掲載日 : 2009年07月10日
2007 シトロエン C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ
広大な視界が楽しめる3列シートミニバン
2006年に欧州でデビューした「C4 ピカソ」は、C4をベースとした3列シートの7人乗り小型ミニバン。旧クサラをベースにした「クサラ ピカソ」(欧州では現在も販売中)の上級モデルに相当し、フランス本国では5人乗りの「C4 ピカソ」と7人乗りの「グラン C4 ピカソ」がある。2007年6月21日に発売された日本仕様は「グラン」とは付いていないが、7人乗りの方だ。
C4 ピカソがユニークなのは、大面積のグラスエリアによる視界を売りとするところ。移動のための贅沢な空間として、個性的なデザインや快適装備も与えられている。
なお「ピカソ」とは、もちろん画家パブロ・ピカソ(1881~1973年)のこと。車名ロゴは本人のサインをモチーフにしたもので、少なくとも先代クサラ ピカソのカタログには、ピカソの絵が大胆にあしらわれていた。
4速ATと6速セミAT「6EGS」の2本立て。2009年から1.6ターボが登場
当初日本に導入されたのは、2リッター直4エンジン(143ps、20.8kgm)の「2.0 エクスクルーシブ」のみ。ただし変速機は4ATと6速セミATの2種類が用意された。当初の価格は、いずれも345万円だ。2008年2月にはエントリーグレードとして「2.0」(4ATおよび6速セミAT)が追加された。
2009年2月には、PSA(プジョー・シトロエン・グループ)とBMWが共同開発した1.6リッター直4・直噴ターボエンジン(140ps・24.5kgm)を搭載した「1.6T エクスクルーシブ」(同じく4ATおよび6速セミAT)を導入。2009年6月時点で従来の2リッターモデルも併売されているが、今後はこの1.6Tが主力となる。(2009.06)

ユニークなデザイン、広大なグラスエリア
日本では今やファミリカーの主流である3列シートミニバン。C4ピカソもその1台だが、ボディサイズにしても外観デザインにしても、かなり型破りな印象を受ける。例えば、全長そのものは5ナンバーサイズに余裕で収まる4590mmだが、全幅はトヨタ・アルファードと並ぶ1830mm。スタイリングも全体にズングリしており、実用本位なデザインが多いミニバンとは一線を画している。
さらにユニークなのが乗員の頭上に覆いかぶさるように伸びるフロントウインドウ。ガラスルーフや三角窓もかなり巨大だ。グラスエリアの広さが、外観デザインの上でも大きな特徴となっている。
まるで観光バス。抜群の視界と快適装備
車内に乗り込めば、広大なフロントウインドウからの見晴らしに圧倒される。Aピラー(フロントウインドウの左右にある柱)もかなり細く、ほとんど視界のジャマにならない。そして頭上には大空がパノラミックルーフ越しに広がる。家族と一緒に景色のいい行楽地へ行くには、もってこいのクルマだ。
一方、日差しが気になる場合に備えて、大きめのサンバイザーやブラインドを装備するなど、配慮はきめ細かい。さらにリアシートにいる子供の様子を確認するための「チャイルド・ウォッチミラー」、クーリング機能付きの大型収納、運転席・助手席・後席右・後席左とそれぞれ4ヶ所にある空調操作パネルなど、微に入り細に入り工夫が凝らされている。
なおエアバッグは運転席ニーエアバッグを含む7個を全車に標準装備。またパノラミックガラスルーフ装備車の場合、サイドウインドウは割れても飛散しにくいラミネーテッド・ウインドウ(中間に樹脂を挟み込んだいわゆる合わせガラス)となっている。
運転感覚は4ATでも6EGSでも大差なし
試乗したのは導入初年度である2007年式(約2年落ち)の「2.0 エクスクルーシブ」で、走行距離は1万4200km。6速セミATの「6EGS」(6速エレクトロニック・ギアボックス・システム)もあるが、サンプルカーはフランス車でおなじみの「AL4型」4ATだ。
運転席に座って最初に戸惑うのは、コラムから生える電子式「セレクターレバー」だろう。4ATの場合は「P - R - N - D - M」と割と分かりやすいが、6EGSの場合は「R - N - A(オート) - M(マニュアル)」となり、「P」(パーキング)はない。ただしどちらも、エンジンを切ると自動的に電動パーキングブレーキが作動し、発進する際にはアクセルを踏み込めば自動的に解除される。
まぎれもなくシトロエン独自の乗り味
