掲載日 : 2009年03月09日
2002 メルセデス・ベンツ SL500
メルセデスの最高級スポーツ。5代目はバリオルーフを採用
「SL」クラスはメルセデス・ベンツの最高級スポーツカーに冠せられる伝統のモデルネーム。その起源は1950年代にツーリングカーレースを席巻した「300SL プロトタイプ」や「300SLR」、その量産市販モデルの「300SL」などだ。
その5代目である「R230」型は、2001年に登場。従来型は幌+ハードトップだったが、5代目はSLK(1997年)で先行した電動メタルトップ「バリオルーフ」を採用し、1台でクーペとオープンカーを自由に行き来できるモデルとなった。トップの開閉はわずか16秒で終了する。
V6、V8、V12ターボなどエンジンは多種多様
当初は5リッターV8・SOHC(306ps、47.0kgm)を積む「SL500」(5AT)のみで登場。追って5.4リッターV8・SOHC・スーパーチャージャー(500ps、71.4kgm)の「SL55 AMG」(5AT)や5.5リッターV12・SOHC・ツインターボ(500ps、81.6kgm)の「SL600」(5AT)、そして3.7リッターV6・SOHC(245ps、35.7kgm)の「SL350」(5AT)を追加し、計4グレードとなった。
2004年には6リッターV12・SOHC・ツインターボ(612ps、102kgm)の「SL65 AMG」(5AT)を追加して怒濤のパワーを追求。一方、この2004年モデルからSL500を7ATへ格上げしている。
2006年には主力グレードが大きく変化した。まずSL350に新世代の3.5リッターV6・DOHC(272ps、35.7kgm)と7ATを採用。また従来のSL500と入れ替わる形で、5.5リッターV8・DOHC(387ps、54.0kgm)の「SL550」(7AT)が登場した。
2008年にはビッグマイナーチェンジを実施。内外装デザインを変更し、装備をアップデートした。さらに自然吸気6.2リッターV8・DOHC(525ps、64.0kgm)と7速セミATを採用した「SL63 AMG」を追加している。(2009.02)

先代SLの夢が叶った
丸目4灯ライト、コークボトルのようにくびれたボディ、フロントフェンダーのエアアウトレットなど、R230のデザインはいかにもオープン2シーターらしくスポーティだ。先代R129が同じオープンカーでも重厚なGTカーだったのに対して、このSLには初期の300SLや190SLに通じる軽快さがある。
先代と決定的に違うのは、ルーフが電動メタルトップの「バリオルーフ」になったこと。先代は折り畳み式の幌を備えていたが、実際にはハードトップを付けっぱなしにするクルマがほとんどだった。その理由は幌が耐候性、快適性、後方視界などでハードトップに劣ること、ハードトップの脱着が面倒だったこと、外したハードトップの置き場所に困ることなど。加えてハードトップ装着時のスタイルの方が好まれた、という事情もある。
要するにこの新しいSLはバリオルーフを得たことで、普段は快適なクーペで、いつでも好きな時にボタン一つでオープンに出来るという、先代SLからすれば夢のようなことが可能となっている。
車格にふさわしい高級感と装備
新車で1280万円もしただけに、インテリアの高級感も申し分なし。丸みを帯びた各部のデザインは好み次第だが、さすがに質感や装備は車格にふさわしいものがある。
サンプルカーは2002年式の7年落ちだったが、ほとんどヤレらしいものはなく、2年落ちと言われても信じてしまいそうなほどバリッとしていた。こういった経年変化の少なさもメルセデス・ベンツのスゴイところだ。
スムーズ&ラクシャリー。気分はハリウッド
サンプルカーはデビュー直後となる2002年式のSL500。他に超ド級パワーを誇る高性能グレードもあるわけだが、この5リッターV8モデルがこのR230型の主力と言えるだろう。2004年に7AT化されているが、今回の車両は5ATだ。
低い着座位置は間違いなくスポーツカーのもので、エンジンに火が入った瞬間に響く「フォォン!」という派手な排気音も気分を盛り上げる。
軽いステアリングに手を添えながら、V8・シングルカムのマイルドなパワーで滑るように走り出せば、いかにもハリウッドあたりが似合いそうな「ラクシャリー」クーペ。天気が良ければ、すかさずトップを降ろし、ドアに肩肘でもつきながら「ちょっと海でも見に行こうか・・・・・・」なんていう気分になる。試乗したのは2月だが、サイドウィンドウを上げていれば風の巻き込みはなく、まったく寒くはなかった。
