掲載日 : 2008年08月01日
2000 プジョー 406 セダン 2.0
405の後継、407の前身となるプジョーのミドルクラス
1980年代にプジョーミドルクラスを担った405シリーズ。その後継車として1995年に発表されたのが「406」(ヨンマルロク)シリーズだ。405のイメージを踏襲しつつ、ボディサイズや室内空間を拡大し、品質感を高めるなど、時代に合わせた進化を遂げている。
日本では1996年に主力となる4ドアセダンの販売がスタート。翌1997年にステーションワゴンの「406 ブレーク」、1998年にはピニンファリーナがデザインを手がけた「406 クーペ」と、順にモデルラインナップを増やしている。日本仕様のエンジンは当初は2リッターDOHC直4のみだったが、1997年に3リッターDOHC・V6を追加した。
2000年に後期型へマイナーチェンジ
2000年にはセダンとブレークを対象にマイナーチェンジを実施。フェイスリフトをはじめとする内外装のデザイン変更、エンジン換装などを行った。一般的にはこのマイナーチェンジを境に、前期型と後期型に分けられる。2002年には2.2リッター直4エンジンと、日本仕様の406シリーズで唯一の5MTをセットにした「406スポーツ」を追加。なお、これ以外の406シリーズは全車4ATであり、1998年以降の2リッターモデルにはPSAとルノーが共同開発した自動学習型AT「AL4」が採用されている。(2008.08)

日本車にも影響を与えたデザインワーク
ボディサイズは全長4600mm×全幅1780mm×全高1430mm、ホイールベースは2700mm。先代の405セダンに比べて、全長で190mm長く、全幅で60mmワイドであるなど大幅にサイズアップしているが、一方で後継の407セダン比では、85mm短く、60mmスリムという具合に一回り小さい。つまりは車名の通り、405と407のちょうど中間のサイズ。いまの感覚からすれば十分にコンパクトと言える。
プジョー社内によるスタイリングはオーソドックスでありながら流麗で、手堅いパッケージング共々、同時代の日本車にも影響を与えている。マイナーチェンジ後はフロントマスクを一新。前期型は映画『TAXi』(1998年)で、今回の後期型はその続編『TAXi2』(2000年)で主役を張っている。
プジョーらしい居住性、きわめて充実の装備
2004年に生産終了となるまで年々改良と熟成が行われたが、基本設計は1995年のもの。樹脂の質感や操作系レイアウトなど、今となっては少々クラシックだ。しかし装備面では、前席正面ダブル&サイドエアバッグ、フォースリミッター&プリテンショナー式シートベルト、盗難防止イモビライザー、マルチファンクションディスプレイ、雨滴感知式オートワイパー、クルーズコントロールなどなど、当時のライバル車はおろか、現在の基準で考えても相当に充実している。ベージュを基調とした内装も、高級感というよりリラックス感あふれる仕上がり。このあたりのセンスはフランス車ならではと言えるだろう。
さらに406で特筆すべきは、シートの座り心地だ。厚みのある柔らかいクッションが身体を包み込むようにホールドし、乗り心地もサポート感も上々。伸縮式レバーをキコキコ動かして上下調整するハイトアジャスターやチルト(角度)&テレスコピック(伸縮)ステアリングを備えるため、ドラポジの自由度も高い。リアシートの居住性も高く、長距離ドライブでも快適な時間が過ごせそうだ。
静かで快適、どこまでも柔らかな乗り味
サンプルカーは2000年式の8年落ち。走行距離も5万2000kmと年式相応だが、内外装のコンディションは良好で旧さを感じさせない。走り出してすぐに感じるのは、乗り心地の良さ。先に述べたシートの座り心地、かつて「猫足」と呼ばれたソフトでストローク感のあるサスペンション、そしてシャシー全体の剛性というよりは「柔性」が、路面の凹凸をほとんど感じさせることなく、独特の和み系走行感覚となっている。国産車の中にも、同じような乗り味のものはあるが、プジョーのすごいところは年月と距離を重ねた車両でも、鋭いハーシュネス(突き上げ)やガタピシ感、振動がほとんど無いこと。担当者の経験上、少なくとも306を含めたこの世代のプジョー車は、最後までこの柔らかさを失わない。室内の静粛性も高く、路面を選ばず快適に走ることができる。
