掲載日 : 2008年12月20日
2004 フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン GLi
ゴルフベースの7人乗りミニバン
ゴルフトゥーラン(以下トゥーラン)は、5代目ゴルフがベースの3列シート・7人乗りミニバン。全長約4.4メートルのコンパクトなボディに、広々した空間と7つの座席を収めたファミリーカーだ。
日本では2004年4月に1.6リッター直4の「E」(116ps、15.8kgm)と2.0リッター直4の「GLi」(150ps、20.4kgm)の2グレードで登場。いずれも右ハンドルで、両エンジンともにノンターボの「FSI」こと、ガソリンを直接シリンダー内に噴射する直噴ユニットを採用。変速機もアイシンAW製の6速ATで統一された。当時の車両価格は271万9500円と313万9500円だった。
マイナーチェンジでTSIエンジンと6速DSGを採用
デビューから3年後の2007年4月にマイナーチェンジ。大きな変更点は外観デザインの他、エンジンが1.4リッターTSI(直噴ターボ+スーパーチャージャー)エンジンに、そして変速機がツインクラッチ式の機械式AT、VW言うところの6速「DSG」に刷新されたことだ。
ラインナップは前期型同様に2グレードで、装備簡略・燃費重視版の「TSIトレンドライン」(140ps、22.4kgm)と、上級・高性能版の「TSIハイライン」(170ps、24.5kgm)を設定。デビュー当時の価格はそれぞれ275万円と325万円だった。
実用的なミニバンでありながら、最新テクノロジーが詰め込まれたこの後期型は、2008年12月現在も販売中だ。

奇をてらわず、質実剛健
ゴルフ以上に質実さや安心感を感じさせるトゥーランの外観デザインは、見事なまでに奇をてらっていないのが特徴だ。ボディサイズは全長4390mm(後期型は4420mm)×全幅1795mm×全高1660mm。トヨタ車を例にして言えば全長はカローラ並み、全幅はクラウン並み。全高はウィッシュやストリームより高めだが、エスティマより低いと言えば、想像がつくだろうか。
なお、後期型ではヘッドライト形状を変更したほか、クロームメッキ部の面積を大幅に増やして高級感を高めているが、それ以外に目立った変化はない。
機能性や質感はゴルフ並み。フロントシートは秀逸
インテリアは5代目ゴルフと同じテイスト、同等の質感と言っていいだろう。前期型と後期型では、センターコンソールの表面仕上げ(前期は樹脂のまま、後期はメタル調)、シート生地(前期、後期、グレードによって異なる)、ステアリング形状(前期は4本スポーク、後期は3本スポーク)などが異なるくらいで、全体の印象はほぼ同じ。あと、後期型のシフトレバーには「DSG」と銘が入る。
視界、操作性、収納スペースなど、とにかく実用的。中でもシートの出来が良い。クッションは硬すぎず柔らかすぎず、サイドサポートも適度に体を支えてくれる。ワッフル状のシート生地も気持ちいい。ドライビングポジションもシートリフターやステアリングのチルト(高さ)/テレスコ(伸縮)調整機能でほぼ思い通りに決まる。
セカンドシートは3座独立。サードシートは短時間なら可
トゥーランで最も特徴的なのが、セカンドシートが3座独立となっていること。これによって中央席に割としっかり座れる反面、左右席が少しタイトになり、やや窓際に寄せられた感もある。しかしたとえば、中央席を外してリムジン風としたり、3座とも取り外してワゴン風にしたりと自由にシートアレンジできるのがトゥーランの魅力だ。
サードシートは足もとがやや狭いのと膝裏が浮いてしまうため、大人用としてはあくまでエマージェンシーと言える。不要な時は床下にすっきり格納することが出来る。
なお、トゥーランは全車6エアバッグを標準装備。内訳は前席フロント×2、前席サイド×2、前後席カーテンシールドエアバッグ×2。フロントシートには追突された時のむち打ちを防ぐアクティブヘッドレストが備わる。もちろん7人分の3点式シートベルトを完備する。
自然な運転感覚の前期型トゥーラン
今回のサンプルカーは、デビューイヤーである2004年式の「GLi」。エンジンは5代目ゴルフでもおなじみの2リッター直噴ノンターボの「FSI」ユニットで、車重1600kgに対して必要十分な最大出力150ps、最大トルク20.4kgmを発揮する。特にパワフルという印象はないが、アイシンAW製6ATのソツのない仕事と合わせて、何の気遣いもなく運転できる。後期型DSGは確かにダイレクトでメカメカした運転感覚が堪能できるが、前期型の方が一般ユーザーは「運転しやすい」と思うかもしれない。
ボディや足まわりに関しては、初期デリバリー車で走行距離3万2000kmのサンプルカーの場合、新車時にあったと思われるシャッキリ感は薄れていたが、見かけによらないスポーティな操縦性は健在。ロードノイズが大きめだったのは気になったが、これはおそらく工場出荷時のままと思われる装着タイヤを新品に交換すれば収まるだろう。
