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Uカー試乗記

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掲載日 : 2008年12月01日

2006 BMW118i M-Sports

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唯一無二のFRコンパクト

5ドアハッチバックのスタイルが基本。クーペやカブリオレモデルも存在する

2004年10月に国内デビューを果たしたBMW1シリーズ。BMWの社内コードではE87型と呼ばれており、新設計のプラットフォームには翌年にデビューした現行3シリーズ(E90型)と共通のものを採用。欧州ではVWゴルフやアウディA3などと競合する「プレミアム」Cセグメントに分類されるクルマだ。

最大の特徴は、上級グレードと同じく駆動方式にFRを採用し、BMWらしく走行性能を追求している点にある。いまや同クラスでのFR車はほぼ皆無であるため、これにより他車との明確な差別化が図られているといっていい。2007年度は国内で8100台とBMWでは3シリーズ、MINIに次ぐ新車販売台数を記録。「駆けぬける歓び」のイメージを継承する末弟は、いまやBMWの好調を支える重要な存在となっている。


基本は5ドアハッチバック。クーペやMT仕様も存在

118iと120iにはダブルVANOS(バリアブル・カムシャフト・コントロール)に加えてバルブトロニックを採用した直4エンジンを搭載

日本市場にはまず1.6リッター直4エンジン「116i」、バルブトロニックを組み合わせた2リッター直4エンジン「118i」および「120i」の3モデルが投入された。2005年10月には265psを発揮する3リッター直6エンジン「130i M-Sports」が、そして2008年2月には306psを発揮するパラレルツインターボを組み合わせた3リッター直6エンジンを搭載する最強モデル「135i クーペ」が登場した。さらに同年3月には2ドアコンバーチブル「120i カブリオレ」が追加されている。2007年5月にはマイナーチェンジが実施され、外装のデザイン変更と、内装の質感向上が図られた。同時に118iはラインナップから外れている。

トランスミッションは基本的に6速ATだが、「130i M-Sports」「135i クーペ」は走りを特に意識したモデルということもあり、6速MT仕様も用意されている。また2005年10月以降、「116i」「118i」「120i」ではBMWおなじみのオプション「M-Sportsパッケージ」がチョイス可能となった。なお、「118i」「135i クーペ」に関しては車名と排気量は一致していない。

 

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サイズ以上の存在感。ルックスも個性的

テールにかけてスパッと伸びるショルダーラインが特徴。Cd値(空気抵抗係数)は0.29となかなか優秀だ

ボディサイズは全長4240mm×全幅1750mm×全高1430mm。VWゴルフやアウディA3といった競合車とサイズはほぼ同じだが、FRらしい長いノーズと短めのオーバーハング、さらに2660mmのロングホイールベースを持つからか、数字以上に見た目は大きく見える。さらにサンプルカーはM-Sportsパッケージ仕様のため、車高が15mm低くなっているほか、専用エアロパーツやアロイホイールなどが組み合わされてよりシャープな印象だ。加えて新世代BMWの流れを汲んだ個性的なデザインが、クラス離れした存在感を漂わせている。

 
足下を引き締めるM-Sports専用アロイホイール。ルックスにこだわるならM-Sportsも狙い目
前席サイドシルにはM-Sportsエンブレムが誇らしげに備わる
キドニーグリルや4灯式ヘッドライトなど、BMWの文法に則ったフロントマスク
 

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標準仕様は機能最優先

 
コクピットまわりはBMWらしい手堅い造り。サンプルカーはM社製のスポーツレザーステアリングを装着する

センターコンソールが左右に緩やかな曲線を描き、メーターやスイッチ類がそこに整然と配されたコクピット周り。視認性や使いやすさを重視した手堅い造りといい質感といい、いつものBMW流だ。新車の場合オプションでシート素材からパネルに至るまで、様々な色や素材をチョイスできた。サンプルカーには手動調整機構を備えたハーフレザーシートが採用されていたが、オプションでパワーシートも選択可能。

 
ルーフがやや低めだが前席の居住性は文句なし。ステアリングはもちろんチルト・テレスコとも調整可能だ
二眼式メーターもいつも通り。スピードメーターには240km/hまで目盛りが刻まれる
外気の有害物質量に応じて、自動的に内気循環に切り替わるオートエアコンを備える

居住性や積載性はまずまずだが、乗降性の悪さは否めない

後席中央には可倒式ヘッドレストが一応備わる。4:6分割でシングルフォールディングが可能

後席はアームレストこそ備わらず、着座位置が低いため見晴らしも効かないが、空間は十分にあり、シートの座り心地も悪くない。問題はドア開口部が狭く、乗降性がお世辞にも良くないことだ。乗る時には意識して頭を屈める必要があり、降りる時には低いところからヨイショという感じで体を持ち上げる必要がある。

荷室空間も特に広くはないが、パンクしてもしばらく走行可能なランフラットタイヤ仕様とすることでスペアタイヤを省略。結果としてライバル車に遜色ない荷室容量を確保している。