C4 ピカソに乗るのはデビューした時以来で、つまり約2年ぶりだが、印象はほぼ当時のまま。以前乗ったのは6EGSの方だったが、今回試乗した4ATでも運転感覚に大差はなし。4ATにはクリープがあるから(6EGSにはない)、その点では万人向けだが、運転のしやすさは共通するところ。セレクターレバーなどの操作系を一度覚えてしまえば、国産車しか乗ったことがない人でもすぐにリラックスして運転できるはずだ。
エンジンは2リッター直4(143ps、20.8kgm)で、車重は1630kg。決してパワフルではないが、4ATでも走りっぷりに不足はない。ただギアが6速ある6EGSの方が、マニュアルモードを使ってキビキビ走らせるのには向いている。
サスペンションはフロントこそ一般的なスプリング式サスペンションだが、リアはピカソ専用のエアサスとなっている。乗り心地に関してはシトロエン独自の油圧・ガス式サスペンション(通称ハイドロ)かと錯覚してしまうほど、シトロエンらしい濃厚かつ重厚なゆったり感が味わえる。
車名 Citroen C4 Picasso 2.0 Exclusive (2007年モデル)
形式 ABA-B58RFJP
寸法 全長4590mm×全幅1830mm×全高1685mm
ホイールベース 2730mm
車重 1630kg
駆動方式 前輪駆動(FF)
エンジン 2.0リッター直列4気筒DOHC
最高出力 143ps(103kW) /6000rpm
最大トルク 20.8kgm (200Nm)/ 4000rpm
トランスミッション 4速AT
使用燃料/容量 プレミアムガソリン / 60L
10・15モード燃費 -km/L
タイヤ 215/55R16
最小回転半径 -m
発売時期 2007年6月
当時の新車価格 345万円(消費税込み)
試乗車スペック
初年度登録 2007年
販売価格 259万円(消費税込み)
走行距離 1万4200km
ボディカラー グリアルミニウム
備考 パノラミック・ガラスルーフ+ラミネーテッド・サイドウインドウ(メーカーオプション)、ワンオーナー
試乗日 2009年6月
「4ATか、6EGSか」は、好みや燃費性能でチョイス
C4 ピカソを購入するにあたって悩むのは「4ATか、6EGSか」だろう。なにしろエンジンも、装備も、新車時の価格も、まったく一緒。インポーターのシトロエン・ジャポンですら変速機は絞りきれず、選択をユーザー側に任せたような車種設定となっている。現在でも2種類用意されているところを見ると、要するにユーザー側の選択も分かれるのだろう。
両方乗ってみた印象としては、どちらも甲乙付けがたく、一長一短といったところ。4ATの長所はクリープがあり、運転に自信のない人でも坂道発進が簡単なこと。ただし6EGSにも、3%以上の勾配ではブレーキペダルから足を離しても2秒間ブレーキを保持するヒルホルダー機能が備わるし、半クラッチの自動制御もなかなか巧みなので、そう困ることはないはずだ。
逆に6EGSの長所は、6速マニュアルモードやダイレクト感のあるアクセルレスポンスによって、なかなかのファン・トゥー・ドライブが味わえること。もちろんシフトダウン時には自動的にブリッピング(スロットルの空ぶかしによる回転合わせ)もしてくれる。また4ATよりパワーロスが少ないため、燃費もいい。10・15モード燃費は「2.0 エクスクルーシブ」の場合、4ATの9.6km/Lに対して10.4km/L。「1.6T エクスクルーシブ」の場合は4ATの8.6km/Lに対して10.7km/Lと、おおむね1~2割も向上する。
そして「2.0か、1.6Tか」
もう一つの悩みが「2.0か、1.6Tか」だろう。1.6Tの直噴ターボエンジンはプジョー・シトロエン車の他、2代目MINIクーパーSにも搭載されており(チューニングは異なる)、メカニズム的には最新型。シトロエンではC4ハッチバック(4ATのみ)で試乗したが、馬力自体は大差ない一方、トルクは1.6Tの方が全域で分厚く、力感がある。ただしシトロエンらしさという点では、出力特性が穏やかな2リッターも悪くないところ。いずれにしても、「1.6T」は2009年式以降なので、しばらくは新車での購入がメインだ。
C4 ピカソは、大げさに言えば家族の幸せと趣味性との両立を図るのにまたとないクルマだ。だからと言って、誰にでもおすすめできる無難なクルマではないが、小さな子供がいる家族にとっては、下手な高級車よりも愛される個性派ファミリーカーとなり得るだろう。
Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS




