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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2009年01月09日

2005 メルセデス・ベンツ CLS 350

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メルセデスの新境地となった「4ドアクーペ」

サンプルカーはデビューイヤーである2005年式のCLS 350

「CLS」は4ドアセダンでありながら流麗なクーペ風スタイルを持った、言わば「4ドアクーペ」とも呼べる新しいジャンルのモデル。かつて一世を風靡した「4ドアハードトップ」の現代版と言ってもいいだろう。

メカニズム的には同社の中核セダンであるEクラス(W211型:2002年~)をベースとしたものだが、低く構えた外観やサッシュ(窓枠)のないドア、華やかなインテリアなど、実直なEクラスとは一線を画す仕立てとなっている。

2005年2月に日本発売。「350」と「500」に7ATを採用

高級スポーツカーや2ドアクーペすら色を失いそうなスタイルがCLSの魅力だ

欧州では2004年、日本では2005年2月に発売された。日本向けには当初、3.5リッターV6(272ps、35.7kgm)+7ATの「CLS 350」、5リッターV8(306ps、46.9kgm)+7ATの「CLS 500」、5.4リッターV8スーパーチャージャー(476ps、71.4kgm)+5ATの「CLS 55 AMG」からなる3グレードが導入され、最新の7速AT「7G-TRONIC」が「CLS 350」と「CLS 500」に採用された。当時の新車価格はそれぞれ850万5000円、1029万円、1396万5000円だった。

また特別限定車として、2005年11月にAMGのエアロパーツや専用色「デジーノ・ミスティック・ホワイト」を採用した「CLS 500 デジーノ(designo)」(1180万円)を国内200台限定で発売。翌2006年2月には高級腕時計で有名なIWCとのコラボレーションモデル「CLS 55 AMG IWC インヂュニア」(1785万円)も限定発売されている。

2006年にV8エンジンをアップデート

2006年9月には従来のCLS 500に代えて、新開発5.5リッターV8(387ps、54.0kgm)+7ATの「CLS 550」(1039万5000円)をラインナップ。またCLS 55 AMGに代えて、6.2リッターV8(514ps、64.2kgm)+7ATの「CLS 63 AMG」(1428万円)が発売された。これによってCLSの全モデルが7AT化された。

さらに2008年5月にはフェイスリフトを含む内外装のアップデートが実施されたが、「CLS 350」、「CLS 550」、「CLS 63 AMG」というラインナップは変わらず、2009年1月現在も販売中となっている。

 

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得体の知れないスタイリング

ボディサイズは全長4915mm×全幅1875mm×全高1405mmとEクラスより一回り大きく、全高は低い

いちおう4ドアセダンだが、とにかく低く、長く、幅広いボディは、ドイツ車やメルセデス・ベンツにありがちな「機械」「マシン」という硬質な存在ではなく、まるで大海を行くクジラのように動物的。イタリア製高級セダンのようにエモーショナルで、クラシカルにも見える。

そうした捉えどころのない第一印象の後に、多くの人は例のスリーポインテッドスターと「Mercedes-Benz」の文字を発見する。そこでの感じ方は人それぞれだろうが、いずれにしてもビジネス用途で使うには敷居の高いデザインであり、買う場合にはスポーツカーや2ドアクーペのようにある種の決断と割り切りが必要とされそうだ。ゆえに買った後の歓びも、それらに近いのではないかと思う。


 

CLS 350の場合、電動サンルーフはオプション。上級グレードには標準
CLS 350の標準仕様は17インチタイヤだが、サンプルカーはパッケージオプションの18インチを履く
光軸を左右に最大12度可変するアクティブ機能付きバイキセノンヘッドライトは全車標準
 

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ド派手な内装。でも意外に実用的

真面目なメルセデス流とは異なる、浮世離れした雰囲気のインテリア。大きなウッドパネルがゆるやかにカーブを描く。ナビは社外品

サンプルカーは最もベーシックなCLS 350だが、レザーシートや18インチアルミホイールをセットにした「パッケージオプション」(新車時で29万4000円高だった)と電動サンルーフ(同じく16万8000円高)が選択された車両で、しかも内装色は「サンセットレッド」なるワインレッドというド派手仕様。左右選べたはずのハンドル位置もちゃんと?左になっている。こんなわけで、クルマに詳しくない人を初対面で乗せたら間違いなく「カタギじゃない」と思われそうだが、CLSにはこういう仕様がよく似合う。

