HOME > Ucar Libray >2008 アウディ TT クーペ 2.0 TFSI >

Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2009年06月17日

2008 アウディ TT クーペ 2.0 TFSI

h1.jpg

history-h.gif

アルミ/スチール混成の専用ボディ

今回試乗した2代目TT 2.0 TFSI。生産はボディのみドイツのインゴルシュタット本社工場、エンジンと最終組立がハンガリーのギュアー工場で行われている

アウディTTは1998年にデビューした小型クーペだが、今回とりあげるのは2006年に発売された2代目TTだ。初代はメカニズム的にはVWゴルフやアウディA3をベースとしていたが、2代目は車体前半(全体の69%)がアルミ製スペースフレーム、後半がスチール製の専用ボディを採用。スタイリング面も含めて、スポーツカーらしさを大幅に強めたモデルだ。

日本仕様は一般的にはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)と呼ばれる6速Sトロニックを全車に装備。さらにアウディ初となった磁性オイルによる可変ダンパーシステム「アウディマグネティックライド」をオプション設定するなど、最新のメカニズムが与えられている。


クーペは2.0 TFSI、同クワトロ、3.2クワトロ、TTSの4モデル

2代目TTシリーズのトップモデルとなる「TTS」 (photo:アウディ・ジャパン)

デビュー時に導入されたのはFFの「2.0 TFSI」と4WDの「3.2クワトロ」。翌2007年にはオープンモデルの「ロードスター 2.0 TFSI」が加わった。発売当初の価格はそれぞれ440万円、574万円、479万円だった。

2008年には「2.0 TFSI」の4WDバージョンとなる「2.0 TFSI クワトロ」を追加。さらにその2リッターターボエンジンを272psと35.7kgmまでパワーアップした高性能モデル「TTS クーペ」も登場している。発売当初の価格はそれぞれ499万円と675万円だった。

なお、日本仕様は先にも触れたように全車6速Sトロニック。ハンドル位置はTTSを除いてすべて右だ。

 

graph.jpg

outside.gif

気楽に乗り回せそうなスーパーカー

ボディサイズは全長4180mm×全幅1840mm×全高1390mm。ホイールベースは2465mm

TTと言えば、今でも初代TTを思い浮かべる人が多いと思うが、それに比べると2代目は全長で120mm、全幅で75mmも大きくなり、さらにミッドシップのスーパースポーツであるアウディR8に似たデザインも手伝って、いかにも高性能スポーツカーらしく見える。それでいて最小回転半径は5.2メートルと小さい。気楽に乗り回せそうなスーパーカーといった感じだ。

一方、この3年間で見慣れたせいか、角度によっては一瞬初代と見間違えそうにもなる。その点では初代も2代目もやはり「TTらしさ」は一貫している、ということか。

 
この角度からだと一瞬初代に見える。ボディ前半はA8やR8などでノウハウのあるアルミスペースフレーム構造
FFの2.0 TFSIの場合、当初は225/55R16が標準だったが、2007年8月のマイナーチェンジ以降は245/45R17に格上げされた
バイキセノンヘッドライトは全車に、AFS(光軸可変機能)は3.2クワトロに標準装備


 

inside.gif

横方向に広く、室内高にもゆとりが出た

黒のレザーとアルミ製パーツのコントラストが印象的なインテリア。空間的にも主に横方向に広くなった

質感の高さがいつも印象的なアウディのインテリアだが、TTではスポーツカー独特の硬派な雰囲気が目立つ。初代にあったコンセプトカー的な素材感の生々しさは消えたが、薄暗いところに潜り込むような感覚はまだ残っている。横幅が広がったことでスーパースポーツ的な「天井は低いけど横方向は広い」感じが強まった。

初代よりも閉所感が弱まったのは、サイドウインドウが上下に大きくなったことも一因だろう。全高が一気に50mmも伸ばされたことで、ドア開口部も上に広がり、乗り込む時に頭をぶつけずに済むようになった。

 
初代同様、本物のアルミ製パーツを多用する。吹出口のリングは回転によって風量を調整できる機能パーツでもある
もちろんパドルシフトを標準装備。ステアリングの左右スポーク部に備わる
アウディらしい機能的なメーター。瞬間・平均燃費計も備わる
 
空調スイッチの操作方法は独特。上の国産HDDナビは全車標準で、TVは初期モデルではアナログ、2008年マイナーチェンジ以降はデジタルに対応
シートは2.0 TFSIがファブリック、3.2クワトロがレザーとアルカンタラのコンビ。オプションでフルレザーも用意された(発売当初は2.0TFSIで35万円、3.2で13万円)
リアシートの広さはポルシェ911と大差なく、かなり狭い。普段は手荷物を置くためのもの


 

床下にスペアタイヤは無く、小物スペースと工具、バッテリーが収まる
後席の背もたれを倒せば700リッター。ゴルフバッグが2つ入るなどハッチバック車並みに荷物が積める
荷室容量は通常時290リッター。ハッチゲートがガバッと開くため大きな荷物の出し入れもしやすい
 

imp.gif

パワートレインはゴルフGTIなどと基本的に同じ

2.0 TFSIユニットと6速Sトロニックの走りは相変わらず刺激的だ

今回のサンプルカーは2008年式の「2.0 TFSI」(FF)。約1年半落ち、走行8100kmという車両で、車両価格も344万円と新車時から100万円程度しか落ちていない。試乗担当者は2006年デビュー時に3.2クワトロ、09年に2.0 TFSIクワトロに試乗しているが、FFモデルに乗るのは今回が初めてだった。

