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Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2009年04月10日

2006 オペル シグナム 2.2

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ベクトラベースの「スポーツ“リムジン”ワゴン」

「リムジン」と「ステーションワゴン」を融合してスポーティに仕立てたモデル。それがシグナムがうたう「スポーツ“リムジン”コンセプト」だ

日本では2003年12月に発売されたオペル・シグナムは、3代目ベクトラ(2002年発売)シリーズのトップモデル。セダンでもワゴンでもない、後席の居住性を重視した新ジャンルの「スポーツ“リムジン”ワゴン」を名乗って登場した。また日本国内では、販売を終了したオメガに代わるオペルの最上級モデルという役割も期待された。

日本に導入されたのは、オペル初の直噴ユニットとなった2.2リッター直4(155ps、22.4kgm)の「シグナム 2.2」と、ベクトラでおなじみの3.2リッターV6(211ps、30.6kgm)の「シグナム 3.2」の2モデル。いずれも5ATのFFで、価格は消費税抜きで355万円と422万円だった。ハンドル位置は基本的に右だが、3.2には左も用意された。

2004年には価格改定や若干の改良・仕様変更が行われたが、大きな変化はなし。その後は日本からのオペル撤退に伴い、2006年に惜しまれながら販売を終了した。

 

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最初はジミだが、だんだんカッコよく見えてくる

ボディサイズは全長4635mm×全幅1800mm×全高1460mm。ホイールベースは2830mmと全長に比して異例に長い。Cd値は0.33だ

独特のコンセプトを持つシグナムだが、前から見た時は通常のベクトラシリーズとほとんど同じで見分けるのが難しいほど。リアゲートを備えるという点ではベクトラワゴンと同じだ。

しかしベクトラセダンよりホイールベースを130mm長い2830mmとして、特異な胴長スタイルを実現。さらに太いCピラー、張り出したフェンダー、17インチホイールなどで、高性能ハッチバックのようなルックスも備えている。既成のジャンル内に収まらないことから理解されにくいクルマだが、それゆえに注意深く見ると発見があり、だんだんカッコよく見えてくる。

 
グリップ式のドアハンドルも力強いデザインだ
2005年モデルからヘッドランプがスモーク仕上げに、フロントグリルがクロームメッキタイプとなり、質感が上がっている
ベクトラセダンとの2ショット。フロントのデザインはほとんど同じだ
 

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インパネはベクトラと共通。志の高いシート

つなぎ目がピシッと合った樹脂パーツで構成されるインパネには、独特の質感がある

基本的にインパネまわりはベクトラと同じ。エクステリア同様、縦と横のラインで構成されたロジカルなデザインだ。樹脂の質感や塗装処理の自由度を活かした独特の手法に好感が持てる。一方でオペル車は3代目ベクトラあたりから劇的に質感が大幅に向上しており、あちこちに手触りのいい表面処理や植毛加工を施すなど、細かい部分の作りも良くなっている。

一見地味だが、よく出来ていると思うのがシートだ。座り心地はドイツ車にありがちな硬めで大柄なものではなく、真ん中がソフトで左右が適度に硬く、小柄な体型でもフィットしやすいもの。高さは横のラチェット式レバーで調整できるが、さらに前側(膝裏)の高さも別のラチェット式レバーで調整可能。リクライニングの調整はダイアルによる無段階式で、ランバーサポートもレバーで調整できる。下手な高級車より志の高いシートだ。

 
インパネ一体型のオーディオ(インダッシュ式CDチェンジャー内蔵)が標準だが、サンプルカーはそれに代えてHDDナビを装着
シートは調整範囲が広く、座り心地、ホールド性も良好。見た目は地味だが、コストは掛かっている。ステアリングの調整もチルト(上下)とテレスコ(前後)が可能
頭上にはオペルが早くから採用してきたオーバーヘッドコンソールを配置
 

リムジンというより飛行機

圧巻はうたい文句通りリムジンのように広々としたリアシートだ。シートは前後に130mmスライドするほか、30度の範囲でリクライニング調整もできる。中央席の背もたれがアームレストになるのは普通だが、座面クッションを180度ひっくり返すと小物スペースになるのは珍しい。

さらに面白いのがオプションの「トラベル・アシスタント」を装着できること。樹脂製の大型ボックス(けっこう重い)で、これをガチャンとセンターコンソールにはめ込んでレバーでロック(けっこう大変)。さらにフタを開けて、中のパーツを展開させるとテーブルやモバイルガジェット類が固定できる台が現れる。ボックス内は冷蔵庫になっており、12ボルト電源も備える。取ったり外したりは大変だが、このあまりに大真面目な作り込みには感心せざるを得ない。もちろんこんなものを装備したクルマは、シグナム以外に見たことがない。

一方、中央席はあくまでエマージェンシーだ。中央席用の3点式シートベルトはしっかりした作りだが、普段は天井にしまっておけるようになっている。

 
「トラベル・アシスタント」の中身を全て展開したところ。筐体やテーブルは樹脂製だが、可動部分の作りはしっかりしている
中央席を180度ひっくり返し、さらにオプションの「トラベル・アシスタント」を設置したところ
これがいちおう3人掛けできる状態だが、中央席はあくまでエマージェンシーだ
 