実用面に関しては、さすがメルセデス・ベンツ、さすがEクラスベースで、拍子抜けするほど死角がない。あるべきところにスイッチがあり、しかるべきドライビングポジションがとれる。もちろんアイポイントがEクラスより下がったため見晴らしは悪くなったが、「クーペ」として考えれば問題ないレベルだ。

 
CLS350はファブリック/レザーのコンビシートが標準だが、サンプルカーはオプションのレザー仕様。内装色は他にブラック、ベージュ、グレーがあった
メルセデスでおなじみの電動シート調整スイッチ。被追突時のムチ打ちを防止する「ネックプロ」アクティブヘッドレストの高さもこれで調整できる
デザインは派手だが、使いやすいドリンクホルダーが2個並ぶ。その後方の小物入れのカバーは左右どちらからでも開く「両開き式」
 
ステッチ(縫い目)の見せ方など質感はなかなか。ムードを重視した作りだ
太めのクロームメッキリングでメーターを縁取り、クルマ全体の雰囲気に合わせている
Eクラスとは別世界のインテリアだが、助手席座面下にはしっかり救急キットが備わる
 

乗降性はいまいちだが、豪華クーペとしては十分合格

リアシートは見た目から想像できるように、ルーフとCピラーが低いため、大柄な人は頭をかなり屈めないと乗り降りができない。また着座位置が低く、ミニバンのような感覚で座ろうとするとドスンと落ちてしまうから、足腰の弱ったお年寄りにも向いていない。

とはいえCLSはタクシー用に作られたクルマではないから、それを問題とするのはお門違いだ。いったん座ってしまえば空間は広く、囲まれ感もこれはこれで心地よい。2ドアの4シータークーペに比べれば、CLSは4ドアである分だけはるかに実用的だ。

 
荷室はEクラス(520リッター)より少し狭く、天地も狭く、トランクスルーも不可だが、容量は495リッターと十分。床下にはスペアタイヤとバッテリーが備わる
ヘッドレストは運転席からの遠隔操作で折り畳める。後席センターコンソールには蓋付きの小物入れ、アームレストにも小物入れとドリンクホルダーが備わる
昔の500Eのようなセパレート式のリアシート。乗降性や見晴らしは良くないが、足もとのスペースは十分。左右ウインドウバッグとサイドエアバッグを装備


 

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動力性能は350で十分。足まわりは快適性重視

軽快な加速とハンドリング、穏やかな乗り心地、まずまずの燃費と、CLSは全体にバランスの取れた走りを見せる

サンプルカーはデビューイヤーである2005年式のCLS 350で、取材時点で3年落ちだが、走行距離は約6000kmと少ない。内外装コンディションに加えて、走りのしっかり感も当時試乗した新車を彷彿させるレベルだった。

CLS 350のエンジンは、世代的には当時最新の3.5リッターV6(272ps、35.7kgm)で、変速機も最新世代の7速AT。おかげで一つ一つの加速が軽快で、変速もスムーズ。燃費も良く、静粛性も高い、などなど良いことが多い。クルマに詳しくない人でも「運転しやすい」、「スムーズに走る」と感じるはずだ。

この350の上にはさらに5リッター以上のV8エンジン搭載車もあるわけだが、そんなわけで日本の路上では「CLS350で十分」と誰もが思うはずだ。エンジン音もいいし、最高速だってメーカー公称値で250km/h(リミッター作動)を誇る。もちろん燃費もいい(10・15モードは2005年当時CLS 500の7.0km/Lに対して、CLS 350は8.5km/L)。

一方、足まわりはこのクラスのメルセデスらしく柔らかめで、BMWのようなシャープな操縦性は持ち合わせていない。しかし350のエンジンは軽量コンパクトなV6なので、ステアリングを切った時の反応は十分に軽快だ。ボディからガチッとした剛性感が伝わってこないのは本来のもので、少なくともCLS350はこうした穏やかなシャシーで肩肘はらずに走らせるとちょうどバランスいいように出来ている。熟成されたEクラスの良い点をしっかり受け継いだ完成度の高い走りだ。

 

