能をアピールする
ボディサイズは(R53型クーパーS比)全長3715mm(+60mm)×全幅1685mm(+5mm)×全高1430mm(+5mm)と、先代に比べて少し大きいだけ。エアスクープ(現行モデルではダミー)が配されたボンネット、リアスポイラー、センター2本出しマフラー、前後バンパーといった外装はいずれもクーパーSの専用品。さらにサンプルカーは、オプション設定となるストライプがボンネットを飾る。フロントバンパー下に配された樹脂製スポイラーもS専用だが、こちらは段差やクルマ止めでこすらないよう、やや注意が必要だ。
熟成しつつ使いやすさを向上
インテリアも先代のイメージを基本的に踏襲しているが、スイッチ類の操作性や使い勝手はしっかり改良されている。特徴的なセンターメーターはひとまわり大きなものとなり、視認性もやや向上した。
シートの調整幅は大きく、さらにステアリングはチルト(上下)とテレスコ(伸縮)の調整が可能なので、ドライビングポジションの自由度は高い。サンプルカーはオプション設定のパンチングレザーを用いたシートが装着され、ホールド感もまずまずだ。
かなりパワフル、爽快感ある吹けあがりのターボエンジン
今回のサンプルカーは2代目導入初期の2007年モデルで6MT車。MINI正規ディーラーであるMINI名古屋名東・名古屋守山・岡崎の試乗車だったもので、いわゆるこの業界で「デモカー上がり」と言われるもの。約1年落ちで走行距離は2000kmと、Uカーとしては極めてコンディションは良好。実はこの車両、後で気付いたのだが、偶然にも新車時に取材で200kmほど試乗した車両そのもので、約1年ぶりの再会であった。
そんなこととは露知らず、久々に乗ったR56型クーパーSは、低回転から高回転までリニアなパワー特性の直噴ターボエンジンによって、先代スーパーチャージャー以上の爽快な加速を見せる。1年前に試乗した時よりアタリが付いたせいか、より滑らかでパワフルな印象を受けた。アクセルオフで時々「ボン!」とアフターバーン音を響かせるところや、猛烈に加速しながらトルクステアを出す(アクセルを緩める必要はない)ところも、以前と変わらず。ターボラグはほとんどなく、クロスレシオの6MTともあいまって各ギアであっという間にタコメーターの針をレブリミットまで跳ね上げる。お世辞抜きに、非常にコンディションの良い個体であったことも付け加えておく。
一層明確になるゴーカート感覚
操縦性はMINIらしい、いわゆるゴーカート感覚。パワフルなエンジンと固めた足回りが奢られたクーパーSではその傾向がより一層強く、まさに「オンザレール」。キビキビとしたシフトチェンジを駆使して、街から峠まで俊敏に駆け抜けるのが信条といった走りだ。最高速は先代クーパーSを7km/h上回る225km/h。10・15モード燃費はNAとなるクーパー(6MT仕様)の13.8km/Lより優秀な14.4km/L。さらに燃料タンクはワンやクーパーの10リッター増しとなる50リッターとなっている。ロングドライブで大いに役立つことだろう。
車名 : MINI Cooper S(2007年モデル)
形式 : ABA-MF16S
寸法 : 全長3715mm×全幅1685mm×全高1430mm
ホイールベース : 2465mm
車重 : 1210kg
駆動方式 : 前輪駆動(FF)
エンジン : 1.6リッター直列4気筒DOHC・4バルブ・ターボ
最高出力 : 175ps(128kW) /5500rpm
最大トルク : 24.5kgm (240Nm)/ 1600-5000rpm
トランスミッション : 6速MT
使用燃料/容量 : プレミアムガソリン / 50L
10・15モード燃費 : 13.2km/L
タイヤ : 195/55R16
最小回転半径 : 5.1m
発売時期 : 2007年2月(2代目R56型)
当時の新車価格 : 295万円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 : 2007年
販売価格 : 289万円(消費税込み)
走行距離 : 2000km
ボディカラー : レーザーブルー/ホワイト
備考 : レザーパッケージ、ボンネットストライプ、シートヒーター等
試乗日 : 2008年6月
ヤレやヘタリが出るのはそうとう先
ニューMINIは今でも英国車(英国生産)だが、言うまでもなくその設計にはBMWが深く関与している。特にエンジンや制御系が一新された2代目ではその度合いが高く、信頼性はドイツ車的な生真面目さに裏打ちされていると言ってよい。2008年の現時点では、それこそ新車同様のコンディションのものが大半だが、今後もヤレやヘタリといった経年劣化が生じるのは、そうとう先と思われる。
あえてチェックポイントを挙げるなら、内外装の状態はもちろん、試乗が可能であれば走行中の異音のチェック(神経質になる必要はない)、MT車を選ぶ場合はシフトフィーリング(ジャダーと呼ばれるつながる時の振動、シンクロ鳴りの有無など)くらいか。クーパーSの運転感覚はかなり刺激的なので、それに惑わされず冷静に観察したいところだが、もちろん惑わされて勢いで買うのもクルマ趣味の醍醐味である。
NewカーかUカーか、気軽に相談してみよう
今回はUカーと言えど、昨年発売されたばかりの現行モデル。よって2010年頃までは新車保証が残ってる車両が大半。そういう意味では今後数年内に検討する場合、迷うのは「いっそ新車か、少しでもお買い得感のあるUカーか」といったところだろう。
以下、それぞれのメリットを考えてみると、新車には豊富なオプションを自分で自由にコーディネートできるシステム(組合せは約10万通りにも及ぶ)があり、対してUカーにはそれら装着済みのオプションがリーズナブルな価格で手に入るというメリットがある。また保証に関しては、新車ならもちろん3年保証、Uカーの場合は新車保証の残り、もしくはオートプラネットもしくはメーカー認定中古車(「MINI NEXT」と呼ばれる)の1年保証となる。
意外と知られていないが、MINI正規ディーラーでもオートプラネットでも、新車と認定中古車の両方を取り扱うので、それら拠点の販売スタッフに率直に相談してみる、という方法を個人的にはお勧めしたい。それぞれのメリットや乗り出し価格等の差がよく分かり、おのずと自分にとってベターな選択が見えてくるだろう。
「クーパーS」を選ぶ理由とは?
デビュー以来6年が経過し、すでに定番の存在となった感のあるニューMINI。かつてのクラシックミニよろしく、「MINI」としてのアイデンティティはすっかり確立された感がある。また今回のクーパーSには、初代以来ことあるごとに試乗してきたが、初代のスーパーチャージャーにしても、2代目のターボにしても、ノーマルとは別次元のパワフルな走りは理屈なしに楽しく、完成度もすこぶる高い。Uカーであってもその魅力が減じることはなく、おそらく10年以上先でもクルマ好きに愛される存在であり続けるだろう。むしろ牙の抜かれたクルマが増える一方の昨今、人気はどんどん高まるかもしれない。この手のクルマが好きなら、乗っておいて損はないクルマだと断言できる。


