掲載日 : 2009年02月10日
2006 フォルクスワーゲン ゴルフプラス GLi
ゴルフをベースに全高を85mmアップ
ゴルフプラスは5代目ゴルフ(2004~2009年)をベースに、その名の通り全高を85mmほど「プラス」したモデル。それによって室内の広さや積載性をゴルフより高めたもので、乗車定員はゴルフと同じ5人だ。ドイツ本国では2005年1月に発売された。
全長、全幅、ホイールベースはゴルフとまったく同じだが、エクステリアはドアミラーやドアハンドルといった小物を除いて新規でおこされたもの。インテリアに関してもシートアレンジやユーティリティ関係の機能を追加するなど、ゴルフとの違いは多い。
日本での販売は2005年末から2008年前半
日本では2005年11月に発売された。グレード設定は1.6リッター直4の「E」と2リッター直4の「GLi」の2種類で、要するに5代目ゴルフ(前期型)の「E」および「GLi」と同じノンターボ直噴エンジン「FSI」を積むものだ。変速機はいずれも6ATで、全車右ハンドル。当初の価格はそれぞれ245万7000円と284万5500円だった。
2007年1月にはHDDナビを標準装備した特別仕様車「サンクスエディション」(250台限定)を発売しているが、それを除けばラインナップに変化はなく、仕様変更も細かな点に留まる。そして導入3年目の2008年半ばに、日本では販売終了となった。
なお、ゴルフプラスと入れ替わるように、2007年12月にはゴルフプラスをSUV風に仕立てた「クロスゴルフ」が500台限定で日本に導入されている。こちらは1.4リッターターボ+スーパーチャージャー(140ps、22.4kgm)+6速DSG仕様となる。(2009.2)

ゴルフより背が高く、恰幅もいい
全長(4205mm)、全幅(1760mm)、ホイールベース(2575mm)は、街で見かける5代目ゴルフとまったく同じ。3ナンバー幅だが、コンパクトカーと言ってもギリギリ通用する手頃なサイズだ。
一方、全高は1605mmとゴルフより85mm高く、ボディ全体のボリューム感も増している。ボンネットやフェンダー、ドアなどの外板もゴルフとはまったく異なるから、クルマに詳しくない人でもゴルフと見誤ることはない。3列シートのゴルフトゥーランほど「ミニバン」していないが、いわゆるコンパクトカーというジャンルとは一線を画す存在感がある。
インパネはティグアンと共通。視点は高く、乗車姿勢もアップライト
インパネはゴルフプラスの派生車種であるクロスゴルフはもちろん、ゴルフおよびパサートベースの小型クロスオーバーSUVであるティグアンとほぼ同じもの。メッキで縁取った吹き出し口を縦に2個ずつ計8個も配し、センターコンソール部にカバー付き小物入れも設けている。シート高はゴルフより前席で75mm高く、乗車姿勢は背筋を伸ばしたアップライトなもの。視点やドライビングポジションに関しては、7人乗りミニバンのトゥーランにも似ている。
後席のシート高はゴルフより85mmも高く、見晴らしがいい。やはり着座姿勢はアップライトで、ゴルフとホイールベースが同じとは思えないほど足もとも広々。ソファのように足を投げ出す座り方には向いていないが、長時間座っても疲れにくいのはこういうシートだろう。
走りの点でもゴルフに「プラス」
サンプルカーは2006年式の「GLi」で、約2年半落ち、走行距離は約1万8000km。エンジンは自然吸気の直噴2リッター「FSI」(150ps、20.4kgm)で、変速機はフォルクスワーゲンのこのクラスでおなじみの6ATだ。
車重が1500kg弱とゴルフより100kgほど重いゴルフプラスだが、2リッターの「GLi」ならパワーは十分。普通のゴルフGLi同様、打てば響くトルクで思うがままに加速し、自然に曲がり、きっちり止まってくれる。なお1.6リッターの「E」でも、街乗りでは低めのギア比で元気に走ってくれるようだ。
静粛性も若干ながらゴルフより優れている。ライバル車であるメルセデス・ベンツBクラスに負けないように、という配慮があったのか、フロアのガッシリ感も高い。視点の高さもそのBクラスに近い。ちなみにこの両者で明確に違うのは乗車姿勢で、ゴルフプラスは膝下や背筋をまっすぐ伸ばして座る感じで、一方のBクラスは足を前に投げ出すスポーツカーのような姿勢になる。
背が高いということは重心も高いということ。確かにゴルフのような低重心感はないが、ゴルフプラス専用にバネレートや減衰力を最適化したサスペンションが、コーナリングでの姿勢変化をよく抑えてくれる。軽快感やスポーティさという点ではゴルフに譲るが、重厚感、安心感、静粛性といった点でゴルフプラスが少しずつ上回ると言えるだろう。もちろん、室内は広くて、見晴らしもいい。家族と快適に長距離移動するには、うってつけの「ゴルフ」だ。
車名 Volkswagen Golf Plus GLi(2006年モデル)
形式 GH-1KBLX
寸法 全長4205mm×全幅1760mm×全高1605mm