対して動力性能は、まあ十分といった印象。後期型の2リッター直4エンジン(135ps/6000rpm、19.8kgm/4100rpm)は、206の高性能グレード「S16」と基本的に同じではあるが、意のままにならない「AL4」の変速マナーも手伝って、キビキビグイグイ走る、というわけにはいかない。ただし学習機能付きのAL4はしばらく走ると変速パターンが落ち着いてくるらしいので(その間にドライバーの方も「学習」するわけだが・・・・・・)、じっくり乗ってみるとまた違ってくるかも。100km/h時は4速トップで約2300rpmとややハイギアードなので、高速巡航は得意な部類だ。
車名:Peugeot 406 Sedan 2.0(2000年モデル)
型式:GF-D9
寸法:全長4600mm x 全幅1780mm x 全高1430mm
ホイールベース:2700mm
車重:1350kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン:2.0リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力:135ps(99kW)/6000rpm
最大トルク:19.0kgm(186Nm)/4100rpm
トランスミッション:4AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン / 70L
10・15モード燃費:-km/L(未公表)
タイヤ:195/65R15
最小回転半径:5.7m
発売時期:2000年3月
当時の新車価格: 299万5000円(消費税抜き)
試乗車スペック
初年度登録:2000年
販売価格:48万円(消費税込み)
走行距離:52000km
ボディカラー:ルシファーレッド
備考:CDチェンジャー
試乗日:2008年7月
信頼性は高いが電装系のトラブルに注意
基本設計が10年以上前とはいえ、プジョーが信頼性を飛躍的に高めつつあった時代に作られたクルマであり、設計に起因する深刻なトラブルはまずないだろう。とはいえエアコンやパワーウインドウ、パワードアロックなど、電気系統でのマイナートラブルは散見されるようで、それにはその都度対処するほかない(接触不良など単純な原因も多いが)。むしろ経年劣化、保管状況、走行距離や年数に応じた整備を受けてきたかどうか、というあたりが重要だ。
ゆえに購入する際は、まず内外装がきれいなものを選びたい。また記録簿などで過去の整備記録や素性をチェックできればベターだ。タイベル交換歴の有無(通常はシールの添付などが行われる)も確認しておきたい。いまや406の相場は底値にあり、コンディションの良い車両も決して高価ではないから、一般的には選択の範囲でベストのクルマを選びたい。
2リッターモデルのATは1998年以降、従来のZF製から、PSAとルノーが共同開発したAL4に変更されている。密閉式構造となってATフルードの交換が不要になり、信頼性も向上したと言われるが、むしろ今となっては前期型にしろ後期型にしろ、出来る限り高年式のモデルを、という勧め方になる。いずれにしても変速ショックは今のATに比べると大きめでスリップ感もあり、それをもって「そろそろ寿命」とは言えない。
クラシックプジョーファンのための最後のセダン
現在プジョーの日本仕様車で主流を占めるのは、ハッチバックかステーションワゴン。セダンがあるのは407シリーズのみだ。プジョーに乗りたい、乗るならやっぱりセダンがいい、と考える人にとって、極めて選択肢は限られている。特に、205、306、405、406といった1980年代から90年代のプジョー車に憧れ、また実際に愛車としていた人にしてみれば、今や「乗りたいクルマがない」という状況だろう。
そんな人の琴線に触れそうで、今でも現実に日常の足にできそうなのが406だ。1995年のデビュー当時、自動車雑誌各誌でも絶賛された乗り心地とスタイリングは,2008年の今もっても色あせていない。現代の「スポーツセダン」とは真逆ともいえる、おっとりした走行感覚は今だからこそ新鮮でもある。加えて当時のプジョー上級セダンが今や50万円以内で手に入ってしまうという状況もある。プジョーファン、フランス車好きにはぜひ一度406を自分の愛車として、その走りを味わっておいて欲しい。今こそがラストチャンス、そしてある意味ベストチャンスだろう。
Text&Photo:DAYS