 
荷室床下にはバッテリーや車載工具が収まる。スペアタイヤレスにすることで容量を確保
リアシートを畳むことにより荷室容量は330~1150リッターまで拡大可能
エンブレムを持ち上げることでリアハッチの開閉が可能
 

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「駆けぬける歓び」を存分に堪能できる

軽やかで高い操縦性が1シリーズの持ち味。レーンチェンジもスパスパと決まる

サンプルカーは「118i」で、129psを発揮する2リッター直4エンジンを搭載。同じエンジンで150psを発揮する120iに対し、吸気系などが異なるようだ。とはいえ実用域でのパワー感は、試乗担当者が以前乗った120iと比べても遜色はない。下から十分にトルクが出ており、1360kgの車体を軽やかに走らせる。さらに中回転以上では自然吸気らしくスムーズに吹け上がり、最高速度は210km/hを公称(欧州仕様)。

FRらしい自然なステアフィールで、コンパクトなハッチバックを振り回す感覚は1シリーズならではのものだ。DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)やCBC(コーナリング・ブレーキ・コントロール)といった電子制御デバイスを備えるため、FRであっても不測の事態に対する安心感は高い。

 
コンパクトなFRとはいえ直進安定性は高く、高速走行はお手のもの

走行距離1万7000kmほどのサンプルカーでも、シャシーは剛性感の塊という感じ。新車からの衰えはほとんど感じられない。何しろ「135i クーペ」では300ps超のパワーをも受け止めるポテンシャルがあるくらいだから、118iにおいてはエンジンに対して完全に勝っている状態だ。そのシャシーに加えてM-Sportsパッケージ車専用のスポーツサスペンションを装着していることもあり、乗り心地はやや硬め。路面状況がそのままステアリングやシートを通してコツコツと伝わってくる印象だが、これはこれで悪くない。どうしても気になる場合は、最新のランフラットタイヤに交換することで、多少改善が期待できそうだ。


 

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車名:BMW 118i M-Sports(2006年モデル)
形式:GH-UF18
寸法:全長4240mm×全幅1750mm×全高1430mm
ホイールベース:2660mm
車重:1360kg
駆動方式:FR
エンジン:2.0リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力:129ps(95kW)/5750rpm
最大トルク:18.4kgm(180Nm)/3250rpm


トランスミッション:6速AT
使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L
10・15モード燃費:12.2km/L
タイヤ:205/55R16
最小回転半径:5.1m
発売時期:2006年4月
当時の新車価格:344万円(消費税含む、2006年4月モデル)


試乗車スペック

初年度登録:2006年
販売価格:249万円(消費税込み)
走行距離:1万7300km
ボディカラー:サファイアブラック
備考:ハーフレザーシート、BMWサービス・フリーウェイ付(2009年3月30日まで)

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オプションや付加サービスの有無を判断材料に

BMWのUカーを多数揃えるオートプラネット名古屋。1シリーズの在庫も豊富だ

電気系など初期マイナートラブルの発生頻度に関しては個体差こそあるが、深刻なトラブルはほぼ皆無といっていいだろう。年式が新しく、走行距離が少なめのクルマを選ぶのが理想的だが、Uカーで1シリーズを探すなら、むしろカラーやインテリアの組合せ、純正ナビ(初期はDVD、最近はHDD)の有無といったオプション内容を重視したいところ。メーカーがサポートするメンテナンスパッケージ「BMWサービス・インクルーシブ」(従来の「BMWサービスフリーウェイ」が進化したもので、新車から5年間 または走行距離20万km以内のメンテナンス費用をサポート)などの付加サービスが付いたクルマも狙い目だ。

 

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運動性+ブランド力>実用性 という人に

クルマ本来の楽しさにあふれる1シリーズ。これからが買いだ

1シリーズは実用性を最優先している競合他車に比べ、新車時の価格はやや高めに設定されている。それはほぼ「FRレイアウト代」、つまりはBMWならではの走行性能・操縦性の確保に費やされていると言っていい。そうした「駆けぬける歓び」というブランドイメージを最優先したクルマ作りだけが、BMWの人気を支えているわけではないだろうが、運動性や一本筋の通った哲学は実用性にも勝る──そう考えるクルマ好きにとって、BMWは常に理想の存在だということだ。

デビューしてから2008年現時点で4年が過ぎたこともあり、Uカー市場にも数多く流通するようになってきた。新車で買うには予算的にちょっと……と二の足を踏んでしまった人にとっては、まさに今が「買い」と言っていい。大人2人・子供2人の4人家族であれば十分ファーストカーとしても使えるし、クルマ好きのセカンドカーや女性のプライベートカーにもうってつけ。ほどよくアタリの付いたFRコンパクトならではの走りを、存分に堪能していただきたい。


 

Text&Photo:DAYS


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