掲載日 : 2008年07月08日
2007 プジョー 207 GT
人気を博した「206」の後継車
207シリーズは、サブコンパクトカーである200番台プジョーの第7世代。2006年のジュネーブショーでデビュー、日本国内では2007年3月にまず「207 GT」(3ドア)を発売。次いでベーシックモデルの「207」(5ドア)、パノラミックガラスルーフ仕様の「207 シエロ」(5ドア)、高性能版の「207 GTi」(3ドア)、クーペ・カブリオレの「207 CC」「207 CC プレミアム」「207 CC GT」、そしてステーションワゴン版の「207 SW」「207 SW GTi」という順に、ラインナップを増やしている。
207シリーズ全体の特徴としては、第7世代以降のプジョーに共通するクーペ風スタイル、新型シャシー、さらに第2世代のニューMINIと同様、BMWと共同開発した1.6リッター直4エンジンを採用する点があげられる。
プジョー207「GT」とは?
207 GTは、2代目MINIクーパーSや207 GTiと同じ基本構造を持つ1.6リッター直噴ターボを搭載した上級モデル。ただし出力はクーパーS/207 GTi(175ps)より低く、NAエンジン車(120ps)より高い150ps。トルクはNAエンジン車(16.3kgm)より大幅に高く、クーパーS/207 GTi と同じ24.5kgmとなっている。変速機は5MTのみ、ボディは3ドアのみとなる。
なお、専門的な話をすると、207シリーズのNAエンジンはいわゆるバルブトロニック (スロットルの代わりにバルブ制御で吸気量をコントロールする)だが、燃料噴射方法は一般的なポート噴射。一方、このターボエンジンは非バルブトロニック(つまり普通にスロットル制御で吸気量をコントロール)だが、燃料噴射方法はシリンダー内に直接噴射する「直噴」となる。エンジンの基本は同じだが、実際には別物と考えた方がいいだろう。(2008.07)

第7世代のスポーティなスタイル。GTは3ドアのみ
巨大なヘッドライト、大きく口を開いたグリルが印象的なエクステリア。全長4030mm×全幅1750mm×全高1470mm、ホイールベース2540mmというサイズは、3ドアと5ドアで共通。全長は4メートル超、幅は3ナンバーサイズということで、先代の206よりずいぶんとボリュームアップしている。今回の207 GT、そして207 GTiは、3ドアのみとなるのが特徴。両グレードとも205/45R17の大径・偏平タイヤを履く。
サンプルカーのボディカラーはラセルタ・イエロー。デビュー当時、GTでは他にプジョー定番のエーゲブルー、ビアンカホワイト、アルミナムグレー、アデンレッド、そしてオプシディアンブラックが選べた。
206から大幅に進化
インテリアの質感はひとクラス上の307レベルにアップ。左右独立式のオートエアコンや、平均燃費などを表示するディスプレイなど、装備も充実している。さらにこの207 GTや207シエロの特徴と言えるのが「パノラミックガラスルーフ」の存在だ。ガラス天井のもたらす開放感は高く、オープンエアと違って風雨にさらされる心配もない。四季のあるこの日本では、満足感の高い装備といえる。
居住性・安全性も向上
ステアリングはチルト(上下)とテレスコ(伸縮)の調整が可能。座り心地とホールド性を両立させたハーフレザーシートも、高さが調整できる。また3ドアとはいえ、後席への乗降は意外にスムーズ。リアシートもプジョーらしく分厚いものが用意されており、座り心地も悪くない。フル4シータークーペという感覚で使用することが可能だ。6エアバッグ標準など安全装備も充実している。
刺激は薄いが十分に速い
207 GTは、3ドア・5MTのみのモノグレード。担当者が207 GTに試乗するのは2007年春のデビュー以来、約1年ぶりとなる。サンプルカーは2007年式で走行2000km弱。外観は前輪がその分磨耗している程度で、ほとんど新車並みのコンディションだ。
まず感じられるのが5MTの軽いシフトタッチ。クーパーSの6MTほどガチッとした剛性感はなくストローク量も多めだが、クラッチミートは簡単で「ペーパーMTドライバー」でもすぐに運転できそう。
ターボラグのほとんどないエンジンは2リッター自然吸気エンジンのように扱いやすい。最大出力はクーパーSの175psに対して150psだが、最大トルクは24.5kgmと全く同じだ。足回りは新車時よりもさらにしなやかで、ちょうどいい感じ。路面の凹凸をいなしつつ滑らかに走り、直進安定性も高い。ESPも標準装備だ。電動パワステの軽さも、慣れれば気にならないレベルだろう。走り始めた瞬間、心拍数が気持ちよく上がるクーパーSに対して、207 GTは十分速いのに穏やかな気持ちのままでいられる。