とはいえ直噴ターボと6速DCT(アウディも以前はDSGと呼んでいたが、現在はSトロニックと称する)の組み合わせは、TTの他にA3、VWならゴルフGTIやジェッタなどで何度も触れており、印象自体も基本的にはそれらと同じ。ステアリングを切ったまま不用意にアクセルを開けると、キューンとホイールスピンするところも相変わらずだ。間髪を入れず変速するSトロニックの完成度も含めて、パワートレインに関しては非の打ち所がない。

専用ボディで鋭さを増した走り

電動リアスポイラーは120km/hで上昇し、80km/h以下で格納。スイッチで上げっぱなしにも出来る

一方、ハンドリングは先に挙げたモデルとは段違いにシャープで、軽快感も2ランクほど高い。ここはやはりTT専用の軽量・低重心ボディならではの部分だ。ボディ前半をアルミ製スペースフレーム構造としたことで、車重はこのFFモデルでゴルフGTIより100kg以上軽い1340kgに収まっており、同じ200psでも加速の鋭さはより増している。ただ、それゆえ気になったのは急激なパワーの盛り上がり方で、もう少し落ち着いて乗りたいという印象も受けた。


 

spec.gif


車名  Audi TT Coupe 2.0 TFSI (2008年モデル)
形式  ABA-8JBWA
寸法  全長4180mm×全幅1840mm×全高1390mm
ホイールベース  2465mm
車重    1340kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  2.0リッター直列4気筒DOHC・直噴ターボ
最高出力  200ps(147kW) /5100-6000rpm
最大トルク 28.5kgm (280Nm)/ 1800-5000rpm


トランスミッション  6速DCT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 55L
10・15モード燃費  12.0km/L
タイヤ      245/45R17
最小回転半径   5.2m
発売時期     2006年7月
当時の新車価格  455万円(消費税込み、2007年8月発売モデル)


試乗車スペック

初年度登録  2008年
販売価格   344万円(消費税込み)
走行距離   8100km
ボディカラー  ファントムブラック パールエフェクト
備考     純正HDDナビ、17インチホイール(2007年以降標準装備)、ETC、ワンオーナー
試乗日    2009年6月

advice.gif

このクラスではベストバイの1台

オートプラネット名古屋に並ぶアウディの各モデル。TTも2代目がUカー市場の主流になってきた

これまで再三、初代TTをおすすめしてきたUカー試乗記だが、実際のところ2代目TTはそれとは比較にならないほど各項目で進化している。初代はデザイン、手頃なサイズ感、価格という点でいまだに魅力的だが、一方で2代目はアルミ・スチール混成ボディ、Sトロニックなどによる21世紀的な走りという点で、明らかに先を行っている。ここで声を大にするまでもなく、2代目TTはこのクラスのスポーツカーでベストバイの1台だ。

ならばベスト・オブ・2代目TTは?

発売当初のボディカラーは全10色。インテリアも8通りあるが(オプションを含む)、実際の車両で多いのは外装がブラック、シルバー、ホワイト、内装が黒の組み合わせだ

そんな2代目TTだが、今回FFモデルに試乗して分かったのは、一口に2代目TTと言っても印象はグレードによってかなり異なるということ。

3.2クワトロに乗ると、濃密なパワー感やエンジン音などの点で、ポルシェ・ケイマンやBMWのZ4あたりと互角のスポーツカーという印象を受ける。ただ少なくとも初期の3.2クワトロ(非マグネティックライド装着車)の乗り心地は、ハードなサスペンションと245/40R18というタイヤのせいか、けっこう硬派。操縦性も非常にクイックで、オシャレなクーペとして乗ろうとするとちょっと過剰に思えるかもしれない。

2.0 TFSI クワトロになるとパワーの余剰感はないが、それゆえクワトロらしい抜群のトラクション性能が際立ち、以前土砂降りの雨の中を走った時にも、安心して全開加速できるほど余裕があった。まさに「全天候型スポーツカー」という感じだ。なお初代から採用されているハルデックス電子制御クラッチによるクワトロ(センターデフを備えたA4以上のクワトロとは構造的に異なる)だが、2代目のものはもちろん改良型となっている。実質2008年末からデリバリーが始まったグレードなので、Uカー市場ではまだ数が少ないが、個人的には仮にFFより数十万高くても(新車時はFFの60万円高)、2.0 TFSI クワトロが良いと思う。

 
最高速は2.0 TFSI(FF・Sトロニック)で240km/h、0-100km/h加速は6.4秒。同クワトロで238km/hと6.2秒。3.2 クワトロで250km/h(リミッター作動)と5.7秒(いずれもメーカー発表値)

今回試乗したFFの2.0 TFSIは、ゴルフGTIなどのホットハッチ系が好きな方におすすめしたい。セダンやハッチバックの便利さに慣れてしまうと、ついつい実用性が低そうなクーペやスポーツカーを現実の選択肢から落としてしまいがちだが、TTならAT限定免許でも運転できるし、大人2人+子供1人までなら快適な移動も可能だ。また荷物も載るし、燃費も悪くない。確かに大人4人の移動は難しいが、そんな機会が年に数回という人は、ぜひゴルフGTIより100kg以上軽い車重による鮮烈な走りを、1年365日味わって欲しいと思う。

 

Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


ucaravenue-b.gif

 

ページの先頭へ戻る