掲載日 : 2008年11月01日
2006 BMW 320i
輸入車販売台数トップを記録、BMW屈指の人気車種
7年ぶりのフルモデルチェンジで、日本では2005年4月にデビューした3シリーズセダン「E90」型は、クーペおよびツーリング(ステーションワゴン)モデルに先駆けての投入となった。モデルチェンジの内容は、プラットフォームの変更、ボディサイズの拡大、全てのエンジンにおける低燃費・高出力化の実現など。先にモデルチェンジを終えた7シリーズや5シリーズといった「21世紀」BMWの流れを汲んだものとなっている。アクティブステアリングや車両集中操作システム「iDrive(アイドライブ)」といった装備も用意された。
当初は2リッター直4の320i、2.5リッター直6の325i、3リッター直6の330iの3グレードでスタート。モデルラインナップは徐々に追加されていくが、MTモデルが用意されたのはM3を除き、今回のサンプルカーである320iのみだ。先代のE46型に引き続き日本でのセールスは好調で、2007年上半期には3シリーズ全体で、ついにVWゴルフを抜いて国内の輸入車販売台数のトップの座についている。
2008年10月には3シリーズセダンでマイナーチェンジを実施。ドアハンドルのデザイン変更による全幅の縮小(1815mm→1800mm ※M3を除く日本仕様のみ)、キドニーグリルの拡大、最新ナビゲーションシステムの全車標準装備化などが行われている。
M3にもセダンが登場
3シリーズを語る上で欠かせないのが歴代の3シリーズに用意された高性能モデル、M3の存在だ。2007年9月に現行型をベースとした4代目E92型M3クーペが発売されているが、2008年3月には正規輸入モデルでは初となるM3の4ドアセダンが登場。6月には2ペダルMTとなる7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)をBMWで初めて採用している。従来の直6に変えて、420psを発揮する新開発の4リッターV8エンジンを搭載した。(2008.10)

マッチョなスタイルが走りを予感させる
ボディサイズは全長4525mm×全幅1815mm×全高1425mm。先代より75mmもワイドになった全幅は、狭い道や駐車場だと少々持てあましそうだが、慣れてしまえばそれほど気にはならない。とはいえ、先にも触れたように2008年10月のマイナーチェンジでは、日本仕様のみ、ドアハンドルの形状を変更して1800mmに抑えている。主に旧いタイプの立体駐車場に対応するための措置のようだ。
デザイン的にはキュッと引き締まった筋肉質で、意外とコンパクトに見える。歴代3シリーズの流れをしっかり継承した、BMWらしい「走り」をイメージさせるスタイルだ。
質実剛健、手堅い造り
全幅を拡大しても、いかにもBMWらしいタイトな空間作りは相変わらず。計器類も必要最小限の情報を表示することに重きがおかれている。ベーシックグレードである320iの場合は、全体に無骨とも言える素っ気ない造りであるが、質感はまずまず。ドイツ製らしい機能美が確かに感じられる。
歴代3シリーズの課題であった後席居住性は、ボディの大型化とロングホイールベース化によって、満足のいくレベルとなっている。4ドアセダンとして十分ファミリーユースに耐える広さと言っていいだろう。
背もたれは6:4分割でトランクスルーが可能。重量配分を気づかうBMWらしく、バッテリーはトランクスペースに配され、タイヤはランフラットを標準としている。なお、従来スペアタイヤが収まる床下スペースは、ぽっかりと空洞になっている。そこそこの広さがあるので、タイヤチェーンや牽引ロープなどを収められそうだ。
「シルキーシックス」ならぬ「トルキーフォア」
BMWのエンジンと言えば「シルキーシックス」と形容された直列6気筒が有名だが、それに対し直列4気筒のサンプルカーはさしずめ「トルキーフォア」とでもいったところか。下から十分にトルクフルで、上まできれいに回るという、自然吸気エンジンらしい気持ちのいい吹け上がりを楽しめる。150psというスペックは、速さを求める向きには物足りないかもしれないが、家族で使える4ドアセダンでありながら、BMWならではの「駆けぬける歓び」を堪能するには十分な性能であり、あじわいも深い。最高速は6MTで220km/hと発表されている。
サンプルカーは新車当時に比べて、エンジン・シャシーともようやくアタリが付いてきたかな、といったところ。もともとの剛性感に、適度にしなやかさがともなってきた印象だ。それでも乗り心地には少々ゴツゴツ感があるのは、標準採用のランフラットタイヤによるところが大きいようだ。ただしランフラットの乗り心地は年々急速に進化しているので、最新のタイヤに交換することで改善が期待できる。
車名:BMW 320i(2006年モデル)
形式: ABA-VA20
寸法:全長4525mm×全幅1815mm×全高1425mm
ホイールベース:2760mm
車重:1430kg
駆動方式:FR
エンジン:2.0リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力:150ps(110kW) /6200rpm
最大トルク:20.4kgm(200Nm)/3600rpm
トランスミッション:6MT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L
10・15モード燃費:13.6km/L
タイヤ:205/55R16
最小回転半径:5.3m
発売時期:2005年4月
当時の新車価格:397万円(消費税含む、2005年10月モデル)
試乗車スペック
初年度登録:2006年
販売価格:258万円(消費税込み)
走行距離:1万7300km
ボディカラー:スパークリンググラファイト
備考:ミラー付ETC
試乗日:2008年10月
内外装の状態やオプションを検討材料に
デビューから3年を経て、現行型3シリーズもついにUカー市場にちらほら出てくるようになった。信頼性は国産車と同様か、それ以上を誇るとあって、深刻なトラブルに見舞われることはまず無いと言っていいだろう。エンジン本体や足回り、シャシーの基本設計も極めて頑強である。電気系のトラブルも少なくなってきたようで、仮にあっても診断システムの進化によってトラブルシュートは早い。
よって購入時は、むしろ内外装の状態や、オプションの内容にはこだわって選びたいところ。特にオプションに関しては、レザーシートやiDriveの装着・非装着といった点に目を向けておこう。5年間または20万km以内のメンテナンスをサポートする「BMWサービス・インクルーシブ」に加入している車両も狙い目だ。
クルマ好きならやっぱり6MTで
いわゆるドイツ車プレミアムブランドの中で、3シリーズと競合するのはメルセデス・ベンツならCクラス、アウディならA4といったところ。その中で貴重なMT仕様をチョイスできるのは、いまやBMWだけだ。エントリーグレードに相当する320iだけとはいえ、あるとないとでは大違い。同モデルを買うなら「女房を説得してでも」MT仕様を買うことをおすすめしたい。
FRならではの緻密なステアリングフィールと素直な操縦性を存分に堪能できて、シフトチェンジというMTならではの醍醐味もある。それでいてBMWというブランドバリューがあり、ファミリーユースにも十分耐える汎用性を備えているのだから。昔はスポーツカーに乗っていたけど、家庭を持った今ではなかなか……というクルマ好きな貴方、使い切れるBMWでもう一度「駆けぬける歓び」をあじわってみませんか。
Text&Photo:DAYS