「ツアラー」としてのGT
最高速はUK仕様で211km/hとあり、日本の道路ではもちろん十分な性能。10・15モード燃費は12.6 km/Lで、NAエンジンを搭載する207(5ドア)の11.8km/Lより優秀。ターボの方がカタログ上の燃費がいいのは、第2世代のMINIと同じ傾向。ちなみにクーパーSの10・15モード燃費は13.2km/Lである。
いずれにしても高速巡航で、節度を守って走れば航続距離も伸びるしサイフにも優しい。決して走りは刺激的ではないが、長距離を快適に移動できるという点では、まさに「GT」の名にふさわしい。
車名 : Peugeot 207GT(2007年モデル)
形式 : ABA-A75FX
寸法 : 全長4030mm×全幅1750mm×全高1470mm
ホイールベース : 2540mm
車重 : 1270kg
駆動方式 : 前輪駆動(FF)
エンジン : 1.6リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 : 150ps(110kW)/5800rpm
最大トルク : 24.5kgm (240Nm)/ 1400-3500rpm
トランスミッション : 5速MT
使用燃料/容量 : プレミアムガソリン / 50L
10・15モード燃費 : 12.6km/L
タイヤ : 205/45R17
最小回転半径 : 5.4m
発売時期 : 2007年3月
当時の新車価格 : 264万円(消費税別)
試乗車スペック
初年度登録 : 2007年
販売価格 : 178万円(消費税込み)
走行距離 : 2000km
ボディカラー : ラセルタイエロー
備考 : 新車保証付(2010年3月まで)
試乗日 : 2008年6月
今のうちに新車にぜひ試乗を
2007年春デビューゆえ、2010年までは新車保証(走行距離無制限)のある車両が大半であり、もちろん信頼性も高い。とはいえ、やはり可能な限り実際に試乗してチェックしたいが、その前に現時点でお勧めしたいのが、プジョー正規ディーラーに配備されている新車に試乗してみることだ。その際、営業スタッフに「Uカーを検討中です」と率直に話してみるのもいい。新車販売店の営業スタッフは当然ながら取扱いブランドのUカー事情にも詳しいから、適切なアドバイスが得られるはずだ。
走行距離が進んだものは、タイヤ、ブレーキ、バッテリーなどの消耗具合や交換歴を確かめ、それらの交換を前提に検討するのがいいだろう。適切な整備を行えば、10万kmや15万kmなどまったく問題なく走るはずだ。
普段使いからツーリングまでこなせるオールラウンダー
クルマに限らず、昔から「小さくて高性能」なものには、独特の魅力がある。現代のクルマで小さくて高性能といえば、代表格は前回取り上げたMINIのクーパーSだろうか。刺激的な走りという点では頭一つ抜けた存在であり、誰が乗っても面白いクルマだ。
ただし誰もがいつも刺激あふれるモデルに乗っていたいか、といえば違うだろう。日常の足としても無理のない実用性、経済性、そして往復400km、500kmといった日帰りロングドライブを快適にこなせるパワーと快適性・・・・・・。そんなものを兼ね備えたコンパクトカーが欲しい、という思いこそ、むしろ多数派ではないかと思う。
クーパーSと同じ175psの207 GTiには試乗経験がなく、コメントは控えるが、少なくとも207 GTには、確かにクーパーSのような「ゴーカートフィーリング」はないし、演出された過激なパワー感もない。そういう意味で、刺激は乏しいといえるかもしれない。
しかし考えてみて欲しい。高速道路でも余裕でハイペースを維持できるターボパワー、まるで2クラス上の国産ミドルクラス車に匹敵する快適性、そしてパノラミックガラスルーフ越しに楽しめる空の景色など、このクルマには他にはない魅力がたくさん詰まっている。207 GTはそういう意味で、実にいい線を付いているモデルだ。コンパクトなGT(グランドツーリングカー)というキャラクターは少々分かりにくいが、実はこれこそ多くの人が求めている「いいコンパクトカー」ではないか、と思う。
ユーザーからすれば幸い207 GTのUカー相場は、クルマの内容と価値からすれば、不当に安いと言ってもいい。ぜひ207 GTのようなよく出来たコンパクトカーで、プジョー車の良さ、クルマの、そしてドライブの楽しさを知って欲しいと思う。


