掲載日 : 2008年08月21日
2005 クライスラー PTクルーザー カブリオ('05)
2004年から世界で発売。当初は左ハンドルのみ
「PTクルーザー カブリオ」(2004年~)はホットロッド風のデザインが特徴のハッチバック車「PTクルーザー」(2000年~)の4人乗りオープンモデル。ベース車の5ドアボディを2ドア化し、屋根を3層構造の電動ソフトトップに変更。オープン化に伴い、モノコックシャシーも大幅に強化されている。
北米では2004年1月、日本では同年7月に発売。日本に導入された「リミテッド」はレザーシート仕様で、変速機は4ATのみ。エンジンは米国仕様のPTクルーザーと同じ2.4リッター直4(143ps、21.8kgm)が採用された(日本向けの5ドアモデルも同年秋に2リッターから2.4に換装されている)。ボディカラーはブラック、ブライトシルバー、インフェルノレッド、ミッドナイトブルー、クールバニラの計5色。この年から2007年前半までの前期型カブリオは、すべて左ハンドル仕様である。
2005年7月にはファブリックシートとするなど仕様を一部簡素化した特別仕様車「ツーリング」を追加。ボディカラーはミッドナイトブルー(50台)とクールバニラ(50台)の2色が設定された。
2007年に内外装変更、右ハンドル登場。カブリオは生産終了へ
2007年7月にはマイナーチェンジを実施。外装はヘッドライト、クライスラーバッジ、フロントグリル、前後バンパー等のデザインを5ドアの後期型にならって変更。内装も他のクライスラー車に通じる質感の高いものに一新され、さらにこの後期型から右ハンドルとなった。
2007年末、クライスラー社はPTクルーザー カブリオの生産終了を発表。なおPTクルーザー自体も2009年モデルを最後に生産終了することが発表されている。(2008.08)

ホットロッド感、さらに高まる
基本的にはPTクルーザーの2ドアオープンカー版だが、むしろそのスタイリングは「カブリオが本命ではなかったか?」と思わせるほどカッコいい。ちなみにカブリオのスタイリング スタディ(コンセプトカー)が発表されたのは、PTクルーザーの5ドアがデビューした翌年(2001年春)のこと。19インチホイールを履くなどショーカーらしい演出はあったが、全体の印象はこの時点ですでに市販バージョンとほぼ同じだ。
ボディサイズは全長4330mm×全幅1750mm×全高1540mmと5ドアより90mm背が低く、いわゆる「チョップト・ルーフ」風となっている。これがPTクルーザーの「ホットロッド」感をさらに強調している。ニュービートルカブリオレの魅力が可愛らしさなら、こちらはあくまで男性的な力強さやスピード感だろう。クルマにまったく詳しくない人には、新種のカスタムカーのように見えるかもしれない。
「ホットロッド」とは?
「ホットロッド(Hot Rod)」とは、1930年代から第二次大戦後にかけて米国で流行った改造車のこと。その改造手法やスタイルにきまったルールはないが、当時の小型・軽量・安価なベース車やシャシーをベースに、V8などのパワフルなエンジンを搭載、もしくはチューニングや軽量化を施して、ゼロ発進加速を高めている。ルーフを切り詰めて低くした「チョップト・ルーフ」もホットロッド由来のスタイルだ。アメリカ西海岸の自由奔放な自動車文化の象徴であり、今でもカスタムカーの世界で人気がある。
オシャレで広々、快適なインテリア
サンプルカーは前期型ゆえ左ハンドル仕様。インパネは前期・後期ともにボディ同色パネルをあしらったオシャレなものだ。高めのヒップポイント、アームレストの装備など少々ミニバン的でもあるが、おかげで見晴らしは良好。オープンカーらしい開放感もある。
頭上には万一の横転時に乗員を守る「スポーツバー」を装備する。かつてのゴルフ・カブリオレ同様にボディの剛性感にも寄与するが、PTクルーザーのものはリアシートへの風の巻き込みを抑える効果もあるという。
電動トップの開閉速度は最速レベル
3層構造の布製ソフトトップは予想を裏切るほど?しっかりした作り。アメ車ゆえ大ざっぱだと思ったら大間違いで、幌の形状や操作性、実用性などは、まるでドイツ製カブリオレのようだ。もちろんガラス製リアウィンドウを備える。いわゆる「フルオート」ではなく、開ける時はまず頭上の吊革のようなハンドルをグイと起こし90度ひねって「バコッ」とロックを解除するが、その後は電動。センターコンソールのスイッチを押し続けて「ウィィィィン」とわずか約10秒で全開する。閉める時もこの逆の要領だ。
この開閉速度は4人乗りオープンカーとしては最速レベルで、しかも徐行しながらでも作動する。つまり信号待ちの間でもハラハラせずに操作可能だ。同じく電動のMINIコンバーチブルの幌もなかなかの優れモノだが、PTクルーザーは機構がシンプルな分、動作速度は一枚上手。最近流行りのメタルトップと比べても明らかに速く、しかも動作が派手じゃないので気楽に行える。とまあ、こんな具合にソフトトップの簡便さを生かした設計となっているが、そもそもこのクラシカルなデザインに「幌」が似合うことは言うまでもない。
イージーかつ(意外にも)しっかりした走り