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車名  Mercedes-Benz CLS 350(2005年モデル)
形式  DBA-219356C
寸法  全長4915mm×全幅1875mm×全高1405mm
ホイールベース  2855mm
車重    1770kg(スポーツパッケージ装着車)
駆動方式  後輪駆動(FR)
エンジン  3.5リッターV型6気筒DOHC・4バルブ
最高出力  272ps(200kW) /6000rpm
最大トルク  35.7kgm (350Nm)/ 2400-5000rpm


トランスミッション 7AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 80L
10・15モード燃費  8.5km/L
タイヤ      F:245/40R18、R:275/35R18(パッケージオプション装着車)
最小回転半径   5.3m
発売時期     2005年2月
当時の新車価格  850万5000円(消費税込み、2005年モデル)


試乗車スペック

初年度登録   2005年
販売価格   499万円(消費税込み)
走行距離   5900km
ボディカラー イリジウムシルバー
備考     左ハンドル、電動サンルーフ(オプション)、パッケージオプション(レザーシート、18インチアルミホイール)、社外HDDナビ
試乗日    2008年12月

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機関は心配無用。完成度なら高年式か

パワートレインに不具合が出るのはまだずいぶん先の話。マイナートラブルのリスクをどう考えるかがCLS購入のポイントだ

2005年2月に国内発売ということで、1回目の車検を迎える車両が続々と出てきつつあるCLS。可能な限り高年式・低走行車を選び、新車時のシャッキリ感がある車両を選びたいところだ。パワートレインやシャシーは2002年のデビュー以来、熟成改良されてきたEクラス(W211型)譲りなので、メカニカルなトラブルや耐久性に関する心配はここしばらくは不要だろう。Eクラスと異なり、ビジネス用途でガンガン使用された個体も一般的に少ない傾向にある。

 
内装カラー、素材、コンディション、ハンドル位置などもCLSでは重要なファクター

内装、特にドライバーズシートの擦れやインパネまわりのキズの有無は、明るい場所でチェックしたいところ。走行中の異音は内装から出るものが主だが、静粛性の高い高級車だからこそ気になりやすいもの。丁寧に原因を探れば消せることが多く、あるいは乗っているうちに自然治癒したり、気にならなくなってしまうケースもある。ある程度は仕方なく、気になった時点で一つ一つ対処すればいいだろう。

 
高年式メルセデス・ベンツを多数そろえるオートプラネット名古屋。左奧は「W221型」Sクラス

電装系に関しては警告エラーやセンサー不良などがあるようだが、あまり心配せずソフトウエアのアップデートや基盤、センサー類の交換で対処したい。すでに対策品に切り替わったパーツが多いはずだ。純正ナビが不具合を起こす場合もあるが、これは修理よりもいっそ最新の社外品に変更してしまう方が得策だろう(ステアリングスイッチなど一部の機能は使えなくなるが)。いずれにしても2007年までの純正ナビはDVD式である。それらIT系装備の点でも、予算があれば出来る限り高年式のモデルがおすすめだ。

 

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シンプルで必要十分な「350」でいい

CLS 350は平成17年度排ガス基準75%低減レベル、いわゆる「四つ星」を取得。10・15モード燃費も国産同クラス車と同等の8.5km/Lとなっている

コンセプトカーが発表された2003年には、単なるコンセプトに終わると思えたCLSだが、結果的にはメルセデスにとっても予想外のヒットになった。その一番の理由は言うまでもなくデザインだが、加えて品質や土台となったEクラスの完成度も不可欠だったはず。おかげで他ブランドの高級輸入車ユーザーだけでなく、国産高級スポーツセダンに乗ってきた非メルセデス・ベンツ派も「グラッといっちゃっていい」クルマになった。

 
CLSのエモーショナルなデザインは今までのメルセデス・ベンツやドイツ車になかったもの。異端の美がそこにある

デザインにほれてCLSを選ぶなら、メカ的にシンプルな「350」で十分。ハンドル位置は左と右があるが、特にこだわりがなければ右ハンドルがもちろん便利だ。内装についてはオプションのレザー仕様もいいが、標準のファブリックシートも悪くない。「500」以上に標準装備で、350ではオプションで選べたエアサス(極めて高価なので装着例はまずないが)、すなわちエアマティックDCサスペンションも無しでいいと思う。要するに「素の350」でいい。

「いやそれでは満足できない」というパワー志向の方には、V8の「500」や「550」、さらに「55 AMG」や「63 AMG」もあるのだが、それらに関しては試乗のチャンスが得られた時に(あるのか?)ご紹介したい。

 

Text&Photo:DAYS


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