ホイールベース 2575mm
車重 1480kg
駆動方式 前輪駆動(FF)
エンジン 2.0リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力 150ps(110kW) /6000rpm
最大トルク 20.4kgm (200Nm)/ 3500rpm
トランスミッション 6AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 12.2km/L
タイヤ 195/65R15
最小回転半径 5.0m
発売時期 2005年11月
当時の新車価格 284万5500円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 2006年
販売価格 158万円(消費税込み)
走行距離 1万7800km
ボディカラー ブラックマジックパールエフェクト
備考 -
試乗日 2009年1月
あえて言えば消耗品ぐらい
発売されてからまだ3年少々というモデルであり、しかもゴルフシリーズの一つ。つまり購入する前にチェックすべきことは本当に少ない。1.6リッターにしろ2リッターにしろ、パワートレインはこの当時のVW車の定番であり、設計年次の新しいゴルフプラスでは特に完成度も高まっている。3年未満の車両で消耗品を全部リフレッシュしてしまえば、新車のような感覚で乗れるはずだ。ボディ全体のしっかり感が持続するのはゴルフシリーズの伝統だが、それはゴルフプラスにも当てはまる。
電気系のマイナートラブルや電動パワーステアリング据え切り時の異音などはすでに対策が出ている。かつてVW車で定番だったパワーウインドウの窓落ちも、さすがに5代目ゴルフシリーズでは聞かれなくなったようだ。内装からの異音は欧州車には多少なりともつきまとうもの。気にし始めると気になるが、これはその都度対処すればよい。
購入後にお金がかかるとすれば、タイヤ、ブレーキパッド、バッテリーなどの消耗品くらいだろう。その意味ではそれらの消耗具合も見ておいて損はないが、どれも部品代は国産車と大差ないし、一般のモータースでもゴルフなら普通に修理対応してくれる。今さら言うまでもないが、維持費に関しては総じて国産車と似たような感覚で乗れるのがゴルフというクルマだ。
キャンディホワイトやベージュ内装はレア
ゴルフプラスそのものが日本ではレアなモデルだが、さらに白(キャンディホワイト)の外装色やベージュ内装(黒や青など一部の外装色のみに設定)は受注生産だったので、希少と思われる。ちなみにボディカラーは計7色で、白以外には黒(ブラックマジックパールエフェクト)、青(シャドーブルーメタリックとニューリバーブルーメタリック)、赤(トルネードレッドとサンセットレッドメタリック)、銀(リフレックスシルバーメタリック)がある。
装備面ではメーカーオプションの電動サンルーフ(GLiのみ)、販売店オプションのキセノンヘッドランプ装着車も珍しい。なおキセノンは社外品を後から付けることも可能だ。
パワーと装備面では「GLi」がお得
購入にあたって迷うとすれば、まずグレードだろう。気になるのは装備の差で、「GLi」はアルミホイール、フルオートエアコン、マルチファンクションインジケーター(平均燃費などを表示)、クルーズコントロール、コンフォートシート(サポート性が高く、ランバーサポートも備わる)、フロントシートアンダートレイ、後席用テーブルなどが標準装備される。ということで価格差の少ないUカーでは「GLi」の方が、後々の満足感は高そうだ。特にシートの座り心地は「E」と「GLi」でけっこう違うので、気になる人は座り比べしてみるといいだろう。
もちろん走りに関しては、2リッターの「GLi」がトルクフルだが、「E」の1.6リッターでもそれほど不満は感じないだろう。排気量が少ない分、燃費も若干いい。参考までに10・15モード燃費は「GLi」の12.2~12.6km/Lに対して、「E」は14.2km/Lだ。
プラスこそ「ファミリー向けゴルフ」の本命
日本では短命に終わったゴルフプラスだが、本国ドイツでは販売好調の人気車種だという。特にファミリーカーとしてはゴルフ以上の人気らしい。日本ではゴルフから派生した変わり種という風に受け取られたところがあるが、実際にはむしろゴルフプラスこそが「ファミリー向けゴルフ」の本命だったわけだ。
というわけで、「ファミリー向けじゃないゴルフ」がいい人は、普通のゴルフでいいわけだが、一方で家族や友人と一緒によくドライブに行く人には、ゴルフプラスがいい。特に2リッタークラスの国産ミニバン(こちらは3列シート車が主だが)を検討する際には、ゴルフプラスも一緒に俎上にのせていただきたい。今や国産ミニバンの実力も侮れないが、走行安定性と疲労度の少なさに関しては、今でも日独のクルマに違いがあることを体感できるはずだ。
Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