サンプルカーは2005年式の3年落ち。走行距離9200kmというコンディションのいい1台だ。5ドアだと日本仕様は前期型まで2リッター直4だったが、カブリオは全車2.4リッター直4となる。今回試乗したスタッフはPTクルーザーの5ドアに乗ったことはあるが、カブリオは今回が初だ。
マイナーチェンジ前の左ハンドル車だが、それを除けば特別な点はなく、運転はイージーで走行感覚も自然。見晴らしが良いので全幅1750mmのボディサイズもまったく気にならないし、トルキーなエンジンのおかげで思った通りに加速できる。正直言ってもっとブルブルした乗り味を予想していたのだが、実際にはしっかりしたボディ、軽快なコーナリング性能など、普通のハッチバック車に遜色ないレベルで感心してしまった。
注意が必要なのは、その乗りやすさに反して小回りが効かないこと。試乗中は「最小回転半径は5.7か、5.8メートルくらいか」と思ったが、後でカタログで確認したら6.1メートルもあった。とはいえ絶対的なボディサイズは小さいので、Uターン時などは早めにステアリングを切ってゆっくり行けば大丈夫だ。
気分は「アメリカン・グラフィティ」
フロントウインドウが小さいため、オープン走行時の開放感も高い。スポーツタイプのオープンカーより視点が高いため、周囲のクルマから見下ろされるような感覚もなく、ゆったりオープン走行が楽しめる。さらにPTクルーザーの場合は、その個性的なデザインのおかげで、「ホットロッドでストリートを流すアウトロー」的なムードが楽しめるのがいい。
オープン走行時のリアシートも試してみたが、サイドウィンドウの開閉に関係なく風の巻き込みが強く、さすがに長時間は疲れそう。ただしちょっと頭を屈めるとスッと耳元の風が収まり静かになる。60km/hくらいまでなら痛快な4人乗りオープン走行が楽しめるので、若い方はぜひ女の子などもまじえてキャーキャー言いながら海辺をドライブしていただきたい。
車名 : Chrysler PT Cruiser Cabrio Limited(2005年モデル)
形式 : GH-PT2K24
寸法 : 全長4330mm×全幅1750mm×全高1540mm
ホイールベース : 2615mm
車重 : 1520kg
駆動方式 : 前輪駆動(FF)
エンジン : 2.4リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 : 143ps(105kW) /5200rpm
最大トルク : 21.8kgm (214Nm)/ 4000rpm
トランスミッション : 4速AT
使用燃料/容量 : レギュラーガソリン / 56L
10・15モード燃費 : 8.2km/L
タイヤ : 205/55R16
最小回転半径 : 6.1m
発売時期 : 2004年7月
当時の新車価格 : 333万9000円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 : 2005年
販売価格 : 178万円(消費税込み)
走行距離 : 9200km
ボディカラー : インフェルノ レッド ティンテッド パールコート
備考 : 社外DVDナビ&TV、ETC、新車保証残あり(2008年12月迄)
試乗日 : 2008年8月
アメ車きっての信頼性の高さ。幌の心配も当面不要
PTクルーザー全般に共通するのは、信頼性はかなり高いということ。いわゆる当たり外れと呼ばれがちな部品単位の初期トラブル(キーレス不良やアイドリング不調など)はあったようだが、すでに市場に流通している車両は解決済みと思われる。新車購入からほとんどトラブルフリーという事例も珍しくないようだ。言うまでもなく、電装系の不良といったマイナートラブルはドイツ車にだってあるものだし、国産車にもないわけではない。
カブリオの場合は2004年からのモデルなので、旧くても現時点で4年落ち。よって現時点では、内外装のコンディションがよく、走行距離が少なく、電動トップなどが問題なく動けばOKと考えていいだろう。特にオープンカーの場合、ボディ剛性は走行距離に応じて下がる傾向が強いから、出来れば1~2万kmくらいの「新車のシャッキリ感」が残っているものがいい。幌はよほど保管状況が悪くない限り10年くらいは大丈夫。車庫保管なら20年以上持つだろう。
スタイルに惚れたら買ってよい
「アメリカ車だからといって大ざっぱとかカッコだけと思ったら大間違い」と先に書いたが、実は担当者もPTクルーザーカブリオの完成度に驚いたというのが正直なところ。設計年次が近い国産/輸入FF車ベースのカブリオレモデルと比べて何の遜色もなく、ニュービートルカブリオレあたりと比べても互角。PTクルーザーカブリオは、「スタイルに惚れたなら買ってよい」と自信をもって言えるクルマだ。
具体的な購入アドバイスとしては、2007年以降の後期型(最終)モデルは内装の質感が上がっており、予算が許せばベストな選択だろう。ただしタマ数はかなり少ない。もちろん前期型モデルでも十分に完成度は高いから、色やコンディションが気に入ればためらう必要はない。
PTクルーザー カブリオは近々絶版となるモデルであり、とにかく日本国内では絶対数も少ないモデルだ。また類似のクルマはなく、また当分出そうにもない。旧いアメリカ車の雰囲気とオープンドライブが手軽に味わえるアメリカ車として、これからも貴重な存在であり続けるだろう。
Text&Photo:DAYS


