HOME > Ucar Libray >2005 フォルクスワーゲン ルポ GTI >

Uカー試乗記

Uカー試乗記

掲載日 : 2009年07月16日

2005 フォルクスワーゲン ルポ GTI

h1.jpg

history-h.gif

VWの末っ子をベースにした高性能モデル

125psの1.6リッター自然吸気エンジンと6MTを搭載した「ルポ GTI 」 (写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン)

VWの最小モデルとして1998年に欧州でデビューしたルポは、ボディサイズこそ軽自動車並みながら、VWらしい質実剛健な作りを備えた3ドアのFFハッチバック車だ。日本では2001年7月に1.4リッターの4AT車が発売されたが、今回とりあげるのは2003年5月に導入され、クルマ好きの間で絶大な人気を得た高性能グレード「ルポ GTI」だ。

125ps+6MT。アルミ製ボディパネルで軽量化

今回試乗したルポ GTI。日本仕様のボディカラーはトルネードレッド、リフレックスシルバー、ブラックの3色のみ

ルポ GTIのエンジンは先代ポロ GTIにも積まれた自然吸気1.6リッターDOHC(125ps、15.5kgm)。変速機は6MTとなる。内外装に専用パーツを多数おごるほか、アルミ製ボディパネルで軽量化を図るなど、作りは極めてマニアックだ。ルポ GTIは、大きく、重く、高級になってしまった現代のゴルフGTIに代わり、初代ゴルフGTIのスピリットを再現したモデルとも言える。

ルポの生産は2004年に終了し、日本での販売も2005年に終了。欧州では新型フォックス(Fox)がその跡を継いだが、日本では販売されていない。(2009.07)


 


graph.jpg

outside.gif

GTI専用外装で武装。ボディパネルにアルミを多用

全長3525mm×全幅1640mm×全高1465mm。ホイールベースは2320mm

車高が10mm低いことを除けば、ボディサイズはノーマルのルポと同じGTI。しかし見た目の印象は可愛い系のノーマルに対して、生意気なほど精悍だ。バンパーは開口部の広い専用タイプとなり、グリルは大人しい横桟タイプから、ゴルフ等「GTI」シリーズに共通するハニカム(蜂の巣)形状に変更。ヘッドライトはディスチャージドのプロジェクターとなり(ノーマルはハロゲンのマルチリフレクター)、大型フォグランプも増設されている。

タイヤはノーマルより径を1インチアップし、幅を2センチワイド化した205/45R15。アルミホイールの奧には、赤く塗られた専用ブレーキキャリパーがのぞく。リアに回れば、何と言っても空に向かって突き出すセンター2本出しマフラーがポイントだ。

さらに見ただけでは分からないが、軽量化のためにボディパネルの一部をアルミ製に変更。ドア(モデル末期を除く)/フェンダー/ボンネットがそうだ。まあアルミ製ボンネットはあり得るが、アルミ製フェンダーやドアはかなり高価で特殊なスポーツモデルでしか普通はあり得ない。材料そのものが高く、生産性は著しく落ちるからだ。

 
大口径の2本出しマフラーが空に向かって突き出す
ブレーキはもちろん4輪ディスク。赤いブレーキキャリパーやリアスポイラーもGTI専用
「GTI」であることは一目瞭然。前からは専用バンパー、大型フォグ、バッジなどが目印だ


 

inside.gif

スポーツ心あふれる機能重視のデザイン

赤いステッチ、そして6速MTが「GTI」であることを主張する

基本的にはノーマルのルポと共通のインパネ。ボディカラーが黒だと分かりにくいが、実はボディの鉄板がそこかしこに剥き出しになっている。一方で、スイッチ類の操作感やドアの開閉音はしっかりしており、いかにもドイツ車らしい優れた「道具感」がある。

もちろん「GTI」ならではの演出には事欠かない。まずは6速MTのシフトノブ、アルミ製プレート付のABCペダルが目を引くところ。ノーマルルポのシートもしっかりした作りだったが、GTIにはサイドサポートの張り出しが大きい専用スポーツシートが備わる。シートやレザーステアリングの縫い糸は赤、フロアカーペットの縁取りも赤、そしてシートベルトも赤だ。

 
GTIのメーターにはアナログ時計が追加され、速度計は上限が240km/hに、回転計のレッドゾーンは7000回転手前まで引き上げられる
当時このクラスでは珍しかった6MT。バックは下に押し込んで左奥だ
足を伸ばしたところに自然にあるペダル。ヒール&トゥなどの操作性もまずまず
 
座り心地がよく、サイドサポートのしっかりした専用スポーツシート
フロントシートはワンタッチで前にスライドし跳ね上がる。3ドアだが乗降性は良好だ
ノーマルルポの後席は3人掛けだが、GTIは2人掛け。空間はミニマムで、大人が座るのには向いていない


 

ノーマルルポのスペアタイヤに代えて、パンク修理キットとバッテリーを積む。これは前後重量配分を出来る限り改善するためだ
リアシートの畳み方はかつてVWで定番だった、座面を跳ね上げてから背もたれを倒すダブルフォールディング式
後席同様、やはりミニマムと言えるトランク。軽自動車と同程度か、それ以下だ
 

imp.gif

打てば響く自然吸気エンジン、1トン少々の軽量ボディ

直進安定性は抜群で、高速道路でも流れを余裕でリードできる

試乗したのは2005年登録(約4年落ち)、走行約2万6000kmの車両。おそらく工場出荷時のままと思しきタイヤ(ダンロップのSPスポーツ 2000 E)の賞味期限は終わり気味だったが、内外装のコンディションは距離相応で悪くない。

