掲載日 : 2008年09月11日
2002 フォルクスワーゲン ボーラ 2.0('02)
ジェッタ→ヴェント→ボーラ(→再びジェッタ)
4代目ゴルフ(ゴルフ4)のセダン版と言えるのが「ボーラ」だ。歴代ゴルフには常にセダンバージョンがあり、初代ゴルフではジェッタ(通称ジェッタ1、1979年~)、そして2代目もジェッタ(通称ジェッタ2、1984年~)と続き、3代目でヴェント(1992年~)、そして4代目でボーラ(1998年~)と出世魚のように車名を変更。その後、5代目で再びジェッタ(日本発売は2006年)に戻った。なお、北米では初代からずっとジェッタだ。
これらは全て「風」を表す言葉であり、Jetta はジェット気流、Vento はラテン語系で風、Bora はアドリア海に吹く北風を意味する。そもそも Golf という名称も「メキシコ湾に吹く風=ガルフストリーム」が由来だ。
日本仕様は直4、V5、V6の3モデル
日本発売は1999年10月。初期のラインナップはゴルフと同じ2.0リッター直4・SOHC(116ps)+4ATの「2.0」と2.3リッターV5・SOHC(150ps)+4ATの「V5」の2車種。翌2000年11月に2.8リッターV6(204ps)+フルタイム4WD+6MTの「V6 4モーション」が加わって、計3車種となった。
2001年7月には「V5」を改良し、エンジンは20psアップの170psに、変速機は5ATに。2002年9月には「2.0」のトルクが0.3kgmアップ、10・15モード燃費が0.3km/Lアップしている。
その後は特に目立つ改良はなく、2006年2月に発売された新型ジェッタに跡を譲るまで、世界で660万台以上が販売された。

凝縮された力強さ。サイズはカローラ並み
「角目」のヘッドライトが精悍なボーラ。パンッと張り出したフェンダー、上級モデルのパサートのように優美なラインを描くルーフ、継ぎ目の小さいボディパネルに、品質の高さがうかがえる。大きさや立派さではなく、凝縮感で目を引くデザインだ。
ボディサイズは全長4375mm×全幅1735mm×全高1445mmと、現代のセダンモデルとしては最もコンパクトな水準だ。なにしろ全長は、現行カローラのセダン(全長4410mm)よりも短い。
なお「2.0」のボディカラーはシルバーのほか、ホワイト、レッド、ブラックなど計5色が用意された(年式によって一部のカラーは色味が微妙に異なる)。
ゴルフと基本的に同じだが、ウッドパネルが光る
機能的でカチッとした質感のインテリアはゴルフとほぼ同じ。ただしセンターコンソールのウォールナットウッドパネルは、ベースグレードの「2.0」でも本物のウッドだ。このあたりに、ボーラをいわゆるプレミアムセダンとして、ゴルフに劣らない人気車に育てようという当時のインポーターの意気込みが表れている気がする。
「2.0」の内装カラーは黒のほか、赤系ボディカラーのみにベージュ生地の仕様が用意された。上級グレードの「V5」や「V6・4モーション」は、黒のレザーが標準だ (受注オプションでベージュレザーもあった)。
穏やか、マイルドな「2.0」。
Uカー試乗記では以前、ボーラの「V5」に試乗しているが、今回のサンプルカーは2リッター直4(116ps、17.3kgm)の「2.0」。パワートレイン自体はゴルフ4の主力グレード(「GLi」や「CLi」の2リッターモデル)と同じだ。
運転感覚も同型エンジンのゴルフ4とおおむね同じで、全体的にかなり大人しい。パワー不足感はないが、活発さもなく、要するに必要十分なレベルですべて丸くおさまっている。
「V5」ではガシッとしたボディと俊敏な身のこなしが印象的だったが、「2.0」は乗り心地も操縦性もかなりマイルド。ゴルフ同様、コーナーではタックインを使った走りも可能なはずだが、基本的にはよく動く足回りを生かして、ヒタヒタと走るのが似合う。