車名 Volkswagen Golf Touran GLi(2004年モデル)
形式 GH-1TAXW
寸法 全長4390mm×全幅1795mm×全高1660mm
ホイールベース 2675mm
車重 1600kg
駆動方式 前輪駆動(FF)
エンジン 2.0リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 150ps(110kW) /6000rpm
最大トルク 20.4kgm (200Nm)/ 3500rpm
トランスミッション 6AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費 10.2km/L
タイヤ 205/55R16
最小回転半径 5.3m
発売時期 2004年4月
当時の新車価格 313万9500円(消費税込み、2004年モデル)
試乗車スペック
初年度登録 2004年
販売価格 169万9000円(消費税込み)
走行距離 3万1600km
ボディカラー ダイビングブルーメタリック
備考 社外DVDナビ・TV・DVD・MD・CD、ETC、ワンオーナー
試乗日 2008年12月
前期型なら最大4年落ち。消耗品はリフレッシュして
2004~2007年の前期型でも、約2年~4年落ちとまだまだ高年式のトゥーラン。フォルクスワーゲン車ゆえ信頼性も高いと言えるが、異音などの感覚的な不具合が出ることはあるようだ。例えば空調システムの吹き出し経路の切り替え機構から出る異音は「ちょっと古いドイツ車」全般に割とよくあるもの。無視できるものもあるが、完全に直そうと思うと難しかったり、逆に自然治癒したりするケースがある。念のためエアコンの風量を最大にしたり、内気・外気を切り替えたり、もちろんACをオンにしたりして動作や音をチェックするのがいいだろう。
内外装に関しては、特に内装のドアハンドル周辺、ステアリングの劣化やキズに注意。後で発見するより、購入時によく見て納得してから購入したい。
また走行3万km程度を経た車両は、エンジンオイル&フィルター、エアフィルター、エアコンフィルター、ブレーキオイルなどは当然として、新車時のままならタイヤ、ブレーキパッド、プラグ、補器類用ベルトなどの交換時期にあたる。これら消耗品をリフレッシュして乗り出せば、あとあとのメンテナンスが楽だし安心感もあるのでおすすめしたい。
前期型「GLi」か「E」か。あるいは後期型か
まずおすすめグレードだが、前期型の場合、2.0リッターの「GLi」と1.6リッターの「E」は自動車税で言えば同じ区分(年間3万9500円)だが、パワーやトルク、装備の点では大差がある。一方10・15モード燃費は「GLi」の10.2km/Lに対して、「E」は12.2km/Lと1割ほど良好だし、エアコンがマニュアルというのも質実で良い。なので一般論で言えば、トルクフルな走りで「GLi」、経済的に乗るなら「E」がいい。なお「E」は標準が鉄ホイールなので、しれっと純正アルミホイールに交換して乗り出すのがおすすめ。
後期型に関しては、前期型「GLi」より明らかにトルクフルで、しかも10・15モード燃費:12.6km/Lと燃費もいい「TSIトレンドライン」をおすすめしたい。170psの「TSIハイライン」は充実した装備(アルミホイールやキセノンヘッドライト、AFS=光軸可変システム、コーナリングライト等)が魅力だが、トレンドラインでも十二分にツインチャージャーエンジンと6速DSGのメカメカした走りが味わえる。また、全体の完成度も高くなっている点で、予算に余裕があれば後期型をおすすめしたい。
トゥーランは「現代のゴルフ」
ご存じの通り、コンパクトミニバンは日本車の独壇場とも言えるジャンル。それゆえトゥーランは欧州車では貴重な選択肢の一つだ。とはいえ、2×3×2の7座独立シートは、実際の乗車人数によっては「帯に短し、たすきに長し」感があり、これを是とするか否とするかが購入の判断基準になるだろう。例えば3分割セカンドシートを自由にアレンジできる点に魅力を感じる人、あるいは小さな子供が何人かいるファミリーにとっては、他にないミニバンとして魅力的に思えるはずだ。
もちろん、6エアバッグやESP標準装備に象徴される安全性、しっかりした操縦性、ドイツ車らしい質感や骨太な作り、フォルクスワーゲンというブランドが持つ信頼感も、トゥーランならでは。また決して高級とか高性能とかではなく、質実な作りで勝負しているところは歴代のVWゴルフと同じと言える。ファミリーカーの主流がミニバンとなった日本では、ゴルフトゥーランこそ現代のゴルフと言えるかもしれない。
Text&Photo:DAYS