さらにアクセルを踏み込めば、そこは5リッターV8。馬力は306psと控えめ?だが、47.0kgmのトルクは伊達ではなく、約1.8トンのボディを望み通りに加速させる。とにかく乗り心地も含めてすべてがスムーズ。飛ばしても不安感がないのは、やはりAMGで600psとかトルク100kgmとかいう途方もないパワーを受け止めるシャシーのポテンシャルゆえか。いずれにしても伝統の「SL」の名に背かないゴージャスな走りが味わえる。
車名 Mercedes-Benz SL500(2002年モデル)
形式 GH-230475
寸法 全長4535mm×全幅1830mm×全高1300mm
ホイールベース 2560mm
車重 1840kg
駆動方式 後輪駆動(FR)
エンジン 5.0リッターV型8気筒SOHC・3バルブ(吸気2・排気1)
最高出力 306ps(225kW) /5600rpm
最大トルク 47.0kgm (460Nm)/ 2700-4250rpm
トランスミッション 5AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 80L
10・15モード燃費 6.9km/L
タイヤ 前 255/40R18、後 285/35R18
最小回転半径 5.1m
発売時期 2001年10月
当時の新車価格 1280万円(消費税含まず)
試乗車スペック
初年度登録 2002年
販売価格 460万円(消費税込み)
走行距離 3万2200km
ボディカラー ブリリアントシルバー
備考 -
試乗日 2009年2月
あえて言えば電装
信頼性はもちろん高いが、電装が多い車両なので個体によっては電気系のマイナートラブルがままあるようだ。特徴的なトラブルは今のところ特にない様子。イモビライザーや空調、バリオルーフなどで何かと負担がかかるバッテリー(トランクにある)は、購入時に新品にしておくといいだろう。いずれにしてもこの手の高額・高性能車を買う場合は、保証付きが大原則だ。
なおボンネット、フェンダー、ドア外板、トランクリッドはアルミ合金製。板金修理は難しいので、凹みなどがないかチェックしておきたい。
バリオルーフの動作をチェック
バリオルーフのトラブルはほとんど聞かれないが、もちろん動作具合はチェックしたい。開閉時間はカタログ値で16秒で、実測でもそんなところ。なのであまりに動きが遅ければ、何らかのトラブルを疑いたい。もちろんセンサー不良やちょっとした不具合が原因で作動がストップということはあり得るが、それは壊れたというより、ちゃんと安全装置が働いた、と捉えるべき。もちろんそういう時にはメーターにエラーメッセージが出るはずだ。
耐候性の高いバリオルーフだが、通常ルーフに比べれば雨などの影響は受けやすいので、大切にガレージ保管されていたクルマを選びたい。塗装やウェザーストリップ(窓やドア枠のゴム部品)を丁寧に見れば、「箱入り」だったかどうかは何となく推測できるはずだ。
おすすめはSL350、本命はSL500か
UカーであればV6エンジンのSL350か、今回とりあげたSL500が主な対象になるだろう。特に値ごろ感で言えば、シングルカムのV8を積んだSL500が本命か。ちょっと大味なエンジンだが、安楽な高速ツーリングマシンというSLの本質をしっかり備えたモデルだ。
現時点ではまだ相場が高いが、新世代の3.5リッターV6とパドルシフト付き7ATを搭載した2006年末以降の350もおすすめだ。このモデルはエンジン良し、変速機良し、燃費良しと良いこと尽くめ。また試乗経験はないが、同じく2006年末以降のモデルで、5.5リッターの新型V8と7ATのSL550も完成度が高そうだ。なお2008年のマイナーチェンジまで標準ナビは全車DVD式で、以降がHDD式となる。
何はともあれ、ポルシェのようなピリピリしたスポーツカーではなく、難しいことなど考えず助手席に誰かを誘って、安楽に高速クルージングで日帰り600kmドライブ、なんていう乗り方に、SLクラスはまさにぴったり。また「オープンかクーペか」というハムレット的な悩みにケリを付けたバリオルーフも、やはり素晴らしいものだ。目的地で屋根を開けて、30分も走ったら閉めておしまい。そんなオープンドライブも、クルマでできる最高に贅沢で気持ちいい体験の一つだろう。
Text: Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