サンプルカーで少し気になったのはブレーキのタッチ。ゴルフの場合、4代目までのベースグレードでは、新車時からブレーキにカチッとした剛性感がない傾向にあり(特にゴルフ3は顕著)、「もともとこういうもの」だったとも言える。実用上は問題なく、踏めばちゃんと効く。
■Uカー試乗記>フォルクスワーゲン ボーラ V5(2002年モデル)
車名 : Volkswagen Bora 2.0(2002年モデル)
形式 : GF-1JAPK
寸法 : 全長4375mm×全幅1735mm×全高1445mm
ホイールベース : 2515mm
車重 : 1290kg
駆動方式 : 前輪駆動(FF)
エンジン : 2.0リッター直列4気筒SOHC
最高出力 : 116ps(85kW) /5200rpm
最大トルク : 17.3kgm (170Nm)/ 2400rpm
トランスミッション : 4速AT
使用燃料/容量 : プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 9.7km/L
タイヤ : 195/65R15
最小回転半径 : 5.1m
発売時期 : 1999年9月
当時の新車価格 : 269万円(2002年モデル、消費税含まず)
試乗車スペック
初年度登録 : 2002年
販売価格 : 99万9000円(消費税込み)
走行距離 : 1万km
ボディカラー : リフレックスシルバー
備考 : 社外インダッシュ式DVDナビ・TV、ワンオーナー
試乗日 : 2008年8月
安い車両には注意。良質車を選んで、賢く乗るべし
言うまでもなくチェックポイントは同世代のゴルフ4と同じ。すでに価格の安い車両(50万円を切るようなもの)も巷には出回っているが、さすがの高剛性・総亜鉛メッキボディ(12年間サビ穴保障付き)も10万km以上走ればクタクタになってくる。それでも実用に耐えるのがゴルフ/ボーラの凄いところだが、最初からそれではちょっと悲しい。ここはぐっとこらえて、出来る限りボディのシャッキリ感が残っている車両を選びたい。
具体的には基本通り、内外装コンディションが良く、高年式で、走行距離が少ないもの(5万kmが一つの目安か)から選びたい。また仮にメーター表示の走行距離が少なくても、ステアリング、ペダル、シートの右端(乗降時に擦れる)が磨耗しているような車両は、「それなりに」乗られた証拠。価格が安くても後々のメンテナンスや満足度を考えると、結果的に高くつく可能性が高い。
細かいところではエアコン、パワーウインドウ、ドアミラー、電動サンルーフ等が定番のチェックポイントだが、トラブルが出るかどうかは個体によってマチマチ。いずれにしても「2.0」の場合、エンジンも含めて修理は容易で、部品供給も問題なく、うまくすれば修理費用も安く抑えられる。このあたりがゴルフの派生車種ならではのメリットだ。
最も手軽な輸入セダン
ボーラの「2.0」は、輸入車のセダンとして最も手軽で、手堅い選択の一つ。もちろんメルセデスのCクラスやBMWの3シリーズ、それにアウディA4といったワンクラス上のセダンまで含めると話はややこしくなるが、ゴルフクラスの質実感、価格、維持管理の気安さ、乗りやすさといったところを考えると、同価格帯でライバル車は見当たらない。迷うとすれば、ゴルフかもしれないが、ボディのガッシリ感や遮音性に関しては、やはりセダンのボーラに分がある。
クルマ好きなら「V5」もアリ
また、同じボーラでも「V5」は少々マニアックで面白い選択だ。そのキャラクターは大人しい「2.0」の正反対といえるもので、刺激的かつ高性能。肩肘はらずに乗れるのが「2.0」なら、乗るとスカッとするのが「V5」。要するに運転すると「こっち(V5)の方がオモシロイ」。個人的には、日々の道具としてなら「2.0」、趣味と実用を兼ねたファーストカーとしてなら「V5」をおすすめしたい。
Text&Photo:DAYS