後席の折り畳み操作は、背もたれと連動して座面が大きく沈み込む「ワゴンR」のような方法。この当時の欧州車では珍しい
後席をワンタッチで畳めば、ステーションワゴンのような広々した荷室となる。最大容量は1410リッターとかなり大きい
床下にはテンパースペアタイヤを収納
 

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ベクトラとシグナムの良さを再認識

シャシーの良さはベクトラ譲り。直噴エンジンはシグナムだけの特典だ

3代目ベクトラシリーズのシャシー性能は定評のあるところ。今回の取材担当者も今から7年前の2002年にベクトラセダン(2.2)に試乗した際、ガシッとしたボディに驚いたことをよく覚えている。当時としてはトップレベルの剛性感だった。

その印象は2004年にシグナム(やはり2.2)に試乗した時も同じだったが、一つ違っていたのはベクトラの時に物足りなかったエンジンが、やたら元気になっていたこと。実はエンジンが直噴化されて、最大出力が従来の147psから155psへ、最大トルクは20.7kgmから22.4kgmへアップ。燃費も6%ほど向上している。

さて、そんなシグナムに約5年ぶりに試乗したわけだが、印象はほとんど当時と同じ。サンプルカーは約3年落ち、走行約2万5000kmの車両だが、ガシッとしたシャシーはほぼそのままで、ステアリング系の剛性感やトルクステアの少なさも相変わらず。「やっぱりシグナムはいいクルマだった」と再認識した。

エンジンに関しては、ベクトラの2.2リッター直4も振動が少なくて静かだったが、やはりシグナムの直噴2.2が発揮する活発さは魅力。上級グレードには3.2リッターもあるが、燃費も考えるとほとんどの人はこの2.2で十分と思うだろう。乗り心地や静粛性もクラス随一であり、2009年現在でも十分に魅力的だ。

 

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車名  Opel Signum 2.2(2006年モデル)
形式  TA-Z02Z22L
寸法  全長4635mm×全幅1800mm×全高1460mm
ホイールベース  2830mm
車重    1510kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  2.2リッター直列4気筒DOHC・4バルブ
最高出力  155ps(114kW) /5600rpm
最大トルク  22.4kgm (220Nm)/ 3800rpm


トランスミッション  5AT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費  12.4km/L
タイヤ      215/50R17
最小回転半径   5.6m
発売時期     2004年11月
当時の新車価格  385万円(消費税込み)


試乗車スペック

初年度登録   2006年
販売価格   174万円(消費税込み)
走行距離   2万4900km
ボディカラー   スターシルバー
備考     ワンオーナー、社外ナビ+TV+CD+MD
試乗日    2009年3月

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品質・信頼性は以前とは別物。問題はタマ数が少ないことか

これといって弱点のないベクトラシリーズ。カム駆動はタイミングチェーンで行う

3代目ベクトラシリーズの信頼性は、引き合いに出すのは不適当かもしれないが、それ以前のオペル車とは別物。当時のメーカー発表によれば、オペルは1990年代末からトヨタ生産システムを採用するなどして、2001年度のクレーム数を1998年度の約40%にまで減らしたという。そういった品質の向上ぶりは、今回のサンプルカーを実際に見たり触ったりしても確かに感じられる。また先にも書いたように、クルマの基本性能も高く、その点でも古さを感じることがない。

 
ホワイトハウスグループではGM系ディーラーとして、オートプラネット内でシボレー、名古屋市内でサーブやキャデラック、ハマー、そして以前はオペルなどを展開している

もちろんそうは言っても機械モノなので、走行距離が著しく多いものや、内外装コンディションの良くないものは避けたいところ。シグナムは販売台数が極めて少ないので選り好みする余地はあまりないが、出来る限り高年式・低走行を選ぶのに越したことはない。相場は決して高くないので、ケチらないことだ。

なおオペルは日本での新車販売を終了しているが、パーツの供給などはGMを通して今後も行われるほか、メンテナンスもオペルを扱っていたGM系販売店で従来通り受けることができる。

 

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高い完成度と強烈な個性で随一の存在

ベクトラセダン(左)と。これにベクトラワゴンを加えた3モデルがいわゆるベクトラシリーズだ

日本では新車販売から撤退してしまったオペルだが、それまでのモデルで1台を選ぶとすれば、シグナムを挙げたい。2002年の3代目ベクトラ、2004年の3代目アストラ、2006年の2代目ザフィーラなど一連の新世代オペルはどれもいいクルマだが、中でもシグナムはハードウエアの完成度、そして他メーカー車にない強烈な個性を持つ点で、随一の存在だと思う。

 
ドイツ車らしい生真面目さ、骨太な作り、シートアレンジへの「そこまでやるか!」的な凝り方などがシグナムの魅力

実際のUカー市場ではシグナムよりベクトラの方が見つけやすいはずだ。同じ2.2リッターでも、ベクトラのエンジンはシグナムの直噴ほどパワフルではないが、セダンやワゴンに魅力を感じる方には、こちらもおすすめしたい。

いずれにしてもシグナムを含むベクトラシリーズは、その良さが一般によく知られていないのが残念なところ。派手さはないし、クルマをブランドでしか見ない人の琴線には触れないかもしれないが、道具として非常に優れたクルマだというのが今回あらためて乗ってみた上での実感だ。

 

Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


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