掲載日 : 2009年04月21日
2006 BMW Z4 ロードスター 2.5i
伝統の直6を抱くロードスター
1995年にデビューしたBMWのロードスターモデルがZ3。その後継車として2002年に登場したのが、今回試乗したZ4だ。E46型3シリーズ(1999~2006年)をベースに開発され、BMW伝家の宝刀、直6エンジンを全てのモデルに搭載する。
国内では2003年1月から受注開始、同年6月からデリバリーが始まった。当初は2.5リッターの「2.5i」と3リッターの「3.0i」でスタートし、後に2.2リッターの「2.2i」、さらに3.0iに2ペダルの6速シーケンシャルMT“SMG”を追加、計4ラインナップでの展開となった。SMGモデル以外は全て5速ATを採用、またソフトトップは3.0iのみ電動式が標準採用されていたが、2.2iと2.5iでもオプションで電動式が選択できた。
マイナーチェンジでクーペモデルも追加される
2006年4月にはマイナーチェンジが実施された。その内容は内外装の小変更、直6エンジンを現行のE90系3シリーズの「バルブトロニック」にアップデート、6速ATおよびパドルシフトの採用、全グレードでの電動ソフトトップの標準化といったもの。同時にラインナップも整理され、2.2iおよび3.0iのSMG仕様が廃止され、クーペモデル「クーペ 3.0si」を追加。それに合わせて従来モデルの名称も「Z4 ロードスター」に変更された。さらにE46系M3譲りのハイパワーエンジンを搭載する、2シーター版M3ともいえる「Z4 Mロードスター」「Z4 Mクーペ」が設定されている。こちらは6速MT仕様のみだ。
なお、2009年1月のデトロイトモーターショーで新型がデビューしている。ベースは現行E90系3シリーズで、アルミ製電動メタルトップの採用、7速デュアルクラッチ式AT搭載車を用意する点などが特徴として挙げられる。日本でのデリバリーは2009年5月からの予定だ。(2009.04)

今なお色あせない個性的なルックス
のっぺりしたボリュームあるノーズは、ジュゴンやイルカといった海洋哺乳類を連想させるもの。ロングノーズ、ロングホイールベース、ショートオーバーハングという古典的なスポーツカールックだ。ボディサイズは全長4100mm×全幅1780mm×全高1285mmと意外と控えめだが、数値以上の存在感を放っている。このデザインもデビュー当時は賛否両論あったようだが、7年を経過した今なお古さを全く感じさせないあたり、やはり先見の明があったということなのだろう。ボディサイドの立体的な造形も美しく、よく見ると「Z」のラインが刻まれているのも気が利いている。
ボリューミーなフロントビューに対し、リアビューはキュッと引き締まった筋肉質な印象。マイナーチェンジによりテールランプ回りのデザインが変更を受けているが、見た目上の変化はそう大きくはない。
電動ルーフの標準化
後期型では全グレードで電動ルーフが標準採用化されている点も大きい。ルーフの開閉はロックまで全自動で行われ、所要時間は実測で10秒未満。これならモノグサな人でもオープンドライブを積極的に楽しむ気になれそうだ。しかも操作はDレンジのまま可能で、ひとたび動作を開始すれば微速でも動作を続行してくれる。そのため信号待ちで開けている途中に青になっちゃった! という状況でも、落ち着いて作業を完了できる。
居住性、積載性も意外と高い
エクステリアに対し、インテリアは特に高級だとかオシャレだとかいったものではなく、流行廃りの影響を受けにくいよう、オーソドックスにまとめられている印象だ。室内はスポーツカーらしいタイトな空間!といったものではなく意外と広々としており、居住性は高い。サンプルカーの標準シートはファブリック製の手動シートだが、レザー+フル電動シートもオプションでチョイス可能(3.0iでは標準採用)。ステアリングはもちろんチルト/テレスコとも調整可能だ。後席ウインドウは熱線入りガラスを採用しているので、クローズ時の視認性はそこそこ高いが、独特の視界感覚は馴れるまではやはり注意が必要。
ロードスターの2シーターモデル、かつFRというレイアウトなので、積載能力に期待はできない(期待するべきクルマでもない)と思いきや、ランフラットタイヤを採用するなどしてスペースを稼いでいるため、トランク容量はオープン時で240リットル、クローズ時で260リットルを確保している。ちょっとした旅行から普段使いまで無難にこなせそうだ。
スポーツカーというよりGTカー的な味付け
まず好感触を得たのはエンジンフィーリングだった。後期型からは現行E90系3シリーズと同じバルブトロニックエンジンを採用しており、2.5iが積むのは323iと同じ2.5リッターエンジン。325iのものより出力、トルクともやや抑えられているモノで、最高出力は177psを発揮。それに対し車重は1400kgと、動力性能面で特筆すべき点はなさそうなものだが、体感上の速さは数字以上のモノ。非常に剛性感の高いシャシーと、右足に合わせてウルトラスムースに吹け上がる直6エンジンの組合せが、とにかく安定感と余裕ある走りを演出する。スポーツ走行も楽しいが、むしろ長距離移動を飽きることなく楽しめるGTカー的な味付けといえそうだ。もっと走りを楽しみたい!という向きには「3.0i」や「M」も用意されているが、正直これで十分楽しめそう。