1.6リッターDOHCユニットは、VWの自然吸気エンジンとしては高出力の125ps/6500rpm、15.5kgm/3000rpmを発揮する。ノーマルのルポが1.4リッターDOHCで75psだから、馬力は約1.6倍だ。しかも車重は今どきのクルマとしては抜群に軽く、1010kgしかない。1トンあたり約125psは、軽量スポーツモデルとして十分なパワー・ウエイト・レシオだ。

いかにもVWらしいのは、エンジンがやたら低速からトルキーでレスポンスがいいこと。気難しさは一切なく、「ウァーーン」という澄んだメカニカルノイズを振りまきながら、最近の直噴ターボ車のようにグイグイと加速してくれる。もちろんこれには車重の軽さが効いているのも間違いない。なお、軽いと言えば、クラッチペダルも相当に軽い。6MTのシフトフィールもちょっと手応えが軽めでケーブルっぽいが、変速はスコスコ決まり、ストロークもそれなりに詰められている。

足腰もしっかりしている

感心したのは駆動系や足まわりがしっかりしていること。この手のホットハッチ系(のUカー)にありがちな、クラッチをつなぐ時のジャダー(駆動系が揺れることで生じる独特の振動)やトルクステアがないのがいい。発進に気を使うことはなく、少なくとも路面がドライであれば安心して全開加速できる。

直進安定性も良く、ホイールベースの短かさを忘れてしまうほど。大きめの段差では「ダンッ」と突き上げこそあるが、乗り心地はこれで十分だと思う。コーナリングに関しては、重心位置などの関係でやや苦手な印象を受けたが、ここまで完成度が高ければあとはドライバーの走らせ方次第だろう。

 

spec.gif


車名  Volkswagen Lupo GTI (2005年モデル)
形式  GH-6EAVY
寸法  全長3525mm×全幅1640mm×全高1465mm
ホイールベース  2320mm
車重    1010kg
駆動方式  前輪駆動(FF)
エンジン  1.6リッター直列4気筒DOHC
最高出力  125ps(92kW) /6500rpm
最大トルク 15.5kgm (152Nm)/ 3000rpm


トランスミッション  6速MT
使用燃料/容量  プレミアムガソリン / 34L
10・15モード燃費  13.6km/L
タイヤ      205/45R15
最小回転半径   4.7m
発売時期     2003年5月
当時の新車価格  226万8000円(消費税込み、2004年モデル)


試乗車スペック

初年度登録  2005年
販売価格   154万円(消費税込み)
走行距離   2万5900km
ボディカラー  ブラック
備考     ワンオーナー
試乗日    2009年7月

advice.gif

Uカーを手に入れるなら今がチャンス

ルポ GTIのエンジンはタイミングベルト式。ボンネットフードは高級車のようにダンパーで開く

日本での販売期間は2003~2006年の約3年余と意外に長いルポ GTI。累計販売台数は2000台ほどのようだ。2009年の今、巷にはちょうど2回目の車検を迎える車両が増えており、しかもキャラクター的に近いMINIクーパーやクーパーS、アバルト500といったモデルが新車で出そろってきたことから、ルポ GTIがUカー市場に出てくる可能性は高い。

そんなルポ GTIだが、相変わらず人気は高く、相場も高止まり傾向にある。今回のサンプルカーも4年落ちで新車価格の226万8000円(2005年当時)に対して154万円だ。相場は年式や走行距離が進むにつれて多少下がると思うが、コンディションのいい車両を抑えるならやはり早い方がいいだろう。

 
オートプラネット名古屋ではVWをはじめ、ドイツ車全般が充実。隣に並ぶのは(よく名前を言い間違えられる)ポロ

輸入車としては決して高価なモデルではないので、20~30万円の差でコンディションの良くない個体に手を出すよりは、それなりにコンディションのいい車両を選びたいところ。特に高性能FF車は駆動系のマウント等にヤレが出やすいので、走行距離の少ない車両を選ぶメリットは確実にある。また、タイミングベルトまわり(テンショナーを含む)に関しては7~8万km毎に点検・交換を考えたほうが良いようだ。エアコンやパワーウインドウなどもさすがに7、8年以上経つと若干の不安が出てくるが、それらを除けば購入後に掛かる費用は最小限で済むはずだ。

またルポGTIはクルマ自体の完成度が高いため、改造されることが比較的少ないクルマだと思われる。逆にサスペンションや吸排気系など何らかのモディファイが施されたものは、本来持っている絶妙なバランスを失っている可能性が高い。モディファイを否定するわけではないが、まずはノーマルの状態を味わって欲しいクルマだ。

最終モデルは磁石でチェック!?

驚いたことにキーも「GTI」専用。開発陣の思い入れの強さがうかがえる

年式に関しては基本的に新しい方がいいわけだが、2005年途中からの最終モデルはドアがスチール製だと言われている。なお今回のサンプルカーは2005年登録だったが、ドアはアルミ製だった(磁石で確認)。ま、個人的にはドアくらい鉄でもいいと思うが(板金修理は鉄の方が簡単だ)、気になる人は購入時にチェックしておくといいだろう。

ルポは高コストで利益率が低く、中でもGTIはアルミ製ボディパーツを多用するなど、採算を半ば度外視していたと言われる。このように極めて趣味性の強いモデルが手頃な価格で作られることは、今後しばらくはないだろう。

 

Text:Kei Niwa, DAYS
Photo:DAYS


ucaravenue-b.gif

 

ページの先頭へ戻る