どこまでも走り続けたくなる
もちろん運動性能はBMWらしく高水準にあり(実際GTカー選手権などでもZ4ベースのマシンは大活躍している)、ひとたびDSCスイッチをオフにすればリアをズリズリ流して……といったアグレッシブな走りも朝飯前。とはいえ、あくまでいろいろなシチュエーションでカジュアルに楽しめるスポーツカーといった使い方がよく似合うクルマだ。乗り心地はランフラットタイヤの影響か、特に低速時に路面の凹凸に対する突き上げ感がやや硬質に思えたが、これはまぁ許容範囲内。速度域が上がれば上がるほど足の動きもしなやかになり、重厚な走りを楽しめるようになる。それこそどこまでも乗り続けたくなってしまうクルマだ。
車名 BMW Z4 Roadster 2.5i(2006年モデル)
形式 ABA-BU25
寸法 全長4100mm×全幅1780mm×全高1285mm
ホイールベース 2495mm
車重 1400kg
駆動方式 前輪駆動(FR)
エンジン 2.5リッター直列6気筒DOHC・4バルブ
最高出力 177ps(130kW) /5800rpm
最大トルク 23.5kgm (230Nm)/ 3500-5000rpm
トランスミッション 6AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費 10.2km/L
タイヤ 225/50R16
最小回転半径 4.9m
発売時期 2006年9月
当時の新車価格 443万円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 2006年
販売価格 289万円(消費税込み)
走行距離 6800km
ボディカラー アルピンホワイト
備考 ワンオーナー
試乗日 2009年4月
トラブルはほぼ心配なし
前期モデルの最初期型では、今年で2回目の車検を迎える個体もあるが、実際のところトラブルに関してはほとんど心配なし。オイル交換などの基本メンテがしっかり行われてきたクルマを選んでおけば、まず間違いはないだろう。ただクルマの性格上頻繁に電動ルーフの開閉がなされた可能性があるので、作動状態はしっかり確認しておきたい。開閉動作はバッテリーにもそれなりに負担がかかるので、納車時にバッテリーを新品にしておくのも手だ。ランフラットタイヤの溝の深さにも注目で、値段が高いだけにいざ交換、となるとそれなりの出費を強いられる。一応タイヤはランフラットでなくとも装着可能となっているので、実際試乗して感じた乗り心地と相談しながら判断しておきたいところだ。
競合車との比較はAPで
同じクラスのライバルとしては、ポルシェボクスターやメルセデス・ベンツSLK、アウディTTロードスターといったあたりがあげられるが、シャシー・エンジンレイアウトなどいずれも方向性は異なり、魅力自体も異なるクルマだ。あえて乱暴な切り方をするなら、、Z4は「道中適宜ワインディングロードを織り込みながら、快適なロング・ツーリングを楽しみたい」という人におすすめできるクルマといったところか。当Uカー試乗記では上記モデルは全て試乗+レポート済み。現物もオートプラネットに来れば全車見学可能なので、ぜひ実際に見て比較検討をしていただきたいところだ。
新型デビューでタマ数増加が予想される
新型Z4の国内デビューを控えていることもあり、今後は市場でのタマ数増加が予想される。一度車検を通した前期型からの乗り換えや、最初の車検を控えた後期型からの乗り換えなど、前期型/後期型ともそれなりの数が流通することだろう。では前期型と後期型のどちらがいいかというと、それは予算と相談しつつ選ぶのが妥当だ。もちろん後期型はエンジンは新世代のモノだし、ATも6速。走りの面ではやはりコチラをオススメしたいところだが、デザインに大きな違いは無し。単純にルックスに惚れたという人は、前期型でも全く問題はないし、メカトラブルだってほぼ心配はない。ただし、せっかくZ4 ロードスターを選ぶのなら、前期型でも電動トップが装着されているモノを選びたい。
クルマ道楽生活の究極、オープンカーライフをBMWで
電動メタルトップを採用し、さらにデュアルクラッチ式ATを搭載した新型のデビューを間近に控えてはいるモノの、現行モデルだって性能的にもルックス的にも「Z4はあと10年は戦える」といった印象だ。ロードスターを所有するということは、クルマ道楽のひとつの究極形。それがBMWのアイデンティティともいえる直6のエンジンフィーリングと、自然なステアフィーリングをあわせ持つZ4であれば、クルマ好きにはたまらないことだろう。「駆けぬける歓び」をお値打ちに体感するならこれからがまさにチャンスだ。
Text:G.N,DAYS
Photo:DAYS


